最後に歩いた人の影が見える
フランス人のロエールさんの影が
数々のピラミッドが見渡せるサッカーラの丘に立つと、見えないものが見えてくる
砂の上を見ながら歩く、ロエールさんも見える
何か、土器の破片か何かを拾っては元に戻しながら歩く、往年の考古学者。
サッカーラ大地の下は、網の目のように道が走り、部屋が並んでいる。
その壁面は、碧いタイルが貼りめぐらされている。
カイロ博物館の誰も行かない、薄暗い隅っこに、壁一枚分貼られている。
たくさんのツアー客の足音と、ガイドの声を遠くに、青いタイルを見つめる。
封印されている、青い地下世界に、いつの日か入る事は出来るのか?
タイルの間に間には、走る王のレリーフがある。
国民に、統治力があることを示すために王は走った。
たくさんの王の足音
たくさんの人々の足音
聞こえる、聞こえる、私を連れ去る足音が…
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