モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

鳥海山の花図鑑/盛夏3・山頂部

2021年01月20日 | 鳥海山の花図鑑

(本頁は「鳥海山の花図鑑/盛夏2・お花畑」の続きです。)

本項では、概ね七月中旬から八月上旬にかけて咲く花のうち、比較的高所に見かける花を主体に扱ってみた。、

鉾立ルートならば、御田ヶ原、七五三掛から外輪山稜線を経て七高山まで。祓川ルートでは康新道のカルデラ壁など。
何か間違い等にお気づきの方は遠慮なくご指摘頂きたい。

2015/07/11 康新道にて。


2015/07/11 康新道にて。イワブクロ、ホソバイワベンケイ、ミヤマキンバイ、チョウカイフスマなどが混生。



チョウカイアザミ Cirsium chokaiense

チョウカイフスマと並ぶ鳥海山の固有種。丈は40cm~1m。けっして綺麗とは言えないが、独特の存在感が有る。
分布は鉾立ルートならば御浜付近より上、滝の小屋ルートならば河原宿付近から現れ、
上に行くほど多くなる傾向がある。
やや低い場所では千畳ヶ原のガレ沢に群生しており、
雪渓跡地など裸地にいち早く進出する傾向が見られた。
花(総苞)は粘液を分泌しているが、これは何のためだろう。ちなみに食虫植物ではない。

2018/07/20                                2018/07/20 チョウカイアザミのアップ。
 



2018/07/20 
御田ヶ原分岐付近のお花畑。左奥に遠く月山。
ミヤマトウキにチョウカイアザミ、トウゲブキ、ヤマハハコ、ヒトツバヨモギなどが混生。




ミヤマトウキ(イワテトウキ) Angelica acutiloba subsp. iwatensis
やや大型のセリ科。鳥海山では鉾立のような低所から外輪山上部まで広く分布する。

オンタデ Aconogonon weyrichii var. alpinum
御田ヶ原分岐より高所、本体外輪山のガレ場に多い。

ミヤマトウキ 2018/07/20                                                                             オンタデ 2018/07/20
 



シラネニンジン Tilingia ajanensis
下の御浜あたりでも多い。花はハクサンボウフウとそっくりで、場所によっては両種が混生するが、葉の形で識別する。
乾いた岩場にも進出している。

ハクサンボウフウ Peucedanum multivittatum
比較の意味でシラネニンジンと並べたが、生育地は雪渓が融けた後の裸地などやや湿った場所に多い。
なお雪消えの遅い場所では秋に開花していることもある。

シラネニンジン 2015/07/11                         ハクサンボウフウ 2020/07/30
   


ミヤマホツツジ Cladothamnus bracteatus
一般的な高山性低木。鳥海山には特に多いと感じる。
 
ミヤマコウゾリナ Hieracium japonicum
雪渓近くのやや湿った草地から乾いた稜線岩場まで広く見られる。

ミヤマホツツジ 2020/07/30                       ミヤマコウゾリナ2018/07/20
 



山頂が近づくにつれ、花の種類は少なくなるが、代わりに山頂部でしか見られない花たちが出て来る。

イワブクロPennellianthus frutescens / Penstemon frutescens
鳥海山では本体外輪山のガレ場や岩場に分布。
東北では八甲田、岩手山、秋田駒ヶ岳で見られる。鳥海山は分布の南限だが、個体数は多く、
康新道岩場の群生はみごとだ。

イワギキョウ Campanula lasiocarpa
イワブクロ同様、鳥海山本体外輪山にしか生育しない。
ポピュラーな高山植物だが、東北では少なく、鳥海山以外は八甲田、岩手山のみ。
開花期間は比較的長く、初秋にも咲き残っている。

イワブクロの大株 2018/07/20 紅紫色の穂花はヨツバシオガマ。



イワブクロ 2018/07/20                         イワギキョウ 2018/07/20
 



チョウカイフスマ Arenaria merckioides var. chokaiensis

言わずと知れた鳥海山の固有種。月山に少数有るものはかつて鳥海山から移植されたものと聞く。
鳥海山本体、特に康新道には多いが、西鳥海山(御浜、御田ヶ原など)にはホンの少ししか生育していない。

チョウカイフスマの大株 2020/07/30



2018/07/20 イワギキョウと混生。                                                             チョウカイフスマ 2020/07/30
   



アオノツガザクラ Phyllodoce aleutica
チングルマ同様、雪渓の際など湿った場所に多いが、外輪山の乾いた岩場にもけっこう生えている。
また七高山の舎利坂上部斜面の大群生には驚いた。
雪消えの早い場所では初夏から咲いているし、遅い場所では秋に咲くこともある。

ツガザクラ Phyllodoce nipponica
岩場に生えるが数は少ない。

アラシグサ Boykinia lycoctonifolia
ユキノシタ科、花は黄緑色で地味なので見過ごしやすい。雪渓の際など湿った場所でかけるが、数は少ない。


アオノツガザクラ 2015/07/11 舎利坂上部にて。上のピンク花はイワカガミ。



ツガザクラ 2015/07/11 一緒に咲くのはイワウメ。                  アラシグサ 2015/07/11 
 



晩夏と初秋に続く。


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