鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

 鍋嶋通弘さんのクロカタゾウムシ!

2012-02-26 14:55:16 | 日記
 
                                  翅に笑顔が・・・クロボシツツハムシ。4月末の鎌倉中央公園で。




 前回のブログで紹介したクロカタゾウムシを見てくださった
立体切り紙細工の鍋嶋さんが、
なんとクロカタゾウムシを紙で制作!
 
いったいどんな技で、
こんなに精密でしかもその生きものの特徴をイメージ豊かにとらえた作品がつくれるんだろう?!
ほんものと、鍋嶋さんのクロカタくんを、ぜひ見比べてみてください。


これがホンモノ。

こちらが紙のクロカタゾウムシ。
『なべさんの切り紙創造堂』


 鍋嶋さんは、紙とハサミで
いろいろな生きものを表情豊かに切り紙で表現する名人。
どの作品もていねいな観察をもとにつくられているんだろう、と想像できます。
そしてそれぞれの生きものの本質を的確に捉える才能と生きものが好きな気持ちも。
でなければ、こんなに生き生きとしたクロカタゾウムシができるはずがない。

 特に、肢!
さきっぽまで、精密&歩き出しそう。

 来る3月3日には、
NPO法人『むしむし探し隊』のイベント『むしの切り紙工作教室』で、
鍋嶋さんのワークショップがひらかれます。
わたしもハサミを持って参加しま~す。


あ、これもスゴイよ。
イラストレーター宇佐美朋子さんの
「テントウムシの恵方巻き」!




ご用とお急ぎでない方は・・・・
姉妹サイト『バニャーニャ物語』もどうぞ!
その13は、「一なる香油」。

前回バニャーニャにやってきたナナ・ウリエ・フォン・シュヴァンクマイエルの
探検の目的は?
 
 ココから↓




 


多摩動物公園昆虫館のサイエンズーカフェ

2012-02-24 11:22:45 | 日記

                                   花の真ん中のエゴシギゾウムシ。2011 5月の生田緑地で。




 先週末は、多摩動物公園で不定期に催されるサイエンズー・カフェ
という催しに参加してみました。
 サイエンズー・カフェの趣旨は、飼育係や専門家と一般の人が
動物をテーマに近しく語り合う、というもの。
この日のタイトルは『昆虫実験教室』。

 新聞で読んで、往復はがきで申し込むという形で、参加希望者が多いと
抽選になるとのこと。
抽選に当たったそうで、参加証というのが送られてきました。

 当日集まったのは18名ほど。男性6名、残りは女性。



 Tさんという昆虫飼育員の方による、
①昆虫の形態、②生理現象、③行動についての実験のデモンストレーションをいろいろ見せてもらいました。


 あれ、テーブルの上のプラスチック容器にはいっているのは、
クロカタゾウムシ!



去年、大阪箕面昆虫館のチョウ園で見たことがある
艶のあるまっくろな、ヒョウタンのような形のかわいいゾウムシ。
このクロちゃん、①の昆虫の3脚歩行観察のためのものでした。
6本脚の昆虫は、片側2脚、反対側1脚の3脚を、交互に動かすことで
とっても安定した歩行ができるのだそう。
カメラの三脚を2対もっているようなものですね。
なるほど、容器から出されたクロちゃん動きがゆっくりで、
ゾウムシにしては1センチと体長も大きく、のっしのっしと歩くので、
3脚を交互に出して歩く様子がよーくわかりました。



クロカタゾウムシは、日本の甲虫のなかで最硬の体をもっていうといわれ、
踏みつけられてもつぶれないくらい硬い外骨格をもっているんだそうです。
あまりに体を強固にしたかわりに、前翅がくっついてしまい飛べないというのも、
6肢歩行の観察にはぴったりのモデルさんでした。


お酢によるカルシウム溶出実験。
脱皮や変態をするときには酸によって外骨格がやわらかくなるのがわかる。

フタに細かい目のネットがはられている小型容器。

見えやすくていいな。
欲しいけど、特注ものだろうか?

 
 実験のなかで面白かったのが、フタホシコオロギをつかったオペラント条件づけ。
これは、虫がある条件と結び付けて、ある行動を学習していく、というものです。
エサをあげながら、犬に「お手」を仕込むのと同じです。
学習させるためには、視覚、嗅覚などを使うそうで、
あるものを見せて、そのあと必ずなにかごほうび(この場合は、
注射器で注いだ水・・・・というしょぼいごほうび)をあげる。

ノミが曲芸をするサーカスなどというものもあるらしいので、
小さな虫がその脳みそをフル動員して学習する能力をもっているらしいとは思っていたけれど、
目の前で見るのははじめて。



これらが、コオロギの学習用品。
左から、嗅覚学習用の精油をしみこませた小片、
    視覚学習用の丸いプレート、
    ごほうびをあげるための注射器、
    極小体重計。

 丸いプレートをくりかえし見せたあと、虫用(?)の極小体重計に乗る
という行動を学習する様子をみせてもらいました。
コオロギにもこんなことができるとは!

 ところで、なぜ学習目的が「体重計にのる」なの?と思って
理由をうかがってみると、
学習させることは何でもいいのだそう。、
でも多摩動物公園という施設の性質上、
あまり曲芸っぽいことをさせると、動物虐待といわれる可能性もあるので、
(『多摩動物公園昆虫館でコオロギ虐待!』・・・とか 笑)
体重計にのるのを学習目的にしているのだそう。

 野外で虫を観るのとはまた違う実験の数々、おもしろかったー。


 いっぽう、
  去年から飼育しているうちのトホシテントウたち。
前回書いたように、食草であるカラスウリの葉がないので
買いだめしたハヤトウリ&ときどきスズメウリの葉を食べてもらっています。


「ウリもいいけどさ、ときにはこういう青いものも食べたいわ」

 ところで、エサがカラスウリの葉からハヤトウリに変わってから
トホシテントウたちが分泌する体液の色が変わりました。
カラスウリの葉のときは、飼育容器のなか一面に、
点々と黄緑色の液がついたのですが、
ハヤトウリになってから、それがなくなった!

よく見ると、ハヤトウリを食べているトホシテントウは
透明な液を分泌しています。


左側のトホシテントウの頭部を見てください。
食べながら顔に汗をかいているみたいに見える。
危険を感じた時に出す黄色い臭い液とは、また違うようです。
水分、摂りすぎ?

採集した近所の道端のカラスウリの葉が出るまで
あと3か月。
それまでなんとか元気でいてほしいな。





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前回バニャーーニャにやってきたナナ・ウリエ・フォン・シュヴァンクマイエルの
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