日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

受験戦争が経済を発展させる側面があるが

2024年03月31日 15時46分34秒 | 日々雑感
 SNSの発展と共にクリエータなる人物が活躍する等、学歴不要の社会が徐々に広がりつつあると思うが、学歴が物言う社会は依然として存在し続ける。その為親は子供の内から少しでも良い学校に入れ少しでも良い企業に就職させようと受験戦争に参加させる。学歴が重視される企業は概して大企業や官庁であり、組織が大きいため人事が平準化され学歴が評価の重要な要素として残るからである。

 金のある親を持つ子供は早くから家庭教師や塾に通うことが出来るため、受験戦争に有利となるが、それでも入学試験は公平な基準の下に実施される公平な競争である。世の中いろいろな競争があるが、受験戦争ほど公平な競争は無く誰でも参加できる。

 経済発展の急な国では、貧しい若者は貧しさから抜け出すために受験戦争に勝とうと必死に勉強するが、逆にこの競争が経済を発展させる原動力になるのだ。社会の階級が固定化され、貧富の差が固定化され、競争する場が無くなると、社会の活力が無くなるだろう。経済発展の急速な国では、良い大学に入り、良い会社に就職し、高い収入や安定した生活を手に入るのが人生の目標となっている。

 受験戦争は小学校の入学前からあるが、本番は大学の入試試験である。それぞれの大学には独自の選考基準があるが、その選考の対象となるためには国の統一テストに受からなくてはならない。日本では共通テスト、中国では高考(ガオカオ)、韓国では通称スヌンと呼ばれる大学修学能力試験、そしてインドではJEEと称する全国共通テストがある。全国的に統一された共通テストにより、各大学は今まで実施が難しかった独自の小論文や面接を導入する余裕ができる非常に有用な選考システムとのことであるが、このことが受験戦争を一層厳しくしている側面があるのではないだろうか。欧米の国では統一テストの話を聞いたことがないが、その違いは何処から来るのだろうか。

 中国では都会に生まれ、親の代から金銭や人脈に恵まれている人は最初から勝者である一方、そうでない人や農村の若者はこの階層を超えることは至難の業である。しかし、難関の大学に合格すれば階層の壁を越えられる可能性があるため、必死で勉強するのだ。

 インドではカースト制度の影響もある。カースト差別は憲法で禁止されているとは言え、インド社会には今も強く残っており、特に農村部では被差別カーストが世襲の職業以外に就くのは難しいのが現状であり、都市部でのIT業界なら、職業カーストの枠を乗り越えて才覚と努力で社会的な成功と高給を手にするチャンスがあるそうだ。

 日本でも受験戦争が激しいと言っても中国やインド程では無いだろう。この競争が人間としてみた場合健全に作用するかは別問題であるが、経済的な面では競争の激しさが経済発展に繋がると思える。

 今現在中国は経済が不況で難関大学を卒業できても就職は希望通りにならない若者が増えており、インドでも激しい人口増があり若者の就職難が深刻な社会問題となっているそうだ。中国やインドの若者が日本に押し寄せた場合、日本の大学の真価が問われることになるだろう。
2024.03.31(犬賀 大好ー995)


学歴を必要としない社会はどこまで拡がるか

2024年03月27日 09時53分19秒 | 日々雑感
 少子化時代で誰でも進学できる環境になっていると思われるが、少しでも良い学校に入れ、少しでも良い企業に就職させたいと考える親も多く、受験戦争は一向に収まらない。一方では不登校の生徒も増え社会問題化している。不登校の原因として、勉強についていけない等があるが、勉強についていけない訳でもなく、友人とトラブルなどがあった訳ではないのに、なぜか学校に行きたくないと言う子どもも結構いるようで、学校の先生方も対応に苦慮していると聞いたことがある。また、少子化で子供を大切に扱う風潮が強く、これを反映してか、最近、無理をしてまで学校に行かないくていいという親も増え、ポジティブな理由で不登校になる生徒も増えているようだ。

 このようにして不登校となった学生の受け皿の一つとしてフリースクールや通信制の学校がある。フリースクールとは 一般に、不登校の子供に対し学習活動等の支援を行っている民間の施設を言い、その規模や活動内容は多種多様であり、独自な教育方針の下にされているようだ。通信制の学校ではレポート作成を中心に自宅で学習をし、最低限の登校日数で卒業出来るのだそうで、本人のやる気さえあれば、通学しなくともそれなりの知識や技術は身につくと思われる。

 これらの学校は不登校の学生の増加と共に今後もっとも増えていると思われる。ただし無気力が理由で不登校になっている学生に何かやる気を期待するのは土台無理な気もするが、何か本人にやりたいことがあるが今の学校の授業に合わなくて不登校になっている学生にとっては、これらの組織は大いに役に立ちそうである。

 最近はやりのクリエーターなる人物は、芸術、デザイン、音楽、映像、文学など、多岐にわたる分野で活動している。自身の視点や感性を活かし、既存の枠組みを超えた常識にとらわれない作品やサービスを創出する。文科省の統括する義務教育では同質の人間を育てることに重点が置かれているので、常識にとらわれない人間の育成には適している。

 またユーチューバーもクリエーターの一種かも知れない。その中にはインフルエンサーと呼ばれる数百万人のチャンネル登録者を持つ者も存在し、多くの視聴者の興味を引きつけ、楽しませてくれる憧れの存在ともなっており、当然学歴は無用だ。

 最近多様性とかインクルージョンなる言葉が使われ、個人の違いを認め合い、尊重し合う社会の実現が叫ばれているが、概して学歴を重視する社会は組織で動く社会であり、業務を遂行するのに効率が良いため、簡単には無くならないであろう。

 一方、クリエーター等の新しい仕事が増えており、学歴不要の社会も増えつつある。最近注目される生成AIなる人工知能がどちらに有利に働くか分からないが、世の中は急激に変化しつつあることは間違いない。
2024.03.26(犬賀 大好ー994) 

中国経済の立て直しのための融和外交は一時的な姿勢に過ぎない

2024年03月23日 10時21分34秒 | 日々雑感
 中国のGDPは1990年以降約25年間10%前後の高い成長率を誇ってきたが、2020年にはコロナ禍で2.2%と急落した。その後経済の立て直しを急ぎ、今年の中国の国会にあたる全人代では去年と同じ5%前後の高い経済成長率を目標としたが、若者の失業率増加、デフレの兆しなど失速する中国経済の厳しい実態は、かつて日本が経験した、バブル経済崩壊後と同様になりそうだ。

 中でもGDPの4分の1を占めると言う不動産市場は泥沼状態の不況に陥っている。主要都市の多くで、住宅価格の下落に歯止めがかからない状態となっており、中国の不動産大手・恒大集団が香港の裁判所から会社を清算するよう命じられているが、中国本土ではそこまで至っていないが不振に喘いでいることは間違いないだろう。加えて、不安定な経済状況を反映し若年層を中心に就職難が加速し、去年6月には若者の失業率が21.3%と過去最悪を更新したそうだ。

 中国経済の苦境の原因の一つは消費の低迷だそうだ。中国の国内事情はかっての日本同じデフレ状況になっており、賃金は上がらず国民の購買力が減っている。それが景気に悪循環をもたらしているのだそうだ。北京では、激安ファストフード店が連日にぎわいを見せているそうだ。

 日本のデフレ脱却は赤字国債の発行による経済への刺激策であるが、その結果国の借金は1千兆円を越しGDP比で約260%となってしまい、最近デフレ脱却となりそうな情勢とはなっているが厖大な負の遺産に今後苦しむことになるだろう。中国の債務残高は公式には約77%としているが、“地方政府の隠れ債務”があると言われており、それを足すとおそらく数年後には150%と程度になる見込みだそうだ。それでも日本よりマシな気がするが、そんな表に出ていない債務が経済の足を引っ張っている状況にあり、経済の立て直しは容易ではなさそうだ。

 更に中国は厖大な人口のため1970年代から30年以上一人っ子政策を取ったが、最近その影響で子どもの数が非常に減っており、2022年末時点で、中国にとって61年ぶりの人口減少になった。世界一の人口大国である中国は初の人口マイナス成長を迎え、人口増による景気促進効果の人口ボーナスはなくなりつつあり、これも経済低迷の原因だそうだ。

 また、中国はこれまで外国資本を積極的に導入し経済を盛り上げてきたが、今は海外の企業が習近平政権の締めつけ政策により“撤退”とは言わないまでも“様子を見る感じ”になっており、これも経済低迷の原因となっているのだそうだ。

 中国政府はこれまで国内の混乱を外部に敵を作ることにより国内を纏める戦略を取っていたが、経済浮上のため最近は習近平国家主席は中国の外交を融和的な方向へ変えつつあるのだそうだ。緊迫化する中東情勢への対応に専念したい米国とすれば、こうした中国の姿勢は大歓迎だが、ただ複数の専門家の話では、中国の軟化は長期的な外交政策転換のシグナルとは言えず、すぐに従来の様々な国際的軋轢が復活する公算が大きいと述べている。
2024.03.23(犬賀 大好ー993)

文科省は不登校生徒数の増加の原因追及とその対策を急げ

2024年03月20日 09時23分14秒 | 日々雑感
 文科省は昨年10月、「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果を公表した。それによると、小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人であり、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多となったとのことだ。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%もあり、近年不登校の生徒が増えているとのことだ。学校に行くことがすべてではないが、少子化時代であるがゆえに考えさせられる問題だ。

 ある調査によると、2023年7月21日~8月2日に不登校の経験を持つ296人を対象に、インターネットを利用して不登校となる原因を調査したところ、不登校児童が「学校に行けなくなった原因」でもっとも多かったのが「いじめ」30.4%で、ついで「友人関係」22.6%、「先生との関係」11.1%、「体調や病気」8.8%、「勉強や進路の悩み」7.1%、と続いたそうだ。

 しかし、2020年の文部科学省の調査では、小学生の不登校原因の上位は、「無気力・不安」46.3%で、「親子の関わり方」「生活リズムの乱れ・遊び・非行」の順となっており、中学生の場合も原因の1位は「無気力・不安」47.1%で、その割合は5割弱にのぼっている。なんとなく行きたくないという無気力状態の子が多くなっているのが近年の傾向と分析している。ここには「いじめ」との文言は見当たらない。

 また、文部科学省が昨年10月4日に発表した調査では、不登校の理由がいじめという小中学生の割合は、不登校全体の0.3%だったそうだ。この結果について有識者や支援団体は実態と懸け離れていると指摘しているが、以前不登校児童対策に携わった筆者から見てもこの0.3%は低過ぎる。

 文科省の調査は各学校に依頼しその結果を集計するだけであろう。学校はいじめの発生が学校の教育方針に問題があると判断されるのを恐れ、いじめがあっても過小評価する傾向にあるだろう。普段から学校は教育委員会の意向に戦々恐々としているのだ。

 そもそも、いじめの定義が人によって異なるのも問題を複雑化している。いじめをからかいやちょっかいと見る人から集団で暴力をふるうことと考える人もいる。一方いじめられる方も、からかいを冗談と受け流す人から心の傷となり不登校の原因になる人までおり、非常に幅が広い。

 それぞれの調査におけるいじめの定義がどのようであったか分からないが、兎も角、「当事者である児童生徒に直接聞くなど調査方法の見直しを」と有識者が訴えているのは至極当然である。先述のインターネットによる調査結果のように、もし本当にいじめが不登校の原因の1/3程度を占めているとすれば、由々しき問題だ。いじめは対策のしようがあるので、実体を早く掴んでもらいたいものだ。

 文科省も原因の第1が無気力であるならばなぜ無気力になっているかの原因を突き止め無くてはならない。いじめの定義を明確にした上で、調査も学校へ丸投げではなく、直接生徒に聞く等の手段に変えるべきだ。原因が分からなくては対策しようがない。
2024.03.20(犬賀 大好ー993)

中国、韓国における受験戦争と日本の受験戦争

2024年03月16日 09時32分43秒 | 日々雑感
 毎年2月、3月になると若者のいない老人家庭にも学習塾の勧誘ビラが舞い込み、受験戦争の厳しさの一端を感ずるが、中国や韓国の方がその激しさからマスコミを賑わしている。

 現在、中国は共産主義社会と言え超学歴社会とも言われているのだそうだ。高考(ガオカオ)とは、中国の大学入試のことで、正式名称は「普通高等学校招生全国統一考試」で、日本で言うところのセンター試験や共通テストに該当するのだそうだ。受験生は高考の受験後、自己採点の結果を受けて志望大学に応募するが、大学に合格できるかどうかは高考の結果にかかっており、高考は人生の一大事と言われている所以だそうだ。

 中国社会では、有名校に入って高学歴を身につければ、よい就職ができて高い社会地位を手にすることができるという認識が強く、この認識は日本人にも今なお当てはまると思うが、特に中国人の間には昔の科挙制度が文化として心に深く沁み込んでおり、一層強いのではないかと想像する。

 科挙制度とは、6世紀の隋の時代の高級官僚を登用するための試験制度が始まりで、1904年の清朝末期に廃止されるまで、1300年以上続いたそうだ。優秀な人間を選抜するとともに、体制を強化するのが目的であったのであろうが、王朝が何代に亘って代わってもこの制度が存続したところを見るとこの制度が大いに役立ち、現代人の間でも高考は科挙と同一とみる文化が強く残っているのであろう。

 実際、中国の大企業や政府機関は基本的な採用基準を大学院卒業以上と設定しており、中小企業であっても四年制大学の卒業程度の学歴が求められる。そのため、都市部の中間層以上の家庭では子どもを双語(中国語と英語を使用する)幼稚園に通わせたり、受験生に1時間1000元(約2万円)以上の高額な家庭教師をつけたりすることは当たり前となり、一部の都市では、子どもが高校2年生になる頃から、通学時間を少しでも省くため高校のすぐ近くに勉強部屋を借りることも珍しくない程、受験戦争が激しいのだそうだ。

 一方、中国文化の影響の強い韓国でも科挙制度の影響が色濃く残っているようだ。韓国では大学修学能力試験と称する日本の大学入学共通テストに相当する試験があり、名門大学に入って大企業に入ることが人生の成功と言われるほどの学歴社会だそうだ。日本のように複数の大学を併願することができず、この試験一つで大学進学が左右される、強いては人生が左右されることは中国と同じである。遅れそうな受験生をパトカーが送り届けるといった光景も毎年日本でも紹介され、学歴社会・韓国を象徴する社会現象でもある。このため、子どもたちは幼いころか塾通い地獄とも呼ばれる厳しい受験競争に臨み、子どもには十分な教育をさせないといけないというプレッシャーが、韓国で出生率を低下させる1つの要因にもなっているそうだ。

 さて、日本の受験戦争は少子化時代で平穏になっていそうだが、学習塾間では子供の取り合いで逆に厳しくなっているのかも知れない。
2024.03.16(犬賀 大好ー992)