鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

中学校の「虫部」のみんなと校庭で

2017-08-08 17:00:40 | 日記

 こう暑くては、小さな虫をさがし歩くのはかなりしんどい。

今、マンションの売却や引っ越し(もっと周りに虫が多いところに住みたい!)などに忙殺されていることもあり、この夏はあまりフィールドに出る時間がありません。

そんななか、先週は千葉にあるある中学校の「虫部」の活動にお邪魔してきました。

 人生のさまざまなステージで、虫とずっと同じ関係を保ってける人はめったにいないと思う。

特に受験がからむ中学、高校就学期間はどうしても虫から離れがちなのも無理のない、自然のなりゆきかと。

 そんなこともあるのか、赤ちゃんを背負った夫婦から直角に腰が曲がった80歳台の方まで

いろんな年齢の人たちとフィールドをともにしてきた私も、中学生といっしょに、というのは

経験がない・・・ドキドキ。

 ひょんなことから、この中学で虫をテーマに指導、活動している先生と知り合うことができ

この日の訪問となりました。

 中学くらいだと、どんなに虫が好きでも、虫さがしのために遠出したり、海外に行ったりというのは

まず望めないこと。

そこで、彼らの日常のなかで観察が可能な「校庭」での虫をさがしをしてみることに。

 先生の活躍で、プールの裏などの草むらは雑草を刈るのはやめてもらったときいていたのですが

虫を探せるような場所があちこちにある校庭でした。

 5,6人かな、と思っていたら、びっくりなことにこの日参加した部員だけでも15名。

うち4名が女子でした。

 

 さっそく校庭へ。

 実はお邪魔する前に、先生を通じてセミ、チョウなどの花形昆虫以外の

小さな昆虫も校庭で探してみてほしい、そして当日私に教えてほしい、とお願いしてありました。

 

 さて、虫を探し始めると、みんな嬉々としています。

虫さがしって、宝探しみたいなものだもんね。

すぐに私も溶け込んで、いっしょに虫目に。

すると、「ここに○○がいたんです」とか「昨日ここで○○をみました」などと

教えてくれます。

私のお願いをみんなで実行してくれたのが、すごくよくわかりました。

 

 

網をもっている生徒もいましたが、大半はカメラで記録、という観察が主流のようでした。

 この日はヨコバイの幼虫とか、カメノコハムシの幼虫とか、ハゴロモ類がたくさん。チョウやガの幼虫も見つかりました。

こういった普通はあまり目につかない小さなものも、ちゃ~んと見つけているのに感心!

 1時間余り外の観察をしたあとは、部室にもどり、みんなで名前調べや記録の時間。

なんと一人に1台ずつPCがあり、また図鑑もそろっています。

川邊透さん著『昆虫探検図鑑1600』のマトリックスが大人気。

 

 しかし、若い目は「虫目がいい!」と痛感。

あそこあそこ、と教えてもらっても、私には「どこ、どこ?」なことも多かった。

 学生時代はなんといっても部活の花形はスポーツ部。

「むし部」に入っていて、友達から何かいわれない?と訊いていみると、

多少はあるけれど、今では友達もわかってくれている、という返事が大半でした。

そしてこの日集まってくれた15人全員が、「家族は理解してくれている」と答えていたのが印象的でした。

 

 4名の三年生はこの日の活動を最後に、三年間の活動をまとめた研究レポートや作品を秋の個人コンクールに出展して締め括り、そして受験のラストスパートに突入。さらに11月の秋のコンクールに向けて頑張るのが、三年生から代を引き継いだ二年生と一年生たちなのだそうだ。

3年間はあまりに短い。

でも、今後どんな道に進むとしても、中学時代に、ふつうは気が付きもしない小さな虫の世界の面白さに触れた体験は、きっと彼らのなかのどこかに残るに違いない、いや、そうであってほしいなあ、と願いながら、整列して元気よく挨拶してくれた虫部のみんなに別れの挨拶を返しました。