日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルスの第8波と景気動向

2022年10月29日 10時27分03秒 | 日々雑感
 国内観光を後押しする政府の“全国旅行支援”が10月20日、東京都でも始まった。東京以外の46道府県は既に実施されており、全都道府県が対象地域となった。新型コロナウイルス禍にあえいできた観光業界は歓迎ムード一色であり、テレビのワイドショウも連日観光地の賑わいを報道している。コロナ終息宣言が出されたようだ。 

 一方、厚労省によると、全国の新規感染者数は10月25日までの直近1週間で前週比0.96倍だった。19日までの1週間は連休の影響などもあって前週比1.35倍と増加したものの、現状では横ばいになっているそうだ。都道府県別では、香川、愛媛が1.20倍で最も高く、東京は0.94倍、大阪は0.88倍だったようで、地域差が大きく、今後の推移が気になる。

 23日(日)の全国の新規感染者数は3万815人で、前週同曜日を約1400人上回ったそうだ。感染状況は拡大傾向にあり、すでに第8波が始まっているとの見方が専門家の間でも出てきた。新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も日本でもこの冬、かなり大きなコロナの感染拡大が起きる恐れがあり、これにインフルエンザの流行が重なれば医療体制にさらに深刻な負荷がかかるおそれがある、と警告している。

 新型コロナウイルスは変異が激しく、欧米やアジアで勢力を伸ばしているようだ。欧米では第7波の主流であった「BA.5」から派生した「BQ.1」や「BQ.1.1」などが拡大し、これらが1カ月以内に主流になると欧州疾病予防管理センターは、危機感を強めている。

 米疾病対策センターも、米国内では「BA.5」が依然として感染者の6割超を占めるものの、「BQ.1」「BQ.1.1」が増加し、「BA.4」の派生型である「BA.4.6」も勢力拡大中と発表している。

 シンガポールではオミクロン株の亜種のうち複数のウイルスが混ざった「XBB」の割合が、今月9日までの1週間で感染者の5割超に上っているそうだ。

 水際対策を大幅に緩和した日本国内への流入が懸念されている。人工知能(AI)で感染者数を予測する研究をしている名古屋工業大学の平田教授によると、最新のAI予測では、12月中旬ごろから急増し、1月中旬にピークを迎えると予想しているそうだ。

 目下、全国各地の観光地は紅葉のシーズンを迎え大賑わいであるが、その後には新型コロナウイルスやインフルエンザの大流行が控えていそうだ。新顔のコロナウイルスがどのような特性を有するのか不明であるが、望むのは弱毒化であり、せめてインフルエンザ並みの死亡率となれば、観光地の人出も大きく減ることは無く、諸物価値上がりで暗いムードが漂う日本で唯一の明るさとなろう。2022.10.29(犬賀 大好ー859)

春闘値上げと企業の内部留保のお金

2022年10月26日 09時06分54秒 | 日々雑感
 今年5月の全国消費者物価指数は前年比プラス2.5%まで上がってきているそうだ。黒田日銀総裁は物価上昇率2%のデフレ脱却を目標に異次元金融緩和を続行してきたが、最近の諸物価値上がりは賃上げの伴わない物価値上がりは悪いインフレだとしてゼロ金利政策に執着している。

 内閣府は今年度の経済財政白書で、1人当たりの実質賃金について1991年を100とした場合に2020年までにどれだけ伸びたかを調査し、最も伸び率が高いのがアメリカで1.46倍、次いで、イギリスが1.44倍、ドイツが1.33倍、フランスが1.29倍、であるのに対し日本は1.03倍にとどまっていると発表した。

 あるエコノミストは、日本の賃金をめぐる状況について、長く続くデフレ期で、日本では、企業努力が価格を低く抑えるための労働時間の削減などに向かい、付加価値を生み出すことに向かず、その結果、所得は増えず、日本の平均賃金は諸外国と比べて伸び率がかなり低いと分析している。上記の白書も日本の実質賃金がほとんど上がっていないことを裏づけているが、このエコノミストの分析は賃金が上がらない理由を個々の企業努力の欠如にしているが、本質は別の所にある。

 すなわちゼロ金利政策が企業努力を妨げていると考えている。ゼロ金利政策や最近のコロナ禍における各種補助金で企業は低利でお金を借りられるため、それまでの手法に胡坐をかき、企業内の血の出る改革を怠った。このため世の中の変革に乗り遅れてしまいながらもなんとか生き延びることが出来ているのだ。このような状況下では賃上げは難しい。黒田総裁がゼロ金利政策にこだわる理由が、もし金利を上げると倒産する企業が増え、世の中不景気になるからだとの説も納得できる。

 来年の春闘について、労働団体の「連合」は、このところの物価上昇を踏まえ、ベースアップ相当分として3%程度、定期昇給分を合わせると5%程度の賃上げを求める方針を明らかにした。

 日本企業の内部留保の額が500兆円を超え、過去最高を記録したことを受けて ”賃上げなどによってもっと従業員に還元すべきだ”等といった主張が見られる。内部留保というと、企業が内部にお金を貯め込んでいるイメージを思わせる。しかし、実際には利益の中から法人税等を支払い、株主等への配当を行った後に残った金額で、あくまでも計算上蓄積された数字で、従業員の給与等へは振り向けられないとの解説記事も目にするが、単なる言い訳で素人には従業員の賃上げに還元できない理由が理解できない。

 内部留保は経営陣が将来の不況時に備えて蓄えた金だとの説明もあり、現在の不況時に振り向けられない理由と矛盾する。異次元金融緩和の一つの結果は内部留保の激増だ。従業員の為にこの金を有効に使用するのが、これまでの金融緩和で出来なかった経済活性化だ。2022.10.26 (犬賀 大好ー858)

ロシアの劣勢と核兵器使用の可能性は

2022年10月22日 09時34分29秒 | 日々雑感
 ロシアのプーチン大統領は10月5日、ウクライナ東・南部4州の併合手続きを完了し、10月20日にはこれら4つの州を対象に戒厳令を導入した。占領する4つの州を戦時体制に移行させることで、そこの住民を兵士に動員し南部で反撃を強めるウクライナ軍に対し巻き返しを図りたい思惑があるそうだ。

 プーチン大統領は9月に予備役30万人を召集する部分的動員令を出し、10月14日には、2週間以内に目的の人員を確保できるとの見通しを語り、動員を終了させることを示唆した。この予備役動員には言いながらも一般市民も含まれており、ロシア国内での批判の世論の高まりがあり、これ以上動員できないとの背景もあるようだ。

 このところウクライナ軍の反撃が激しく、ウクライナ東部のハルキウ州の奪還に4州の併合宣言前に成功しており、併合も焦りの表れだとの見方が強い。さて、併合地区の戒厳令を受け、ヘルソン州の親ロシア派のトップは、19日、住民の5万人から6万人をおよそ1週間かけてロシア側などに強制的に移住させると明らかにしたようだ。

 へルソン州はクリミヤ半島の北側に位置しクリミヤ半島への物資の補給のためのロシアとしては絶対に手放せない地域であり、ウクライナとしてもクリミヤを奪還するための重要な地域であるため、その争奪を巡り戦場となる公算が極めて高いからであろう。

 クリミヤ大橋の破壊等のウクライナ軍の反撃に対し、ウクライナ主要都市に計80発以上のミサイルで報復攻撃し、エネルギーのインフラ施設を破壊したようだ。プーチン大統領は14日、攻撃対象の大半を破壊したとして今は大規模攻撃は必要ないと言ったようだがミサイルが枯渇し攻撃できないが本音とのことだ。

 さてウクライナのザポリージャ原発の国有化も宣言しており、核兵器の使用の可能性が高まっていると主張するロシア通もいる。米情報当局はロシアの核兵器保管施設を衛星等で常時監視しており、核弾頭がトラックやヘリコプターに積み込まれたり、核兵器を扱うための特殊訓練を受けた部隊の活動が活発化したりする場合に、それを検知することができるそうで、現時点で大騒ぎしていないところをみると、核兵器の使用の可能性は低そうだ。

 さて、ウクライナ軍の有利さは西側諸国からの武器援助によるであろうが、最近ウクライナへの武器支援を控えている状況もあるそうだ。表向き西側諸国も武器の在庫が無くなってきたとの説明であるが、ロシアを徹底的に追い込むとプーチン大統領は何をしでかすか分からない、すなわち核兵器の使用の懸念が増すからとも憶測される。そこでウクライナ軍を適度に有利にさせておく一方、プーチン大統領に冷静な状態で停戦の交渉の場に就かせるのが現在の最善の方向と考えているとも解釈できる。2022.10.22(犬賀 大好ー857)

日本経済は崖っぷち

2022年10月19日 09時28分26秒 | 日々雑感
 昨年の「文藝春秋」11月号に財務省事務方トップの矢野事務次官が、10月末の総選挙に向けて与野党ともにバラマキ合戦のような経済政策をアピールしていたことを痛烈に批判した。この矢野発言に対し、自民党の高市政調会長は困っている人を助けないのは馬鹿げた話だ、と非難したそうだが、その近視眼的な発想が今なお政界ではまかり通っているようだ。

 すなわちコロナ禍で困っている人を助けないのは馬鹿げた話だとばかり、個人向けや事業者向けに助成金や補助金をばらまいているのだ。事業者向けコロナ補助金では、雇用調整助成金や新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金、等多数ある。

 雇用調整助成金では、今年9月までに不正受給が総額135億円になることが厚労省への取材で分かったとの新聞記事があった。不正が多発する原因として、コロナ下で解雇が急増することを懸念して手続きを簡素化したことが考えられるとあった。数多くの助成金に応募が殺到したため事務手続きの人手不足もあり審査が甘くなり、不正が増えたようである。人は誰でも金が欲しい。簡単な手続きで金が入るとなれば誰でも応募する。行政も、原資は税金であり国の負債が1千兆円を越している現状を鑑みて、今更多少倹約したところで無駄だとばかり大判振る舞いしたのでは無いかと憶測する。

 また、この冬に向けて電気料金やガス料金が更に高騰する見込みであり、岸田首相は値上げの半分程度は国で補助するつもりだと表明した。一般庶民にとって非常にありがたい話ではあるが、原資は国の税金であり、いつかは返さなくてはならないことを忘れてはならない。

 野口悠紀雄氏は著書「2023年、日本の金利上昇は必至! 円安と補助金で自壊する日本」の中で主張している。現在の異常な円安は、日銀が国債の金利を低く抑える金融緩和政策を続けていることによるが、物価上昇率が2%を超える経済下で、長期金利が2%以下とは考えられない。このまま円安が続けば、国内の資金はよりよい投資先を求めて外国へと流失し、日本の国力は衰えていくと、現在の日銀と政府の施策の問題点を指摘している。

 日銀の黒田総裁は今国会の予算委員会でも大規模金融緩和を続行すると表明している。。ゼロ金利政策を止めると、国債が暴落すると共に、中小企業の資金繰りが悪化し倒産が続出するとの恐ろしい予測もあり、日銀は怖くて実施出来ないが本音のようだ。ぬるま湯に浸かったカエルが外に飛び出すのを怖がっている体だ。

 政府も日銀も1千兆円を越える国の借金も今後の経済成長により、何とかなると楽観しているようだが、経済成長を目指さなかった政権は無いが、成功した政権もない。困っている人を助けないのは馬鹿げたことだと、国の借金を増やすことは、将来に大きなつけを返さなくてはならないことを意味している。2022.10.19 (犬賀 大好ー856)


西欧における右派勢力の台頭と日本の現状

2022年10月15日 10時40分47秒 | 日々雑感
 イタリアでは9月25日の総選挙で極右とも称されるイタリアの政党が勝利した。また、フランスでは極右とされるルペン氏の人気が高まっている。このように欧州における右派勢力の台頭が目覚ましい。しかし、極右と言っても、従来の極右政党に見られるような暴力主義的な傾向や、デモクラシーや議会主義に対して否定的な立場をとることは基本的には無い。本音がどこにあるか分からず、人々の人気を集めるために、穏健な政策を掲げているだけだとの説もある。

 西欧において台頭する右派勢力の共通する主張は、「反移民」「反既成政党」「反エリート」であり、そうした主張はグローバリゼーションによる経済格差の拡大、移民受け入れや多文化主義への批判であり、基本的には自国第1主義である。

 既成政党や政府の諸機関は特権的エリートの利害を代表していると批判・非難し、自分たちの政党だけが一般大衆の利益を守ると主張する、反エリート政治運動であり、ポピュリズムである。米国の前大統領トランプ氏も同様である。

 日本の代表的な右派と言えば「日本会議」であろう。主な主張は・先の戦争は侵略戦争ではない、・押しつけ憲法を破棄し、自主憲法を制定、・首相の靖国神社公式参拝実現、・夫婦別姓法案反対、等国家主義的で、そこには西欧の右派におけるような主張はない。せめて共通点を見出すとすれば、自国第1主義であろうか。

 日本では、最近外国人労働者が増えていると言っても西欧程でなく、反移民の声もほとんど聞かれない。しかし、今後日本の出生率の低さによる生産労働人口の減少を補うため外国人労働者を一層増やしていくだろう。10年後位には反移民の声が高まるかも知れない。

 それよりも日本で可能性が高いのは反エリート政治運動であろうか。現在の国会議員、特に自民党の政治家に世襲が多く、4人に1人は世襲議員らしい。岸田現首相も政治一家だし、次期首相候補とされる林芳正外相の父である義郎氏は大蔵大臣、等を歴任した政治家であり、河野太郎広報本部長の父である洋平氏は内閣官房長官、等を歴任し、福田達夫総務会長の父は第91代内閣総理大臣であった。また国民的人気抜群の小泉進次郎総務会長代理の父元首相の純一氏である。

 当面日本を指導する首相は二世議員となりそうだ。またつい最近、岸田首相の長男が公設秘書に就任したとの報道があった。政治家としての知識を今から学ばせるためとのことだ。

 国会議員の世襲の弊害は時々マスコミでも取り上げられるが、二世議員は今後増えることはあっても決して減りはしないであろう。このような背景で西欧におけるような右派勢力の台頭は日本でも大きくなりそうであるが、既存の右派勢力とは全く違ったものになろう。2022.10.15(犬賀 大好ー855)