鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

ウスタビガのマユづくり

2020-05-29 19:16:45 | 日記

飼育してきたウスタビガのマユづくりがはじまりました。

こうやって糸を吐きはじめたら開始。

 

 

 

体を曲げてあらく体を糸で包んでいく。

 

糸を吐きはじめてからここまで半日くらい。

 

今年は虫友のおかげで、育てた幼虫の数が多いので、なかには日中にマユをつくるものもいて、徹夜しないで済むのがありがたい。

 

こっちでもはじまった。

 

 

形になってきたね。

 

朝はじまって、夕方にはここまでできた。

ちょっと刺激があると、「キュウ、キュウ」と鳴く。

 

目に鮮やかな色といい、妙なる形といい、艶といい、幼虫のふるまいといい、成虫といい、その一生のすべてが「涼やか」。

 

 

2日目になると、口元づくり。

これはていねいに、ていねいに行われる。

 

ほぼ完成ですが、触るとまだなかで「キュウ、キュウ」

 

 

ところで、チョウ、ガの幼虫が、マユをつくり、内部で体の大変革がおこって、羽化して成虫になって飛び立つまでを全うできるのは、ほんとにひとにぎり。

鳥に食べられたり、菌や寄生ハチにやられたり。

今年春先に集めた空マユから、4月のはじめごろ、ハチが出てきたものが3つありました。

ある日、こんな穴をあけて、

こんなハチが15匹くらい、でてきました。

大きさは8ミリから10ミリくらいで、すべてに産卵管のようなものがある。

いつ、どの過程で卵が産み付けられたのだろうか???

幼虫時代に食べた食草に産み付けられた、目視では気が付かないような極小の卵から産まれたハチが

幼虫の体内に潜み、マユをつくると、マユのなかの蛹のうえでハチの卵がかえり、蛹の体を栄養にして……だろうか?

これはほぼ終齢になった幼虫。

不気味な黒い点があります。

心配ですね……

でもこの幼虫はちゃんとマユをつくりました。

出てくるのは、成虫か、ハチなどの寄生の虫か―。

秋が深まるころ無事にヤママユガが羽化するのか、あるいは来年春にハチなどが出てくるのか、ひきつづき見守ってみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


『つぶつぶ ころん』できました!

2020-05-19 18:54:43 | 日記

2018年の秋、ブログに載せたこの写真をきっかけに

 

福音館書店刊『ちいさなかがくのとも』から、絵本『つぶつぶ ころん』が生まれました。

私は自宅の東側の出窓を、幼虫ファームにしているのですが、

ある朝落ちていた幼虫のフンの写真をみた『ちいさなかがくのとも』編集部のYさんから、

「この光景をもとに、絵本ができないでしょうか?」と連絡をもらいました。

福音館書店のなかでも、『ちいさなかがくのとも』の編集部は全員虫好き。

今までに何度もフィールドをいっしょに歩きました。

なかでもYさんは大の幼虫LOVER。

 

福音館書店からはいろいろな年代向けに、たくさんの絵本が出版されていますが、

『ちいさなかがくのとも』は学齢前の3歳前後の子どもたちに向けた絵本です。

今まで数冊の虫をテーマにした本をつくってきましたが、

こんなに小さな子どもたちに向けたものは初めて。

うまくいくかしら?

でも幼虫LOVERのYさんとぜひいっしょに制作をしてみたい、という気持ちのほうが勝って、

お引き受けすることにしました。

 主人公は女の子と、オオスカシバの幼虫。

Yさんとなんども、なんども卵からオオスカシバを育てて、観察と記録を重ねました。

2年近くたって、やっと原稿が書きあがり、

私の大好きな『夜のおきゃくさま』という、ガの絵本を描かれている堀川理万子さんに絵を描いていただけることになりました。(堀川さんのブログ、すてきです。http://www.rimako.net/blog/index.html)

 

そして、

 

できあがりました!

 

 このちいさな本のテーマは、情報や知識無しで、自分と対象だけの世界で、自分の目と好奇心だけをたよりに、この黒いつぶつぶが、なんであるか、と見つけること。

虫を見つけたり、育てたりしながら、対象(虫)と直接向き合うことから

どんなにたくさんの楽しみ、おどろき、よろこびを得てきたか。

そんな私の実感を込めました。

 

 

本ができ上げってきたときの気持ちは特別。

感染症の流行でいろいろ不自由ななか、堀川さんをはじめ。編集のYさん、印刷やさん・・・・・・と

たっくさんの方々といっしょに、つくった『つぶつぶ ころん』。

 

 『ちいさなかがくのとも』には、折込小冊子があって、

これも隅から隅間で力はいってます!

堀川さんが観察を記録してくださった絵(本誌には出てこないのですが)があまりにすばらしかったので

お願いして掲載させていただくことができました。

 

 

出窓ではきょうも幼虫たちが育っています。

 

(『つぶつぶ ころん』福音館書店『ちいさなかがくのとも 7月号』400円プラス税)

*発売は6月初旬です。置いていない書店もありますので、福音館のサイトから問い合わせてください。

 (アマゾンでは取り扱っていません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


通行人が増えました

2020-05-03 07:27:40 | 日記

うちの前の道は、低山に沿ってゆるやかな坂の道になっています。

外出自粛により、この道を通る人が増えました。

といっても、今まで一日に3,4人だったのが、20人くらいになったというだけなんだけど。

たいていの人はマスクしていません。

私も幼虫たちの食草を家から数分の場所に採りにいくときは、無マスク。

マスクも限りがあるし、今まではひとりも人に会わないことがほとんどだったので。

マスクもたまにははずして息したい、という気持ちはみんな同じだと思いますが、

その場合は、あいさつも会釈だけにしてほしいなあ。

こういった人口密度がすごく低い場所に住んでいる人たちはやはり危機意識は低くて、

「あの山は、なんていう山ですかね?」とか

道をきいたりする人がいて、悪いけれど軽く会釈して通り過ぎることにしています。

今は会話やめておこうよ。

 

 まだ続くのか、と思うとがっくりきますが、

いろいろな人がいるから、なかなか収束しないような気も。

 

 

飼育してきたイボタガ幼虫も、前蛹になりました。

冬の湿度の管理がむずかしそう・・・・・・。

 

今年はウスタビガのまゆを10個くらい見つけたものの、オスが多くて、卵付きが見つからない、

と以前ブログに書きましたが、それを読んでくれた大阪のIさん、地元のIさん、そしてなんと高知のTさんからも

卵付きのマユを届けていただきました!

持つべきものは「虫友」。

高知から到着した卵はちょうど孵化したところ。

 

去年もあの美しいマユづくりを見られたものの、まだまだ見たいタイミングがあるので

今年もぜひ見たいのです。

みなさんのおかげで、チャンスをいただきました。

無事にマユになったら、もともとの場所で繁殖するように、ご希望ならそれぞれの方にお返ししようかな。

 

 サクラ、コナラ、クヌギなどたらふく食べて

中齢に。美しいわねえ。

 

いちばん早いのは、ツートンの終齢に。

 

マユづくりが始まったら、忙しいぞ。