イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

かわらぬ時の調べ

2010-03-05 22:26:20 | エジプト編
 ルクソール西岸の小さな村。
 遺跡の前に、何千年と住み続けている一族。
 そこから出ることはなく、毎日同じことの繰り返し。
 エジプトの家は、その地下を掘ると、どこまでも壁が続いているという。
 エジプト人は根本的なエジプト的嗜好を変えることを望まない。
 住むところも、食べることも、働くことも…
 本当に少しづつ、少しづつ変わってゆくエジプトの奥の村々。
 大都市やナイル川沿いが、見る見るうちに変貌を遂げていく影で、
 同じ時間が流れているとは、到底考えられない。
 夕日が沈み始めると、
 その速度がいやに速く感じられるほど、
 時の流れはのんびりとしている。
 のんびりしている男たちの貧乏ゆすりが、時を早めようとしているかに見える。
 この国で、貧乏ゆすりはスポーツ(!?)だと言う。
 動かない人たちの、わずかな揺れも、砂に飲まれる。
 
 日が沈んでからが長い。
 明るい空が、昼と夜の間の境目をいつまでもぼかしている。
 この景色には、物音は似合わない。
 もう少し暗くなったところでの、かえるとすずめの鳴き声以外は許されない。
 いつまでも、いつまでも、この静寂が続いていくと感じさせてくれる、
 村の夕方。