日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

若者にとって魅力ある地方とするためには

2023年05月31日 09時31分38秒 | 日々雑感
 福島第1原発の事故をもろにかぶった福島県双葉町は、昨夏、中心部の復興拠点が避難解除となるまで居住人口ゼロの状態が続いた。震災前、町人口は7000人余りだったが、今年3月現在でも町に暮らすのは約60人に過ぎない。現町長は街の復興を目指して努力しているがなかなか思い通りにならないそうだ。残留する放射能を心配して戻らないのではなく、少子高齢化の影響がそうさせていると思う。

 双葉町に限らず、少子高齢化の波をまともに受け地方の転出超過、限界集落化、過疎化は全国に広がっており、既に全国1799自治体のうち約半数にあたる自治体が消滅可能性都市に該当するという調査結果を日本創成会議が発表している。

 若い時に都会に働きに出た人が高齢になっても元の場所に戻らず住み続ける為、日本全国年齢層の不均一化が進み、都会は過密、地方は過疎となり土地は荒れる一方だ。地方に広がる所有者不明土地や空き家の増加対策、耕作放棄地の解消の為にも、地方の活性化は必須である。

 地方活性化を進めるには、いかにして地域資源を有効活用できるかが成功のカギであり、自然、伝統、等のあらゆるモノを対象とする必要があるとの指摘もある。しかしこれらの資源を生かした地方独自のイベント開催等で一時期賑わうかも知れないが長続きさせることは難しい。永続させる為には若者が戻って来るあるいは移住し定住することが理想的である。

 2014年に内閣府が「農山漁村に関する世論調査」を実施している。そこには、買い物・娯楽施設がない(44.3%)、地域内交通が貧弱(44.0%)、医療機関が少ない(37.0%)、子どもの教育施設が弱い(25.9%)など多くの課題が示されている。これらの課題はいずれも人口が少ないことが根本原因である。人口が多くなれば自然と解決される問題であり、卵が先か鶏が先かの問題となる。

 新型コロナウイルスの蔓延で、在宅勤務が拡がり、それを機会に地方に移り住みオンラインで仕事をする人も増えたようだが、微々たるものであろう。仕事と休暇を同時にするワーケーションなる言葉でマスコミはもてはやしたが、最近も盛んであるとの話は聞こえてこない。一方、コロナ後都市部では人手不足が激しく、地方から都市部へ出てくる人の方が多いだろう。

 地方でも生活の糧が得られれば移り住む人も出てくるだろう。テレビでも良く長年の夢としてパン屋さんやカフェーを開業等した人を華々しく取り上げているが、周辺にお客さんが居ての話であり、長続きするか疑問である。

 自然を相手にする農業、林業はきつく、汚いのイメージであるが、機械化やインターネットを活用した販売も進んでおり、将来に夢を託する若者も出てくるだろう。政府も地方自治体も地方移住に様々な支援をしているが、岸田首相も異次元子育て支援の一環として、所有者不明土地を無償で貸与あるいは譲渡することくらいの思い切った政策を打たなければ地方の活性化は望めない。2023.05.31(犬賀 大好ー919)

日本の株価の高騰はマネーゲームのなせる業か

2023年05月27日 10時12分08秒 | 日々雑感
 東京株式市場では株価の上昇が続いている。日経平均株価は5月17日に3万円台を回復し、同月19日には所謂バブル景気の時期の1990年8月以来、32年9か月ぶりの高値をつけた。株価はなぜ上昇しているのか。様々な要因が指摘されているが、異次元金融緩和で市中にお金が溢れている背景があり、日銀の植田新総裁も金融緩和を継続する姿勢を示していることも大きな要因であろう。また、異常な円安の効果で業績を伸ばす企業が相次いだことも考えられるが、コロナが終息し日本が好景気に向かう期待から株価が上昇している訳では無さそうだ。

 目立っているのは海外の投資家の動きだ。東京株式市場では、3月下旬以降、5月の第2週まで海外の投資家が株式を買った金額が売った金額を7週連続で上回っているそうで、4月、海外の投資家が日本国債を買った額は、売った額を1兆9000億円余り上回ったとのことだ。

 アメリカはこれまで非常に高いインフレが続いたので、アメリカの中央銀行が利上げを進め、その結果として経済が冷え込み、シリコンバレーバンク等の銀行の経営破綻等の金融システムの不安が台頭してきている。また、債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の協議が難航していることから今月24日のニューヨーク株式市場は売り注文が増え、ダウ平均株価は4営業日連続で値下がった。また2023年の後半には、アメリカ経済は景気後退し、GDPがマイナス成長に陥るという見方が広まってきている。

 アメリカの株式市場で株価が低迷する中でも日本株の上昇が続いていることが海外投資家が日本に投資する最大の理由であろう。日本の株価上昇が異次元金融緩和の続行の為だけではなく、海外投資家が買う為であるなら、正にこれがマネーゲームのなせる業なのであろう。

 マネーゲームとは、一般的には株取引や先物取引、外国為替証拠金取引などにおいて、ギャンブル性が高い中で高利益を得ることを目的として、投機的に資金を投じることとの話だ。従って、現在株価が高いと言って喜んでいても、僅かな状況変化で一変するかもしれない。マネーゲームの怖ろしいところだ。

 また、経済が完全にマネーゲームの論理で支配されるようになると、その長期的な発展の方向性が失われることが問題だ。このことは非常に重大な意味を持ち、環境問題、特に地球環境問題の解決には、世界全体としての長期的な経済の構造改革が必要であり、一貫した計画性が不可欠だからである。

 景気対策と環境政策とは矛盾するものではなく、景気対策として環境保全のための投資を行うことは充分に可能である。しかし、政策がマネーゲームに支配されるようでは、一貫性のある有効な環境政策は不可能である。
2023.05.27(犬賀 大好ー918)


米国の銀行破綻は日本に関係ないのか

2023年05月24日 09時42分19秒 | 日々雑感
 米国カリフォルニア州の銀行「シリコンバレーバンク」は、3月8日に債券の売却による損失が発表されると、翌日の9日だけで5兆円余りの預金が流出し、10日には10兆円の預金が流出する見込みとなり、わずか2日、3月10日に経営破綻した。

 また、3月12日には、ニューヨークに拠点を置く銀行「シグネチャーバンク」が、更に5月1日には、「ファースト・リパブリック・バンク」が経営破綻した。アメリカの3行が破綻した主な原因は、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを抑えこむための利上げをしたことが影響したとのことだ。 政策金利の上げ幅は2022年3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%とし、23年2月には4.50~4.75%まで引き上げてきたのだ。

 経済に疎い人間には、金利が上がると債券価格が下がり、金利が下がると債券価格が上がる関係をよく知らなかったが、つまり金利が引き上げられるとそれまで保有していた低利の債券の価格が下落し、売却すれば損失が出ると言うことであろう。この関係から経営への懸念が拡散し、預金の引き出しが相次いだようだ。銀行は基本的に金貸し業あるため手持ちの金が少なくなれば仕事が出来なくなり破綻へと繋がるのだ。

 米銀の破綻は過去約2カ月で3行目となり、共通する新たな現象をデジタルバンクランと称するのだそうだ。銀行の経営不安の情報がSNSなどネットを通じてあっという間に拡散し、預金もネットを通じて瞬時に引き出されるため、流出のスピードが加速し、 銀行の経営者も、金融当局も対応が追いつかない事態なったのだそうだ。 

 金融不安を招いたそもそもの原因は米国の利上げだった。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響で人手不足や物流の停滞といった供給制約で、世界各地でモノ不足が起き、物価の上昇となり、このインフレ状態を正常化させるために、FRBは利上げをしたのだった。

 世界の主要な中央銀行も利上げしたが、米国の利上げが一番大きかった。一方我が国の日銀は黒田前総裁以来金利はゼロ状態であり、世の中インフレ状態であるにも拘らず現総裁もその路線を引き継いでいる。理由は景気の後退を避ける為と言われているが、日銀は異次元金融緩和で膨大な国債を抱えており、利上げによってこれまで発行した国債の価格が暴落する懸念があるため、利上げしない、あるいは出来ないのが真の理由ではなかろうか。

 さて、銀行破綻の切っ掛けを作った「シリコンバレーバンク」の破綻の原因は、テクノロジー産業の不振にあるとも言われている。コロナ禍が影響して、IT企業が依存している広告費用の減少等があり当業界全体の収益が下がったため、これらの業種を主要な顧客とする銀行もまともに影響を受けたとの話だ。

 日本では異次元金融緩和で市中に出回った資金の投資先が見当たらず、不動産や株式に流れたとのことだ。日本の銀行がIT産業の不振の影響を受けなかったことは幸いであるが、先端技術に余り投資しなかったと見ると日本の将来は心配になる。2023.05.24(犬賀 大好ー917)

食料安全保障は米食から

2023年05月20日 15時20分48秒 | 日々雑感
 現在、日本人の朝食にはご飯よりパンが多いだろう。これは、戦後アメリカの余剰小麦を支援として受ける形で再開された日本の学校給食が、”パン食”を前提として1954年に成立したことから始まり、現在70歳前後までの膨大な数の日本人が小さい時からパン食になじむ習慣が出来上がったことが背景にある。

 また1950年代後半から1960年代には、政府自らが「コメと野菜では日本人の身体は強くならない」と、パンや牛乳等の動物性タンパク質などを食する食の洋風化を奨励したことも日本人がコメ離れを加速させた。そのため2011年には、パン代よりもコメ代が多くなったとの家計調査結果もあるそうだ。

 また、日本人の生活環境の変化、すなわち“食事作りの簡素化”と、家族の“バラバラ食”の進行とも深く関わっているようだ。戦前は家父長中心に家族は動いていたが、戦後、何事も家族それぞれの好みや都合を尊重し、食事も家族がバラバラな時間に違うものを食べる傾向が強くなった。

 朝にパンを食べるメリットは調理不要ですぐに食べられることである。パンは焼かずに、もしくは軽く焼くだけで食べられる上、サンドウィッチや菓子パンであればおかずの準備も少なく、調理時間や手間を必要としない。特に時間のない朝食にパンが選ばれ、コメを食べる食事が減るのは自然の流れだ。

 この結果、日本人のコメの消費量は減り、小麦の消費量が増える結果となり、小麦は海外からの輸入が主である為、日本人の食料自給率は38%となってしまった。ロシアのウクライナ侵攻を切っ掛けに日本は輸入先の多様化だけでは対応が難しくなっており、食料の安全保障を確保するため自国生産の拡大に向け抜本改革が求められ現在の状況である。

 小麦の自国生産の拡大が手っ取り早い手段であるが、国土が狭い日本では大規模生産が出来ず外国産に太刀打ちできない。しかし、日本人のコメの消費量が減ったと言っても、少しでも消費量を増やそうと関係者は努力を続けている。その一つが米のブランド化である。米の品種改良は、食味がよいことや、寒さ・高温に強く収穫量が高いこと等を目的になされ、日本各地にブランド米が発表されている。

 また、それとは別にコメの食べ方の工夫もなされている。その一つが米粉パンである。米粉パンは小麦の高騰があった時代に注目されたが、製粉にコストがかかるため小麦粉なみの安価にはならなかったり、またパン作りは小麦粉のように簡単でなく、一般家庭に思うように普及しなかった。

 食料安全保障が重要視される昨今、日本人の米食回帰が必要かも知れない。この為にはコメをパンと同様に簡単に食べれるようにする工夫、またそれに適した米の品種改良が必要となろう。最近地方の活性化の必要性が叫ばれ、農業に目を向ける若者が出てきたことは、将来に対する僅かな希望である。
2023.05.20(犬賀 大好ー916)

中国の電気自動車が日本へ進出の意味

2023年05月17日 11時34分59秒 | 日々雑感
 自動車大手3社の2022年度4-12月期決算は、揃って前年同期比で大幅な増収となったものの、営業利益は販売台数の伸び悩みや原材料高の影響を強く受け低迷する結果となった。利益が低迷していると言っても、損をしている訳ではなくほっとした状況であろう。

 さて、国内は異常円安状態が続いているが、世界における自動車企業の経営環境は大きく変わろうとしている。今年2月の日本国内の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数の実績では、ガソリン車がほぼ50%で、ハイブリッド車(HEV)が43.5%、電気自動車が3.5%だったそうだ。各自動車企業はHEV車を販売しているが、HEVと言えば元祖トヨタであろう。トヨタは国内市場では相変わらずHEVの販売に力を入れていくと思われるが、海外向けには電気自動車にシフトしていくと思われる。

 トヨタは4月7日の新体制方針説明会で、EV(電気自動車)の事業計画に関して、中国の市場に対し、現地開発のEVを2024年に2モデル追加投入する、と発表した。上海モーターショー2023で初公開される新型EV 2車種が、これを指していると思われる。

 中国政府は新エネルギー車の普及に力を入れている。新エネルギー車とは中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指し、通常のハイブリッド車[HEV]は含まれないそうだ。

 中国の日系メーカーはEVシフトへの対応が保守的で、中国市場の急速な変化に後れをとっているそうだ。中国の地元メーカーはEVシフトに邁進し、市場シェア拡大に成功したのだ。

 中国汽車工業協会のデータによれば、中国メーカーの2022年の販売台数は前年比22.8%増の1176万6000台に達し、乗用車市場の5割を獲得したのだそうだ。EVはガソリン車に比べて、複雑なエンジンが不要なため構造が極めて簡単であることも背景にあるのだろう。多くの中国企業が政府の後押しを受けて、EVの開発に乗り出し、販売も急激に伸ばしているが、日系企業は予測を間違えたのだ。

 中国のEV大手、比亜迪(BYD)は国内販売のみならず、今年1月31日には、日本市場に参入すると発表した。最初に投入するEVは440万円と高価であるが、年内に計3車種を投入し、2025年に販売店を100店舗以上展開する目標を掲げている。

 2020年までガソリン車の生産がEVを上回っていた同社は、2021年以降本気のEVシフトに取り組み、2022年3月にはガソリン車の生産を終了した。1月30日に発表した2022年12月通期の業績予想では、純利益が約3000億~3200億円となり、前年の5倍超になったそうだ。中国メディアは「BYDにとって日本で何台売れるかはそれほど重要ではない」と達観しつつ、日本進出にはグローバル展開を見据えた別の目的があると分析している。中国産の自動車が、アフターサービス等の点で日本で急激に伸びるとは俄かには信じられないが、EVを取り巻く世界の環境は急激に変化しているようだ。
2023.05.17(犬賀 大好ー915)