イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

薔薇の背景

2008-10-30 21:46:57 | イラン・トルコ編

 私の終の棲家は、
 青い空、
 碧い海、
 白壁の家、
 そして咲き乱れる薔薇、薔薇、薔薇…

 そんな夢の家を髣髴とさせる、
 静かな処へたどり着いた。

 薔薇の町へ行きたくて、
 薔薇の町でバスを降りて、
 数少ない英語を話すお姉さんを紹介され、
 「この町にある素晴らしいものは、薔薇と湖よ」と言われ、
 たどりつた小さなカフェテラス。

      
 
 紅茶に添えられた一輪の薔薇、
 「ゆっくりしていって」と、ウインクして、どこかへ行ってしまった店員。
 迷い込んだすずめがパンくずを探し、
 風に揺れる、海岸沿いの薔薇を眺め、
 日記を書いたり、手紙を書いたり、
 ただ、海を見たり…
  紅茶のおかわりがそっと差し出されたり、時間がゆっくりと流れる。

 この町に、かつて私がいたかといえば、
 その気配はかけらもなく、
 私の大好きなものが、トルコという宝石箱の中に、
 詰まっていた事を、紅茶の甘さに感じる。
 
 思えば、初めて地中海を見たとき、
 私の地中海はここではないと愕然とし、
 そのショックに口も聞けないで、流し込んだ甘ったるい紅茶。
 まるで溶岩が流れるがごとく、いつまでたっても胃に到達しない、
 どろどろとした感触。
 
 美しい甘さは、なんと軽く、さらさらとしたものか。
 みぞおちを突き刺すような、ガラスのような鋭さも、
 べたべたするしつこさもなく、とけてなくなるただ、甘い余韻。

 この湖を、
 この町を、
 思い描いた事は一度もないけれど、
 イメージする世界にぴたりと当てはまる処にこられた喜びは隠す事も出来ず。
 帰りぎわ、お金を払おうとする私に店員は、

 「なにもいらないよ。君はここに、居たいだけいたらいい。
 もっと薔薇を摘んでこようか?お茶のおかわりは?
 帰るのかい?またいつでもおいで」

 まるでここが、ずっと昔から私の指定席だったかのような店員の態度に、
 ただただ、嬉しい顔を見せる私。
 店員はそれ以上何も聞かず、追いかけてもこないで、私がまた明日、そこに腰掛けるかのような態度でいた。

 この町が、かつてイスラームにとって重要な地であったことを私が知るのは、帰国してだいぶ経ってからのことである。

 

 

 

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私のスーベニール

2008-10-10 23:10:00 | 旅の仕方

 ほんとはいけないけれど。
 私の大事な宝物。
 旅の思い出、壜につめて。
 
 歩いて、歩いて、歩いて…
 見上げた空、
 小川のせせらぎ、
 ぬけられない路地、
 いつの間にか獣道になった農道、
 一杯のお茶、
 海の向うの月…

 全部が詰まった壜が、旅に出るたび増えていく。
 
 つまずいた枯れ枝、
 青空に向かってふいた綿毛、
 散ったばかりの花びら、
 たわわに実った種、眠れる赤子たち。

 旅の記憶が詰まった、私へのスーベニール
 

 


 きょろきょろして、肝心なところで足元を見ていないから、
 穴に落ちる、蔓に捕まってがけを登るなど、誰も見ていないから出来ること。
 崖に沿った植え込みから、急に公道に出てくる日本人がいたら、それは私。
 都心では滑る、転ぶは当たり前。
 旅に出たら、子どもに還ろう。
 公園で、植物園で、電池が切れて寝ていたら、それは私。
 大きなイスラームのスカーフが私を包んで守る。
 この壜たちはフランス語でスーベニールというのがしっくりくる。
 何でフランス語?
 お土産もプレゼントも、スーベニーヤも、ハディーヤも全部違う。
 新たなスーベニールが欲しくて、また海を渡る。
 いいえ、本当は、この種を蒔けるところを探して…

 

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ピカソ? 

2008-10-04 22:31:39 | スペインを求めて…

 さて、地中海好き同士が一緒に書いているブログ「地球散歩」の最新記事は、ダリ美術館を取り上げている。
 写真は、私がダリ生誕100年の時に折った蟻。(約2cm)
 ダリと言えば、蟻がそこかしこに這い回っているイメージなので、この年は蟻をたくさん折った。
 さて、今年の私と言えば何も思い浮かばず、先月の中旬までぼんやりとしていた。
 と、そこへピカソがやってきた。
 あのギョロッとした目で、「バスク」と私の頭に叩きつけた一言。
 ハッと気がついてみたら、フランス・パリの国立ピカソ美術館が改装のためピカソが大挙して(表現がおかしいですが)日本にやってきてる。
 なんと!
 しかしピカソの魂の叫びは、マドリードのレイナ・ソフィア美術館から出ることはない。
 何の偶然か、取り付かれていたら嬉しいが、とにかく私はその日から、ひたすら灰色の紙ばかりを、こねくり回している。果たして完成するのかは、ピカソ次第?
 破壊されているのか未完成のような完成品なのか?
  ダリの時のようにダリ好きにしか解からない、みょうちきりんなものなのか?
 気になる方は、お運びくださいませ。今年の折り紙作品展。

 とき 10/10(金)11:00-17:00
    10/11(土)10:00-17:00
    10/12(日)10:00-16:30

 ところ 
南大塚地域文化創造館 (03-3946-4301)
     JR大塚駅南口
     東京メトロ丸の内線 新大塚駅
     何れも徒歩5分

  実に24回目の出品です。成長が感じられるのか?「相変わらず…」と苦笑されるのか… お待ちしております。


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