日経BPに面白い記事が載っていました。
製造業に比べるとサービス産業の海外進出が非常に遅れており、その原因とサービス産業で海外事業が成功している事例が記載されています。チャートを掲載しますね(著作権違反かもしれませんけど)。
日本の人口が年々減少(08年に5万人)し、今後その減少数はもっと増えていきます。そして労働人口はさらに速いスピードで減少してしまうのですが(私の作成中会社HPに記載)、この記事では上記の通り家計支出の減少が掲示されていました。
2006年ベースの統計であり、昨年末の経済危機の影響で、実際には各分野への支出は今年あたりからもっと下落している可能性が大きいですよね。それにもかかわらず、高齢化に伴う保健医療ですら2015年以降は下落、住居、交通通信、被服娯楽は来年?おそらく今年から下落してしまう。不動産屋と建築系は厳しいですね、、ホント。。
個人としては、人口下落に付いては、仕事の関係で10年前から認識しており、それもあって海外事業の機会を追求していたのですが、家計支出の下落予測がでていることはこの記事まで知らず、危機感を強めてしまいます。
記事そのものに関しては、日本のサービス産業がなぜ海外で成功できないのか、その理由として国内市場に満足していた、海外ノウハウが無い、経営スタイルが旧来の日本的な暗黙知で行われている、といったあたりが上げられています。
そして成功例として、公文式、渡部ウェディング、ベネッセ、セコムがあげられています。確かに各企業中国でも一定の成功を収めている企業です。
以前コールセンターアウトソーシング企業に居たときに痛切に感じた事があります。顧客は米系大手IT企業だったのですが、電話対応にかかる時間や、トラブルレート等を極めて緻密に計測し、その計測地を想定した上でのサービスレベルアグリーメントを契約書に盛り込んだ上で価格を算定したのですが、受注側がその中身を判断できないために損失が発生していました。
アメリカ企業は、製造業の間接部門に関しても、その仕事の中身をかなり細かく分析し、年間の達成すべき事項を項目別に設定し、各項目別の達成状況を見て評価をします。KPIとかバランスドスコアカードトいう管理ツールに付いては耳にされた方も多いでしょうが、当初作成するまでには相当な手間が掛かるのですが、中にいるとやらざるを得ません。また、月次、四半期、年度で必ずレビューが有りその達成状況をレビューされます。
まぁ、実際のところどういう目標設定をするのか、どう論理的に対応するのかいよって、内容的には日本企業と大きく変わらない面もあるのですが、下の人にはある意味非常にわかりやすい仕組みにしています。
日本も製造業の製造部門については、トヨタ方式のようにかなり細かいプロセスに踏み込んでコスト削減や、改善運動が行われていますので、こういうノウハウは海外でも通用するのでしょう。
でも、金融を含むサービス産業はその辺がかなりルーズで、甘いのが事実だと思います。多くの産業が国に守られ、また日本の製造業を顧客にしており、日本の経済成長に伴い日本国内だけで十分に稼げたからでしょう。だから、海外で成功していないのは当たり前だと思います。
あの、天下のリクルートでさえ、昔から海外ではあまりうまく行っていません(中国の雑誌事業はいい線いっているみたいですが)。
日本のサービス産業(製造業のサービス部門を含む)は、様々な事を明確にしないまま、個人の才覚と力量で人間関係を構築して個々対処していく。そして、その対処能力の高い人が出世する(実際能力高いとおもいますが)。その為に幹部が、あまり細かく管理したりロジカルな対応を嫌うというのも海外事業がうまく行かない大きな理由だろうと考えます。記事の中では色々書かれていますけど、海外の人間の考え方は日本人とは相当異なる=米、中、韓で私が感じたのは、日本人よりもっと人間の本能に基づいて動く(日本人は組織の中では様々な我慢を驚くほどする⇒義理、人情。しがらみなどにより、それを逸脱すると村八分になるが、海外ではそういうことは無い)。
島国だからでしょうね。。。まぁ、日本人の組織力という強みと相反しているのですが、海外進出となると弱みになるのですね。。
まぁ、それはおいといて。。
私自身の商売は、日本製品の中国向け販売なのですが、最初のチャートを見て思ったのは、製造業でも食料品の海外売上げの比率が極端に低いのですね?食料品の内訳で日本酒、味噌など日本独特のものがどれだけ占めるのか細かく見ていかなければならないのですが、アジア向け、中国向けでは一番ポテンシャルのある分野だなと思いました。
繊維は材料は海外強そうな気がしたんですけど、服飾の関係でしょうか、市場は下落する分野ですね。石油はまぁアップストリームが無いから無理。紙や金属製品も弱いんだ。。これは以外です。薬品は欧米系が会社の規模が遥かに大きく、確かに難しいか。。まぁ、自動車と電気、及びその関連部品メーカー以外は海外は決して強くない。
サービス系はやむをえないのでしょうが、日本の異常に高いサービス水準を海外向けにアレンジできるか否かですが、不動産や建設なんて日本国内に留まったら確実に終わりますよね。
この記事って、サービス業に焦点を当てた記事になっていますが、出ているチャートってものすごく重要な事を示唆していると思います。。
見る人はもっと鋭い分析をされるのでしょうし、当然この状況を踏まえて手を打っている企業も多いと思いますが。