日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮のミサイル発射と国内経済

2023年02月25日 09時20分33秒 | 日々雑感
 北朝鮮は2月18日に大陸間弾道ミサイル級のミサイル(ICBM)1発を発射し、20日には弾道ミサイル2発を発射した。北朝鮮の一般国民の経済的疲弊はよく伝えられているが、国の軍需費はふんだんにあると感心する。北朝鮮のミサイル発射や核実験に対し、我が国でも国際協調による経済制裁措置に加え我が国単独での経済制裁措置を実施しており、経済的に苦しい筈である。

 また、北朝鮮政府当局は2020年1月以降、新型コロナウイルスの封じ込めに必要だとして、国境沿いのフェンス、監視所、巡回路などのインフラを建設あるいは整備をしてきた。国境警備の強化により、国境を越える非公式な経済活動であってもほぼ完全に停止しており、食料、医薬品、その他の生活必需品が不足する深刻な状況のようだ。

 2022年7月18日 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、防疫対策が改善され、ようやく危機を完全に打開する見通しだ、としたが、世界保健機関(WHO)は先月、信頼できるデータがない中、北朝鮮の感染状況は悪化しているとの見解を示し、改善しているという同国の主張に疑問を呈した。中朝国境は今でも完全に開放されておらず公式の交流は出来ないが、中国領には朝鮮人が多く住むことから交流はある程度行われていると思われる。

 今年1月25日、韓国のジャーナリスト報告では、生活に苦しむ一般庶民の話として、平壌でも食糧難で苦しい生活をしている人が多いということを知って欲しい、国境が再び開いてコロナ前のレベルに戻して欲しい、等の声を報告している。

 平壌で2月8日夜に実施された軍事パレードでICBMが登場したが、総書記の隣には娘の姿があった。金氏がバルコニーの中央に陣取ると、そこに黒い服を着た少女10歳前後の次女キム・ジュエ氏が加わった。10歳くらいの子どもはふっくらしているのが普通だが、この次女は過剰にふっくらしていた。一般庶民は骨と皮にやせ細っていると言うのに、経済格差が如何に大きいか物語る異様な光景だった。金正恩はこの娘を自慢したかったのであろうが、返って反発を買うと思われる。

 北朝鮮の経済格差はとてつもなく大きく、富裕層は生活に苦しんでいる様子はない。米国家安全保障会議(NSC)によると北朝鮮の兵器がロシアの民間軍需組織ワグネルに流れているとのことであるが、国際的な規制に拘わらず抜け道はいくらでもありそうだ。

 北朝鮮には石炭を始めとする地下資源が豊富にあるとのことであり、地下資源をロシアや中国とは鉄道車両や船を介して取引することは簡単にできるだろう。

 抜け穴の話は、ロシアにおいても同様であり、モスクワ市民の間では戦争前と変わらず物資が豊富に出回っているとの報道もある。国際的な経済制裁は有名無実な感であるが、思わぬところから経済的な破綻が来ることを期待する。2023.02.25(犬賀 大好ー892)


新型コロナウイルス感染症は過去の話になったが

2023年02月22日 10時38分14秒 | 日々雑感
 岸田政権は、新型コロナウイルス感染防止用のマスク着用の是非に関し、来月13日から着用は個人判断に委ねることを基本とすると決めた。日本では第8波も終息しかかっているという見方が強くなっているが、厚生労働省は2月19日、都内で新たに992人の新型コロナウイルス感染を確認し、前週日曜日と比べ193人の増加を発表した。前週同曜日を上回るのは33日ぶりとなったそうだが、ピーク時の1.7万人に比べてはるかに低く、また、新型コロナウイルス感染症は、5月8日からの5類感染症移行が政府から正式表明され、ただの風邪となる。

 しかし、アメリカでは新たな変異として「XBB.1.5」が、去年12月ごろからニューヨークなど東部を中心に急増しているようだ。WHO=世界保健機関の1月25日の週報によればこの変異株はこれまでに54か国で報告されており、国別では、アメリカが75.0%とほとんどを占め、イギリスが9.9%、カナダが3.0%、デンマークが2.0%等となっている。

 一方で、東京都のモニタリング会議で出されたデータによると、1月上旬までの1週間で検出されている変異ウイルスはいずれもオミクロン株の1つで、2022年夏以降主流となっている「BA.5」48.5%が最も多く、「XBB.1.5」は0.1%だそうだ。「XBB.1.5」は2月20日現在特に話題になっておらないが、今後アメリカなどから入ってくることも予想され、第9波のような形で感染の波につながる可能性があるそうだ。

 また、中国国営中央テレビによると、中国共産党の政治局常務委員会は2月16日に、中国の新型コロナウイルス対策について、死亡率は世界で最も低いレベルを保っており、大きな、決定的な勝利を収めた、と報告した。中国政府は先月下旬、新型コロナに感染して肺炎か呼吸器不全で死亡した人のみをコロナ関連の死者として集計する方針を発表しており、基礎疾患があればコロナに感染して死亡した人でもコロナ死亡者に含めず、世界の医療専門家からは問題視する声が出ている。

 中国の発表は常に政治的な思惑を含んでおり、統計の取り方が西欧諸国と異なり、発表の数値をそのまま信ずることは危険である。中国のゼロコロナ政策が解除された後、春節を迎え農村部で爆発的な感染拡大が懸念されていたが、この件に関するネット情報は無い。感染があったとしてもかなり厳しい情報統制で抑えられたのであろう。今回のXBB1.5に関しても中国のコロナ患者の現状はよく分からない。

 さて、日本において今後新型コロナ感染症も5類になると、自分自身の感染を防ぐための対策は個人の判断に任されることになり、インフルエンザと同等の扱いになる。隔離や療養の規定もなくなり、すべて自己責任となるが、マスクの着用を巡りお上にその判断を委ねようとする世論があり、自分で判断できない風潮はこれも長期に亘るコロナ感染症の影響であろうか。
2023.02.22(犬賀 大好ー891)

岸田政権の過去最大予算と基礎的財政収支

2023年02月18日 10時14分44秒 | 日々雑感
 岸田首相の良い所は他人の話によく耳を傾けることだそうだが、自分の信念が余り無く、他人の言いなりになっている感である。すなわち国防費や子育て支援費の倍増を主張しているがその具体的中身は自分でもよく分かっていないようだ。

 政府は、昨年12月23日の臨時閣議で決定した来年度・令和5年度予算案は、一般会計の総額が過去最大の114兆3812億円となり、110兆円を超えて過去最大となった。この財源を賄うために新たに発行する国債は35兆円を超えており、財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続いている。

 一方、歳入では税収と税外収入を約79兆円と過去最大を見込んでいるが、それでも不足し新規国債を発行するが、その約7割は過去に発行した国債の償還や利払いに充てる費用で自転車操業もどきだ。

 このような苦しい台所事情であるが、岸田首相は大判振る舞いをしようとしている。すなわち防衛費の増額に加えて、子育て関連予算の倍増や脱炭素関連の投資拡大といった目標を掲げるなど、金は印刷すればいくらでもあると言った安倍元首相を思い出させる。

 さて、ロシアのウクライナ侵攻を口実に防衛費は6兆7880億円と、今年度を1兆4192億円上回って過去最大とする他、これとは別に将来の防衛力強化に充てる防衛力強化資金として3兆3806億円を計上した。政府は国防費を今後5年間の規模を43兆円として、安定財源として増税を言い出した。

 これまでの専守防衛から敵基地攻撃能力の付加と大きく方針を変えたが、具体的な使い道は示されておらず、まず米国を始めとする先進国並みの防衛費を掲げただけのようだ。

 また、2021年9月の自民党総裁選以降、岸田首相は子ども関連予算の倍増を目標に掲げており、歴代の政権が無しえなかった問題の解決に期待も集まっているが、どんなことをいつやるのかといった中身については、今のところ明らかにはなっていない。

 一方、小池東京都知事は、今年はじめ、子供に対する月5000円の給付について、2024年1月から一括で給付する等の方針を明らかにした。それで慌てたのか、政府は今年1月1日から、妊娠・出産した女性を対象に、合計10万円のクーポンを支給する「出産・子育て応援給付金」をスタートさせ、4月からは、「出産育児一時金」が原則42万円から50万円に増額させた。子育て支援の全体像が示されないまま、気前よく現金を支給しているが、財源を考えないまさにばらまきだ。

 政府は、国と地方を合わせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げているが、歳出拡大が続く中で黒字化を達成する手段に本気度が伺えない。黒字化目標は過去何回も先送りされてきたが、2025年度も先送りされるであろう。異次元の子育て支援により、将来1000兆円を超す国の借金を肩代わりして貰う世代を育成するのが首相の狙いであるのか。2023.02.18(犬賀 大好ー890)

植田新日銀総裁はアベノミクスの負の遺産をどう処理するか

2023年02月15日 13時48分45秒 | 日々雑感
 岸田文雄首相は4月8日に任期満了となる日本銀行の黒田総裁の後任に経済学者の植田和男氏を起用した。日銀総裁の交代は約10年ぶりであり、積年の垢落とし、安倍元首相の尻ぬぐいの仕事が待ち受けている。

 安倍元首相の経済政策アベノミクスの柱として、黒田氏が主導した異次元の金融緩和は企業収益の向上や株高などにつながったが、日銀の大量の国債購入、上場投資信託(ETF)の購入や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株式購入の後始末、更に急激な円安や物価高等の弊害に対する対処等が植田氏の宿題になる。

 日銀によると昨年9月末時点で、国債の発行残高1066兆円のうち日銀が536兆円を保有しており、保有割合は50%で、2012年末の第2次安倍内閣発足後に大規模緩和が始まる前の11%と比べて4倍超になっているそうだ。

 政府は民間の運用資金を増やすため民間の国債を大量に買い入れる大規模な金融緩和を約10年の長期に亘り実行した。政府の借金である国債の約半分を日銀が買取っているが、日銀はお札を印刷すればお金は無尽蔵にあり、いくらでも買い取ることが出来る。しかし、そのお金は市中に出回り、日本全体のお金を増やすことになり、お金の価値を下げる何物でもない。

 さて、ロシアのウクライナ侵攻が影響し資源の高騰が続くが、世界の中央銀行はインフレを抑えるために金利を上昇させているが、日銀はその気配はない。それでもようやく、昨年12月の決定会合で、市場金利のゆがみを修正する目的で、長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%から0.5%に拡大した。ただ、市場では、追加修正観測から長期金利が一時0.5%を超えるなど、日銀が金利を抑え込む副作用が出てきた。

 この春、諸物価の値上がりが激しいが、その理由はロシアのウクライナ侵攻の為だとの説明が多い。しかし、アベノミクスの副作用でもあると主張する者もおり、経済素人には両者の兼ね合いはよく分からない。アベノミクス信奉者にとってウクライナ侵攻は絶好の言い訳を提供している。

 しかし、悪い円安の進行やインフレによる金利上昇に追い込まれかねない状況に移行しつつあることは間違いないようで、仮に短期金利を1%引き上げただけで日銀は短期間で債務超過に陥るリスクが大きいそうで、金利上昇に対する日本経済の脆弱性は今では果てしなく大きいとのことだ。また、金利上昇は国債利払い費の増加で政府の予算を圧迫し、住宅ローン金利の上昇、株式や不動産など資産の価格下落も招くとの話だ。

 一方、日銀や他の公的機関が買い取る株式は、日本株の値上げが目的であろうが、企業にとって政府は信頼に足る安定株主となり、企業努力が疎かになる恐れがある。株式は資本主義の根本だ。市場に任せておくのが正常な姿と思うが。

植田新総裁は学者で理論家だそうだ。しかし、経済学は現象の後付け説明は得意でも将来を切り開く力は無い。理論通りに動かない経済をどう立て直すか、力量が問われる。2023.02.15(犬賀 大好ー889)

日本における電気自動車の普及は軽自動車から

2023年02月11日 09時51分46秒 | 日々雑感
 世界的に地球温暖化が原因と思われる異常気象が相次いで発生する現代、その原因となる炭酸ガスを始めとする温室効果ガスの削減が急がれている。温室効果ガスの中でも二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。たくさんのエネルギーを得るために大量の石炭や石油などの化石燃料を燃やした結果、大気中の二酸化炭素が急速に増加し、これが地球温暖化を引き起こす最大の原因と考えられている。 

 一方、自動車は現代社会には欠かせない道具であるが、ガソリンを燃料とする自動車は炭酸ガスを排出するため、世界的に電気自動車に代えようとする動きがあり、電気自動車(EV)の開発競争が激化している。

 習近平国家主席が脱炭素社会を実現し、EVを中心とした世界トップクラスの自動車産業を築くビジョンを2002年頃から国家戦略として打ち出した理由は、地球温暖化をいち早く見抜いた先見の明と言うより、ガソリン車では世界に太刀打ちできないとの判断があったからであろう。政府の支援によりEVベンチャーが増えたことにより、中国で新エネルギー車を生産する自動車メーカーはその数にして約300社に及ぶといわれている。

 EVは、動力源としてガソリン車のエンジンに代わり電気モータを使用するため、車の構造ははるかに簡単になり、車体価格を安くでき利点の他に新規参入が容易になる利点もある。中国がEVの開発に目を付けたのはもっともである。

 しかし、現時点で最高性能と言われるリチウムイオン電池は価格が高く、航続距離を稼ぐためには沢山の電池を搭載しなければならず当初の期待ほど価格が安くならない原因となっている。

 中国の自動車メーカー、ウーリンが2020年7月に発売した約50万円の小型電気自動車、MINI EVが、ついに日本でも販売開始される予定とのことだ。MINI EVは、車両価格45万円という圧倒的な安さを売りとして発売以来、世界的に販売台数は連続記録を更新し続けているようだ。

 日本でも軽自動車メーカはこれに乗り遅れまいと一斉に軽自動車のEV化を始めている。ダイハツ工業は、2025年までに軽自動車の電気自動車(EV)を国や自治体の補助金を活用して、実質負担額100万円台で販売することを2021年12月に発表した。三菱自動車も最低価格140万円で販売を始め、スズキは2025年頃までに発売する計画を表明している。国産EVは、MINI EVに比べ割高感であるが、アフターサービス等で勝算があると踏んでいるのだろう。

 軽自動車専門メーカーを除く日本の大手自動車メーカは、世界の流れに後れを取っている感である。各メーカーはNTTやソニー等との異業種の企業と共同開発を試みているが、自動運転等高級志向であり、価格もかなり高いものになるだろう。従って日本におけるEVの普及はまず軽自動車からであろう。2023.02.11(犬賀 大好ー888)