日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

衆議院総選挙とアベノミクスの検証

2021年09月29日 18時19分11秒 | 日々雑感
 自民党の総裁選挙で、4名の立候補者の誰もが国民への丁寧な説明が必要としながらも、森友学園問題での再調査の必要性を訴えているのは野田氏のみである。国民の大半は再調査希望であり、衆院選が間近に迫る昨今、国民の声に耳を傾ける必要があるが、自民党国会議員の間では安倍前首相の影響力が強く残っており、安倍氏に楯突くことは出来ないようだ。

 総裁選の後には衆議院総選挙が控えており、特に自民党若手議員は国民の声と安倍氏の声の狭間で悶々としていることだろう。その苦悩の捌け口の表れであろうか、当選3回以下の自民党の若手衆議院議員が約90人集まり”党風一新の会”を結成した。しかし、派閥主導の総裁選びに異議を唱え、新総裁をそれぞれの議員が自分で考えて選ぶべきだ、と主張するだけで、全体としてひとつにまとまる気配は無い。

 また、”自民党を改革する会”とでも命名し、支援する候補者を一本化するでもすれば大きな流れになったかも知れないが、それでは余りにも安倍氏を刺激すると忖度したのであろうか、名前も大人しい無難な一新の会としたと推し測れる。

 兎も角、総裁立候補で野田氏以外の公約は、安倍氏への批判を避けた公約ばかりだ。次期首相への最大関心事は、コロナ対策よりアベノミクスの後始末だ。高市候補のみがサナエノミクスと称しアベノミクスを引き継ぐとしているが、他の候補はこの問題を避けている。

 岸田氏は所得倍増計画、河野氏は脱原発や、女系天皇の検討を主張しており、アベノミクスへの評価は一切無い。兎も角最近のマスコミは自民党総裁選一色であり、野党の動きの報道は片隅に追いやられている。

 アベノミクスの声は最近余り聞かれなくなったが、その後遺症は各所に見られる。アベノミクスでは異次元金融緩和と称し、民間の国債を買い上げて民間に資金をばら撒き、成長分野への投資を促し、雇用や報酬という果実を広く国民生活に浸透させるトリクルダウン効果を実現する筈であった。

 結果、有効求人倍率は大幅に上昇したがその大半はパートなど非正規雇用であり、また、成長分野で成功と思われたのは観光業であったが、コロナ禍で元の木阿弥となり、その底の浅さが露呈した。

 また、GDPの低迷に拘わらず株価だけは高止まりであるが、投資先を失った資金が株式に向かっているだけとの話だ。アベノミクスの最大の後遺症は、ばら撒かれた資金の行き先の偏りだ。安倍氏は今なお政府は金を印刷しただけであり、何ら問題無しとしているようだが、年金生活者にとっていつか大幅なインフレを招くと懸念する。

 立憲民主党は総選挙での争点にするべく、9月14日、安倍前政権の経済政策”アベノミクス”を検証する委員会を立ち上げた。テレビに登場するコメンテータは概して功罪半々の無難な解説だ。総選挙になれば、自民党も何らかの論評をせざるを得ないであろう。賛成、反対の真剣な議論を期待する。2021.09.29(犬賀 大好ー750)

1年前を振り返って(経済面では付き合いたいが政治面では付き合いたくない中国、(2020,09)

2021年09月28日 08時53分56秒 | 日々雑感
中国の国内事情は、格差の拡大や、最近では恒大集団の倒産のうわさ等、問題山積である。国内問題から国民の目をそらすためには、対外的に問題を引き起こすことだ。つい先日TPPへの参加を申請したとのことだ。TPPへの参加は、国内企業の支援等でかなり難しいとの話だが、中国は参加することより、問題を引き起こすことに目的があるのではないかと懸念する。2021.09.28(犬賀 大好)

中国の国際社会への参加の条件

2021年09月25日 16時22分13秒 | 日々雑感
 9月21日、中国の習近平国家主席が第76回国連総会でビデオ演説をした。地球温暖化対策では、発展途上国の温室効果ガスの排出量削減に力を入れ、海外での石炭火力発電所の新たなプロジェクトを行わない、と述べ、国際社会への協調を強調した。

 世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国である中国が、国内で深刻な大気汚染を引き起こしていることは有名であるが、石炭火力発電所をアジア・アフリカ・中東諸国へ積極的に輸出していることも周知の事実である。中国はこれまで一帯一路の戦略の下、経済力を背景に力ずくで世界進出を目論んできたが、その限界を感じたのか、国際協調路線へと舵を切ってきたように思われる。

 しかし、中国には欧米とは異なる中国独自の判断基準があり、言い分をそのまま信ずることは出来ない。例えば、中国による鉱物資源の輸出制限について、米国や欧州連合(EU)は中国をWTO協定違反と訴えていたが、中国は違反にはあたらないと主張を繰り返していた。

 また、先日中国は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に加入を申請したが、台湾も続いて申請した。中国の参加は国営企業の支援等で難しいとのことであり、台湾の参加の方が可能性が高いと思われる。中国側は参加もしていないのに台湾参加に断固反対すると主張しているが、そもそも反対する権利があるのか不思議に思う。

 さて、新型コロナウイルス対策では、先進国では3回目の接種が始まろうとしているのに、アフリカ大陸の発展途上国では第1回目の接種も数%以下とその格差は大きい。欧米が新型コロナウイルスのワクチンの買い占めで批判される中、新興国や途上国に自国製ワクチンを積極的に提供してきたのが中国だ。

 先述の国連での習氏の演説で、中国は年末までに新型コロナウイルスワクチン20億回分を世界に供給すると目指していると改めて表明した。中国製ワクチンの効果を疑問視する声も広がっているが、多少効果が低くても、コロナ感染が少しでも防げれば大歓迎されるであろう。

 これに対し、バイデン米大統領は9月22日、米ファイザー製ワクチン5億回分を追加購入し、途上国に無償で提供すると正式表明した。米国は6月に5億回分の購入を発表しており、それ以外の分を含め計11億回分以上を外国へ提供することになるそうだ。

 日本の菅首相も、9月23日、日本が開発途上国を中心とした国際社会に新型コロナのワクチンを当初の目標を2倍に引き上げ計6000万回分を無償で提供すると発表した。世界各国・地域でワクチン接種の進展が、経済回復に向けた重要な鍵となる中で、開発途上国へのワクチン供給競争が激しくなっている。

 中国が国際社会の仲間入りを目指すのであれば、中国製ワクチンを無償で提供する以前の問題として、その効果と結果等を欧米の基準に併せて公表することであろう。2021.09.25(犬賀 大好ー749)

1年前を振り返って(新型コロナウイルス用ワクチンの人体実験、2020年 9月)

2021年09月24日 11時27分39秒 | 日々雑感
1年前、新型コロナワクチンを巡って、各国が開発競争を繰り広げ、その安全性の議論が盛んであったが、1年経った現在、その安全性と効果が証明され、早くも3回目の接種の是非が議論され始めている。技術の進歩の速さに驚かされるが、コロナウイルスの方もそれに対抗しようと言うのか、変異の速度を上げている。まるで意識があるようだ。2021.09.24(犬賀 大好)

国民への丁寧な説明とは何か分かっているのか

2021年09月22日 09時34分38秒 | 日々雑感
 次期自民党総裁に立候補している岸田前政調会長は、アベノミクスについて、”経済は成長したが、格差が生じた”、と指摘し、”分配も考えないと日本がおかしくなる”、と述べ、アベノミクスの副作用を十分認識しているようだ。

 また、「新たな資本主義を創る議員連盟」の会長に就任しており、日本の経済の問題点を十分に検討すると期待していたが、どうも選挙目当ての仲間つくりの為の集団で、その成果には期待できそうに無い。

 岸田氏は格差の是正を図るため、政治による再分配で中間層に手厚い支援をする、例えば、子育て世帯の教育費や住居費への支援、看護師の処遇改善などを挙げている。この程度で格差が解消出来ると思っているとすれば、岸田氏の認識している格差も大したことではない。

 更に岸田氏は、コロナ後の経済回復のために数十兆円規模の大規模な財政出動を打ち出すと宣言している。これまでの日本の借金が1100兆円を越していることを考えれば、数十兆円を上積みしたところで、大勢に影響しないとの判断からであろうが、財政の健全化の面からは真逆の行為だ。また、2025年度までに基礎的財政収支を黒字化する政府目標については”大きな流れをしっかり考えていかなくてはならない”と他人事であり、真剣味が伺えない。

 岸田氏が立候補するにあたり党役員の定年制を言い出した時、安倍前首相と決別し独り立ちすると期待が大きかったが、その後安倍氏の支援を期待してすっかり擦り寄っている。異次元金融緩和で大赤字を加速したのは安倍前首相であるが、岸田氏はアベノミクスの継続を主張しており、これでは、党友・党員の支持を得られないばかりか、若手代議士の支持も得られないであろう。

 一方河野氏も、”アベノミクスで企業は非常に利益を上げたが、残念ながら賃金に波及してこなかった”、と延べアベノミクスに全肯定ではない。そこで、企業から個人へと、個人を重視する経済を考える、と主張し、賃金に利益を振り向ける労働分配率を高めた企業に法人税の優遇措置を設ける案を打ち出した。この主張の詳細は分からないが、現在の法人税を高めようとする動きではなさそうだ。財政出動については、”必要に応じて財政出動は必要”との姿勢を示すが、コロナ後の経済対策に関しては、規模優先の歳出膨張には否定的である。

 岸田氏、河野氏も規模の大きさに差があっても財政出動を必要としているが、共に問題なのは財源だ。財源が豊富であれば、何でも出来る。世界に類を見ない借金大国の財政健全化のためには増税は避けて通れない。しかし、増税は国民の反発必須だ。増して、総選挙の直前に言い出すのは自殺行為であろう。国の財政破綻の前には、法人税、相続税や消費税等の増税を国民にお願いせざるを得なくなるだろうが、お願いするためには丁寧な説明が必要である。

 総裁選候補の誰もが、国民への丁寧な説明が必要と言ってはいるが、安倍政権以来丁寧な説明は全く無く、丁寧な説明とは何かもすっかり忘れ去られている。大声で、多弁に、しゃべることが丁寧な説明ではない。原稿を読み上げるのではなく、聞く人の顔を見ながら、納得したかを確かめながら説明するのが、丁寧な説明だ。2021.09.22(犬賀 大好ー748)