薔薇の生まれた国へ
薔薇を見にゆく
その昔、アンダルシアから文学の最高峰へと出かけた人々
その足跡を、ゆっくりと、
月明かりの下、青いタイルに導かれ
キャラバンサライで、私は何を見て、聴く…
月と薔薇と青の国へ
薔薇の生まれた国へ
薔薇を見にゆく
その昔、アンダルシアから文学の最高峰へと出かけた人々
その足跡を、ゆっくりと、
月明かりの下、青いタイルに導かれ
キャラバンサライで、私は何を見て、聴く…
月と薔薇と青の国へ
モスクの前で待ち合わせるのは夜。
月夜の晩に、ジャスミンの香りが漂う。
金角湾に浮かぶ、白い薔薇の花びら。
ヨーロッパの終着駅、イスタンブール。
青いタイル。
大粒のエメラルド。
金縁の小さなチャイのグラス。
影。
忍び寄る人影。
花陰に見える血の色。
スークの奥、迷宮。
バス。
逃避行のあと。
秘密の匂いは、月夜の晩に、薔薇の香りがする。
それがイスタンブール。
小説の読みすぎ?
陶酔癖?
思い込みは、真実への入り口。
夢は正夢。
棘の道、暗い道、逃避の先にある光。
針の先ほどの光こそ、甘く輝かしい未来。
イスタンブール
アジアの玄関。
私にとって、ここは終着駅?
それとも、新たなる未来への玄関?
ハドリアヌスの魂は、ここでも私を待ち受ける。
写真:『シャガール』2007折り紙作品