ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの反転攻勢を受け、30万人規模の予備役動員に踏み切ったそうだ。しかし、ネット上には予備役ばかりでなく、服役中の犯罪者、デモ参加者や更に一般学生へも召集令状が届いているとのことで、政府の混乱ぶりが推し測れる。
このような混乱状況に対してロシア各地で戦争反対デモが起きているとの報道がある。これまで特別軍事作戦と称しウクライナ侵攻を進めてきたが、召集令状の発行によりこの侵攻が戦争であることが一般国民にも知れ渡ってしまったようだ。これを契機に政府のメディア統制が効かなくなり、一層政権批判が拡がると思われる。
この戦争の終結は、理想的にはプーチン政権が倒れ穏健派に代わり、和平交渉が進むことであるが、現時点でその可能性は低そうだ。プーチン大統領の周辺には強硬派が多く、大統領本人の一存では決められないとのことだ。プーチン独裁体制でかってに決められると思っていたが、多くの取り巻き連中に囲まれ、いつの間にか自縛状態に陥ってしまったのだろう。
ただ、時間がかかるとしても、これまでの国営報道のまやかしが明らかになったことや経済制裁の長期化がそうした動きを後押し、一刻も早いプーチン政権の崩壊を願うばかりだ。
ウクライナ侵攻は開始当初より、プーチン大統領は西側諸国に対し核兵器使用の脅しをしてきたが、たびたびの使用ですっかりオオカミ少年となり、脅しが効かなくなっていた。しかし最近の劣勢で追い込まれ核兵器使用が本気になっているとの懸念が出てきた。
ウクライナ占領地域での住民投票強行でロシア併合を宣言し、ウクライナの占領地域奪還をロシア領への攻撃と見なすと核攻撃を正当化するつもりのようだ。
核使用は戦争地区での核使用と思っていたが、ネット上には英国やウクライナ首都キーウへ核攻撃すると言った不穏な情報も流れている。大都市への先制攻撃は、いくら追い詰められたプーチン大統領でもそこまではしないだろうと思うが、そもそもこの戦争を始めた理由が理解できない現状、理解できないことが起こるかも知れないと思った方が良いのかもしれない。
ロシア政治の専門家である筑波大学の中村名誉教授は、プーチン大統領の核攻撃の可能性が高いのは原子炉への攻撃とだ考えているそうだ。ウクライナ国内にはヨーロッパ最大級のザポリージャ原発など、6つの原子炉がある。これまでもロシアは原子炉周辺を狙った砲撃をしており、原子炉に電力を供給する電力網が破損したとの報道もあった。
電力網の攻撃は脅しであろう。一番怖いの原子炉自体を撃つ可能性があることだ。電力網の破損は短期に修復可能であるが、原子炉の破損はチェルノブイリ原発の破損の例で見るように世代を越える影響を残す。ロシア国民の戦争反対の声が大きくなるのは結構であるが、プーチン大統領の自暴自棄が恐ろしい。2022.10.01(犬賀 大好ー851)