鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

テントウムシみたいな質感の本

2013-05-30 21:16:34 | 日記
 きのうは、出版社、印刷屋さん、デザイナー、私の4者で顔を突き合わせて最終の確認をし、
6月に出る拙著『毎日が楽しくなる―虫目のススメ―虫と、虫をめぐる人に話』のすべての入稿データを印刷屋さんに渡しました。

 原稿が書きあがり、掲載する写真がセレクトされ、その両方がデザインされ・・・・・・・
でもその後も、1冊の本を作るのにはまだまだ決めることがたくさん。
そしてそのすべては、出版日までの時間と、
かけられるコストの制約内で決めなければならない。
 

 下は、これで印刷してしまっていいか、何か変更するのならもうこれが最後の最後ですよ!
という確認のために、きのう私が印刷屋さんから受け取った見本のいろいろ。




 ●右の方に絵が見えているのがカバーの本紙校正
(実際に使う紙で刷ってみたもので色の調整などをするため)。

 ●オレンジ色のは、本表紙―カバーを取った状態の本体の外側。
  これは1色しか使えないので、特色のオレンジにしてもらったが、
  ちょっと重いのでピンクに変更。

 ●左上のほうにある束は、私が格闘した校正用紙。

 ●下に敷いてあるのは、1折りだけ本紙で刷った内容の見本。
  16Pを1枚の紙に刷った裁断前の状態。
 (本は通常16ページを一折として構成され、たいていはその倍数で全体のページ数が決まる。
  時間とコスト削減のため、最近はほとんど色校正はこのように、
  1折りだけ本紙で印刷することが多い。
  ちなみに『虫目のススメ』は11折なので176ページの本になる)。
 
 ●真ん中あたりに白く見えるのは束見本(つかみほん)。
  これは使用するのと同じ白い紙で、本の厚みや全体の感じを見るためのもの。
  同じ種類の紙の2種類の厚さのものをつくってもらった。(薄いほうを選択)

  出版社と著者にとって重要なのが、
書店でお客さんに手に取ってもらえるかどうかを決める最前線を担う「顔」であるカバー。

 デザインは以前お伝えしたように、竹上妙さんの木版画と、
帯に虫の写真が入ることに決まっていたけれど、
この紙に、強度と風合いなどをプラスするための表面加工(PP加工という)をする。
その加工法の選択肢は次の3つ。
1:マット
2:グロス
3:ニスびき

 あんまりぴかぴか、てらてらした風合いの本は好きではないので、
今までの著書や編集に携わった書籍ではマットかニスびきを選んできて、
グロスというのは使ったことがない。
 
 前著『虫目で歩けば』では、表紙につかった写真が、
羊毛をリネンに刺しこんだ手芸風のものだったので、
紙もちょっと布地っぽい風合いのものを選び、PPはニスびきを選んだ。

 しかし、今回は予算の関係から、そういった高い紙は使えず、紙種はアート紙と決められている。
 やたら光っているのはイヤだ、と、のっけからグロスという選択はない、
と思っていたのだが、印刷屋さんがいちおうグロスも見本をつくってくれて……
それを見てびっくり~!!!



 マット加工だと絵柄が沈んでしまって、
せっかくの竹上さんの活き活きとした木版画が平面的で重く精彩がない感じ。
逆に、今まで選択したことのないグロス加工が、なんかなんか、すんごくしっくりくる。

 どうしてこんな風に感じるんだろう?
このエナメルでおおったような感じって―
あっ、テントウムシの翅の感じと同じなんだ!
羽化してしばらくたって体色がきれいに出てきたばかりの、
そうあのつやつやしたナミテントウやナナホシテントウの翅の風合い!
 絵柄がテントウムシだし、すご~く合っている。
 ということで、文句なく今回はグロス加工を選択しました。
本自体が、「テントウムシみたいな風合い」になるといいな、と思って。


 そして気になる定価なんですが……
1900円+税で、限りなく2000円に近い。
本の値段はなるべく安くしてたくさんの方に読んでもらいたい、と、
この値段の設定をもっと低くできないか、とお願いして出版社に検討してもらってきたのですが、
前著『虫目で歩けば』の128ページに比べ、
今回は176ページと50ページ近い増ページであったこともあり、
とうとう、この定価に決定してしまいました(涙・・・・・・)。

 全国の書店に行きわたるのは6月後半になりそうですが、
6月16日に行われる北杜市オオムラサキセンターでの『虫愛づる一日』では、
著者割引きで買った分を、定価より安い価格で、
ご提供したいと思っています。

 写真もデジタル、原稿もデジタル、デザインもデジタルで、
校正作業もPDF上で行うことがどんどん増えていますが、
そのすべてが紙の本という、実体をもつ「モノ」に集約されるのが、面白いなあ、
と今回の本作りでは特に感じています。

 アナログにこだわる人もいますが、
私は場面場面に応じて、どちらも取り入れればいいや、と思っています。
 本もタブレットで電子書籍を読むときもあるし、
ゲームもダウンロードでたちまちできるのがうれしいし(そういえば、もうすぐ『アトリエシリーズ』の新作でるんだ~。たのしみ)、
発信したいときにすぐできるブログを書くのも楽しい。

 同時に、紙でできた本の実体感も大好き。
読んで、見て、触って、実体あるモノとして,
の魅力を楽しんでもらえるような、
隅から隅まで、(もちろんさまざまな制約はあるが)
目配りをした本作りをこれからもしていきたい、と思います。



 オオムラサキセンターでの催しについては、こちらでご覧ください。
 『虫愛づる一日』
 場所:山梨県北杜市オオムラサキセンター
 期日:2013年 6月16日(日) 10:30~15:30
 参加申し込みはこちらで:





今年もオオムラサキの棲む森で『虫愛づる一日』開催!

2013-05-18 08:25:30 | 日記

 2012年は9月の末に開催された、山梨県北杜市オオムラサキセンターでの『虫愛づる一日』。
今年は、オオムラサキの幼虫「ムーちゃん」が終齢でもっとも愛らしい(羽化を見られる可能性も)6月に開催することになりました。
 「女性のための」と銘打っていますが、もっちろん、男性の参加も大歓迎です。
去年もたくさんの男性が参加してくださいましたので、躊躇なさらずに(笑)


 『虫愛づる一日』
 場所:山梨県北杜市オオムラサキセンター
 期日:2013年 6月16日(日) 10:30~15:30
 参加申し込みはこちらで:

 ポスターもできました!

 去年の様子はこちらでご覧ください。

 2回目となる今回も
1部:観察会
2部:交流ランチタイム
3部:講演会
の3部構成で、虫三昧の一日を、虫友たちと過ごすという計画です。

 また、この日、できたての新刊、拙著『毎日が楽しくなる 虫目のススメ―虫と、虫をめぐる人の話』を先行割引販売いたします。
全国の書店に並ぶのは6月下旬になりそうですが、この日は先に製本ができた分を、一足先に割引価格で販売します。


●一部&二部
  大人\800 こども\650(入館料込)※お昼代別途
 ※昼食は下記のどれかを選択することが可能です。
  ・持参
  ・ピザ\350【要予約】
  ・里山弁当\650【要予約】

●二部のみ
  入館料のみ(大人\400 こども\200)


【参加申し込み方法】
・電話またはメールで、氏名、住所、電話番号、イベントを知ったきっかけ、お昼について(「持参」か「ピザ\350」「里山弁当\650」のどれか)を
北杜市オオムラサキセンターまでお知らせください。




 今年は午後の講演会の講演者が3人に!
去年と同じく、『むし探検広場』の川邉透園長と私、
それに『庭のイモムシケムシ』『道端のイモムシケムシ』などでおなじみのサイエンスライター川上洋一さんがお話してくださいます。


『虫愛づる一日』午後の講演の内容は
 
●川邊透
『虫愛ずる姫君のための昆虫図鑑案内』
昆虫図鑑約100冊をリストアップ。「種類を調べる、
見つけたい虫を探す、虫の姿を愉しむ」をポイントに、
あなたに最適の図鑑を見つけましょう。

●川上洋一
『虫だってモフモフ・プヨプヨ』
ぬいぐるみのように柔らかい毛や、ゼリーと間違いそ
うな質感…。成虫とはひと味違う、イモムシ・ケムシ
の魅力をご紹介します。

●鈴木海花
『実体顕微鏡で観察の楽しみを広げよう』
講演のなかで実際にニコン・ファーブルを使って観察
法を紹介。参加者にもファーブルを試してもらいます。

 川邉さんの書斎は虫の本で埋まっています。
その豊富な図鑑コレクションから、100冊を画像で紹介。
それぞれの目的にあった図鑑を見つけるための貴重なアドバイスをしてくださいます。

 川上洋一さんは、オオムラサキの幼虫「ムーちゃん」をはじめ、人気上昇中(?)のイモムシケムシの魅力をお話してくださいます。

 私、鈴木海花は、今回ニコンのご協力を得て、実態顕微鏡「ファーブル」を使った虫観察をご紹介します。
 この日、ニコンから4台のファーブル(上位機種の撮影機能付のものも)を貸し出していただけることになったので、みなさんにも実際に試していただけます。


 そして、交流ランチもパワーアップ!
去年はオオムラサキセンターのテラスで、里山の間伐材を使った美味しい窯焼きピザのメニューでしたが、
今年はなんと、オオムラサキセンターにより、地元の素材を使った『虫愛づる一日里山弁当』もご用意。
 さらに、去年大好評だった窯焼きピザもチョイスできる、という豪華版です。
 
 ランチの場所も、少しでも観察の時間を長くするために、フィールドにテーブルを置きシートを敷いて
虫に囲まれながら(笑)野外で、ということになりました。
 この観察フィールドまでは、センターから5分。
 なんと、宅配ピザならぬ「フィールド配ピザ」、ということで、スタッフの方たちが、駆け足で(!!!)焼きたてをフィールドまで届けてくれる!!のだそうです。
 なんていうぜいたく!
『虫愛づる一日限定里山弁当』は650円、窯焼きピザは350円です。
お好きな方をどうぞ。

 


  また今年、私は前日からオオムラサキセンターのある日野春に行きます。
せっかく行くのだから、もっと虫を観たい!と思い、
前泊して、虫観察とイベントの準備をするつもりです。
もし、去年のように、遠方からお越しの方で、前泊される方がいらっしゃいましたら
申込みの際に、センターの方にお知らせください。
この日もぜひいっしょに観察に歩きましょう。
午後いちばんくらいの時間から、フィールドに出かけるつもりです。
センター近くのすてきなカフェもご紹介したいです。

 この催しについては、またお伝えしていきます。
去年の催しをきっかけに、その後たくさんの虫友ができました。
この機会にみなさんもぜひ、オオムラサキの棲む森へ、虫と、虫友に会いにいらっしゃいませんか?



 
ところで、ミヤコキンカメムシの卵。
今朝の様子です。
孵化まで、順調に進んでいるみたいですよ。




 



 


 



 

「たまご」「卵」「タマゴ」問題

2013-05-16 15:59:30 | 日記

 先月、キンカメムシ飼育家Sさんからいただいた、ミヤコキンカメムシが
産卵しました!!!


これがミヤコキンカメムシ。
キンカメムシのなかではサイズが小さいほうで、10ミリくらい。

で、これが生まれた卵。

 もう、うっすらと赤い部分が透けて見えてきました。

 虫の卵があると、どうしてこう気持ちが浮き立つのか―
自分でも不思議ですが、自然にうきうきしてしまうんです。
虫の卵を見ると。

 しかし、「卵」は、今の私にとって悩みのひとつでもあります。

 本をつくるにあたり、現在は全ページをプリントしたもの(校正紙)に、
「赤」(訂正)をいれているところなのですが……なかなか決め難い問題が続出。

 1冊の書籍のなかでは、ひとつの言葉をどう表記するか、は統一するというルールがあり、
これに従って校正者や校閲者は、「赤」をいれていきます。
たとえば、「たまご」という語を、ある場所では「卵」、
次のページでは「タマゴ」と、
漢字かカタカナかで、表記がばらばらだったら、
読んでいる人は「あら・・・?」と思いますよね。
(まったく気が付かない人も多いとは思いますが 笑)
 また場合によっては、伝えたい内容が不明確になるといったことも出てくるので
表記は統一しなければならないのです。

 しかし。
 著者としては、校正のルールだけから判断してしまうと、自分の本当の意図とか、
または文章のつながりのなかでのバランスとかが、損なわれると感じる場所も出てくるわけで。
 
 きょう、悩んでいる「たまご問題」も、そのひとつ。

 卵といっても、食べる卵ではなく、この本に出てくるのは、ぜ~んぶ、虫の卵なわけですが、
「卵」「たまご」「タマゴ」のどれに統一するか。
 他の虫本や図鑑などを参考に見てみると、どうもばらばらのようです。
 文一総合出版の「虫の卵ハンドブック」は、漢字。
 ポプラ社の「いろいろ たまご図鑑」は、ひらがな。
 図鑑のなかには、カタカナを使っているものもある。

 何を言いたいかというと、私としては、一冊の本のなかで、
「意図的に」、違う表記を使いたい、と思っているわけです。

 どうしても、「たまごぉぉぉー」と、虫の卵を見つけたときの喜びをひらがなで表したい箇所もあるし、
他の箇所では、ひらがなが続くので、「卵」と漢字を使ったほうが読みやすい場合もある。

 どうしようかなあ……。

 すべての語の表記について、こういった悩みが出てくるわけではなく、
ごく一部の語についてなのですが、私は文章を書くことを仕事としてきて、
またあるときは校正者として仕事をしてきて、
日本語は、ひらがな、漢字、カタカナ、英字、記号などなど表記が多彩なので、その点を機械的に統一してしまうと、書き手の意図を曲げなければならない場合が出てくる、ということを感じてきました。
 なので、もしかすると、今度の本では、他の場所では「卵」なのに、一か所だけ「たまご」という表記が出てくるかもしれません。

 そして、もっと基本的な文体,および文末の処理、という大問題もあります。
 日本語の文章には、大きく分けて「敬体」(です、ます)と「、常体」(だ、である)の二つのスタイルがあるとされてきました。
 その文章にふさわしい文体を選んで書くわけですが、
ずっと私が感じてきたのは、一冊の本、あるいは雑誌の記事などで、すべてを敬体、常体に統一することは、
時代によって変化してもいいのではないか、ということでした。

 文芸の分野でも、わずかではあるものの(ほとんどが女流作家)、常体のなかに、敬体が混じるという文章を書く作家も出てきています。

 特に、エッセイのように、書き手の気持ちの動きが、小説などと比べ、ストレートに出る、あるいは出したい場合は、「敬体」「常体」は混在してもいいのでは、というのが私の考えです。
 これは、ただ両方を適当に使う、ということではありません。
ここは、どうしても敬体(あるいは常体)のほうが、より気持ちを正確に、活き活きと伝えることができる、という場合には、「フォトエッセイ」というカテゴリーの本である『虫目のススメ』では、
常体の文章の次に敬体で終わる文章が出てくることもあります。
 これはすべて意図があってどちらかを選んでいるので、「あれ?」と思うかたがいらっしゃるかもしれませんが、ご理解いただけたらと思います。

 さて、当面の「たまご」問題、どうしようかなぁ……。

 


 

宇佐美朋子さんの展覧会に行ってきた

2013-05-16 15:17:40 | 日記

 6月に出る拙著『毎日が楽しくなる 虫目のススメ―虫と、虫をめぐる人の話』の、まえがき、もくじ、コラムページに、すてきなゾウムシとハムシのイラストを提供してくださっている、イラストレーターの宇佐美朋子さんのグループ展に行ってきました。

展覧会のタイトルは……
「わたしたちは みんながめをあけたら いちばんはじめに

なんてこえをかけようか かんがえていました」

というもの。
なんだか、気持ちを惹かれるタイトルです。

 いきものが好きな4人のアーティストによる、とてもかわいくて、幻想的な展示でした。


 会場の天井から壁まで、一面に葉っぱが生えています。
その数なんと1600枚!

 
宇佐美さん、すっかり展示の一部になってます。


布でつくった新作のガのオブジェ。


陶器製の幼虫たち。

 虫だけでなく、いきもの(実際にいるものも、想像上のものも)すべてがつながっていることを
肌で感じさせてくれる、4人の作家たちがつくりだした、いつまでもいたくなるような楽しい空間でした。

 

 

 

イモムシが行方不明

2013-05-09 14:33:23 | 日記
 『猫が行方不明』というステキなフランス映画があったけれど、
いま、うちでは『イモムシが行方不明』。

 忙しくて野外歩きができなかったので、駅までの緑道を歩く時が
唯一の虫観察のチャンス。
 で、おととい道端のエノキの幼木に40ミリくらいのオオシマカラスヨトウ(ガの一種)の幼虫を見つけて
連れ帰った。
 オオシマカラスヨトウの幼虫は、ふっくらしたモチモチお肌でグミキャンディみたい。
ツノのような突起がある尾部をふりふり歩くのがかわいいので、前から大好きなイモムシ。


(手前側がオシリ)

 エノキの枝は近所にたくさんあるので、食草としてこれもたっぷり持ち帰った。

 ところが・・・・・・さっきエノキを足してあげようと飼育容器をあけると、
いない、いない、いなーい・・・・・・。
 エノキの葉にいる幼虫はすごくうまく葉の模様に溶け込んでいるので
見落とさないように、一枚一枚見て行ったのだが、やっぱりいない。

 40ミリもあるのだから、と居間の床をはいずりまわって調べても、見つからない。
今まで飼育していた虫が逃亡すること(一番の逃亡名人は、虫ではないけどオカヤドカリだった)は、ないではなかったけれど、
蓋もしてあるのに、どうして?!
 どこ行っちゃったんだろう?


 ところで、6月に出版予定の『毎日が楽しくなる 虫目のススメ―虫と、虫をめぐる人の話』、
やっと全部のページのレイアウトデザインができたPDFが出来上がった。
これから、編集や校閲の方に読んでもらって、赤をいれてもらって、それをデザイナーにデータ修正(たぶん何百か所もある)してもらって・・・・・・やっと印刷屋さんに渡せる、というわけで、まだまだ気は抜けないけれど、
でも一区切り、というところまできました。

 前著『虫目で歩けば』より30ページくらい多い176ページの本なので
つくりでがあった。
 また虫の写真がたくさんあるので、名前の間違いがないように、専門の人に校閲をしてもらうことになったので、入稿(印刷にいれる)まで、もう少し時間がかかりそう。
 そのあとさらに、初校ゲラを校正校閲→印刷屋もどし→再校(もう一度間違いがないか著者、編集、校閲が読む)→色校(主にデザイナーが写真の色がきれいに出ているかどうかチェック。修正するならここが最後のチャンス)→やっと校了。
 という流れで印刷物はつくられる。

 印刷物をつくるのに、一番こわいのが「間違い」。
ブログと違い、直せないのです。

 書いたのは著者なんだから、著者が一番わかっているだろうに、と思うかもしれませんが、
そこに落とし穴が。
 著者は、もちろん内容については自分が書いたものだから一番わかってはいるけれど、
著者ならではの、「思い込み」による間違いというのがままある。
何度も自分の書いたものを見ているうちに、変換間違いなども見慣れてしまい、スルーしてしまうことがあるものなのです。
なので、原稿はやっぱり「他人に」読んでもらわなければなりません。
ネットの書き込みなどを見ると、いかにパソコン入力による変換間違いが多いか、というのがわかると思う。

 また虫の種名の間違い。
これは虫をテーマにしている本ではもっとも気を使うところですが、
私の場合は、標本をもとに名前を調べるというわけではなく、フィールドで見た実物と写真から判断することになるので、ものによっては困難なこともあります。
 私は「同定」という言葉は使わないことにしています。
「同定」とは、たとえばチョウやガだったら、鱗翅目の専門家が、実物の標本を見て名前を見極めるという意味なので、一般の愛好家ができることではないと思うからです。
 それでも分類の第一歩は、見た目から、なので、必死に図鑑やネット、それでも難しい場合は専門の方に
画像をお送りして教えていただくこともあります。

 出版前にできるだけのことはしているつもりですが、それでも完璧ということはありません。
もし、種名の間違いなどがあった場合は、このブログに訂正記事を載せていくという方法で
対処したいと思っています。




 もう家の近くのエゴノキも花が咲き始めた。

エゴノキはいろんな虫がくるから大好き。垂れさがる花も実もかわいい。

アサギマダラの幼虫を養うために採集してきたキジョランも根付いて、新芽を吹いている。

元氣に育ちそうだから、来年もまたアサギマダラを飼育できるかな。




 それにしても・・・・・・イモムシはどこに?