イスラミック・ブルー

スペイン、エジプト、イラン、トルコ、チュニジアへ、イスラミックな旅へ。
スペイン/地中海レストランガイド

感情が交錯する国

2012-05-16 23:59:11 | ないしょ ないしょ

青い扉は、私の心を乱す

まだ、どこかに、わがままと、幼さと、無邪気さが許されると勘違いしていた時
同じ理由で、二人の信頼する人を失った
失ったかどうかも、
何が起きていたのかも、
実際のところは何も判っていなかった

ただ、私は深い悲しみの中にいて、
真っ暗闇の中で、ただ涙を流していた

「ずっと一緒にいてね」
「あなたを嫌いになる人はいない」

そういう二人が、時を同じくして無言で去ったのは、
ひとえに、私が心を開かなかったと思ったからか?
真実は闇の中

苦しみから逃れる時、
私は上手に相談できない
一人で、知っている人のいない、言葉の通じないところの人ごみで泣いている
誰もいないところには行かない

なぜだろう?
わからない

人生最大の苦しみの時、
私はモロッコにいた。
イヴ・サン・ローランの別荘
異国の人々がイメージする、アフリカのアラビアで、
サボテンの棘で遊んでいた

苦しくて、悲しくなると、モロッコに行きたくなる

あの、青い扉の向こうに、
私の求める静寂があると思うのか?

かつて、アンダルシアからメッカの方へと逃れた人々の多くが
モロッコに根を下ろした。
前世の因縁か?
共感する古からの空気に身をゆだねることで、
癒されるのか?

薔薇の芳香に誘われ
迷い込んだ先に
真っ青な扉が、オリーブの向こうに見えた

薔薇のみせる幻覚か


青い扉にまだ手は伸ばさない

 

 

 

写真は国際バラとガーデニングショウでの一コマ
お目当ては、モロッコで泣きつくして
さて、またがんばろうと歩き出したら、お目にかかったブノワ。氏の新作の薔薇。
歩けば、薔薇にあたる…
人生薔薇色とはよく言ったもの。
消えてしまったものより、もっと多くのものを得ている今が、かぐわしい。







終の棲家

2012-05-07 23:57:25 | チュニジア編

                      

 

 表通りの喧騒が嘘のようだ
 強烈な太陽の光に遮断され、俗世と断ち切られた眠りの館
 窓辺に腰を下ろし、
 鉄格子に指を這わせる
 ひんやりと冷たいタイルは、いつまでも冷たく、ぬくもりが移らない
 チュニジアの、メディナの、奥の奥
 真っ白な薔薇の棺に眠る
 ステンドグラスのランプシェードが、ミラーボールのよう
 赤や黄色の光が、真っ白な薔薇を時折染める
 眠り続ける人々の魂は、安らかで、ジェンナ(天国)に行ってしまっている
 
 中庭に出て、振り返る
 整然と並ぶ棺を見て、
 ああ、ここは墓所であったと、
 
 また戻り、棺の前にぬかずき、永久に咲き続ける花々に見入る

 終の棲家にふさわしい

 野辺に、石ひとつ
 私の墓はそれで良い
 しかして、終の棲家を得られるのであれば、
 最後は腰をかがめ、膝をさすり、墓所の塵を払い、
 灯火が尽きた折には、薔薇の石棺に寝かせて欲しいものだ

 

※チュニジアの墓所、白い石棺は地球散歩で