鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

朝からお騒がせしました

2012-08-22 07:55:44 | 日記
 放送されてみたら、テーマがすっかり変わっていたのでびっくり!
「虫好きな女性が増えている」、より、
「虫嫌いの子どもを虫好きにするには」のほうが
NHK的ストーリーとはいえますね。
 そのためせっかくの川邉園長のシーンがほとんどカットされていたのにはがっかりでした。

 
 みてくださったみなさま、
朝からお騒がせして申し訳ありませんでした!


 口なおしに、日本に生息するキンカメムシ全種を飼育しているS氏から譲り受けたラデンキンカメムシ
を。

 

 比較的新しく日本に住みつくようになったキンカメムシで、
まだ正式な和名もありませんが、
その螺鈿細工のような美しい模様から「ラデンキンカメ」という愛称で呼ばれています。
1,2センチくらいで、ほっそりした華奢な印象のキンカメムシ。
現在のところ、奄美大島などのアカギにたくさん見つかっているそうです。

 

22日は早起きできたら『おはよう日本』

2012-08-20 10:22:33 | 日記

はやくもメタリックな光沢を身にまとったアカスジキンカメムシの2齢幼虫。秋に5齢幼虫まで変態して、そのまま越冬し、来年の初夏に羽化する。8月の生田緑地で。




 朝4時半からはじまるNHKの『おはよう日本』。
8月22日(水)、2012年の夏の点描という視点でさしはさまれる5分ほどの番組に
「昨今増えているらしい女性の虫好き」、として出ることになっています。
(6時から8時の間のどこかで放送されるらしい)

 たしかに拙著のサブタイトルには『虫愛ずる姫君の昔から、女子だって虫が好きでした』
と書いてありますが、どのくらい女性の虫好きが増えているかなんて・・・・・・
私にだってわかりません。
でも、イベントやブログの反応を通して、女性にも虫の好きな人がたくさんいる、
という実感をもっていることは確か。
 増えた、というより、顕在化した、というべきか。





 まあともかく、女性の虫友に声をかけて、
この日は多摩川近辺で、虫さがし。
みんなでさがすとたくさん見つかるし、とにかく楽しいので、
「じゃあ移動してください」とスタッフにいわれても、次々と
「あ、いたー」とか「これ、なんですかぁ」とか、声が上がり、
虫目歩きが止まらない。


まゆ子ちゃんの得意技―手づかみ捕獲。
でもちゃんと虫を傷つけないようなつかみ方を習得しているのは、
小学生とはいえ、さすが虫好き歴8年の年季を感じさせる。





 都会の夜にも、虫を観察する人がいる、というのももう一つのテーマだったので、
夜の日比谷公園でも虫さがし。

 でも、なんと収録当日は日比谷公園の盆踊り大会だよ~。

ええ~、こんな明るい晩に、
セミの羽化や灯火に飛んでくる虫が見つかるかなあ、と不安だったが、
この日は、お仕事帰りに参加してくださった『昆虫エクスプローラ』『むし探検広場』の川邉園長もいっしょなので心強い。

 さっそくセミが大量に羽化しようとしている木が見つかった。
ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、ニイニイゼミと、何種類も同じ木にいたのにはびっくり。
何度見てもセミの羽化は神秘的だ。
 セミを腕に留まらせたまゆ子ちゃんは、
「いたーいっ、こいつ私の腕吸ってる~、いたた、注射よりいたいよー」。



ひまわりの葉裏にも、グンバイやコガネムシ、ガなどが見つかった。
川邉園長がいろいろ解説。


こんなに明るい都会の灯火にも、寄ってくる蛾や虫はいる。


 みんな虫が見つかると「川邉さーん、これなんですかー?」と訊くので、
園長は大忙し。
「えーと、これはね、ちょっと待ってね」と、
スマフォを見ながら、ご自分のサイトで名前を確認。
WEB図鑑はこんなとき、すごく役に立つなあ。


 夜の日比谷公園で虫を探すなんて、あまりない機会なので、
みんな楽しくて虫さがしが止まらなくなり、1時間の予定が2時間を超え、
盆踊りもそろそろ終わり。
帰路につく人たちのあいだからも、
「あ、こんなところでセミが羽化しているよ」という声が聞こえた。


 『おはよう日本』は報道番組なので、
急に大きなニュースが入った場合は、虫の話題の放送は延期になる可能性もあります。
明日の夜、放送時間が確定したら、またこのブログでお知らせします。

『昆虫エクスプローラ』『むし探検広場』の川邉園長ファンは必見ですよ!





 

 




 



  



 

 

夏休みの虫ガールたち―その② まゆ子ちゃん

2012-08-16 07:47:11 | 日記
<src="https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/e1/5f3af5ce7b7b00c5aa489a59cc3c482b.jpg" border="0">
 まゆ子ちゃん作:標本箱をのぞきこむランドセル(取り外し可)をしょったジンメンカメムシとコノハムシの虫人形。






 6月の『虫愛ずる一日』イベントで、そう子ちゃんのほかにもうひとり、
声をかけてくれた小学生がまゆ子ちゃんでした。
 まゆ子ちゃんを一目みた瞬間、ああ、この人は虫が好きで好きでたまらないんだなあ、とわかりました。
だって、その笑顔は、純度100%の喜びにあふれていたから。


 お母さんによると、まゆ子ちゃんは2歳のころから、毎日ポケットをダンゴムシでいっぱいにして家に帰ってきたそうです。虫は好きじゃないお父さんとお母さんから、なぜか生まれた天性の虫好き少女。
 虫が大好きなんて、お友達にいじめられるんじゃないか、娘がオタクになっちゃったらどうしよう・・・・。
両親の悩みは尽きませんでした。


 いっぽうまゆ子ちゃんは、10歳になる現在まで虫が好きな気持ちをもちつづけ、
日ごろの虫とのお付き合いをもとに、『アブライモモムシ』という、人間の言葉を話す架空の虫が登場する物語を書いて、朝日小学生新聞の文芸賞をゲットしたのです。


 「まゆ子が虫の話で賞をいただいて、主人も私も深く反省しました。
今まで、私たち親は虫の好きな子どものために、なんにもしてあげてこなかった、と」。
そこで、なにかごほうびを、と両親は考えた。
うふふ・・・・・まゆ子ちゃんの心は決まっていました。


それは、(たぶん両親にとっては想定外だった)ずっと夢見ていた虫に会いに行くマレーシアへの旅行でした。
「幼稚園のころ、テレビ番組でコノハムシやジンメンカメムシのことをやっていて、
わあ、すごいおもしろい虫がいるんだなあ、と思って忘れられなくて。
それがたしか、マレーシアとかいう国だった」

 念願のマレーシア旅行で、まゆ子ちゃんはジンメンカメムシやアカエリトリバネアゲハやトゲナナフシ、そしてずっと会いたいと思っていたコノハムシに出会うことができ、
その旅行記がまた">『マレーシアへ虫とであう旅』という記事となって、
朝日小学生新聞に掲載されたのでした。
(『アブライモモムシ』はこちらで読めます)

夢見ていたマレーシアの昆虫館で。






 夏休みの一日、まゆ子ちゃんのお宅にお邪魔しました。

 居間には、あちこちに飼育箱。
カミキリムシやカマキリは飼育箱に入っているけれど、
コノハムシは並んでいるいくつかのグアバの鉢の葉っぱにしがみついていて、放し飼い。



タイコノハムシ。


 図鑑や写真集では見たことがあるコノハムシ。
ほんとうに葉っぱそっくりの形態や模様もおもしろいけれど、
この虫の魅力は、その動きにある!!!



 ゆっくりと、葉が微風にゆれるごとく、体をゆらす。
それが、なんとも心なごむ動きなんだなあ。
コノハムシって、袖のふくらんだドレスを着た、
ウエストのほそーいどこかの国のお姫さまが、
両手を高く差し上げているみたいに見えません?


この両手挙げポーズがメルヘンな雰囲気をかもしだしている。



 黄色っぽい色のジャワコノハムシのジャーちゃんは、
最初は緑色だったのが、半月ほど黄色のカーテンにとまっているうちに、
こんな紅葉した葉っぱみたいな色に変化した!



カーテンの色に合わせて、緑から紅葉色に変化したというジャワコノハムシのジャーちゃん。



顔は、ナナフシに似ている。葉っぱのような肢の先端から細い肢先が出ている形状も芸が細かい。

 コノハムシは単為生殖の虫(危機的状況になるとオスも出現するらしい)なので、
ジャーちゃんはなんと、一日3回、ほぼ決まった時間にひとつずつ卵を産むんだそう。 
しかも産卵管の先っぽからあっちこっちに、プッ、と卵を飛ばすんだって。おもしろすぎ!!!
(ただし、日本で卵を孵化させるのは、非常にむずかしいらしい)

 

 それにしても、まゆ子ちゃんのご両親エライ!
まったく虫と関係ないクラシック音楽の道を歩んでピアノを専攻してこられたというお母さんは、
まゆ子ちゃんの虫さがしの冒険につきあってマレーシアでヒルに噛まれてもめげず、
毎日まゆ子ちゃんと虫の世話をしているし、
お母さんよりさらに虫が苦手なお父さんは、
しだいに慣れてきたとはいえ、
仕事から家に帰ると、居間のあちこちに虫が・・・・・。
たとえ、ひとり娘のためとはいえ、これはなかなかできることではないと思う。



 ケーキやプリンを食べながら虫の話をいっぱいして、
夕方、近所へ虫さがしに行こうか、ということになり、
うれしさに跳びはねるまゆ子ちゃんが手に持ったのが、捕虫網と・・・・・・
自作のジンメンカメムシとコノハムシの人形。




ちゃんとコノハムシの特徴が表現されている。

 キェー、かわいい!
節足動物の特徴である肢の節が、
ヒモの結び目で表現されているのが、
さすがただの人形ではありません。
ちゃんとよく見て、その特徴を表現しています。
それに、虫への愛情が、あふれている。

 それにしても、ジンメンカメムシの人面度は、生物界広しといえども文句なしのナンバーワン!
海野和男さんのサイトで見られるジンメンカメムシ。

ジンメンカメムシ のプロフィールは、http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/diary/200509/1126454181.html 界 : 動物界 Animalia

 門 : 節足動物門 Arthropoda
 綱 : 昆虫綱 Insecta
 目 : カメムシ目(半翅目) Hemiptera
 亜目 : カメムシ亜目(異翅亜目) Heteroptera
 科 : カメムシ科 Pentatomidae
 属 : ジンメンカメムシ属 Catacanthus
 種 : ジンメンカメムシ C.incarnatus
 学名 :Catacanthus incarnatus
 和名 :ジンメンカメムシ、オオアカカメムシ
 英名 :Man-faced Stinkbug

同じく海野和男さんのサイトで、幼虫も見ることができる。





 ところで、そう子ちゃんもまゆ子ちゃんも、
日本にいる虫ではナナフシが大好きというのが共通しているところがおもしろい。
しかも「私と同じで動きがゆっくりでマイペースだから」という理由も同じ。


 まゆ子ちゃんの将来の夢は、ナナフシやコノハムシの新種を見つける昆虫学者。そして研究でわかったことを、物語にする昆虫学者兼作家だって。
いいなあ、私もそんな風になりたかったよ、と、もうすでに手遅れの私は思うのでした。

 そう子ちゃん、まゆ子ちゃんが、これからいろいろある長い人生を通じて、
ずっと虫の美しさや面白さに目をみはる喜びを持ちつづけられますように!


 




  姉妹サイト『バニャーニャ物語 その18 紅茶がおいしい夜でした』も更新しました。

 バニャーニャはもう秋。
こちらにも、不思議な虫が登場して、
カイサが飼育しようと四苦八苦。





大阪市立自然史博物館『のぞいてみよう、ハチの世界』展開催中!

2012-08-13 09:20:27 | 日記
 展覧会で大活躍のハチの専門家、大阪市立自然史博物館学芸員、松本吏樹郎さん。



 来年出版予定の虫本の取材で、赤穂と大阪へ行ってきました。
赤穂では、飼育担当の有吉立さんの案内で、アース製薬研究部の飼育棟をじっくり見学させてもらい、
翌日は、終日、赤穂で虫さがし。
3日目に、大阪に移動し、『ハチ展』を開催中の大阪市立自然史博物館へ。

 大阪市立自然史博物館は、御堂筋線で新大阪から25分。
大阪の中心地とはがらりと違う、緑多い環境にある長居公園内にある。
1950年に展示を開始した、前身である大阪市立自然科学博物館が、
1974年にこの地に移転。

   
 あのセアカゴケグモ騒動のとき、中心となって調査や情報の発信をした博物館として
名前を記憶している人もいるかもしれない。
私にとっては、ウシカメムシの生活史を知りたいと思った時に、
すばらしい資料をいただいた博物館であり、
さらに去年の虫愛ずるイベントでごいっしょした、
美術家の池内美絵さんが仕入れを担当している評判のミュージアムショップがある、
ということで、ずっと行ってみたい博物館でした。

 
あ、ここだ。



博物館の外観。




まわりは深い緑に囲まれていて、虫もいっぱい。
この日はあまりに暑くて、虫さがしは断念。


 まず、ミュージアムサービスへ。



あ、池内さん、いたいた。


 池内さんの案内で、まずは博物館の常設展示などをみてまわる。



大阪をいくつかの地域にわけて、地形、地質、動物、植物、虫などなどが網羅された展示が
すばらしい!!!
こうやって見ると、自然はすべてつながっている、ということが改めてよくわかるし、
場所というものが、どんなにいろいろな要素で出来上がっているかを知ることができる、
集合的な情報をまとめた展示なのだ。













 歴史を感じさせる広い館内には、自然史にまつわる様々な展示物があり、
じっくりみると、1日かかりそう。



 恐竜の骨が行進する!部屋も。
滅びた恐竜たちの怨念と地響きが聞こえてきそうな迫力。





 仕事にもどった池内さんとわかれて、館内のカフェテリアで腹ごしらえ。
大阪だから、、やっぱりウドンよね。


(ウドンのあとで、ソフトクリームを買いにもう一度レジにいったら、
おばさんに「おかえりなさい!」と言われた。 
予想外の接客に、一瞬なにを言われたかわからなくて、
あとで、あ、そうか、とわかった、おっそい私。
「ただいま~」と返せなかった東京人なのでした)



 いよいよハチ展の会場へ。






松本さんが、ハチのコスチュームで迎えてくれました!
(注:松本学芸員はいつもこの格好で
会場にいるわけではないので、さがさないでね)






 このコーナー一帯に展示されているハチの標本はすべて博物館の所蔵。
写真の反対側にもびっしりあって、すごい量。
これでも一部だというから、この博物館の財産の豊かさに驚く。




ハチの巣の立体展示も。






一度見てみたいと思っていたハチの美麗種セイボウ。
青や緑のメタリックに輝くハチの宝石。
1センチと小さいうえに、ほかのハチの巣に寄生するとうい生態をもつので
野外ではなかなかお目にかかれない。


 松本さんのプライヴェートコレクションである、ハチグッズ。



 切手も。


 松本さんが今すすめているのが、さまざまな生物に寄生するハチの生態研究。
ハチは時には数種の毒を使いわけ、巧みにエサとなる生きものを、
腐らせずに幼虫のエサにするスゴ技をもっているそうです。


 この展覧会を機に編まれた『ハチまるごと図鑑』を買って


次はテントウムシの専門家 同館の学芸員でいらっしゃる初宿(しやけ)さんに会いに。


 テントウムシは虫のなかで、もっとも人気のある身近な虫として、
私もだいすき。
 でも、テントウムシはけっこう奥が深い。
日本だけで160種もいるというし、外来種も増えていて、名前調べて苦労することも多い。
そんなとき、テントウムシの専門書で必ずといっていいほど見かける名前があった。
それが初宿(しやけ)さん。
 池内さんからも、「おもろい人やで~」ときいていたので、
お会いするのを楽しみにしていました。

 広い館内をさがして、研究室で明日の生物観察会の準備に余念のない
初宿さんを発見。

明日の催しものに使う冷凍セミ。
大阪なので、すべてクマゼミ。


 100種以上も斑紋があるというナミテントウの同定の決めては何なのか、とか、
生物農薬として人気(?)だという話など、
お忙しいのに、私のしつこい質問に答えていただきました。
ありがとうございます!

 松本さん、初宿さんへのインタビューの内容は、本のほうに載せる予定です。
興味のある方は、ぜひ来年(だけど)本を見てください。


こちらが、初宿さん。
テントウムシについて調べるときには欠かせない『大阪のテントウムシ』をはじめ、数々の
テントウムシ関連の本の編著者。


 最後にミュージアムショップにもどり、
お土産を買いました。


あれもこれも、欲しい!



 




目移りしながらも購入したのは、

コガネグモ、トンボのピンバッジと、
秋になったら襟に留めたいアミガサだけとベニテングだけのピンバッジ。
それに、きのう赤穂の虫いっぱいの野菜畑にたくさんいたアマガエルのピアス。


こちらがリアルアマガエル。姿もサイズもそっくり。



 初宿さんがプロデュースしたカメノコテントウ、シロホシテントウ、ナミテントウ、アミダテントウのピンとマグネットは、
小学生の虫友ふたりへのお土産。



 『のぞいてみよう、ハチの世界』展は、10月24日まで開催。
お近くの方はもちろん、関西方面へ帰省する人は、ぜひのぞいてみよう。