マハディア、
「チュニジアへ行ったらマハディアへ行くの!」というと、チュニジア通でも「え?どこだって?」と聞き返された。
チュニジアの、一番行きたいところがマハディアという人は、日本人にはまずいないのだろう。
私にとっては、呼ばれた土地。
チュニジアにきて、あなたがマハディアに行かずして、どこへ行くというの?という、ファ ティマの手のささやきが聴こえる。
ファティマの手が私の手をひっぱるように、いざなう。
チュニジア一、地中海が美しい街。
フランスからの観光客が押し寄せ、ホテルの建設ラッシュが続くリゾート地。
その喧噪も、メディナには遠い。
マハディアの中心から離れた、リゾートには目もくれず、静かなメディナを歩く。
ふと、歩みをとめた広場の名前は、カイロ広場。
ここは、その昔、ファーティマ朝が遷都した都。
遠く、遠く、水平線の向こうのカイロを狙うため、岬の突端に城壁を築いた街。
その美しい地中海の青と、真っ白な雲、強い風を受けながら、目を凝らす。
ファティマの手が、指し示す…カイロ。
マハディアは、永久にカイロへ、熱い視線を投げかけている。
走馬灯のように駆け巡る、カイロの情景が、スコールとなって私の上を通り過ぎた。
雨上がりに現れた二つの虹が結ぶ、かけはし。
私はカイロへ還る運命なのか?
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