日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国ゼロコロナ政策終了後の混乱をどう治めるか

2022年12月31日 10時40分34秒 | 日々雑感
 中国がゼロコロナ政策の終了に踏み切った。若者たちの抗議デモが全国に広がったことを受け、3期目をスタートさせたばかりの習近平体制が突如方向転換したのだ。PCR検査場が一夜にして消える、スマホアプリによる行動規制がなくなるなど急激な変化に国民の間には動揺と混乱、そしてコロナ感染が急速に広がっているそうだ。

 現在流行中のオミクロン株での重症化リスクは従来株より低くなっているそうだが、感染者の数が多くなれば当然死亡者数も増える筈だ。中国当局の発表によると、今月19日に2人、20日に5人が新型コロナウイルスで死亡し、それ以前の2週間は1人も死亡していないとのことだ。中国当局の発表は常に政治的な意図が付きまとう。中国の集計方法では、死者数には肺炎などの呼吸器系疾患により死亡した人のみを集計しており、意図的に少なく見せているようだ。

 米ワシントン大学医学部保健指標評価研究所(IHME)は、死者は今後100万人を超える恐れがある達すると予想しており、英国の医療関連調査会社エアフィニティーも、感染者数増加のピークは来年4月1日ごろで、中国全土での死者数は4月末までに170万人に達すると予測している。

 このような状況に拘わらず、中国政府は26日夜、新型コロナウイルスの水際対策として入国者に義務づけてきた隔離を撤来年1月8日から廃すると発表した。国内の断続的な規制緩和に加えて出入国時の制約もほぼなくなる形で、国民に厳しい移動制限を強いてきたゼロコロナ政策は事実上完全終了となる。

 中国人の海外旅行が2023年初めに再開される見通しとなり、待望の解禁を前に旅行先のネット検索が増え、航空券の予約などに利用者が殺到しているそうだ。日本でもかっての中国人観光客の賑わいを待ち望んでいる人はさぞかし多いだろう。

 ただ、中国国内では規制緩和で感染が急拡大しており、日本や米国、台湾などで中国からの来訪者に対する水際対策を強化する動きが広がっているようだが、かってのように大挙して押し寄せる中国人観光客を安全に手際よく受け入れることが出来るであろうか。

 中国での感染者数や死亡者数の公式発表は今後とも無いだろうが、習近平氏の無策に民衆が騒ぎ出すのを恐れてか、外国に目を逸らすための対外強硬姿勢が目に付く。すなわち今月21日、南シナ海の上空で米軍の偵察機に中国軍の戦闘機が6mまで接近して飛行を妨害し、今月25日には、尖閣諸島沖で中国海警局の2隻が72時間45分にわたり日本の領海に侵入し連続で滞在した時間は国有化以降で最長となり、また、今月26日午前6時までの24時間に台湾周辺で、中国軍の航空機延べ71機と艦艇延べ7隻の活動を確認した等、次第にエスカレートしている感である。2022.12.31(犬賀 大好ー876)

来春創設予定の子ども家庭庁の重要な仕事の一つは不登校対策

2022年12月29日 10時31分46秒 | 日々雑感
 文科省は、今年10月に”令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果”を公表した。小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)で、児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は25.7人となり、9年連続で増加し過去最多となったとのことだ。

 不登校の生徒とは、年間30日以上登校できなかった児童生徒のことを指すようだ。不登校はいじめが原因と思っていたが、最近は担任の先生でも原因がよく分からず対処するのに困惑しているのだそうだ。

 コロナの感染対策による行事や部活動の制限等により、学校がつまらない場所となっていると同時に共働き家庭の増加により家庭が逃げ場所になっているからではないかと推測する先生もいる。

 また、従来学校は自主性と協調性を身につけるため行かせるものだと言う考えがあったが、最近、このまま無理して学校に行かせてしまうと、もっとひどいことになるという認識が、学校や家庭の間で広がったことが理由としてあげられるそうだ。平均化教育を旨とする義務教育も曲がり角を迎えている気がする。

 先の文科省の調査結果によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は615,351件(前年度517,163件)で、前年度に比べ2割近く増加しているようだ。いじめが問題視されるようになりいじめ対策もそれなりに施されていると思うが、決して減少している訳でなく、やはり不登校の主原因はいじめが大きいのではないだろうか。

 他の不登校の原因は、無気力、非行や遊び、学業不振、親離れできない、神経症、発達障害等が考えられるようだ。発達障害とは、同じ年齢の子ども達と遊ばない、意思疎通が出来ない、教科によって極端に学習の遅れが見られる等の特徴がみられ、最近注目されるようになっている。不登校の原因であるいじめに関しては、まだ対処法がはっきりしているが無気力や発達障害等に関してはよく分かっておらず手探りの状態のようだ。

 現在の日本は少子高齢化が進行し社会全体の根幹を揺るがしかねない危機的な状況となっている。政府は、来春のこども家庭庁創設に向けた基本方針を踏まえ、虐待やいじめ、貧困などから子どもを守るための政策の拡充を図る方針だ。だが、予算面の裏付けは乏しく、安定財源の確保が課題となる。防衛予算の増額に対しては増税の方向で決定したが、年1千億円程度必要な子ども関連の財源確保の目途が立っていない。

 ロシアのウクライナ侵攻で防衛力強化は喫緊の課題であろうが、少子化問題は将来必ず直面する大問題だ。従って、年々少なくなる児童の中でも増加しつつある不登校の児童を健全に育成するため、専門家は当然のこと社会全体で知恵を絞るべきだ。

 来春こども家庭庁の長官になる予定の小倉現内閣府特命大臣の子ども対策に関する課題はどれも重く、解決は容易ではない。しかし、現在国会では防衛力増強の陰に隠れて存在感が薄い。予算確保ためにももっと声をあげるべきだ。2022.12.29(犬賀 大好ー875)

黒田日銀総裁もついに方向転換か

2022年12月24日 09時42分03秒 | 日々雑感
 日銀は11月19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大するとのことだ。金利とは何の関係もなく生きている高齢者にはピンとこないが、黒田日銀総裁もようやく重い腰を上げたようだ。岸田首相の反撃能力の保有や原発回帰に対する程では無く、予想されてはいたが大きな方向転換だ。

 総裁は記者会見で今回の長期金利の変動幅の拡大について、「市場機能の改善をはかるためであり、利上げではない」と説明したが、経済素人には変動幅の拡大が市場機能の改善とどう関係するのか理解できない。

 長期金利の変動幅の拡大は企業が社債などで投資家から資金を集め易くなるとのことらしいが、金利の上昇は国債の利払いに悪影響するとの識者の主張があったが、その点に関しては何も語っていない。総裁は今回の処置は利上げでないと強弁したが、この悪影響の話をそらすためであったと勘繰ることも出来る。

 日銀は、一方で急激な金利上昇を防ぐため、国債買い入れ額を来年1~3月は現在の月7.3兆円から9兆円程度に増額する方針を示したが、これも金利が低い間に沢山買って貰おうとする魂胆であろう。なお、短期金利をマイナス0.1%とする政策は維持したが、ゼロ金利政策の弊害は大きく、今回の長期金利の方向転換は近い将来短期金利にも及ぶであろう。

 金融市場は、日銀が金利上昇を容認したとして、金融緩和策の修正とみなしたが素人目にも当然だ。発表直後、当然ながら長期金利は従来の上限である0.25%程度から一時0.46%まで上昇した。金利上昇の狙いは、企業が日銀から金を借りにくくする処理であり、景気悪化のリスクがあると説明される。すなわち、企業や家計の利払い増加につながり、住宅ローン金利などに影響が及ぶであろう。

 20日決定した金融政策の一部修正が金融緩和を縮小する出口戦略につながるのかという質問に対して総裁は「今回の措置は、出口戦略の1歩というものでは全くない。いまは経済をしっかりと支えて賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現するために金融緩和を継続することが適当だ」と述べた。

 黒田総裁は2013年の就任当時、デフレ脱却に向けて金融緩和は2%の物価上昇率が目標だと説明し、非常に分かり易かった。しかし、その後説明がどんどん複雑になり、物価上昇率が2%になっても、持続可能性が低いとか、賃金上昇が伴わないからと言って金融緩和を引き延ばし、今回の言い訳になった。

 黒田総裁も現時点でデフレではない状態を実現したと公言しているが、どちらかと言えばデフレを通り越しインフレ状態であろう。総裁任期は来年の3月いっぱい。異次元金融緩和の成果は失敗だったとの声が強いが、次の総裁のために異次元金融緩和の終了の環境を整え出したのではないだろうか。2022.12.24(犬賀 大好ー874)

岸田首相の素早い決断もプーチン大統領の影響

2022年12月21日 10時11分26秒 | 日々雑感
 毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は25%で、1か月前の調査の31%から6ポイント下落し政権発足以降最低となった。また不支持率は69%で前回の62%より7ポイント増加した。

 岸田首相の特徴は他人の意見によく耳を傾けることで、自分の意思を積極的に表に出さない筈であったが、防衛力の増強に関しては専守防衛から敵基地攻撃能力の保有、更に原発回帰の姿勢に関する決断は素早かった。それぞれ賛成、反対の意見は当然ながらあり、政治家としてはどちらかの意見に傾かざるを得ない。往々にしてどっちつかずの曖昧な態度で押し通す政治家も多いが、今回の首相の姿勢は従来路線とは異なる、思い切った方向転換の決断であった。他人の意見をよく聞く首相としては、反対意見によく耳を傾け、説得し納得させる努力がこれからは望まれる。

 支持率低下の原因は岸田首相が防衛費増額の財源について、1兆円強を増税で賄う方針を示したことだったと先述の世論調査結果の分析である。防衛費増額そのものは、今年10月のNHKの世論調査で賛否を聞いたところ「賛成」が55%で「反対」の29%の約倍となったとのことであり、支持率低下の直接の原因とはならなかったであろう。

 防衛費増額の中身に関しては、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する費用2100億円あまりを計上するようだ。このミサイルは40年前から世界各国に実戦配備され、2003年のイラク戦争でも使用された実績があるとのことだ。兵器は年々進歩し、40年前の開発品は時代遅れの感もするが、各国が保持している巡航ミサイル類のなかでもかなり上等のもののようで、敵基地攻撃用としてかなり抑止力があると言われている。

 一方、経済産業省は12月8日、東京電力福島第1原発事故以降の政策を転換した原発活用に向けた行動指針を示し、首相は大筋で了承した。廃炉が決まった原発の次世代型原発への建て替えや、60年を超える運転延長を盛り込み、原発回帰の方向に舵を切った。これも首相の思い切った決断である。

 この方向を決めた委員は従来からの原発関係者であろうが、廃炉作業や高放射能廃棄物の処分場決定等の原発事故の後始末に関してはすっかり忘れ、将来に向けての都合の良い話ばかりを取り上げて、相変わらず原発の安全神話の信奉者であるようだ。

 最長で40年かかるとしている福島第一原子力発電所の廃炉作業の中でも最大の難関とされる溶け落ちた核燃料 ”燃料デブリ”の取り出しは今もって道筋が見えず、その先に待ち受ける建物の解体や放射性廃棄物の処理・処分については、どのようにするかの選択肢も示されていない。将来の話をする前に過去の遺産をしっかり片付けてもらいたいものだ。

 防衛費の倍増や原発回帰の動きはロシアのウクライナ侵攻が影響しているかと思うと、プーチン大統領の罪が如何に大きいか今更ながら驚かされる。2022.12.21(犬賀 大好ー873)

敵基地攻撃能力保有の行きつく先は核武装だ

2022年12月18日 10時40分26秒 | 日々雑感
 自民、公明両党は12月15日、2023年度から27年度までの5年間で総額約43兆円となる防衛費の大幅増を、法人税、たばこ税、復興特別所得税の3つの税目を組み合わせた増税で実現する方針で一致した。但し、いつから実施するかについては、2024年のいつかとしつつ今後の課題とした。これで財源に対する議論は一段落し、これから防衛力強化の中身に対する議論が活発となっていくと思われる。

 これに先立ち12月12日、「国家安全保障戦略」を含む、安全保障関連3文書の改定を巡り、自民・公明両党が合意に達した。国家安全保障戦略は”日本は戦後最も厳しい安全保障環境のもとに置かれている”と認識して、これまでの専守防衛から敵基地攻撃能力の保有と大きく方向転換した。

 最も厳しい安全保障環境とはロシアのウクライナ侵攻が大きく影響している。ロシアはウクライナがロシアを離れ西側諸国に接近しようとしているのを拒もうとしてウクライナに軍事介入した。この時代こんな前近代的なことをやるとは全くの想定外であったが、中国の習近平総書記や北朝鮮の金正恩総書記はプーチン大統領と同じことをやるに違いないと脅威を煽っているようにも思える。

 これまで日本は日米同盟の名の下、専守防衛に専念してきた。しかし、トランプ前大統領が米国第1を言い出して以来バイデン現大統領も日米同盟における日本も相応な役割を果たすよう要求するようになった。例えば、最近中国が台湾は自国領土だとして武力統一を匂わせており、台湾を巡り米国と中国の衝突が現実味を帯びてきた。万が一軍事衝突が起こった場合、日本はこれまで通り専守防衛の立場で蚊帳の外で様子見と言う訳にはいかず、何かしらの軍事介入が要求されるに違いない。米国からの圧力が日本の防衛費GDP比2%化に大きく影響していると思われる。

 12月17日、敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えて、軍事能力の大転換を安保関連3文書に明記することを閣議決定した。語感からすれば反撃能力は敵基地攻撃能力より弱弱しい感であるが実質的には何ら変わりない。兎も角軍事力の抜本的な強化を掲げており、相手のミサイル発射拠点を叩く能力やサイバー攻撃を未然に防ぐための能動的サイバー防御の導入などが盛り込まれている。

 日本が敵のミサイル基地やその発射を指令する中枢機能をミサイル攻撃する能力を保有することは、明白な憲法九条違反の可能性が大きい。これから国会で憲法違反とならないように反撃能力に制限を設けていくのであろうが、反撃能力に抑止力を持たせるためには最終的には核武装しかない。これまで日本は一貫して専守防衛の範囲内で抑制的に安全保障政策を組み立てることで、戦争を回避する平和国家として存在してきた。今、世界の国々が一斉に軍事大国の方向に踏み出そうとしてしている中、日本独自のやり方が出来ないものであろうか。2022.12.18(犬賀 大好ー872)