鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

カメムシ散乱の悪夢は・・・

2011-03-17 17:37:15 | 日記
 とんでもないことがついに、
しかも想像もできなかった規模でおきてしまった・・・・・・。
地震の国に生まれて
いつか来る、といわれて今まできたけれど、
ついにその時が、ほんとに来ちゃったんだ、とあの瞬間思いました。

でも、まさかここまでの惨事になるとは、誰が想像できたでしょう。
きょうは6時20分から10時まで停電の予定。
でも被災地のことを考えたら、一日3時間の停電なんて
どうってことはありません。



 こんな非常時に虫の話なんて不謹慎、
と、更新しないでいましたが、
毎日少なくないアクセスをいただき
テレビでも災害情報以外の番組を放送する時間もわずかにでき、
あの、地震を知らなかったふつうの日々の感じにつかの間もどるのも
平常心をとりもどすために、そろそろ必要かもしれない,
(などと言えるのも、被害の小さかった東京だからですが)
地震のときに、カメムシに何か変化はあった?
と何人かの人からのメールにもあったので、
ブログを更新する気持ちになりました。

 1月から飼育しているミナミアオカメムシは、
地震の前後に、本能により異常を察知し、
何か通常と違う様子を見せたのでしょうか?

 残念ながらあの日、私は帰宅困難者、というか帰宅放棄者で、
家に帰れなかったので、あの時のカメムシの様子は見ることができませんでした。
(もし家にいても、それどころじゃあなかっただろうが。
でも落ちないように、押さえたかも)

 最初の大きな揺れがあったときは、
ちょうど青山のハリの先生に治療を受けている最中。
前面の治療を終え、うつぶせになり
背面一面にハリを打ち終わって、これから千年灸もしよう、
というところでした。
ほぼ裸状態。
これは尋常ではない、と先生にハリを抜いてもらい
着る物をひっつかんで、机の下にもぐりました。

 夕方6時過ぎ、渋谷まで歩いて、バスで帰るという方法を考えましたが
何千人も並んでいる渋谷のバスターミナルをテレビでみて、
先生(女性)がきょうは帰らないで泊まったほうがいい、と。

 余震にたびたび飛び起きながら
どこまでも広がるオレンジ色の炎に包まれる気仙沼の様子に呆然としながら
眠れない夜が明けました。

 それにしても「裸」のときに、地震に合ってしまうのは最悪です。
関東大震災を体験した亡くなったおばあちゃんがよく
「日本は地震の国だから、長風呂はしちゃいけないよ」といっていたのを
時々思い出し、「リラックス・バスタイム」などとは無縁の私ですが、
ハリの治療中とは、思いがけないところを突かれた。
いろいろな理由で人は裸になるわけですが、
余震の可能性がある間は、
裸でいる時間をできるだけ短くしたほうがいいです。


 さて翌朝、やっと運転再開された電車のなかで
家はどうなっているんだろう?

 マンションの4階にあるハリの先生の部屋でもかなり物が落ちていたから、
うちでも食器棚の一番上の棚のものは絶対落ちているだろうな・・・・
あそこに一番好きな食器をしまっていたのは大失敗だった。

 そもそも玄関の棚の貝殻のコレクションも瓦解していて、
ドアだってちゃんと開かないかも。
サイドボードの上の、チェコとメキシコの土産物、
分骨してもらった母の骨壺だって。
それに、ミナミアオカメムシの飼育ドームがデスクから転落して
うちのなかに、カメムシが散乱している可能性だって・・・・ある。
想像するのは悪いことばかりで、家に帰るの、怖い。


落ちそうなものばかりの我が家のサイドボードの上。

 なるべく地面の近くにいたい、という私のうちは1階。
心配しながら帰った部屋の中は・・・・・何一つおちたものがない!
この幸運を無駄にしないように、さっそくワレモノの収納場所を変えました。

「カメムシ散乱の悪夢」も杞憂におわり、
ちゃんと飼育ドームに収まっていました。
何か変わった様子はないか、と見てみたのですが
若干、セイチュウ村でいつもより身を寄せ合って群れているような感じがするくらいで



相変わらず、
孵化し、変態し、繁殖しています。



節電のため、飼育ドームを止めて、
有吉さんに教えていただいた特大プリンカップの飼育に移して飼育面積をへらし、
熱シートが1枚で足りるようにしました。
カメムシもちょっぴりだけど、節電に協力させています。

でもとりあえず、カメムシは地震のときに
ナマズやキジ(子供のころおじいちゃんが飼っていたキジは、
地震の前にケーン、ケーン、と鋭く鳴きました)の代わりには
なりそうもないです。

 書いていたら、少し元気が出てきました。
大阪の池内美絵さんからも今、
「大丈夫だった?
ほんと油断すると気が沈んでしまいがちですが、
こっちまでしぼんでしまったらあかんわ!元気でいきます!」
と便りをもらいました。

 大阪弁って、元気が出ていいな。

 これから、この未曾有の災害体験を共有していく日本人。
必ず、立ち直れると思う。

 海外の人にいわれるまでもなく、日本人でさえ
東北の人たちはなんてすごいんだ、という被災地での様子を見るにつけ、
再建されたとき、日本という国は、
今までとは、違う国になるような気がする。

 きのうエキナカのスープストックとブックファーストが
あまりに暗い照明で営業しているのに感激した。
車内の暖房もなかったけれど、
みんな厚着していたから大丈夫だし、
これを機会にいろいろ過剰だったものを
そぎ落とさざるを得ない時が来たのだと思う。

そこから再建されるのは、
GNP値を競う、などとは違う価値軸から生まれるもの。
さまざまなコンプレックスに押しつぶされるように自分たちの中に潜在していた、
たとえどんな惨事のなかにあろうとも思いやりをもってふるまう、という
世界でも稀なる「誇り」という財宝を、
この途方もない喪失と引きかえに見つけ出した日本人のつくる
「違う日本」・・・・・。
 





写真は、先月行った埼玉「インセクト・フェスティヴァル」で買った
ストライプ、水玉模様、抽象模様のゾウムシと
チョコレート缶に入れたフィリピンのハムシ各種です。
少しでも早く、虫を愛ずる余裕をもてる
ふつうの日々がもどってきますように。

きょうは『ビッグ・イシュー』を買う&『バニャーニャ物語』更新の日!

2011-03-01 08:27:43 | 日記
 きょう3月1日発売の『ビッグ・イシュー』日本版は、なんと
「今様・虫愛ずる姫君たち」という特殊を組んでいる、
虫好きには、けっして見逃せないイシューです。

 アカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファースのこの表紙をみたら、即買い!







表紙にも、ずばり<虫目!>と。


 『ビッグ・イシュー』誌は4年前に虫の特集を組んでおり、
またそろそろ虫をやろう、という気持ちになった編集部が出会ったのが
拙著『虫目で歩けば』だったとか。
取材日には、本社のある大阪から、
わざわざ東京までインタビューに来てくださいました。



 「姫君たち」という言い方は、いくらなんでも、という気もしないではないですが、
この特集に登場する豪華虫好き女子たちの顔ぶれは・・・

 まず、女性ならではの視線から虫をテーマにたくさんのエッセイを書かれている澤口たまみさん、
そして虫のでてくる回の人気が高いというブロガーのメレ山メレ子さん、
さらになんとなんと、あの絵本作家、漫画家である秋山亜由子さん書下ろしの虫の絵、
というのですから、虫好きの方必見です~

 『ビッグ・イシュー』誌は、
イギリスでホームレスの人たちを支援するためにはじまった隔週発売の雑誌で、
ホームレスの人しか販売員になれないというユニークな雑誌です。
定価300円。うち160円が販売した人の収入になります。

 駅近辺で片手に雑誌を掲げた販売員の人を見かけたら、
100円玉3個用意して、迷うことなく購入しましょう。
立ち読みは・・・・しにくいと思われる雑誌なので、
見たかったら買うっきゃない!

 どこで売っているの?という人はここhttp://www.bigissue.jp/sell/index.html
をチェック。
ふつう取材の掲載誌は送っていただくので購入はしないけど、
この雑誌は自分で買うことに意味があるので、
きょうは渋谷の、東横のれん街のあたりで買おうかな。

 そして、本日は『バニャーニャ物語』更新の日です。
1か月たつのって、早いですね。
なんとかぎりぎり間に合いました。

 連載2回目のタイトルは「ポポタキスの実のなるころ」。
今回はバニャーニャに天変地異が!
新しいキャラクターも登場します。
ぜひ遊びに来てください。
虫目歩きから生まれたファンタジー『バニャーニャ物語』へは
ココから!