イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

ちょっとタビダッてたりして

2017-02-17 18:03:59 | チュニジア編
自分のブログに書けないなぁと思っていたら、
タビタツマガジンという旅行Webマガジンから執筆依頼がありました。
で、ポツポツ書いています。
タビタツさんの意向などもあり、イスラミックブルーとはちょっとテイストが違いますが、
(写真もすべて私のものではありません)
イスラミックブルーでは見えない所が見えるかもしれません。
チュニジアの事も少々…→こちら




よかったら遊びに行ってくださいまし

はるかスペインを想う時

2014-07-09 11:47:06 | チュニジア編

スペインを想う時、

私の心によぎるテストゥールの町

この景色!

ああ、アンダルシアでなくてどこの景色であろう。

ここをも通り過ぎ、エジプトまでたどり着いた人々もすくなけれども。
私であれば、ここで歩みを止めたかもしれない。

 

日本でチュニジア産オリーブオイルが220円?
エジプトのイチゴジャムは105円。
一体全体どうなっているの?
エジプトで観光して、チュニジアで青い世界を堪能して、スペインで呑んだくれて帰る旅。
いいなあ。
いずれも日本からの直行便がない。
かつて追われた人々の足跡を遡り、故郷へ、故郷へ!(ゲーテ風に)


終の棲家

2012-05-07 23:57:25 | チュニジア編

                      

 

 表通りの喧騒が嘘のようだ
 強烈な太陽の光に遮断され、俗世と断ち切られた眠りの館
 窓辺に腰を下ろし、
 鉄格子に指を這わせる
 ひんやりと冷たいタイルは、いつまでも冷たく、ぬくもりが移らない
 チュニジアの、メディナの、奥の奥
 真っ白な薔薇の棺に眠る
 ステンドグラスのランプシェードが、ミラーボールのよう
 赤や黄色の光が、真っ白な薔薇を時折染める
 眠り続ける人々の魂は、安らかで、ジェンナ(天国)に行ってしまっている
 
 中庭に出て、振り返る
 整然と並ぶ棺を見て、
 ああ、ここは墓所であったと、
 
 また戻り、棺の前にぬかずき、永久に咲き続ける花々に見入る

 終の棲家にふさわしい

 野辺に、石ひとつ
 私の墓はそれで良い
 しかして、終の棲家を得られるのであれば、
 最後は腰をかがめ、膝をさすり、墓所の塵を払い、
 灯火が尽きた折には、薔薇の石棺に寝かせて欲しいものだ

 

※チュニジアの墓所、白い石棺は地球散歩で


路地に誘われて

2010-07-01 23:28:36 | チュニジア編
テストゥールの路地に迷い込むと、
そこはチュニジアなのか、それともアンダルシアなのか、
まるでわからなくなってしまう

オレンジの匂いに誘われ、
奥へ奥へと迷い込んでゆく
冷たい風と、建物の影のひんやりした空気が、
そのうちやってくる暑くて熱い夏を予感させる

鋭い視線を感じ、
入ることが出来ないオープンカフェ

拒絶するわけではない
ただ、女ひとりがめずらしいだけ

それでも、その刺す様な視線に、
座ることが出来ずに歩み続ける自分がいる

ああ、ここは、イスラームの小さな町

アンダルシアであれば、
一人旅を珍しがられても、
その視線に、突き刺すような鋭さは感じないだろう

砂漠の民の瞳には、半月刀が潜んでいる

その吸い込まれそうな瞳を
正面から見てはいけない
美しすぎるものは、時に凶器

月明かりで磨かれた、
眼差しの奥に、
アンダルシアを見つけてしまったら…

もしも、見つけてしまったら…

どこか、他人とは思えない、アンダルシアの人々が築いた町で、
還りたいと異国人がつぶやいたら…


しかし、これは、もう、遠い昔のこと
いまは、チュニジアのイスラーム教徒たちの町

私は立ち止まらず、
この町をあとにする

流れ、たどりついた先

2010-06-11 18:15:24 | チュニジア編

 追われ、追われて、少しでも聖地に近い処へと、
 アンダルシアを後にして、幾年月…
 月明かりを頼りに、歩き続け、
 月の満ち欠けが幾夜巡ったのか、
 もう、わかなくなってしまうほど、沙漠を歩いた末に、
 たどりついた町。
 
 緑多く、山ありて、それでいて乾いた土地
 夢まぼろしか、
 幻覚か、

 ここに見える、アンダルシア

 チュニスから約2時間、
 テストゥールという町は、小さなアンダルシア。
 アンダルシアの人々が移り住み、町を作り、音楽を楽しんでいる。

 マールーフという、アンダルシアの音楽を取り入れた、アラブ国際音楽祭が、来月この地で開かれる。
 15世紀、アンダルシアを追われた人たちの調べは…
 
 その風貌はチュニジア人のようで、
 女が一人、歩く姿に向けるまなざしもアラブ的なものではあれど、
 羊を連れて歩く姿や、
 この街並みは、どうして、どうして、
 アンダルシア以外の何物でもない。
 
 いつの日か、マールーフに合わせて、この地で、アンダルシアの音に、望郷の念を見いだしたい。


沙漠の奥地で

2010-01-12 17:52:22 | チュニジア編
 キークルクル、キークルクル、糸車を回しているのが日課だったころ、
 ペダルを踏まない日が来る事など考えてもみなかった。 時には、スピンドルを使い、 手元でしんの強い糸をひねった。
 都会に根を張る、緑の濃い葉っぱからは黄色い色をもらい、
 ネズミモチのたわわに実った実からは、
 濃い紫の煮汁に染まった羊毛を取り上げ、
 風にさらされると鮮やかなグリーンに姿をかえる。
 芽吹いてきた幹をバッサリと惜しげもなく切ると、
 花の色を、映し出す。

 まだ、雨の匂いのチュニス。
 地中海の冷たい風から、少し暖かな沙漠の風にふれ、
 乾いた泥レンガの家の中。
 何年も、何年も、
 そこにあるのが当たり前で、
 とはいえ、もう手を触れる人もなく、ただ、置かれている、錘。
 ふと、毎日手にしていたかのように、
 手に取ってしまいそうな己の手に、我に返る。

沙漠のフレーム

2010-01-06 17:55:26 | チュニジア編

 トズールの土産物屋の奥、所せましと並べ、積まれた古い織機と、紡績の道具に、吸い寄せられるように近づいて行く。
 錆びた鉄の赤い釘を化粧するように、砂がこびりついている。
 刈った羊毛をすくブラシブラシ、絨毯を引き締めるブラシ…

                

 羊毛を載せる鉢と、すき台。

                       

 何より、沙漠に突き立てる立て機に、強く惹かれる。
 機を立てるだけで、そこにはいくつもの物語が生まれてくる。
 機のフレーム越しに見える、どこまでも続く沙漠。
 青い青い空。
 緑のナツメヤシの森は、実りの時期になれば、真っ赤に色づく。

 経糸を張り、糸越しに見える景色に、
 沙漠の女たちのベール越しに見える情景を思い、
 立膝をついて、リズミカルに糸を結んでゆく、うしろ姿を想像する。
 
 しばし時を忘れ、立て機の向こうに見える物語に酔いしれる。


青にきらめく

2009-06-11 00:00:00 | チュニジア編

 私は基本的に赤いものを敬遠する。
 私が幼いころは、女の子は「赤」、男の子は「青」という時代だった。
 赤いものを強制されるのが苦痛だった。
 私の中で許せる「赤」は、唯一ランドセルだけだった。

 あるとき、私が赤いものを身につけられない理由を教えてくれた人がいた。
 それは、私自身が燃えさかる炎だから。
 還りたい、強い想いの炎か、
 私はここにいるという、灯台の光か?
 それとも、地中海の熱い情熱の魂が、宿っているのか…
 青に包まれた私の小物は、不思議とピンクであることが多い。
 地中海の青を引き立てる、ブーゲンビリアの色。
 マハディアの色は、地中海を引き立てる。

 

 

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エジプトの人

2009-06-07 00:00:00 | チュニジア編

 マハディアは、織物の街。
 街じゅういたるところから、機の音がする。
 ひょいと覗き込むと、見においでと手招きしてくれる。
 金糸、銀糸をふんだんに使った伝統の織物は、光の加減で無限にその色が変わる。
 出来上がった織物も素晴らしいが、私が好きなのは、職人の手。
 彼らの指の動きは美しい。
 小さな子どもから、おばあさんに至るまで、美しいものを生み出す指先には、魔法がかけられている。
 マハディアでは、若い男の子が多かった。
 ジーンズにニット帽をかぶったお兄ちゃんが、アラブ音楽を聴きながら織っていた。
 ふと立ち寄ったマハディア織の店のお兄ちゃんに、「いいからついて来て」と、路地裏の工房へ連れて行かれた。
 たまたま居合わせたオーナーにあいさつすると、「エジプトから来たのかい?うちの職人もエジプトから来たんだよ」と、迎え入れてくれた。
 またしても、私のアラビア語は、出身を偽ることができなかった
 
 「エジプト人はフール、ターメイヤ!わはははは!」と、豪快に笑うオーナーに、「エジプト人の職工は、はにかんだ。
 「それに、コシャリ!」と、私が間の手を入れると工房中が笑いの渦になった。
 「フール、ターメイヤ」
 それは呪文。
 エジプト人にとって、なくてはならないもの。
 郷愁、母なる味。
 誰しも郷土愛は持っている。しかし、はるか数千年の時を超え、
 脈々と受け継がれる、「ナイルの水を飲んだもの、ナイルへ還る」の魂。
 エジプト人に、食べ飽きないのか聞くと、「フール、ターメイヤ、最高!」と言って、自分の手の甲、手のひら、そして、神に投げキッスを送る。
 エジプト人イコール「フールターメイヤ」の常識。
 私もその仲間に入れられてしまったのか?

 織り出される金、銀の模様に、ナイルの波紋は見られない。
 まぎれもなく、それはマグレブの香り。
 織り込まれた、エジプトの呪文…
 ラムセス3世時代の生まれ変わりを自称する母が、この工房で織られたショールを今身につけている。
 彼女の運命やいかに…

 

 

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ファティマに導かれ…

2009-06-03 13:17:22 | チュニジア編

 マハディア、
 「チュニジアへ行ったらマハディアへ行くの!」というと、チュニジア通でも「え?どこだって?」と聞き返された。
 チュニジアの、一番行きたいところがマハディアという人は、日本人にはまずいないのだろう。
 私にとっては、呼ばれた土地。
 チュニジアにきて、あなたがマハディアに行かずして、どこへ行くというの?という、ファ  ティマの手のささやきが聴こえる。
 ファティマの手が私の手をひっぱるように、いざなう。

  チュニジア一、地中海が美しい街。
 フランスからの観光客が押し寄せ、ホテルの建設ラッシュが続くリゾート地。
 その喧噪も、メディナには遠い。
 マハディアの中心から離れた、リゾートには目もくれず、静かなメディナを歩く。
 ふと、歩みをとめた広場の名前は、カイロ広場。
 ここは、その昔、ファーティマ朝が遷都した都。
 遠く、遠く、水平線の向こうのカイロを狙うため、岬の突端に城壁を築いた街。
 その美しい地中海の青と、真っ白な雲、強い風を受けながら、目を凝らす。
 ファティマの手が、指し示す…カイロ。
 マハディアは、永久にカイロへ、熱い視線を投げかけている。
 走馬灯のように駆け巡る、カイロの情景が、スコールとなって私の上を通り過ぎた。
 雨上がりに現れた二つの虹が結ぶ、かけはし。
 私はカイロへ還る運命なのか?
 

 

 

 

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アンダルス通り

2009-03-30 23:34:52 | チュニジア編

 「見つけた!」
 と、思わず叫んでしまった。

 不思議、不思議!
 私はそこにあることも、何も知らず、
 通りすがりのおじさんについて行っただけである。

 「マダム、こちらにいい通りがありますよ。ちょっとついていらっしゃい」
 品のいいおじさんにそう言われて、何度か断ったのだが、
 行く先々で待ち受けている。
 「この先に、あなたの好きな通りがありますよ」と言う。

 素敵な扉があるの?
 それとも、モスク?古い建物?
 タイル?
 お墓??
 チュニジアでは出会ったことのない、客引き??

 連れて行かれたのは、特にどうと言うこともない通り。
 「通りの名を御覧なさい」
 そう言われて見上げて見れば…

 

                      

 

 どうして?
 おじさんはただニコニコしているばかり。

 

 

 

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青い国、チュニジアへ

2009-03-18 23:31:17 | チュニジア編

 行方をくらまして、
 しばし青い国を満喫。
 旅先からはお手紙。これに尽きる。
 海外携帯の番号を知っているのは、異国の友達だけ。
 私はどこでしょう。
 いつかえるのでしょう?
 いつ、どこへ…?
 遺跡に鳴り響く携帯電話のメロディが懐かしいのは、
 それが、全部エジプトからなのか?

 「アロー?アッサラーマ・アレイコム(もしもし、あなたに平安あれ)」
 電話を取った私の返事に、人々が振り返る。

 「アフバラク・エー?アンタ・クワイエス?(お元気ですか、あなたに問題はありませんか?」
 と、人に会った時、電話の最初のお決まりの文句が続くと、すれ違う人は立ち止まり、電話が終わるのを待っている。

 「あなた、エジプトから来たのね!東の方の人に見えるけど、だいぶ近いわ!」と、話しかけられる。
 アラビア語は国によってそれぞれ口語がある。
 話すとどこの出身かがすぐわかってしまう。
 私のアラビア語はエジプト方言。
 「パパか、ママがエジプト人なのね!」と、よく言われた。
 「私の血は全部、日本の血よ」と答えると、「はっはっは。その言い方がエジプト人みたいですよ!では、ご主人がエジプトの方なのですね」と、私が単なる日本からの観光客であることを誰も認めてくれない。
 ダンマ・ハヒーフ(血が軽い)と、エジプト人は私に言う。
 「気さくないい人」と言った意味であるが、この言い方、チュニジアにはないようである。

 アラビア語とフランス語が公用語の国。
 町の中はフランス語が溢れかえっている。
 私にはちんぷんかんぷん。
 レストランでアラビア語のメニューがないとさあ大変!
 もっとも、お料理もフランス料理。
 アラビア語で注文するよりも、フランス語で注文できたらなんていいでしょう!

 ボンジュールな国で、やくざなエジプト方言を武器に歩き廻る謎の東洋人。

 地中海を満喫してきた旅の香りをお届けします…

 

 

 

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