巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想 (角川新書) | |
クリエーター情報なし | |
KADOKAWA/角川書店 |
中国経済の第一人者津上さんの最新作。
ある程度中国ビジネスに深く携わっている立場としては、別に目新しい情報は特にないのですが、こういう風にすっきると説明していただくと頭が再整理されたような気がします。
まぁ、中国人観光客の爆買いで、多くの日本人が未だに中国や中国人に嫌悪感を抱きながらも、お金のパワーに魅せられて、又興味を持ち出したところではないでしょうか。個人の知り合いの範囲では、そうはいってもいつ崩壊するだろう?と言う話がよく出てきますが、この本見ると少しは安心されるのではないでしょうか。
又、現在集団的自衛権であ-だこうだ国会でいっていますが、現在の外交方針の上で名指しができないにしろ、わずか数年前の尖閣での脅威はすっかりわすれちゃったんですかね?そちらに関しても、ある程度の示唆がなされています。
概ね現在の習政権が久々に強力な政権であり、日本でも揶揄する国内問題に真摯に取り組んでいる事。現在中国で出されている経済指標の矛盾点の指摘と実態の予測。まぁ後者は昨年辺りから実質経済成長率は3%前後が実態ではないか、今後の成長余力もその程度ではないかと指摘されています。
そして、日本で起きた不動産価格大幅下落による崩壊はないとも。
今後の経済成長の行方、それに伴う政府のガバナンスの動き、によって中国の外交方針も変化が見られるだろう。とのことでシナリオが幾つか書かれています。まぁその中ではやはり今後も警戒を解けないと言うのが現実的に見受けましたがどうでしょう。
中国経済関連って、色々無茶振りの本がたくさんありますが、この方のだけは結構客観性があって解りやすくてよいと思います。