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深川恋物語

宇江佐真理著(集英社文庫)
江戸を舞台にした、六作の連作短編集で、第21回吉川英治文学新人賞受賞作。
どの物語にも、深い味わいの人情風俗と、切ないストーリーが描かれていて、紛れもなく作者の代表作でありましょう。

大店のお嬢さんがお仕着せの人生を捨て、真に愛する人と共に生きようとする――「下駄屋おけい」
互いを想う気持ちがすれ違ってゆく夫婦のやりきれなさ――「さびしい水音」
交錯する恋心に翻弄されていく男女四人の哀しみが描かれた――「仙台堀」

江戸・深川を舞台に繰り広げられる六つの切ない恋物語。

いつもはもっぱら海外物のミステリーばかり読んでいるのですが、たまにはこういう時代物にも手を伸ばします。
作者の宇江佐真理さんは、根っからの時代小説家なのか、こういう物語をかかせると、抜群の旨味を見せてくれる作家です。

この本の解説にも書かれていることですが、江戸物の人情風俗を書かせたら、右に出る物のない作者ですが、今まではストーリーに厚みがなく、いまひとつの感がありました。
でも、この本は、これまでの不評を吹き飛ばす面白さで、一気に読ませてくれる面白さがあります。

この本は、とくに女性に好かれるストーリーだと感じます。四季折々の江戸の風俗に加えて、登場人物達の織りなす人情や恋心といった人物描写は、切ないストーリーと相まって、飽きのこない物語となっています。
時代物やラブストーリーが苦手だという人にも、ぜひ一度読んで頂きたい一冊です。
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