日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新形コロナウイルス対策に対する戦略の欠如

2021年04月28日 16時56分51秒 | 日々雑感
 政府は4月25日から緊急事態宣言を東京、大坂、兵庫、京都に発し、愛媛県等にはまん延防止等重点措置を適用、すでに適用されている宮城県と沖縄県については期限を延長することを決めたのも、コロナウイルスが全国的に広がり始めたからだ。

 今回の緊急事態宣言は第3回目であり、変異ウイルスの拡大に最大限、警戒するとともに、短期間に集中的な対策を講じることで感染拡大を抑え込みたい考えだそうだ。今回の対策はアルコールを扱う飲食店の時短制限や休業要請等、これまで以上に厳しい規制だそうだ。

 新形コロナウイルスが日本で発生してから1年以上経ち、一般国民はコロナ慣れ、コロナ疲れで第3回目となる緊急事態宣言がどの程度効果があるか疑問であるが、例え現在の急拡大が無事抑え込めたとしても、次の波が来ない保証は何もない。緊急事態宣言やまん延防止措置はいずれも一時的なもので、ワクチンが広く行き渡りその効果でウイルスが収まるまでの過渡的な措置に過ぎないからだ。

 肝心のワクチンは輸入に頼らざるを得ず、先進国の間では接種率は最低である。国産ワクチンや治療薬は簡単に開発出来るものでは無く、膨大な開発費用と10年単位の時間を要する長期戦略が必要となるだろうから、今回の対策には間に合わない。

 前回の緊急事態宣言は3月22日に解除されたが、菅首相は解除に伴い5本の柱を打ち立て、今後の感染拡大に対処すると宣言した筈だ。その柱の一つに”感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査”があり、この戦略的の言葉に大いに期待した。PCR検査に関しては、無症状者に繁華街などで幅広く行う検査を4月には1日5千件規模に拡大し、高齢者施設などへの集中的な検査も今月末までに3万カ所で行うとした。

 PCR検査の必要性は1年以上前から言われていたことでもあり、ようやく重い腰を挙げたと、大いに期待していたが、現在どうなっているのだろうか。厚労省のホームページに、PCR検査数が一応掲載されてはいるが、4月26日現在、データは1月20日のもので現状は不明である。PCR検査が忙しくてデータを更新している暇もないと思いたいが、検査が拡大しているとの報道は無く、最近の菅首相の発言にも戦略的な検査が進んでいるような発言はない。

 最近多くの民間企業が低価格なPCR検査を始めているが、ここで陽性と判定されても、改めて保健所等を介した国のPCR検査を受けないと正式な陽性とはならないとのことだ。国は民間を全く信用していないのだ。PCRの検査体制には、厚労省と文科省の縄張り争いがあると指摘されていたが、現在文科省傘下のPCR検査装置は充分活用されているのだろうか。

 感染症対策には、菅首相の戦略的な検査の必要性や尾身会長のオールジャパンの取り組みの必要性が叫ばれているが、この分野においては官僚の動きが極めて悪い様だ。官僚特に高級官僚は首相への忖度が得意の筈であったが。

 国民全員に毎週無料でPCR検査を実施する等は到底無理であろうが、感染拡大が懸念される特定地域に対し地域住民に一斉PCR検査等は可能であろう。地方自治体の中にはこのような取り組みを始めている所もあるが、国が前面出てこのような戦略的感染症対策をなすべきであるが。2021.04.28(犬賀 大好ー698)

コロナ慣れに対するカンフル剤は東京五輪中止宣言

2021年04月24日 15時06分06秒 | 日々雑感
 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は今月21日、東京で緊急事態宣言が発令されることについて、”政府が感染の拡大を防ぐためにとる、ゴールデンウィークに向けて先を見越した対策だと理解している”述べ、東京五輪の開催には影響しないとの考えを示した。ゴールデンウィーク中に拡大を収めれば、五輪開催の頃にも感染拡大が収まっていると予想する、余りにも単純な考えで呆れ果てる。

 政府は大坂や東京等で、25日緊急事態宣言を再び出そうとしている。大阪府全域に”まん延防止等重点措置”が4月5日~5月5日が適用されたが、その効果なく新規感染者は増すばかりである。この法律は緊急事態宣言が都道府県単位で発令されるのに対し、まん延防では、知事が市区町村を指定し、特定に地域に対し措置を講ずることができる等の違いはあるが、一般国民にとって自粛要請等はほとんど変わらず、コロナ慣れやコロナ疲れがすっかり定着してしまっており、どの位効果があるか疑問である。

 新型コロナウイルスの感染急拡大が続く大阪府で、18日の新規感染者が過去最多の1220人となった。1日あたりの新規感染者が1千人を超えるのは6日連続であり、様々な規制にも拘わらず、感染が拡大する根底には大坂人特有のおおらかさがあるかも知れないが、より大きな要因は国民のコロナ疲れ、コロナ慣れである。

 19日、政府のコロナ対策の基本的対処方針分科会の議長でもある尾身氏は、大阪府では、一般診療への影響がかなり深刻に出ている、とし、災害派遣医療チーム(DMAT)や自衛隊の派遣も含め、「オールジャパン」の対応が必要だと力説した。

 政府は東京五輪を今でも開催するつもりで、聖火リレーを続行中である。聖火リレーはオリンピックムードを高めるために全国を巡業するが、コロナ拡散を防止する為の外出自粛要請とは真逆な行為である。コロナ禍前に決めた計画を予算消化のために実行しているに過ぎず、リレーランナーの作り笑いが哀れである。

 今こそオールジャパンでの対応が必要とすれば政府は五輪中止宣言をすべきである。国民の誰もがコロナ疲れやコロナ慣れを起こしている現状、これまでと同じような緊急事態宣言やまん延防を発したところで、政府の真剣度は国民に伝わらない。真剣さを示すためにはオリンピック中止しかない。このようなカンフル剤でオールジャパンを示さないと、国民は政府の真剣さを信用しない。

 4月6日、北朝鮮の体育省は、この夏の東京五輪について新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機状況から選手たちを守るために参加しない方針を明らかにした。北朝鮮は日本の感染状況を理由に挙げているが、世界の中には自国の感染状況が理由で参加できない国も続々現れるだろう。

 米国内では来年2月に開催予定の北京冬季五輪への参加のボイコットの可能性が、リベラル志向の強い民主党内でが語られ始めているそうだ。中国は今のところ東京五輪に参加予定のようだが、中国と米国の関係悪化によって、親米路線の日本に対しボイコットの可能性言い出すかも知れない。外圧に屈して中止に追い込まれるより、自らの判断で中止を宣言すべきだ。2021.04.24(犬賀 大好ー697)

東京五輪の無観客開催が現実味を帯びてきた

2021年04月21日 09時48分38秒 | 日々雑感
 東京五輪の大会関係者が観客数の上限について最終判断時期を5月以降とすることを決めたと今月15日報道があった。先に国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会等の大会関係者の5者協議で4月中に判断する予定だったが、新型コロナウイルスの感染状況が定まらないことから、決断を先送りしたのだ。

 今月12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、日本で新型コロナウイルス感染が収まらずワクチン接種も滞る中で東京五輪を開催するのは最悪のタイミングであり、日本と世界にとって”一大感染イベント”になる可能性があると伝えた。

 このニュースに限らず、7月中に人類がコロナウイルスを克服出来ると予想する専門家はいない。それにも拘らず観客数の上限決定を先送りしたのは、何としてでも実行したいが無観客だけは避けたいとの政府の苦しい意向が反映されている。

 自民党の二階幹事長は4月15日、東京五輪・パラリンピックの中止が選択肢になり得るとの考えを示した。河野太郎規制改革相も同日のテレビ番組で、東京五輪を無観客で開催する可能性に言及した。これまで政府内は計画遂行で固めていたが、内実が漏れ出してきた。あるいは、政府が中止を決断した時の衝撃を和らげるための予防線を張った為と勘繰ることもできる。

 IOCは東京大会では既に海外観客の受け入れを断念しているが、完全な形で実行したい安倍前首相の後を引き継いだ菅首相の完全な形とならないまでも出来る限り多くの客を入れて実行したいとの気持ちはよく分かる。しかし、コロナ防止と五輪をいかに両立させるかの方策を探して上限決定を先送りしたことは容易に推測される。

 4月17日には菅首相とバイデン大統領の日米会談が行なわれた。共同声明では、バイデン大統領は、今夏、安全・安心なオリンピック・パラリンピック競技大会を開催するための菅総理の努力を支持する、とあり、また共同記者会見でも、菅首相が東京オリンピック・パラリンピックの開催を実現する決意であることを伝えたが、バイデン大統領からはこの決意に対する支持を改めて表明しただけで米国が選手団を送るとの明言はなかった。

 大統領は首相の決意は尊重するが、米国としては参加すると決めてはいないと言ったまでだ。米国ではワクチン接種が進み、新規感染者数が減りつつあると言えども、オリンピック開催までに収束することなど考えられない。

 4月6日、北朝鮮の体育省は、この夏の東京五輪について新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機状況から選手たちを守るために参加しない方針を明らかにした。北朝鮮は日本の感染状況を理由に挙げているが、世界の中には自国の感染状況が理由で参加できない国も現れてくるだろう。例え、五輪の会場を日本国民で埋めたとしても、寂しい大会になること間違いない。

 いよいよ東京五輪の無観客開催が現実味を増してきたが、最悪の場合中止にまで追い込まれるであろう。2021.04.21(犬賀 大好ー696)

コロナウイルスワクチンの効果は抜群のようだが

2021年04月17日 10時03分57秒 | 日々雑感
 4月10日現在、コロナウイルスワクチンは、ヨーロッパでも人口9億人の約1割しか接種が終わっていないようだ。イギリスが55.5%でもっとも高く、次いでフランスが18.5%、イタリアが18.7%、ドイツが18.1%だそうだ。

 ワクチン接種が一番進んだイギリスの1日の感染者数は1月のピーク時には約6.8万人だったのが、4月6日には2379人と激減したのもワクチン接種の効果と思われる。同じ日に、日本での感染者数は2655人で英国を上回っており、一刻も早くワクチン接種が望まれる。

 イギリスでは、ワクチン効果で日常が戻りつつあり、4カ月ぶりにパブが営業を再開したが、屋内のカウンターで飲むのは駄目で、外で6人以内で座ってしか飲めないという厳しい条件つきでだそうだ。日本の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置以上に厳しい条件であることを考えると、英国でのこれまでの感染被害が如何に大きく、絶対に再拡大させないとの決意が伺われる。

 また、イスラエルでは去年12月に新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まり、イスラエル政府によるとこれまでに人口の52%にあたる492万人が2回の接種を受けたそうだ。接種が進む中感染者数は減少し、ことし1月中旬に1万人を越えていた1日の新規感染者数は、現在およそ200人前後となっているとのことだ。

 4月16日、政府は18日から屋外でのマスク着用を求める規制の撤廃を明らかにした。コロナ前の日常生活が戻りつつあるが、イスラエル保健省はいわゆる集団免疫には現時点では至っていないとの考えを示し、規制撤廃は段階的な行動制限解除の一環で、屋内では引き続きマスク着用が義務付けられるという。

 さて、日本では、2月17日に一部医療機関の医療従事者を対象とした先行接種で始まり、3月3日にはそれ以外の医療従事者への優先接種も開始したが、4月始め医療関係者もまだ接種が完了していない状況で、大幅に遅れている。

 例えば、岩手県は4月13日、医療従事者向けの新型コロナウイルスワクチン接種対象者約4.5万人に対し、5月の連休明け頃までに相当人数分が配給される見込みで、6月中に完了する見通しを示した。

 2月に政府は、65歳以上の人口約3600万人のワクチン接種を4月12日から開始すると宣言していたが、実際4月12日には宣言通り、65歳以上の高齢者への接種が一部地域で始まった。しかし八王子市の接種初日には248人が接種を受けただけで、単に実績作りと言われてもしょうがない。

 ネットで見ると4月16日現在、医療関係者を含めた接種人数は115万人で、この内2回目の接種が完了したのは64万人に達しているそうだが、全体人口(約1.26億万人)でみると、まだ1回目の接種人数は人口の1.4%程度にもならない。

 例え、東京五輪開催までに国民の半数が接種完了し、新規感染者数が激減したとしても、イギリスやイスラエルの例に見られるように、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置程度の規制は続けて行かなくてはならないだろう。到底オリンピックどころではないと思うが。2021.04.17(犬賀 大好ー695)

創設されるデジタル庁は縦割り行政の弊害を打破できるか

2021年04月14日 09時25分47秒 | 日々雑感
 2010年代中頃、女性の社会進出が進み、共働きの世帯が増え、子どもをあずける保育園の数が足りなくなり待機児童が急増した。一方、夜遅くまで子どもを預けられない幼稚園では、園児数が年々減少し、定員割れという状態を引き起こしてしまった。

 この状態を解決するべく、幼稚園と保育園をひとつにまとめる幼保一体化が国会でも話題となったが、新たに認定保育園の制度を作り、より問題を複雑化してしまった。解決できない原因の一つは、幼稚園は学校教育法に基づく文科省、保育園は児童福祉法に基づく厚労省と管轄する役所が異なることがあげられる。縦割り行政の弊害の典型である。

 さて菅首相は政権の目玉政策として「デジタル庁」の創設を掲げた。世界はインターネットを始めとするデジタル技術がありとあらゆるところに入り込んでいるが、日本は未だに印鑑が幅を利かす等のアナログ社会であり、先進国から大きな後れを取っている。そこで、デジタル社会の形成に関する施策を迅速に推進するため、デジタル庁を設置しようとする訳である。

 政府は今秋に創設を目指すデジタル庁の組織と役割の概要を公表している。首相直轄の組織とし、国全体を視野に置くデジタル人材は国と地方自治体、民間企業を行き来しながらキャリアアップできる環境を整備する方針だそうだ。デジタル社会の実現をスムーズの推進する為、中央省庁での人事慣行にとらわれずに民間との人事交流を活発化する目論見だ。

 デジタル庁の主要な仕事はマイナンバーカードの普及である。このカードは日本国民に個別の番号を付し、税金や健康保険等の行政サービスをこのカード一枚で受けられるように、2016年から運用が開始されたが一向に普及しなかった。

 政府は2023年3月末までにほぼ全国民のマイナンバーカード取得を目指している。現在、マイナンバー制度は総務省や内閣府などに所管がまたがっているが、今後はデジタル庁が制度全体の企画立案を一元的に担う目論みのようだ。

 デジタル化は民間企業の方が進んでおり、これらの技術を生かすため民間人の登用を掲げている点は理解できる。しかし人事制度は民間とお役所では異なること、また主要なポストは関係省庁からの出向者であること等、融和が図れるか懸念される。また、幼保一体化で思い出されるのは、出向者は常に出向元の利益代表となることである。

 菅政権は更に「子ども庁」の創設も掲げた。子どもに関する政策は厚生労働省や文部科学省、警察庁、総務省など多くの省庁が関係するため、子ども庁に権限や予算を集約する構想のようだ。まだ検討段階のようだが、早くも主導権を巡り、省庁の争いが始まっているとのことだ。

 構想は思惑通りに進めば大変結構であるが、まず省庁の壁を取り払うことが肝要であるが、菅首相は官僚の人事権を振りかざし、高級官僚の忖度を引き出してきたが、庁内のすべての人間が忖度する訳ではない。人事権に代わる妙案を持っているだろうか。2021.04.14(犬賀 大好ー694)