日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

原発の新規計画はこれまでの負の遺産を解消してから考えよ

2022年10月12日 09時33分40秒 | 日々雑感
 10月3日、第210回臨時国会が開催され、そこで岸田首相の所信表明演説がなされた。冒頭の挨拶の中、最近福島を訪問して東日本大震災という未曽有の国難から立ち上がることができたことを実感したとの発言があった。福島原発の廃炉作業において、デブリの所在場所も今だ掴めていない現状でもすっかり終わったかのような印象を持つとは呆れ果てる。人の話をよく聞く岸田首相であるが、廃炉作業の現状の説明者が余程上手かったのであろうか。

 また、表明演説の中で、物価高・円安対応でエネルギー安定供給の確保、再エネ・省エネの推進を表明したが、原発推進には直接触れていなかった。しかし、8月24日、官邸で開いたGX実行会議で、原子力発電所の新増設や稼働期間の延長について検討を進める考えを表明していた。

 さて今年の夏は猛暑だった。この暑さは温室効果ガスの影響と考えられ二酸化炭素の排出規制の必要性が身に染みた。この夏の電力不足の懸念は何とか乗り切ったが、この冬にも電力不足の懸念があるそうだ。この電力不足は、東日本大震災後多くの原発が停止しており、不足分を補う火力発電所の老朽化による休止や廃止が進んでいることが原因のようだ。更に、ロシアのウクライナ侵攻で燃料となる石油やLPGの供給不足も影響しているとのことだ。

 そんな中、政府が経済財政運営の基本となる「骨太の方針」で、原子力発電について昨年は表記されていた”可能な限り依存度を低減する”に代えて、”最大限活用する”を盛り込み、原発回帰が動きだしていたのだ。これまで息を潜めていた原発推進派が地球温暖化や電力不足にかこつけて一斉に動き出した。

 欧州でも脱炭素を進めるため、二酸化炭素を出さない原発に回帰する流れが強まっているようだ。欧州は天然ガスの約4割をロシアに依存し、特にガスパイプラインでつながるドイツでは影響が大きく代わりの電力源を必要とし、また仏は2021年来、脱炭素電源として原発新増設を鮮明にしている。

 日本もこの流れに乗った感であるが、日本は東日本大震災時の原発事故の後遺症からまだ立ち直っていない。廃炉計画は遅々として進まないばかりか、低レベル放射能の核廃棄物はおろか高レベル放射性の核廃棄物の最終処分法や処分場も決まっていない。冷却用の汚染水の海洋投棄は決定したようだが、地元住民は風評被害を心配している。更に以前原発で生じたプルトニウムを高速炉で燃やす核燃料サイクルを計画していたが、その計画は頓挫したままだ。

 これら負の遺産を残したままで次の計画とは無責任もいい加減にしろと言いたくなる。
2022.10.12(犬賀 大好ー854)


新興宗教の迷惑行為を絶滅させる手はあるか

2022年10月08日 18時59分42秒 | 日々雑感
 第210回臨時国会が始まった。今国会の焦点の一つは旧統一教会と国会議員との関り解明だ。国会議員がいかなる宗教を信じようと憲法で新興の自由が保証されており問題ない。ここで問題とされるのが、霊感商法や多額の金を寄付させられ生活に窮するほどとなる行為だ。国会議員が直接これらの迷惑行為に関わってはいなくても、国会議員の名前を利用した宗派の広告塔としての役目を担い、新たな信者を獲得する手段の一翼を担っている現状があるからだ。

 これらの迷惑行為に対する消費⽣活相談が消費者庁に設けられており、ここに相談された相談数は2022年9月分で24295件もあったが、旧統一教会の教会改革推進本部長の勅使河原氏によるとこの内統一教会に関わるのはたった123件であり、全体から見れば 微々たるもので、何ら問題が無いとのことだ。勅使河原氏が教団内部の実状を厳密に調査した結果かは極めて疑問であるが、2万件を越すとは宗教がらみの苦情が如何に多いかを示唆している。

 宗教と言えば、仏教、イスラム教、キリスト教が有名であり、生産性の低かった時代に生まれ、その社会に適応したものであり、物質的な追求よりも心の平安を目指している。

 人間の社会はそれぞれの社会にルールがある、皆がそのルールに従い、平穏に社会生活を営むが、そのルールを教えるのが宗教だと言われ、重要な役目を担っている。

 しかし、2千年の歴史を有する宗教も、時間の経過とともに時代に合わないところが出てきて、そこに新しい宗教が生まれる原因があるのだろう。日本では、幕末・明治維新による近代化以後にかけて創始された比較的新しい宗教のことを新興宗教と言うが、江戸時代に起源を持つところもあり、それなりの歴史と伝統を確立している団体も多い。

 文部科学省の宗教統計調査は昭和24年から毎年12月31日に調査を行い、平成22年の年末には、全国社寺教会等宗教団体・教師・信者数として、総信者数が約2億万人と発表している。この数は日本の人口より多いが、同時に複数の宗派に属しているからだそうだが、日本人の大らかさを表しているのだろう。

 2000年代以後の現在、日本において一定規模で持続的に宗教活動を展開している新宗教の教団は、350~400教団ほどと驚くほどの多さである。新興宗教の信者は、日本人のおよそ1割を占める、すなわち1千万程度と推定されるそうだ。

 さて、今話題の旧統一教会もこの新興宗教の一つであるが、戦術の迷惑行為をしている宗教団体も他にあるのであろう。これらの宗教団体はいずれも宗教法人として税制の保護を受けているのであろうが、宗教団体の財政事情は公開されていないとのことだ。宗教は心の問題であり、寄付行為等も心の問題として扱われるのであろうから、財政の中身が明らかにされない限り、迷惑行為の抜本的な改革は難しそうだ。2022.10.08(犬賀 大好ー853)

岸田首相の所信表明演説でも支持率は回復しないだろう

2022年10月05日 11時06分35秒 | 日々雑感
 10月3日、国会が開幕し岸田首相の所信表明演説が行われた。この中で、冒頭に日本経済を必ず再生させるとの力強い宣言があったが、その後の演説の中に ”新しい資本主義”の新規さが見当たらなかった。

 岸田首相は、予てより過度な自由主義経済は多くの弊害を生んでおり、これに代わる”新しい資本主義”は一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現する考えであると主張していた。その具体策がはっきりしていなかったが、これも安倍元首相の亡霊に脅かされ自身の政策を打ち出せなかったと同情もしていたが、今回の所信表明演説でも触れなかったことをみると、”新しい資本主義”は単なる思い付きであったと落胆せざるを得なかった。

 岸田政府は ”成長と分配の好循環”等を実現する目的で、内閣に新しい資本主義実現本部を設置し、今年10月4日、総理大臣官邸で第10回新しい資本主義実現会議を開催したようだ。しかし会議では、賃金・最低賃金の引上げに伴う転嫁対策・中小企業対策の強化について身近な話題に関する議論が行われたようであるが、”新しい資本主義”の名前に相応しい議論は無かったようだ。

 岸田首相の”成長と分配”の考えは、安倍元首相の進めた異次元金融緩和による格差拡大を解消するものと大いに期待していたが、全くの期待はずれであった。今回の安倍元首相の国葬開催強行や旧統一教会問題の対応で、岸田内閣の支持率が急落したが、今回の所信表明演説では支持率の回復は全く見込めない。

 今回の所信表明演説で、新しい資本主義の旗印の下、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野にあげているが、従来路線の延長で新しい資本主義の名前が恥ずかしい。

 「物価高・円安への対応」では、円安メリットを生かすとして海外からの観光客を復活させ年間5兆円を達成すると目論んだが、3年前爆買いで有名だった中国からの観光客は中国のゼロコロナ規制でいつ復活するか分からないし、又中国人もいつまでも日本製品にあこがれている訳でもないだろう。

 「構造的な賃上げ」では、企業の生産性を上げることが賃上げにつながるとしたが、生産性を上げる課題は歴代の政権も議論していたがこれまで解決はなされていなし、今回も掛け声だけの感が強い。

 「成長のための投資と改革」でも歴代のどの政権も成長戦略を述べてきた。今回もバイオ、AI等の具体的な項目は上がっているが、技術的な進歩と経済的な発展は別問題である。

 岸田首相の支持率の回復は、旧統一教会対策への丁寧な説明に負うところが大きいであろうが、個人的には新しい資本主義に対する期待が大きかっただけにこちらに対する影響の方が大きい。2022.10.05(犬賀 大好ー852)

プーチン大統領の自暴自棄が何より恐ろしい

2022年10月01日 10時26分26秒 | 日々雑感
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの反転攻勢を受け、30万人規模の予備役動員に踏み切ったそうだ。しかし、ネット上には予備役ばかりでなく、服役中の犯罪者、デモ参加者や更に一般学生へも召集令状が届いているとのことで、政府の混乱ぶりが推し測れる。

 このような混乱状況に対してロシア各地で戦争反対デモが起きているとの報道がある。これまで特別軍事作戦と称しウクライナ侵攻を進めてきたが、召集令状の発行によりこの侵攻が戦争であることが一般国民にも知れ渡ってしまったようだ。これを契機に政府のメディア統制が効かなくなり、一層政権批判が拡がると思われる。

 この戦争の終結は、理想的にはプーチン政権が倒れ穏健派に代わり、和平交渉が進むことであるが、現時点でその可能性は低そうだ。プーチン大統領の周辺には強硬派が多く、大統領本人の一存では決められないとのことだ。プーチン独裁体制でかってに決められると思っていたが、多くの取り巻き連中に囲まれ、いつの間にか自縛状態に陥ってしまったのだろう。

 ただ、時間がかかるとしても、これまでの国営報道のまやかしが明らかになったことや経済制裁の長期化がそうした動きを後押し、一刻も早いプーチン政権の崩壊を願うばかりだ。

 ウクライナ侵攻は開始当初より、プーチン大統領は西側諸国に対し核兵器使用の脅しをしてきたが、たびたびの使用ですっかりオオカミ少年となり、脅しが効かなくなっていた。しかし最近の劣勢で追い込まれ核兵器使用が本気になっているとの懸念が出てきた。

 ウクライナ占領地域での住民投票強行でロシア併合を宣言し、ウクライナの占領地域奪還をロシア領への攻撃と見なすと核攻撃を正当化するつもりのようだ。

 核使用は戦争地区での核使用と思っていたが、ネット上には英国やウクライナ首都キーウへ核攻撃すると言った不穏な情報も流れている。大都市への先制攻撃は、いくら追い詰められたプーチン大統領でもそこまではしないだろうと思うが、そもそもこの戦争を始めた理由が理解できない現状、理解できないことが起こるかも知れないと思った方が良いのかもしれない。

 ロシア政治の専門家である筑波大学の中村名誉教授は、プーチン大統領の核攻撃の可能性が高いのは原子炉への攻撃とだ考えているそうだ。ウクライナ国内にはヨーロッパ最大級のザポリージャ原発など、6つの原子炉がある。これまでもロシアは原子炉周辺を狙った砲撃をしており、原子炉に電力を供給する電力網が破損したとの報道もあった。

 電力網の攻撃は脅しであろう。一番怖いの原子炉自体を撃つ可能性があることだ。電力網の破損は短期に修復可能であるが、原子炉の破損はチェルノブイリ原発の破損の例で見るように世代を越える影響を残す。ロシア国民の戦争反対の声が大きくなるのは結構であるが、プーチン大統領の自暴自棄が恐ろしい。2022.10.01(犬賀 大好ー851)