日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

経済発展と地球温暖化対策は相反する

2019年10月30日 09時18分19秒 | 日々雑感
 米政府は昨年11月末、気候変動に関する報告書:第4次全米気候評価、第2巻、を発表したそうだ。その内容は、地球温暖化が経済活動に与える悪影響などを詳述しているとのことだ。

 現日本においても台風19、21号が日本各地に未曾有の大雨被害をもたらしたが、太平洋の海水温度の上昇が台風大型化の主原因とのことである。既に地球温暖化が莫大な経済損失を生んでおり、決して将来の話ではない。

 トランプ大統領は、記者団に温暖化対策をとらなければ米経済が大混乱に陥るという報告書の指摘をどう思うか質問されたが、信じないと答えたそうだ。そもそも大統領は当面の経済最優先であり、経済活動を制限する地球温暖化対策には消極的であり、このため地球温暖化をまやかしと決めつけているのだ。

 トランプ大統領はパリ協定から離脱するなど、アメリカの気候変動対策の法律を次々と後退させている。温室効果ガスを大量に排出する国内石炭産業の規制を緩めたのも一例である。しかし、トランプ氏の地球温暖化の否定はどうも本心からでは無く、諸外国が温室効果ガスの排出量を削減する必要があることは認識はしているようだ。

 実際、米国だけが努力しても対策効果は小さい。2018年二酸化炭素排出量は、日本を基準1とした場合、中国は8.2、米国4.4、インド2.5、ロシア1.3であり、中国が圧倒的に多く、米国だけが排出規制に努力しても効果少なく損だと言うのが本心であろう。

 2018年の二酸化炭素排出量は中国が圧倒的に大きいと言っても、過去からの累積ではどうであろうか。恐らく現在の地球温暖化は、これまで世界の機械文明を先導してきた先進国の影響が大きいだろうが、この点を頬被りしているのは大国の指導者としては真に情けない。もっともこの件に拘わらずトランプ大統領は世界の指導者の役目をとっくに放棄しているが。

 先進国がまともに取り上げない温暖化対策を開発途上国に押し付けられても迷惑な話だ。この典型がブラジルである。ブラジルが抱える地球上最大のアマゾン熱帯雨林は「大気中の酸素の20%を供給」や「地球の肺」と言われており、地球上の誰もがそっとしておきたい場所だ。

 ところが、今年1月に発足したブラジルのボルソナロ大統領はアマゾンにおけるアグリビジネスの推進を重要政策のひとつにあげており、その熱帯雨林を急速に開発しているとのことだ。開発とは聞こえは良いが、森林を伐採し、大豆等を育てる平地にすることであり、熱帯雨林の破壊である。

 大規模に森を失ったアマゾンは、今急速に乾燥化が進んでいるそうだ。水資源の枯渇は農業にとっても死活問題であり大豆栽培が永遠に続けられる訳でもなく、持続可能な経済活動のあり方が問われている。

 熱帯雨林の破壊は地球温暖化を促進するので”止めよ”と叫ぶのは簡単だ。ブラジルの経済的な貧しさからの脱却を図る道を同時に提案しなくては開発は止まらない。

 今月8日、国連の気候変動に関する政府間パネルは、地球温暖化の影響で早ければ2030年にも産業革命前からの平均気温上昇が1.5度に達し、地球環境の悪化が一層進むと予測した特別報告書を公表した。今年日本に百年に一度と言われる大洪水を起こした大雨は、更に勢いを増して毎年やって来るだろう。2019.10.30(犬賀 大好ー544)

”ポツンと一軒家”に自動車は必須アイテム

2019年10月26日 09時11分08秒 | 日々雑感
 日曜日夜、テレビ朝日系で放映される番組、”ポツンと一軒家”は日本各地の人里離れた場所に、ポツンと存在する一軒家を訪ね、一軒家の実態を調査しながら、辺鄙な場所で生活する人物の人生にも迫る面白い人気番組である。

 ただ人里離れた一軒家と言っても、近くまでは砂利道やコンクリート製自動車道があり、生活には自動車は必須アイテムとなっている。またそこを訪ねるテレビ局の人は道路の狭さや急こう配に難儀しているが、そこに住む多くの高齢者は同じ山道を事故無く運転し日常生活を送っている。

 現代機械文明が作り出した自動車は実に便利な道具だ。人間の足代わりになり生活範囲を広げている。しかし、一方、都会近くに住む高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違い、高速道路の逆走など、車の運転事故がテレビにしばしば登場するが、これが同じ日本の中で同時に起こっているかと思うと不思議な気がする。

 もっとも、人里離れた山奥に住む高齢者の数は、都会近くに住む高齢者より圧倒的に少なく、確率的に見て前者の交通事故はめったに起こらないと言うことだけかも知れないが、生活環境が生き様に反映されることは間違いない。

 すなわち、高齢者の運転事故は運動機能の劣化や記憶力の劣化等が原因であろうが、これらの機能の劣化の程度は生活環境によって大いに左右されるのだ。高齢者の車の運転は、見る、聞く、判断する、操作するなど、脳のさまざまな機能を使い認知機能や運動機能の低下を防ぐのに役立つのだ。

 都会近くの高齢者は車を運転すれば単に生活が便利になるに比べて、山奥に住む高齢者は車の運転をしなければ生活が出来ず、車の運転に対する真剣さが違うのだ。この真剣さが、高齢者の無事故運転を支えていると言うことが出来るのかも知れない。番組に登場する高齢者が何れも年齢以上に若々しく見えるのもこの為であろう。

 さて、警視庁も高齢者の車の運転事故を減らすために様々な工夫を検討している。手っ取り早い方法は免許証の自主返納であるが、山奥の高齢者にはまずあり得ない。

 交通便利な地域に住む人が、免許を返納した直後から引きこもりのようになってしまい、認知症を発症したり、症状が進んでしまったりするケースも少なくないそうで、事故が減っても認知症患者が増えたのでは痛しかゆしだ。

 自動車事故を減らす抜本的な対策は自動車が無くても済む社会の構築や自動運転車の開発だ。それは人間を緊張感から解放するとの美辞麗句にも繋がるが、人間を堕落させる方向だ。認知症の対策の観点からは、ポツンと一軒家の緊張感に満ちた生活の方が絶対役に立つ。2019.10.26(犬賀 大好-543)

関西電力の不正受給金ははした金ではあるが

2019年10月23日 09時11分40秒 | 日々雑感
 10月9日、関西電力の会長、社長ら幹部20人が総額3.2億万円に上る現金などを福井県高浜町の元助役・森山氏から不正受給していた問題で、八木誠会長ら役員6人が辞任を決意した。

 関西電力と地元業者の癒着は以前から噂に上がっていたようだが、よくあることと放って置かれたようだ。この機に及んで公になったのは森山氏の死と関係があるのだろう。

 この件に関し詳しい調査が第三者委員会で解明されるであろうが、3.2億円と言う金額は、原子力発電所の建設費用等に比較すればはした金だ。例えば、関西電力、高浜発電所の1号機の建設費は656億円、3号機は2803億円とのことだ。

 また、原発建設には様々な利権が絡むので、不正に使用された金類はこれだけでは済む筈が無い。記者会見では、死者に口無しと亡くなった森山元助役がすっかり悪者にされたが、自分は被害者として幕引きを図ろうとする関電幹部の姿勢に一層の不信感が募る。

 森山元助役からの金品の提供を怖くて断れなかったとの子供じみた釈明は、大企業の幹部の態度として納得が出来ない。何か説明できない裏事情があるに違いない。

 関西電力は、2011年の東京電力福島第1原発事故の余波で、2015年度も原発が動かせなかったが、全11基(廃炉を決めた2基を含む)の維持に2996億円をかけたそうだ。主な使い道は、安全対策に向けた分析費用などの委託費(520億円)や廃棄物の処理費(452億円)、修繕費(388億円)だそうだ。これらの費用に比べても、不正受給額3.2億円は微々たる金額であり金銭感覚が麻痺するのは当然であろう。

 関西電力は国内9電力会社で初の原発の営業運転にこぎつけ、福井県内に11基を建設し、最盛期には電力の約半分を原発でまかなう原発王国であった。また、2011年の東日本大震災後、5年以上かけて4基の再稼働にこぎつけ、停滞する国内原発の再稼働でトップを走ってきた。また、未稼働の3基も安全審査に合格しており、来年以降に順次再稼働させていこうとしていた矢先の不祥事の発覚だった。

 関西電力幹部の不祥事は、地元の人ばかりでなく、日本国民の信頼を失墜させた。先月末に記者会見した岩根社長は、信頼回復を進めていきたい、と声を絞り出したようだが、演技はいくらでも出来る。僅か3.2億円の金品を受け取っていた理由で再稼働がストップするのは、信用が如何に高いものか新たに思い知らされたに違いない。

 今回の不祥事の発覚は、国内の原発政策にも間違いなく影響を及ぼす。原発事業は独占事業であり、利権のデパートだ。関西電力の第3者委員会でどこまで明らかにするか、あるいは出来るか分からないが、3.2億円程度の不正受給だけで済む筈が無い。かつ、関西電力ばかりでなく、他の電力会社にも同様な不祥事が多かれ少なかれある筈だ。

 原発行政にはこれまで不信感が強い。今回の不正受給に関しても、関西電力ばかりでなく、他の電力会社での実態が明らかにされなくては、今後の再稼働等の原発行政に障害となる可能性が大いにある。
2019.10.23(犬賀 大好-542)

地球温暖化対策は個人の我慢から始まるが!

2019年10月19日 09時21分06秒 | 日々雑感
 台風19号は史上稀な大型雨台風として全国的な被害をもたらした。中部地方から東北地方まで広範囲に洪水被害をもたらしたのは日本近海の海水温度の上昇が主原因とのことである。

 日本近海における、2018年までのおよそ100年間にわたる年平均海面水温の上昇率は、+1.12℃/100年だそうで、日本の気温の上昇率(+1.21℃/100年)と同程度の値だそうだ。

 今年の1月発行の科学誌Scienceによると、地球温室効果ガスによって地球にたまった熱の内、約93%が海に吸収されることが分かったそうで、大気温度の上昇がそのまま海水温度の上昇につながるのだ。

 地球温暖化対策は喫緊の世界規模の課題だが、経済活動と密接に関係している所に対策の難しさがある。米国トランプ大統領は経済最優先の為、地球温暖化そのものを否定している。確かに温室効果ガスのため大気温度が上昇しているとの説に疑問を呈する科学者もいるが、大部分の科学者は肯定的である。

 さて、人間の生活に必須な電力を作り出す発電所に関し、2018年の我が国での割合は、化石燃料発電が77.9%、原子力発電7.8%、再生可能エネルギー17.4%であり、温室効果ガスの発生量が他に比べ圧倒的に大きい化石燃料発電が大きな割合を占めている。

 グテーレス国連事務総長は2050年までに温室効果ガスの代表である二酸化炭素排出量を正味ゼロにするため、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めている。

 さて、安倍政権でも経済最優先であり、昨年7月に閣議決定した第5次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成比率を、化石燃料56%、原子力20~22%、再生可能エネルギー22~24%、としており、相変わらず化石燃料への依存度が高い。

 原子力発電は温室効果ガスを出さないため、温暖化対策にはうってつけだが、福島第1原発事故における安全神話の崩壊、汚染水処理など事故対策に対する国民の不信感、更に最近発覚した関西電力の金にまつわる不祥事と、国民の原発再稼働に対する拒否反応は依然として高い。

 原発に代わるものとして、自然エネルギーの利用があるが、自然に対する不安定さが付きまとうため、全面的な依存は無理だ。昼間発生する太陽発電のエネルギーを蓄電池に蓄え夜間に使用できれば理想的であるが、性能的に実用のレベルに達していない。

 ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんのリチウムイオン電池は、従来の鉛蓄電池に比較し格段の性能向上はあるが、大容量の蓄電池としては、値段的にも更なる性能向上が必要だ。

 夜間、東京の空を煌々と照らす明かりを目にするにつけ、東日本大震災の教訓はすっかり忘れ去られたようだ。これに費やされる夜間電力を半減でもさせれば電力事情もかなり変わると思うが、人々の気持ちを暗くし、経済的な面でも暗くなるであろう。

 経済的に豊かな生活は現実の問題だ。地球温暖化対策はすぐに効果が表れない。予想される将来の問題に対し、想像力を働かし、多少の貧しさを許容し、どこまで忍耐出来るかが問題だが、悲しいことに人間現実の方を重視する。
2019.10.19(犬賀 大好-541)

小泉環境大臣にダークな仕事もこなせるか?

2019年10月16日 09時17分19秒 | 日々雑感
 安倍政権の第4次改造内閣で小泉進次郎氏が環境大臣に任命された。この大臣の担務は環境の保全、管理、廃棄物対策等を行うことであるが、セクシーに対策を立てられればよいが、逆にダークな役も引き受けなければならないだろう。

 10月2日、小泉大臣は福島の原発事故の被災地を視察し、感想を記者団に、一連の流れを自分の頭の中に残る光景として焼き付かせることが安全確保の取り組みを進めていく上で大事だ、と語ったそうだ。当然のことながら今回の視察での具体的な指示は何も無かったようだ。

 歴代の担当相が問題を先送りしてきた難しい問題に、半日程度の視察で具体的な指示が出せる筈は無いが、時間をかけても皆が納得できるようなセクシーな解を見つけることは極めて困難と思われる。

 さて、福島県知事や国はこれまで廃炉終了までに核燃料を県外に搬出すると明言していたが、県知事は今年7月30日、第2原発の1~4号機の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針を打ち出したのだ。この施設は最終処分場との位置づけではないので、この方針は従来の言動とは矛盾しない。

 しかし、この中間貯蔵施設の建設には安全対策と称して多大な建設資金が投入され、またその維持管理にはお金と人材が、更には地元自治体に協力交付と称する金が支給されるだろう。そして、地元の地方自治体はこれらの金により潤い、次第にそれに依存するようになり、その交付金等が無くてはやっていけない体質になる。

 すなわち、中間貯蔵施設と言いながら、実は最終貯蔵施設となる可能性が極めて大きいのだ。

 地球温暖化対策の一環として原発の必要性が叫ばれているが、トイレの無いマンションと揶揄される原発再稼働に最終処分地は必須だが、調査すら始まっていないのが現状だ。

 しかし、ここに来て福島県知事が一つの解決法を示したのだ。すなわち前述のようにまず高価な中間処分場を建設することだ。30~50年すれば世帯交代し、当初の約束は忘れ去られ、現状に甘んずる体質になり、そのまま最終処分地として何百年と安泰となる分けだ。

 福島県知事等はこの筋書きを十分頭に入れた確信犯だと勘繰る。これは結果として地域住民を騙すことになるが、清廉潔白を旨とする小泉大臣に出来るであろうか。

 さて、最終処分地に関しては海外ではフィンランドやスェーデンでは決まっているようだが、英国やドイツが日本と同様の状況であり、スペインやベルギーなどは最終処分法の方針すら示せていないようで、この共通の課題に世界的な取り組みも始まっているようだ。

 世耕前経産相は、最終処分は次世代に先送りしてはいけない重要課題であり、積極的な国際協力の下でしっかり取り組みたい、と強調したそうだ。国際協力で実現するとすれば、世界の何処かの国にゴミ捨て場を金で釣って押し付けることになるだろう。小泉大臣にこのダークな仕事が可能であろうか。
2019.10.16(犬賀 大好-540)