イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

オリーブ入りパン

2009-08-20 00:00:00 | タベルナ・マタアム・食いもの屋

 地中海を感じさせるパンを買うなら、メゾンカイザー
 その昔、麻布で仕事帰りに寄って、うっかり紙袋いっぱい買ってしまうこともあった。最近は店舗も増え、近所にもあるが、が…
 私の大好きな、オリーブの実がたくさん入ったパンがない。
 もう自分で焼くしかないでしょう。
 今日は、ブラックとグリーンオリーブ入りパンと、ドライトマトとバジルのパンを焼いた。


             

 

 私の焼くパンに、酵母は入れない。歯ごたえのある、しっかりとしたパン。よく噛みしめて、地中海へ思いを馳せる。
 しかし、我が家には歯のないお婆が、ちんまりと住まっている。
 長らく、つらい人生も噛みしめてきたお婆のために、スコーンを焼いた。
 当たりを引けば、中からトロ~リチョコレートが…
 なぜか私ははずればかり。お婆は全部当たりを引き当て、さらに杏ジャムを塗って食べていた。

 水色のパンかごは、マドリーで買った思い出のもの。
 パンを頻繁に焼くようになったら、またスペインでパンかごを買いたいな。


太陽の国の味

2009-08-18 21:34:15 | タベルナ・マタアム・食いもの屋
  

 セラード(クローズ)の看板を降ろして、スペインのフライパン、アンダルシアへ飛び出したい。
 ちょうどフェリアが各地で始まるころだ。
 水玉模様の衣装を着た小さなカルメンシータが走りまわり、メヌの時間が過ぎると、慌ただしく店じまいをはじめるバル。
 タブラオの主人たちは、フェリアの会場で、セルベサを振る舞うのに忙しい。
 巨大なチュロスの前に並ぶ、ふくよかでおしゃべりな奥様方。
 
 
友だちはみな、この夏休みドライトマト作りに精を出しているという。
 ドライトマトとたっぷりのオリーブオイル!
 バルのカウンターで、ティント・ベラーノ片手につまむ、トマト!
 真っ赤な太陽の国の、零れ落ちた光の子ども、トマト!
 照りつける太陽の厳しさにも、勝るとも劣らない、焦がれる私の気持ちを、打ち付ける。粉を練り、台に打ちつける。
 ドライトマトをふんだんに盛り込んだパン生地を、打つ…

 アンダルシアには、引き戻される何かがある。
 しかし、羊に誘われて行った北を思い出す。
 緑の大地。
 暑い夏から逃れて、岩場を流れるくる川のせせらぎを思い出す。 
 チョコラーテの町。アストルガ。
 アストルガのミントチョコの涼しげな色を思い出し、生地にチョコレートを仕込む。
 
 やり場のない、焦がれる想い、パンに封じこめる夏。


ソリア、アンダルシアを映す

2009-08-05 00:56:10 | 巡礼の道

 還りたい、還りたいと魂が叫び続けるアンダルシアを背に、ある時、私は北へと足を向けた。
 寒い、耳が切られそうに凍てつく風の中、スカーフを巻いて、真っ青なコートを着て、私は旅に出た。
 
 
ドゥエロ川の静かな、鏡のような水面に引き込まれそうになる。
 水の上を歩いていけば、輝く夕日の向こうの、幻想的な世界へ行くことが出来るのではないかと錯覚する。
 どこまでも、どこまでも美しい。そして、心休まる静けさ。
 詩人の愛した町。
 誰しも詩人になってしまえるような、そんな雰囲気のある町。
 ああ、ソリアを愛した詩人、マチャドはセビリアの生まれ。
 アンダルシアの情熱的な血が描かせる、秘めたる想いがこめられた詩の数々。
 
 私は行く。
 アンダルシアに背を向け、マチャドが追悼したピカソのゲルニカの町へ向けて。
 巡礼の道を歩く。
 マチャドの「道はない。歩くことで道は出来る」という、高村光太郎のような詩に後押しされて、私は行く。

 スペインが遠い。遠いけれど、決して私を忘れない。
 私が忘れてしまわないように、聞こえてくるスペイン語の調べ。
 ドゥエロ川の水面を思い出す。
 その向こうに、未来が見える。