日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ロシアのプーチン大統領の焦り

2022年02月26日 10時05分33秒 | 日々雑感
 2022年2月22日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ領土である東部2州の独立を承認した。これまで、ウクライナの国境近くに20万人近い軍隊を配置し、ロシアがすぐにでもウクライナ全土に侵攻すると匂わしていたが、まず手始めに独立承認をしたのだ。独立国として承認した上で、国としての安全を確保するためにそこに軍隊を派遣すると宣言している。西側諸国は国として認めておらず、軍隊を駐留させるとなると正に侵略そのものとなる。

 大統領は24日、テレビ演説でウクライナ東部への軍事作戦を実行すると発表した。ロシアの複数の国営通信社は「ロシア軍は、ウクライナの軍の施設や飛行場を高性能の兵器によって無力化している」と攻撃開始を明らかにしたが、東部だけではなくウクライナ全部に攻撃を仕掛けたのだ。

 日本のロシア専門家も当初、ロシアの軍事侵攻は、合理的な理由が無く、起こりえない、という見方をしていた。プーチン大統領はNATOの拡大阻止を口実にして、20万人近いロシア軍をウクライナ国境付近に動員していたが、全土への侵略はリスクが大きすぎる為単なる脅しと理解していた。

 一方、米国バイデン大統領は近日中に侵攻を始める筈としばしば発表していた。大統領は単にロシア牽制のために発表しているのと思っていたが、24日ウクライナのあちこちで侵略が始まったのは意外であった。

 侵略は、まず国外からミサイル等によりウクライナの軍事施設を破壊して制空権を確保し、次に兵員をヘリコプターで移送する段取りのようだ。もしウクライナがNATOに加わっておれば、西側諸国から反撃があったであろうが、プーチン大統領はこのことをちゃんと計算に入れていたのだろう。

 それにしてもプーチン大統領のこの決断はロシア国民にとって何のメリットがあるのだろうか。大統領は他に選択肢が無かったためと演説し、ウクライナ国内のロシア人保護とか、NATOの拡大阻止とか、主張しているがどれもロシアの国の為というより、自分の為との感が強い。大統領支持率が上がったとの情報もあるが、ロシア国内でも戦争反対のデモが起き、これを必死に鎮圧しているようだ。

 今回の戦争はハイブリッド戦争と称されるそうで、武器を用いた殺し合いの他、情報戦が激しいとのことだ。ロシア国内では政府批判の声はほとんど禁止されているのであろうが、情報は国境を越えて周辺の国からいくらでも入る。

 プーチン氏個人にとって都合の良い情報をロシア国民が疑うようになった現実を何とか変えるためには、外敵を作るのが最も良いとの焦りの判断が、他に選択肢が無かったとの表現になっているのではないだろうか。2022.02.26(犬賀 大好ー793)

五輪代表選手の国代表の国籍とは何だろうか

2022年02月23日 10時16分00秒 | 日々雑感
 20日に閉会式が行われた北京五輪で特に印象に残ったのは出場する選手の国代表としての国籍の分かり難さだ。国籍とは個人と特定の国家を法的に結びつける証であり、誰でもどこかの国の国籍を有している。

 オリンピック選手もどこかの国の国籍を有し、その国の代表として出場している筈だ。その国の国籍を有するためには、両親がその国の国籍を有しておりその国で生まれることが一般的であるが、例外はいくらでもある。例えば両親が自身の国籍とは異なる地で子供を産んだ場合の生まれた子供の国籍や、国籍の異なる人同士が結婚した場合の国籍等、であるが国際的に決定されている訳では無く国によっても規定が異なる。

 また、一度決定した国籍を変更することも可能である。帰化と言う制度であるが、基本的には本人の希望に基づき国家が国籍を付与する場合である。しかし、国際的に統一された法律では無く、定められた条件を満たせば帰化できる場合、定められた条件を満たす場合でもなお帰化の決定について行政機関に一定の裁量が認められる場合もある。

 さて、北京五輪であるが、アイスホッケーの中国の今回のメンバーで帰化選手が男子代表25人のうち15人、女子代表では23人のうち13人であったそうだ。このような構成のチームで男女ともに成績が振るわなかった上、無観客試合であったため、中国国内でも盛り上がりに欠けていたようだが、もし有観客でメダル獲得でもした場合、国民の熱狂的な歓喜があり、国威発揚の場となっていただろうか。

 オリンピックが”参加することに意義がある”の本来の趣旨を離れ、国威発揚の場と化したことが選手の職業化等の様々な問題を起こしており、今回のロシアの15歳少女のドーピング問題もその一つである。

 法律的には同じ国籍を有する国の代表チームであるが、実質多国籍チームの場合、国威発揚の場とはなり得ないと思われ、行き過ぎた国威発揚が抑えられると思うと、これもありかなと思う。

 中国ではアイスホッケーは歴史が浅く、選手がいなかったためこのような構成を取らざるを得なかったのであろうが、オリンピックは国代表の競争であることを考えると、複雑な思いとなる。

 フィギュアスケートの男子シングルで優勝したネイサン・チェン選手は中国系アメリカ人であり、フリースタイルスキーのビッグエアで優勝した谷愛凌選手は米国出身であるが中国代表となっていた。元々はロシア代表としてジュニアの試合に出場していたが、国籍を変更し、アゼルバイジャン代表になっていた選手もいた。

 このような傾向は益々大きくなると思うが、オリンピックが世界一を競う大会であるならば、国代表と言う規制を外し、何か別の出場条件を設けても良いのではないだろうか。2022.02.23(犬賀 大好ー792)

ロシアのウクライナ侵攻は本気とは思えないが

2022年02月19日 09時21分53秒 | 日々雑感
 冬季北京オリンピックが開催中でお祭り騒ぎであるが、ロシアのウクライナへの侵攻があるのではと世間を騒がしている。この影響は国際社会に及ぼす影響は計りしえず、日本も対岸の火事では済まされない。

 米ホワイトハウスの報道官は14日の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻が”今週中に始まるかもしれない”と述べた。ロシアの侵攻の可能性は、ウクライナ国境付近に10万人以上の軍部隊を集結させ、毎日のようにその規模の増強を続けているからだそうだ。

 米国経済に影響される日本の株価は乱高下し、また政府は今月初めロシアがウクライナに侵攻して天然ガスの欧州向け供給が途絶える事態に備え、日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の一部を欧州に融通する検討に入ったそうだ。

 ウクライナは多民族国家である。主な民族はウクライナ人で、全人口の約8割を占め、ロシア人は約2割を占めるそうだ。第2次世界大戦後ソ連に併合されたが、ソ連崩壊後に独立した。

 ウクライナは北をベラルーシに、東はロシアに、南は黒海に突出たクリミヤ半島に、そして西はポーランドに囲まれている。ベラルーシは親ロシアであり、クリミヤ半島は元々ウクライナ領であったが、2014年にロシアがクリミア半島を併合したため、3方をロシア勢に囲まれていることになる。

 一方、ロシア側からすれば、ソ連崩壊後親ロシアであったチェコ、ハンガリー、ポーランドが北大西洋条約機構(NATO)の加盟国となり、西側勢力が次第にロシア本国に迫って来ている危機感がある。更にウクライナもNATOに加盟する可能性があるため、プーチン大統領は、ウクライナ侵攻をちらつかせて、西側諸国にNATO勢力を拡大をしないように迫っている訳だ。

 ウクライナ侵攻のもう一つの理由はウクライナ領のロシア人支援だ。ロシア人はクリミヤ半島や東部に多く、クリミヤ半島を併合したのもその為であり、東部の地域における独立運動も応援している。

 ウクライナがなぜNATOに加入したがるかは、ロシアの影響から逃れる為である。一つの国として纏まるためには、優れた指導者が自分の意見で突っ走ることが出来れば効率的であるが、そう出来るのは、国の存亡が問われる時くらいであろう。平時には様々な利害が衝突し、様々な意見を調整するためには時間をかけて議論する必要がある。

 ロシアや中国のように様々な意見を強権で封じ込めるのは、民主主義とは真逆の行為であり、自分の意思が反映されないことは、兼好法師が「徒然草」の中で言っているように”もの言わぬは腹ふくるるわざなり”であり、人間の本能に反する行為である。

 ウクライナ情勢は、ロシア軍の更なる兵力増強や逆に一部撤退等の情報が入り乱れており、どのように推移するか不明であるが、恐怖からくる偶発や過激派の挑発等が前面衝突に発展するのが戦争の常だ。
2022.02.19(犬賀 大好ー791)

五輪選手の低年齢化と人生100年時代

2022年02月16日 09時13分13秒 | 日々雑感
 2月16日現在、冬季北京五輪開催中である。4年に一度の開催で参加選手は人生を賭けて奮闘しているが、若くして金メダルを勝ち取った人が今後の長い人生をどう生きるかに関心が向かう。

 オリンピックの近年採用された新種目に十代の若者の活躍が目を引く。スケートボードやスノーボード等で顕著であり、幼児の頃より練習に励み、十代にして世界のトップレベルに到着した者もいる。十代で活躍できることは、年齢的に若い頃がその運動に適しているからであり、当然引退年齢も低いだろう。プロ野球選手も大抵30代で運動能力の限界に達し、40代での現役選手は極めて珍しい。十代でも優勝可能な競技の引退年齢は当然もっと若いに違いない。

 さて問題は若くして現役を引退した選手のその後の生き方である。人生100年時代、人生の大半を別の生き方をしなくてはならない。オリンピックやワールドカップの国際大会で優勝すれば有名になり現役を退いても生涯指導者として、あるいはマクコミに登場して生活できるかもしれないが、そうできるのは一握りの者だけであろう。

 プロスポーツと言えば、相撲、プロレスやプロ野球が古くからあり、これらのスポーツにおいてはエンターテイメントとして確立しており、営業から人事、資材と幅広く、引退選手を受け入れる余地も十分にある。そのためか近年スポーツのプロ化が盛んであるが、興行として成り立つのは容易でない。

 スポーツは元来自らが楽しむための道具であり、プロスポーツは他人に見せるためのエンターテイメントである。スポーツを生涯の仕事にしようすれば、技能の他に人を楽しませる才能も必要だ。しかし、トップレベルの才能でなければ、経済的価値がほぼ無いことが問題である。

 学校は人格形成のための教育の場である。そこでの教育の一つとして体育すなわちスポーツがあるが、あくまでも多くある教程の一つである。そこで天才教育あるいは英才教育と称してあるスポーツに集中させるのは人格形成上問題が生ずると懸念する。

 今回の北京五輪のスケートフィギアーで優勝を逃した羽生選手は、記者会見で今後の現役生活について、今はどうでもいいと思っていると、述べたそうだが、今後どう生きるかに迷っていると思われる。

 普通の人間が60歳で定年退職し人生100年時代をどう過ごすか、迷っている人が大半だと思うが、20や30歳で現役引退するとすれば、その後の人生が他人事ながら心配になる。
2022.02.16(犬賀 大好ー790)


2030年冬季五輪札幌招致と東京五輪の反省

2022年02月12日 09時01分09秒 | 日々雑感
 2月12日現在、冬季北京五輪開催中である。次の冬季五輪はイタリア北部の都市ミラノで初であるが、1956年に冬季五輪を開催したコルティナ・ダンペッツォと共同開催することになったのだ。成熟都市での開催は、国家発揚の場ではなく、地域のインフラ整備等地域振興が目的と変わってきているようだ。

 ミラノの次の2030年の大会に札幌が手を挙げている。前回1972年大会開催を機に冬の観光都市、札幌を打ち出し成功した。今度は成熟した札幌市として一層の成果を上げることが目的のようだ。

 2030年は東京五輪からわずか9年後であり、常識的には招致は難しいように思えるが、冬季五輪の立候補国が少なくなっている現状、意外に実現されるかも知れない。財政基盤がしっかりしているため、IOCとしても歓迎するだろうが、招致のためには市民の協力を得なくてはならない。

 五輪開催は莫大な費用を必要とするため、地元住民の反対が強い。このため、世界の主要な候補地も軒並み立候補を断念している。札幌招致での最大の問題は住民の開催意欲だ。、札幌市は、北京五輪が追い風になると期待し、住民アンケートを3月にも実施する予定のようだが半数以上の賛同が得られるとは思えない。

 札幌市は昨年11月末、2030年冬季五輪・パラリンピックの大会概要案を公表した。これまで3100億~3700億円と試算していた開催経費を最大900億円削減し、2800億~3千億円とするとした。今夏の東京五輪では開催経費の肥大化に批判が高まったことから、招致への市民の理解を得るため、既存施設を有効活用する方針だそうだ。

 東京五輪に対する組織委員会の総括はコロナ感染が拡大せず予定の全種目を実行できたことで大成功と位置付けているが、日本の国、あるいは東京都としての総括はどうであろうか。

 東京五輪でも当初既存施設を活用するコンパクトな開催の予定であったが、国立競技場の建て替え等、施設の新設等が目立ち、五輪後の維持費用に頭を痛めているとのことだ。東京五輪の招致目的は、東日本大震災からの復興記念とか、新型コロナに打ち勝った証とか二転三転したが、行政側の真の目的である湾岸地域の再開発等のインフラ整備は実施された。

 東京五輪はコロナ感染と重なる不運があり、観光客増大による経済効果は無くなってしまった。2030年札幌五輪は疫病の感染より、地球温暖化による異常気象の方がリスクが大きい。

 今年は異常気象で例年になく雪が多いそうだが、近年は記録的な雪不足が北海道各地での冬のイベントやスキー場を直撃している。東京オリ・パラ組織委員会の橋本会長は、持続可能な札幌市をつくりあげていく転換期になる五輪を見てもらいたい、と抱負を語るが、五輪成功より、インフラ整備が目的のようだ。2022.02.12(犬賀 大好ー789)