トランプ前大統領銃撃事件。しかし、若干20歳の若者がライフルで150メーターもの距離から狙撃できるというのは驚きで、アメリカならではということだろう。もともと米政治分断というか、今回は趣を異にするが政治がらみのリスクは今年下半期の懸念事項ゆえにやはりということか。大統領選挙の結果判明後に安定を維持できるかがまず問われる。一般的には大丈夫だが、4年前に結果を力づくで変えようという試みがあっただけにどうか。
15日の金市場はNY時間に入り株式市場が開くころから騰勢と強めたが、金融市場中心にトランプ前大統領の当選を前提としたいわゆるトランプ・トレードの動きが見られ、金市場にも波及したとの指摘がある。
先週末に起きた銃撃事件をきっかけにした支持率上昇見通しを手掛かり材料とするものだ。確かに今回の銃撃事件は、米国政治の分断という、状況によってはドル安など金融市場から米国外交を通し国際問題の混乱に波及するリスクを改めて意識させたのは事実だろう。また、トランプ陣営が掲げる大型減税などから、米国財政のさらなる悪化も先行きの金市場の刺激要因とされてきたが、現実のものとして意識させたこともある。
ただし、足元の買い手掛かりとしては、一過性と言えるもので大統領選の結果を受け強く意識される類の材料と言える。
もっとも、バイデン大統領が再選となった場合も、財政赤字の拡大は不可避と見られている。
ちなみに15日のNY金の高値は2445.00ドルだった。5月20日に記録した取引時間中の過去最高値2454.20ドルに接近しているが、こうした高値更新に向けた動きがイベント含みでなく、売りを消化しながら自然体で進行していることが足元の相場の強さを思わせる。