日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

聖火リレーがオリンピックの起爆剤になるか

2021年03月31日 09時39分28秒 | 日々雑感
 東京オリンピックの聖火リレーが3月25日に始まった。菅首相は、福島県のサッカー施設で行われる聖火リレー出発式典を欠席したが、現在コロナウイルスの感染が再拡大する兆候が全国各地に見られ、五輪に浮かれている場合ではないとの世論を懸念しての判断であろう。

 しかし、文書で五輪について”人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会として、安全・安心な大会を実現するという決意は変わっていない”と改めて開催を強調したそうだが、そもそも聖火リレーは何のために行うのであろうか。

 首相も”広く日本中の皆様に大会が近づいていることを実感していただく貴重な機会として、聖火が全国を巡ることを期待している”と言っているように、全国各地を巡業することにより国民のオリンピック開催ムードを盛り上げる起爆剤としたいためであろう。

 実際有名人の登場するリレーには、大勢の観客が蜜状態に集まり、コロナ感染が心配される程である。余りに多くの人が集まった場合、その場のリレーをスキップするとの主催者の発表であるが、主催者としては五輪の起爆剤とするためには多くの人が集まった方が良いに決まっている。

 スキップの例は未だ聞かれない。マスクをしている人々が蜜状態に集まってもお互いに会話が無ければ感染リスクもそれほど高くならないとの判断かも知れないが、問題は気の緩みである。主催者がこの蜜状態を容認すれば、それをテレビ等で見る人は当然この程度のことかと思い、影響が感染リスクの高い飲食関連にまで及び、感染拡大は全国に及ぶであろう。

 さて、東京五輪の開催に対する世論は、3月22日の朝日新聞の調査では、「今年の夏に開催する」は27%、「再び延期する」が36%、「中止する」が33%だったそうだ。今夏開催希望は1月調査11%→2月調査21%→3月調査27%と徐々に増えているが、聖火の全国リレーの効果で賛成者が爆発的に増えるようには思えない。

 大手マスコミは、連日聖火リレーの様子を放映するが、リレーの全体像に関してはほとんど触れていない。ネットには、初日の25日に沿道で目にしたのはランナーより目立つスポンサー車両によるお祭り騒ぎだったとのニュースもある。

 リレーを先導する宣伝車両は早歩きくらいのスピードでのろのろ進む。その周りで、マスクを着用した10人ほどのスタッフがダンスを披露する等してお祭り気分を盛り上げている。この日、リレーの沿道での印象は「商業五輪」「スポンサーファースト」だったそうだ。

 聖火リレーそれ自体が多額の協賛を受けた広告イベントだからやめるわけにいかないであろうが、リレー後の組織委の会見で「これが復興五輪、ウィズコロナにふさわしい演出なのか」との質問に対し、中村大会開催総括は「そういった意見を地元と相談して、みんなにとって良い聖火リレーにしたい」と淡々と答えたそうだが、恐らく大幅な変更はないだろう。

今朝も主要なニュースは、聖火リレーとコロナ感染拡大の相矛盾する話題だ。菅首相の悩みは尽きない。2021.03.31(犬賀 大好ー690)

再度の緊急事態宣言を避けるためには

2021年03月27日 14時51分00秒 | 日々雑感
 3月22日より、新型コロナウイルス感染に対する緊急事態宣言が解除されたが、解除の理由の一つに、このまま続けても収束する見込みが無いことがあった。確かに、コロナ慣れやコロナ疲れがあり、個人的には緊急事態宣言も他人事であった。

 国の緊急事態宣言が解除されても、26日現在、東京のみならず大坂や愛知県、宮城県や山形県等では感染者が徐々に増え始め、第4波の予兆が出始めている。

 感染再拡大を懸念し、政府は変異ウイルス対策強化など「5本柱」の総合的な対策を決めている。①飲食を通じた感染の防止策継続、②変異ウイルスの監視体制の強化、③感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査、④安全・迅速なワクチン接種、⑤次の感染拡大に備えた医療体制の強化、が5本の柱である。

 この中で③以外は特に目新しさは無く従来からの継続である。③に戦略的と称する言葉が出てくるが、これまで場当たり的な対処策が目立っていたためこの言葉に大いに期待するが、感染再拡大防止に役立つようよく考えて欲しい。

 さて具体的な防止策の一つに、変異ウイルスの感染状況を把握するため、全陽性者の10%程度を抽出して行っている検査を、40%程度に引き上げるとしている。ここで言う検査は遺伝子配列の解析で変異ウイルスを発見するとの事であろうが、10%を40%に引き上げたところで、PCR検査の対象を広げた上での話でなければ、感染状況の把握に余り繋がらないだろう。

 また、無症状者に繁華街などで幅広く行う検査を4月には1日5千件規模に拡大し、高齢者施設などへの集中的な検査も今月末までに3万カ所で行うとした。PCR検査の必要性は1年以上前から言われていたことであり、ようやく重い腰を挙げた感であるが、今後の実行に大いに期待する。

 これまでPCR検査は、費用がかかる、信頼性が低い等の理由により絶対数が増えなかった。無料で何回でも受けられる国もあり、日本で何故実施しないのか不思議である。今宮城県等で感染が拡大しているが拡大の元凶は隠れ感染者の存在であろう。宮城県全県民にPCR検査を実施すれば、隠れ感染者の人数推定、分布状況、年齢構成、等が分かりその後の対策方針も明らかになって来るだろう。

 最近民間の安い検査キットも出始めているようであり、これらのキットは感染研のPCR検査より精度は悪いかも知れないが、日々精度は向上しているに違いない。これらのキットの活用また複数人数を纏めて検査するプール方式を採用すれば費用は抑えられるだろう。

 更に、感染者個人が特定されない程度、例えば感染者の町名等を公表すれば、もっと身近なものと感ずるようになり、感染慣れに対する刺激剤になるだろう。

 また、報道番組等を見ていると、最近も大学や民間の検査機関の活用を主張するコメンテータがいるが、単なる認識不足か、本当に未だに縄張り意識、特権意識が払拭されず幅広い活用が出来ていないのか不明であるが、PCR検査の拡大が再度の緊急事態宣言を避ける有効な手段だと感ずる。2021.03.27(犬賀 大好ー689)

東京五輪の開会式はこれまでとは全く異なると予想する

2021年03月24日 09時17分17秒 | 日々雑感
 国際オリンピック委員会(IOC)の定例の総会が今月10日に開かれ、バッハ会長の再選が決まり新たに4年間IOCのかじ取りを担うことになった。バッハ会長は1年延期された東京五輪について、改めて開催に強い意欲を示したそうだが、いよいよ多難な現実問題と向き合わなくてはならない。

 3月20日、大会組織委員会、東京都、政府、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の各代表によるトップ級5者会談が開かれ、海外からの一般客の受け入れを断念することを正式に決めた。

 IOCは開催の決定権を有し、従来通り海外からの観客を入れてやりたいのであろうが、実際に開催の労を取るのは日本であり、新型コロナウイルスが終息しない現状を見れば、日本の意見に従わざるを得ないであろう。IOCの主たる収入源は米国のテレビ局NBCだそうで、広告収入で稼ぐNBCは視聴率を上げるためには、観客が多い方が良いに決まっている。

 しかし、海外からの観客を無しにする点で一致しても、参加するのは選手だけではなく、選手の世話役、大会役員、スポンサー、報道関係者等、結構な人数になるが、数を巡りIOCと日本側の攻防は水面下で激しいだろう。

 日本政府は、新型コロナウイルス対策で、各国に原則として大統領などの首脳級の場合は12人まで、閣僚級では5人までに制限するよう求めているそうだが、各国の意向を踏まえて人員を確定させ、受け入れの準備を進めることにしているようだ。

 また、大会の開会式では約200か国・地域の選手約1.1万人が行進する計画になっていたそうだが、競技場に入場するまで数時間待機し、行進後も式終了まで競技場で待つ選手が多く、組織委員会は入場行進の人数縮小を提言していたが、IOCが当初の計画から半減の約6千人を想定していることが大会関係者への取材でわかったそうだ。

 更に、開会式を観覧できる観客の上限を、感染状況やスポーツイベントの実施状況を踏まえて4月中に判断するとのことだが、6千人の入場行進に対して数倍の観客は欲しい所だ。それでもマスク着用の義務化、大声を出さない等の規制が出され、選手側にも同様な規制が出されると思うので、いつもより寂しい開会式になること必須である。

 このような状況でも視聴率が稼げると判断しているNBCはこれまでとは異なる趣向を考えているに違いない。ところでつい最近開閉会式の統括責任者を務める佐々木宏氏が3月18日辞任したそうだ。直接の原因は去年3月に女性タレントの容姿を侮辱するような演出案を提案したことにあるようだが、1年経って辞任するとは他に原因があると勘繰ってしまう。この点でも恐らく開会式の演出は従来とは全く異なったものになると想像する。

 さて、海外から来日する1万人を超す大会関係者にPCR検査、2週間近くの隔離の是非、ワクチン接種、陰性証明書の発行等、種々の問題を至急詰める必要があるが、更にバッハ会長が中国製のワクチンを提供する案を明らかにし問題を更に増やした。

 オリンピックはスポーツを介しての世界平和の実現であろうが、五輪開催費用を世界中のコロナウイルス撲滅に使うため、中止するとの判断があっても良かった気がする。2021.03.24(犬賀 大好ー688)

原発事故の後始末が出来ないのに原発再稼働とは無責任も極まれり

2021年03月20日 11時08分17秒 | 日々雑感
 菅首相が今年始めの国会演説で2050年温室効果ガス排出実質ゼロ宣言をしたのを受けて今年改定予定のエネルギー基本計画の見直しが迫られている。昨年末開かれた経産省の審議会でも、2030年度に目指す電源構成を・再生可能エネルギー22%~24%、・原子力20%~22%、・火力56%程度としているようだが、相変わらず原子力の比重が大きい。

 2011年の原発事故前の2009年には原発の割合は29%であったから、2030年の目標はそれより低く、一見原発の比重を下げたようだが、2018年は6%であったことを考えると、これから大幅な原発復帰を目指すつもりのようだ。

 原発の最大の利点は温室効果ガスを排出しないことであり、また電力コストが低いことを主張する人もいるが、原発事故の後始末で四苦八苦している現状を見ると、電力コストの低さをいくら叫んでも空しさだけが残る。

 欧米では原発を縮小する国が多いが、中国を始めとする発展途上国では拡大する方向であるようだ。中国では現在2%程度のようだが、2040年までに7%程度にするようであり、拡大路線まっしぐらだ。

 昨年末のエネルギー基本計画の検討会でも、福島の復興は一歩一歩進展するも、まだ多くの課題が残されており、改めて二度とあのような悲惨な事態を引き起こしてはならないことを再確認することが必要だと、一応反省はしたようではあるが、つい先日、東海第二原子力発電所について、水戸地方裁判所は避難計画やそれを実行する体制が整えられていないとして、稼働を認めない判決を言い渡したが、反省が充分でないことを物語っている。

 反省の不十分さ以上に原発事故の後始末の不十分さは目に余る。東電福島第1原発の廃炉作業に関しては、2月28日、3号機の使用済み核燃料566体を取り出す作業を完了したとの発表があったが、当初の廃炉工程表の目標から約3年遅れだそうだ。

 しかも1号機に残された392体は2027~28年度取り出し開始、2号機には615体残るが2024~26年度取り出し開始予定だそうだが、燃料棒の取り出しより大きな難作業はデブリの撤去である。

 デブリとは核燃料と周りの構造物との混ざり合った固体であるが、未だ原子炉内の何処にどの位残っているのかも分かっていない。デブリの取り出しには原子炉格納容器の上部からを想定していたが、昨年末になってようやく、2号機と3号機で容器の真上にあるふた部分が極めて高濃度に汚染されていることが判明し、そこからの取り出しも極めて困難との報道があった。廃炉工程が更に遅れそうである。

 当初廃炉までに40年かかるとのことであったが、事故から10年経ち、後30年で廃炉が完了すると思っている人は誰もいないであろう。後始末も出来ないのに、再稼働を主張するとは無責任さも極まれりだ。2021.03.20(犬賀 大好ー687)

中国のエネルギー政策は日本より進んでいる

2021年03月17日 11時00分36秒 | 日々雑感
 日本の菅首相は2050年までに、中国の習近平総書記は2060年までに温室効果ガス排出実質ゼロ宣言をしている。欧米の先進国は達成年がいずれも2050年で、中国は10年も遅いと侮っていたがとんでもないようだ。

 日本は、2011年に起こった東日本大震災の影響で国内の原子力発電所が停止し、そのため現在の化石燃料への依存度が85.5%となっているそうで、地球温暖化対策の遅れで先進国から批判の的になっている。一方エネルギー後進国と馬鹿にしていた中国も69.7%と高いが日本ほどでは無い。

 政府は、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、2030年度の電源構成としては、火力発電を56%(LNG27%程度、石炭26%程度、石油3%程度)、再生可能エネルギー22〜24%程度、 原子力20〜22%程度、を目指している。炭酸ガス(CO2)の排出量が多い石炭は、2018年度は30%程度であり目標の26%に近いが、2011年の原発事故以後に電力不足を補うため2015年まで増え続け、以降約30%と高止まりしたままで、下げるのは容易では無いとのことだ。2050年の実質ゼロで、火力発電がどこまで許されるか不明であるが、簡単な話では無さそうだ。

 化石燃料への依存を少なくするためには、自然エネルギーか原子力エネルギーに頼らざるを得ないが、日本の自然エネルギーの利用では2018年度水力を含めて11.7%であるが、中国では2017年に26.5%と日本の2倍以上であり、この点でも中国の方が進んでいるのだ。

 2019年のエネルギー白書によれば、日本の電源構成は2016年から2030年までに再生可能エネルギーの利用を16%から22~24%と増加するとしているが、中国は日本の2030年の目標に既に達しているのだ。中国をエネルギー後進国と馬鹿に出来ない。

 資源エネルギー庁では、昨年暮れにエネルギー基本計画の見直しを検討していたようだが、2050年の実質ゼロに向けて原子力の復活が話題となったようだ。日本では国民の原発アレルギーが強いが、世界全体で見れば、新興国では経済発展、電力需要の増加が著しく、少量の燃料で大きなエネルギーを取り出すことができ、かつ温室効果ガスを排出しない原子力エネルギーの需要は、拡大の傾向にあるようだ。

 エネルギー基本計画を現在の予定では、2030年度に目指す電源構成を・再生可能エネルギー22%から24%、・原子力20%から22%、・火力56%程度としているようだが、国民の反発が大きい原子力を減らし再生可能エネルギーを大きくする必要がある。

 中国では、2040年までに火力への依存を60%にして、太陽光発電や風力発電の再生可能エネルギー27%、原子力発電を7%程度にすると予測されている。中国は国土が広く、人口も多く、単に割合だけで論ぜられないが、率的な面では欧米からも中国からも批判されないように、日本は頑張らなくてはならない。2021.03.17(犬賀 大好ー686)