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イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

マドリードを羊が制す

2010-09-28 22:52:49 | マドリード
 羊なくして、私は語れない
 私は秋になるとマドリードへ行きたいと騒ぎ始める
 羊の群れみたいに、
 頭の中は羊が一杯になって、
 数えるなんてとんでもない!
 羊で世界は真っ白。

 世界中の羊飼いとスペイン中の羊がマドリードを練り歩く。

 毎年その日が近づくと、
 羊の鳴き声がしてくるような気がする。

 熱に浮かされて

 ひたすらに、羊を折る。
 ピレネーの山を越え、マドリードへ降りてくる羊たちを、
 今、まぶたの裏に思い浮かべながら、
 折っている。

 東京上陸の日は…


折り紙展のご案内

 とき 10/16(土)10:00-17:00
     10/17(日)10:00-16:30

 ところ 
南大塚地域文化創造館 (03-3946-4301)
     JR大塚駅南口
     東京メトロ丸の内線 新大塚駅
     何れも徒歩5分


スペインの美しきエジプト神殿

2008-01-18 00:01:56 | マドリード

 買い物帰り、夕方、まだ日は高い。
 6時頃のデボット神殿が好き。
 神殿を見て、下ったところにある薔薇園を通り抜けて、宿へと帰るマドリーの私の決まったコース。
 アスワンハイダム造成のおり、ユネスコのアブシンベル神殿移築に深く尽力したとして、エジプト政府からスペインに贈られた神殿は、ある意味この地にふさわしい。
 現在のスーダン寄りにあったメロエの王が建造したこの神殿は、後にローマ皇帝たちが増改築を施した。
 スペイン生まれのハドリアヌスしかり。
 ハドリアヌスの魂が、沈み行く運命であったこの神殿を憂い、恋しい気持ちで呼び寄せたのだと、神殿を囲む池の小波に聴く。

  ハドリアヌスが呼ぶ。
  「さあ、行きなさい。偉大なる緑の土地へ。ナイルの国へ」
 
 地中海を渡りなさいと風が言う。
  私はいつも混乱する。
  「おお!ハドリアヌスよ!あなたはどちらから私を呼ぶのです?」

  「この神殿に、エジプトの匂いを運んでおいで」

 そう、この神殿にかけているもの。それは匂い。
 美しく、完璧に修復されたこの神殿に感じる、魂の安らぎに必要なもの。

 ハドリアヌスの美しきアラバスターのキオスクが、エジプトに今も建っている。
 私はそこへ出かけましょう。
 

 

 

 

 

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静かな午後のひと時を…エル・パルド

2008-01-04 00:08:36 | マドリード

 マドリーの喧騒に疲れたら、バスに乗って…
 実にそう思っているのは私どころか、スペイン国王ご一家。
 マドリーの宮殿は広すぎて、落ち着かないとかで、現在の国王ご一家は、エル・パルドに住んでおられる。
 王様がお住まいとは思えない、静かで、のどかなところである。都心からバスで30分程度のところに広がる、緑の大地。
 国王がお住まいのサルスエラ宮殿や、王子の家などは中を見ることは叶わないが、エル・パルド宮殿は、公開しているので、ガイド付きで回ることが出来る。現在もお客様が見えると、迎賓館として機能しているので、公開は中止される。
 この宮殿は、エンリケ3世の時代から、増改築、再建が繰り返され続けている。
 ゴヤの描いた季節ごとの四季の絵が壁面を覆うレセプションルーム。
 壁紙ではなく、タペストリーで覆われた温かみのあるダイニングルーム。
 フランコ将軍も使ったベットルームには、サイドテーブルに電気スタンド。テレビが置いているのには思わず笑ってしまった。
 ミニキッチンなどは、当然オール電化。
 この宮殿が、今尚使われているという、旅人には悲しくもあり、こっけいな現実。しかしながら、この美術品が使われることで生き残ってゆくすばらしさにも感動し、さらには、「使っているなら私にも滞在させて」と現実に可能なのではと思わせる、雰囲気は、王様ご一家の人柄を偲ばせる。
 あちらこちらに置かれた、王様ご一家の写真もほほえましい。ちょっとした生活感があるのもこの宮殿の特徴といえる。
 宮殿の向かいのバルには、美味しそうなケーキなどが並び、ちょっと気取ったおじさんと、おばあさんが静かにお客を待っていた。
 森の中、川沿いの道をそぞろ歩き。
 小さな住宅街に、一軒のバル。
 そしてまた森が続く。
 都心に近く、犬を飼って暮らすにはもってこいの王様の町、エル・パルド。

 

 


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薔薇の何たるか…

2007-08-18 00:04:57 | マドリード

 バラの季節、マドリードにいたら必ず薔薇園に行く。
 2月、まだ寒い冬のマドリード。あの、天国のような、薔薇園を想い、カサ・デ・カンポを散歩をしたあと、薔薇園ヘと丘を下った。
 閑散とし、春に向けて株だけになっている薔薇たち。
 通路には、切り落とした枝葉が散乱し、歩くこともママらない。
 噴水が一つだけ水音を立てているだけの、荒れ果てた庭園。
 二組の恋人たちが、ベンチでひっそりと語らうだけの薔薇園。
 行く道を阻む、切られた枝に、まだ息のある薔薇を見つけ、手にする。
 棘の痛みに、枯れゆく薔薇のプライドを感じ、詩の一説を思い出す。

  バラの季節が過ぎたる今にして、
  はじめて知るバラの何たるかを。
  遅れ咲きの茎に輝けるただ一輪
  千紫万紅をつぐないて余れり。

 恋人たちには、いかなる季節でも、満開の薔薇だけが見えていることだろう。
 いま、スペインへいつ還れるのかと思いを馳せる、私の目の前が、常に満開の薔薇、そのかぐわしい匂いが風に乗ってくる錯覚に捕らわれているように。

         (シラーの頭蓋骨をながめてより、一説。『ゲーテ詩集』高橋健二訳)

 


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薔薇園

2005-05-14 22:37:50 | マドリード
 5月になると帰りたくなる。もちろんスペインに。思い出すのは、アルハンブラ宮殿やアルカサルの庭園。バラの香りがたちこめ、柔らかい花びらがあふれ、水音が気持ちよく響く。
 この時期スペインに行くことが出来れば、私は先ず行くところがある。日本からスペインへの玄関口といえばマドリード。アンダルシアまではもう少し道のりがある。バハラスからそのままアンダルシアに飛行機で抜けてしまうのは味気ない。私の中のスペインな魂を呼び覚ますために、私は何日かマドリードに滞在する。
 メトロでプリンシペ・ピオ駅まで行き、まっすぐの広い通りを歩いていくと、ゴヤのパンテオンにぶつかる。正式名称はサン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ聖堂。1798年にゴヤによって描かれた『サン・アントニオの奇跡』のフレスコ画が名前の由来となっている。ドーム型天井に描かれた青い空に吸い込まれそうになる。神聖な気持ちになり、ゴヤの墓を詣でる。祭壇下のゴヤの墓は、骨相学のためにゴヤの首を盗まれたままになっているという。サン・アントニオは、お針子と未婚女性の守護聖人。6月13日の祭りの日には、恋人を求める若い女性が待ち針を持ってお参りに来るという。
 聖堂の裏手は、広大な敷地のカサ・デ・カンポが広がっている。王家の領地であった、この出口の無いような公園に入っていくと、マドリードの喧騒が嘘のようだ。陶芸学校などをわき見しながら、そぞろ歩く。私が目指すのは花園。
 ここの薔薇園はすばらしい。何処までも続く薔薇・ばら・バラ…。たくさんの人がいても静かな空間。バラの花に酔いしれ、笑みがこぼれる。どんな人も穏やかになれるところ。バラの種類は豊富にあり、大輪の花をじっくりと見たり、つるバラのアーチを駆け抜けたり、誰もが心豊かになれる。
 「私を殺すならここに埋めて」と、つぶやいて…
 さて、私の殺し屋は、どの空の下?
 庭のバラを手折り、花びらの奥に答えを探す。