日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

Mr. China

2006-10-22 | 中国関連書籍書評
Mr. China

Constable and Robinson

このアイテムの詳細を見る


 またまた洋書ですいません。唯、上海に来て思うのは、日本語共同通信やNNA社が地元新聞の記事のサマリ-を編集して、ほぼ一日遅れでニュ-スを得られるほか、一般的なフリ-ペ-パ-は種類は多いもののビジネス上有益な情報を提供している雑誌は極めて限られているのが現状です。一方英語の日刊新聞は2紙あり、習慣で経済記事をまとめたものもありますので、地元の情報を知るには、中国語が出来ない分英語では結構補えます。日本語はやはりマイナ-な言語なのですね。業界関係に関する本も、ネット系やVC系に関しては英語なら豊富とはいえないまでも幾つかの本が出ています。

 本書の副題は、ヲ-ルストリ-トのイギリス人バンカ-400万ドルの資金を中国に投資した苦労話、となっています。実はまだ半分くらいしか読んでいないのですが、何回かに分けてご紹介します。日本の本でも失敗談を見る事がありますが、主に投資側がもっと慎重にすれば良かったんじゃないかと思う事例が多いです(留学生に全てを任せて投資したとか)。この本の事例は、まともに投資をしても、中国には日本人の想像を絶するリスクがあることをあからさまに描いており、貴重だと思いました。

 主人公は、エ-ル大学卒業後、ウォ-ル街で働き、ハ-バ-ドビジネススク-ルを卒業と、絵に描いたようなエリ-トなのですが、何故か天安門事件の直後、多分34歳の時に2年間北京に留学して中国語を学んだそうです。中国語を生かしてアンダ-センに入社して中国と牛関連の仕事を香港でした後、シニアのインベストメントバンカ-と組み、アメリカで中国投資ファンドを中国各地に投資をしたお話です。

 ファンドレイズ前に100日間で100ヶ所の工場を回ってくるというタフネスさ、1994年時点で中国の成長を見越して先を見ながら自動車工場が有望であると長春の自動車部品工場に投資する経緯など、さすが本場の投資銀行家はすごいなぁと思わされます。しなしながら、投資後の投資先管理は想像を絶する苦労を強いられたようで、日本で色々出版されている中国投資失敗話を髣髴されます。唯、日本の場合は事前のスタディや提携先、投資先のデュ-デリジェンスが非常に甘いのですが、その辺をしっかり踏まえたうえでも信じられない事が起きるようです。ちなみに彼らの投資方針として、かならず株式(有限公司の場合は持分)のマジョリティ(51%以上)は確保したそうです。

 ・ハルビンの工場長が無能な為に首にして新任の工場長を派遣したが、当該工場長解雇決議の為の役員会に、投資受け入れ先側の役員全員が出席せず、実質的に解雇できない状態が長期間にわたって続いた。その間、旧工場長と新工場長の二人が工場内でそれぞれ指示を出したので、工場の中が混乱して業績が大幅に落ちた。最終的には中央政府関係のコネも使って何とか解雇したそうですけど。

 ・珠海の総経理が米国出張中に行方不明になった。色々探したが手がかりが無かった処、銀行から巨額の支払いの通知が来て資金を持ち逃げした事が分かった。本来一定限度額以上の資金の支払いは、北京にある投資会社側の承認が無ければ動かせないのだが、銀行側のマネ-ジャ-が総経理と共謀しており、米国にも行して戻らなくなっていた。投資会社側が役所の汚職取締り約のところを訪問すると、逆に車と巨額のコミッションを要求された。香港警察の協力で、香港にある総経理のぺ-パ-会社を操作したところ、様々な書類がでてきた。逃亡した総経理は、政府関係にも相当なリベ-トを払っており、おそらくそれにより地元政府の協力が得られないものと考えられた。尚、投資先の会社は、会社資産を担保に上記の銀行から借り入れを興していたが、総経理がそれも持ち逃げしており、銀行から貸付金返済を求められた。上記、東不正には銀行側の人間も共謀していると主張したが、裁判所は受け入れなかった。


つづく。。。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする