日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

統一教会は日本の政治にどこまで関わっているか

2022年07月30日 09時27分46秒 | 日々雑感
 安倍元首相が一人の男に銃殺された事件は、その後、警備や政治家と宗教の関係等に波紋を広げている。いづれも平穏な日本を象徴した事件であるが、宗教の恐ろしさを感じさせる事件でもある。

 この事件を受け、二之湯国家公安委員長は12日の閣議後の記者会見で、当時の警察による警備・警護に問題があったとして、警察庁に検証するよう指示したようだ。事件当時、演説中の安倍元首相のそばでは、警視庁のSP1人を含む4人の警察官が警備にあたっていたが事件の発生を防げなかった。

 現在の日本における発砲事件は暴力団の抗争に関わるくらいで、警備の警官ですらまさか演説会場で起こるとは思っていなかったであろう。想定していたとすれば刃物による殺傷であり、そうだとすれば殺傷までに時間がかかり、その間制止出来ると思っていたに違いない。銃まで含めた万全の対策となると、防弾ガラスの箱の中で演説してもらうしかない。

 いくら警備を厳しくしたところで人間には気持ちの緩みがあり、今回の事件も平和な日本を象徴する事件であろう。抜本的な解決法は何故殺すに至ったかの背景を探るべきである。被告は母親が世界平和統一家庭連合(以後統一教会と記す)に入信し多額の寄付をしたため、家庭が崩壊し、恨みがあった、等と供述しているという。

 安倍元首相が2021年9月、統一教会の友好団体のイベントに送ったビデオメッセージを見たことがきっかけだと供述している。当初元首相と旧統一教会との関係は全く無いとの報道が強かったが、統一教会と何らかの関係を認められる議員の多くが、安倍政権下で、大臣や副大臣、政務官などに起用されてきたことが明らかになってきた。

 統一教会は神の理想とする世界をこの地上に具体的に創ることを目的としており、そのために一見宗教とは関係ない多数の関連企業、関連団体を有し、これらの機関を介し過去に様々なトラブルを引き起こしている。事件直後の統一教会の日本の責任者が1980年代の霊感商法等のトラブルは一切なくなったと発表したが、その後皆無ではないと修正し現在でも続いていることを認めた。

 統一教会は宗教と政治の一体化を図る宗教団体であり、この為に政治家に諸々の手段で接近しようと日々努力している。政治家は関連団体の本当の目的が何かを調べることなく、寄付があれば喜んで受け取り、講演を頼まれれば簡単に引き受ける。その後統一教会の宣伝に利用されるにも拘わらず、政治家はどこ吹く風である。

 先述の二之湯国家公安委員長は7月26日の閣議後会見で、2018年に統一教会の関連団体が開催した京都府のイベントで実行委員長を務めていたことを認めた。これも単に世間知らずの出来事であれば未だしも、統一教会と安倍元首相のとの関係を知った上での出来事であれば、国の根幹を揺るがす由々しき問題だ。

 ついに統一教会は公安委員会にまで食い込んでいたのだ。個人の信仰の自由は憲法で保障されているが、公職となると別である。日本の政治にどこまで浸透しているか、調査すべきであろう。2022.70.30(犬賀 大好ー835)

安倍元首相の国葬は誰の為にやるのでしょうか

2022年07月27日 09時21分25秒 | 日々雑感
 政府は7月22日、参院選の遊説中に銃撃され亡くなった安倍元首相の国葬を、9月27日に日本武道館で行うことを閣議決定した。費用は全額国費で賄うそうだ。

 岸田首相は、様々な意見があることも十分承知しているが、丁寧に説明し、できるだけ多くの国民に納得してほしい、と理解を求めた。岸田首相も安倍元首相の得意な ”丁寧に説明し”を用いたが、安倍氏は丁寧とは同じことを大声で繰り返し言うことと解釈していたようで、一般国民が納得できる説明になっていなかった。首相はこの言葉を本来の意味の通りに実行してほしいものだ。

 また、岸田首相は国葬を実施する理由に”安倍氏を追悼するとともに、日本は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す”と強調した。山上容疑者の殺意の理由は政治的な理由ではなく宗教がらみの恨みのようで民主主義を断固守り抜くとは的外れである。ただ宗教団体の組織自体を民主主義的に運営するように規制するとの話であれば別であるが。

 さて国葬の実施に対し市民団体の50名が東京地裁に申し立てしたそうだ。申し立てで”国葬の法的根拠はなく、閣議決定のみによる予算執行は違法であり、儀式への強制参加は思想良心の自由を定めた憲法19条にも違反する”と主張し、国葬を国会での議論を経ずに決めており、国民の総意ではないと強調した。

 元首相の安倍氏の国葬は国民の多くが認める功績を偲んで行うことが本来の姿であろうが、その功罪は未だ定まっていない。安倍氏の始めた異次元金融緩和の低金利政策は諸外国が金利値上げの方向にあるに拘わらず、日銀は相変わらずゼロ金利政策を続けている。何か勝算があって続けているのならばよいが、続けざるを得ない状況に陥っているのではないかと危惧する。

 急いで国葬を決めた岸田首相の本当の理由は安倍派からの圧力があったためと思われる。次の参議院選挙が3年後の夏にあり、その秋には衆議院の任期がくる。しかしその前の2年後の秋には自民党の総裁選挙がある。この総裁選挙で再選されるためには自民党最大派閥の安倍派の支援が必要だ。

 国葬を一番希望するのは安倍派の面々であろう。安倍晋三元首相死去後の安倍派の体制について、後任の会長を置かず幹部の役職を維持することを決めた。これは塩谷、下村両会長代理が同派を率いることを意味するが、安倍派を率いる人材がいないことも意味する。

 安倍派の過去の勢いを維持するために岸田首相に国葬実施を強く迫ったと勘繰ることが出来る。ここで国葬を実施しておけば過去の負の遺産もすべて美化される。異次元金融緩和は日本をデフレからを救った手段であり、その結果が超インフレを招こうとも、その後の対策の失敗の結果であり、本人は美化されるであろう。森友学園桜を見る会等の問題も説明すべき本人が居なくなっては忘れ去られるのは時間の問題と思っているのだろう。2022.07.27(犬賀 大好ー834)

憲法が保障する宗教団体

2022年07月23日 09時08分28秒 | 日々雑感
 民主主義国では、多数派の意見を尊重して多数決により決めることが原則で、個人および少数派の権利も尊重しなくてはならない。しかし、両者が合意することはまず無いが、お互いに率直に意見をぶつけ合うことが重要である。

 安倍元首相が選挙の応援演説中に銃で撃たれ死亡したが、その原因は政治的な信条ではなく宗教的な背景が強いようだ。被告は母親が旧統一教会に入信し多額の寄付をしたため、家庭が崩壊し、恨みがあった、などと供述しているという。

 宗教団体は教祖を頂点としたピラミッド型組織であり、その組織内では民主主義はあり得ない。民主主義国家内でも宗教団体が存続しうるのは、その組織に加わるか否かは個人の自由意思で決めることが出来るからだ。しかし、そこで個人の意見を通すためには脱会しかない。

 しかし、これは建前上の話で、その組織からの脱会となると極めて困難との話をよく聞く。その昔統一教会の合同結婚式で桜田淳子、飯星景子や山崎浩子の各氏が有名になった。後者の2名はその後脱会したそうだが、脱会には随分苦労があったとマスコミを賑わした。 

 仏教用語に折破摧伏を略した折伏と言う言葉がある。悪人・悪法を打ち砕き、迷いを覚まさせることで、人を議論などによって破り、己の誤りを悟らせることとあるが、これが曲者である。

 善悪は絶対的なものではなく、見方によって悪になったり善になったりする。例えば大麻は、現在の日本では法で禁止される悪であるが、世界には善として法でも許容される国もある。教祖を信ずる人間にとって教祖の言葉は絶対的な善である。

 カルト集団と言うとオウム真理教を思い出し、反社会的な集団を指すイメージがほぼ定着している。集団の理念や教義が社会一般の倫理に反していたり、指導者あるいは教祖に盲目的に従う団体は世の中にたくさんあるが、すべてが反社会的と言う訳ではない。しかし指導者を熱狂的に信奉する点では両者一致している。そこで一度入った集団から抜け出すためには、折伏を乗り越えなくてはならない。折伏する方はよかれと思ってやっており、己の信念を貫くためのも、また信者を増やすことが組織内の成績にも繋がるとあって、簡単に脱会を認めない。

 普段の生活において己の信念を押し付けることは日常的にもよくある点で、両者の間には明確な区別が付けにくく、折伏行為を一方的に犯罪とする訳にもいかない。

 オウム真理教による1995年の地下鉄サリン事件、また、1980年台の統一教会をめぐる霊感商法事件等が社会を賑わした。その後これらの事件を教訓に社会が変革したかと言うと、オウム真理教は名前を変えて生き残っているし、統一教会等による霊感商法関連の被害件数は1987~2021年約3.5万件、被害金額は計約1237億円に上るという。

 これも憲法が信教の自由を保障しているためと思うと、何ともやるせない。2022.07.23(犬賀 大好ー833)

世界の工場の座は中国からインドへ代わるか

2022年07月20日 05時22分16秒 | 日々雑感
 国連人口基金(UNFPA)は7月11日に、2022年時点のインドの人口は14億1200万人となり、中国の14億2600万人に迫っていると発表した。そして2050年の時点で16億6800万人まで増加し、中国の13億1700万人を大きく上回るとの見通しを示した。

 中国では、“一人っ子政策”が1979年に導入され2014年まで実施され、その効果があって人口減少傾向となり、現在は日本と同様な少子高齢化の弊害が現れているとのことだ。これまで生産人口の増加で世界の工場の地位を築いてきたが今後同様な経済発展が危ぶまれているとのことだ。

 中国国家統計局が7月15日発表した2022年4~6月期の国内総生産(GDP)は、実質で前年同期比0.4%増えたそうだ。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙うゼロコロナ政策による上海市等のロックダウンの影響が大きく、2022年の成長率目標とする5.5%前後の達成は厳しいとの見通しだ。

 コロナ感染が終息すれば短期的には経済活動が活発化しGDPの回復もあろうが中長期的には生産人口の減少によりかっての経済成長は困難との見方がある。

 インドも今世紀の初め人口増加による食糧危機等を懸念し、人口を11億人に抑えることを目標に人口抑制政策を進め、2000~2010年より、2010~2017年の年平均増加率は若干下がったものの人口増加は激しく実質的には失敗だったようだ。

 しかし、インドは食糧に関しては元々大規模に農作物を生産しており、自国で国民に食糧をまかなえるだけの生産規模を持っており、米と小麦の生産量は世界でもトップクラスに入っており、食糧問題は余り心配しなくてよさそうだ。

 インドは人口増を経済成長で乗り切ろうとしているようで、IMF(国際通貨基金)の世界の実質GDP成長率予想では、インドは7.7%と主要先進国・新興国の中で1位であり、2位の中国は5.9%と大差をつけているそうだ。また、世界のGDPランキングではインドは、2030年には日本を抜き世界第3位になり、世界で第2位の経済大国になると予想されている。インドは生産人口の増加とともに経済発展は当面続くと予想される。

 インドでは昔からカースト制度と称する身分制度があり経済格差が大きかったが、経済のめざましい発展で貧困率は低下しているものの、経済格差は以前にも増して拡大しているとのことだ。しかし、情報通信産業など従来の職業分類に当てはまらない新たな職業が生まれたことに加え、都市化が進んで人の移動が活発化したことで、自らの所属するカーストの習慣や生活スタイルを守ろうとする人々の意識は都市部を中心に改善する方向にもあるようだ。

 現在世界の工場と呼ばれる中国は生産人口の減少もあり、今後の大きな発展が望めない一方、インドは生産人口の目覚ましい増加や新しい情報通信分野の発展も期待され、今後30年を待たず、世界の工場の座を獲得するであろう。2022.07.20(犬賀 大好ー832)

新型コロナウイルスワクチンの集団免疫効果は絶望的

2022年07月16日 09時25分10秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルス感染が始まって2年経ちどうにか収まるかに思えたが、第7波が猛威を振るい始めた。7月12日は各地で過去最多となる感染確認が相次ぎ、全国の感染者の発表は7万人を超えた。このペースで増え続ければ、8月8日の週に100万人、15日の週に187万人に膨れ上がる計算だそうだ。

 新型コロナのワクチンの2回接種を完了した人の割合は総人口の80%以上で、第3回接種を完了した人は約60%との事である。これまでの疫病の常識からは、全体の70~80%の人が免疫を持てば集団免疫状態となり、自然に終息する筈であったが、その常識は脆くも崩れ去った。

 集団免疫とは、ある病原体に対して人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染し難くなることで、社会全体が感染症から守られることになることを言う。

 集団免疫効果が得られない原因は、新型コロナウイルスの変異が頻繁ですぐにワクチンが効かなくなる、また現在日本で使用されているmRNAワクチンは半年程度で免疫効果が減少してしまうことが考えられる。

 さて、中国のゼロコロナ対策では、新規感染者が発見されるとその地域全体に徹底した隔離が行われ同時にワクチン接種が強制的に行われているとばかり思っていたが、ワクチン接種に関しては早とちりのようであった。

 中国・北京市は公共の場所に出入りする住民に対し、7月11日から新型コロナウイルスのワクチン接種証明の提示を義務付けるとの報道があったからだ。一般市民のワクチン義務化は中国では初のようで、同市は感染力のより強い変異株による新たな感染拡大の抑え込むため、ようやく強制的なワクチン接種を始じめたと推測される。

 中国国務院は4月6日の記者会見で、前日の5日時点の新型コロナワクチン接種状況を発表した。各ワクチンの規定接種回数を完了した者は12億4,323万人で、全人口の88.2%に達したそうだ。これを聞くと、ワクチン接種は強制的ではなくても、結構進んでいたようだ。ただしそこで使用されるワクチンはすべて中国製で不活化ワクチンが主だと思われる。

 中国製ワクチンの性能は定かでないが、大雑把に見ても人口の80%以上が接種したとなれば、集団免疫効果が出てもよさそうだが、大都市のコロナ感染は治まっていないようだ。中国における不活化ワクチン、欧米におけるmRNAワクチンどれも集団免疫効果は期待薄のようだ。

 集団免疫効果を期待するのは絶望的となったが、せめて次に期待するのは弱毒化すなわち害の少ない普通の風邪となることだ。第7波の感染において、若者の感染が多いが軽症で済む場合がほとんどだそうだ。弱毒化の傾向が現れており喜ばしいことではあるが、若者であっても基礎疾患を有する者は要注意だ。2022.07.16(犬賀 大好ー831)