日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

”天災は忘れた頃にやって来る”は、真実を突いている

2018年02月28日 09時43分48秒 | 日々雑感
 政府の地震調査委員会は、2月9日、静岡県から九州沖合にかけての南海トラフ沿いでM8~9の巨大地震が30年以内に起こる確率が70~80%に高まったと発表した。南海トラフ地震の発生確率は毎年約1%ずつ上昇するそうだ。昨年は70%程度であったが、今年1月1日時点で、75.3%に高まったとのことだ。

 また、北海道・根室沖でM7.8~M8.5の地震が30年以内に発生する確率も昨年時点の70%程度から80%程度に上昇したそうだ。昨年12月19日に、政府の地震調査委員会は十勝沖から択捉島沖までを震源域とするM8.8程度以上の地震が起きる確率は今後30年以内に7%から40%と発表していた。前回の発表と今回の発表の整合性はよく分からないが、巨大地震の発生の危険性は年々増大しているのは間違いないだろう。

 地震の発生確率は、これまでにその地で発生した地震の周期および一番最近に起こった年を基に算出されるとのことであるので、年ごとに増えていく確率に従って、年々緊張感も高めていく必要がある訳だ。しかし発生確率が年々高まっても、災害の緊迫性は年ごとに薄れていくのが人の世の常だ。2011年の東日本大震災から早くも7年が経ち、人々の頭から次第に忘れ去られようとしている。”天災は忘れた頃にやって来る”、と分かっていても、忘れるのが人間である。

 忘れないようにするために、毎年3月になると行政は危機感を煽っているが、煽れば煽る程、その後の忘れ度合いも大きくなる。忘れ防止のための最も効果的な方法は、地震がいつ発生するかを的確に示すことであるが、現代の科学文明であっても自然の気ままさを推し量ることは出来ない。

 昨年9月、国は予知を前提とした東海地震の情報の発表を取りやめ、新たに南海トラフ全域を対象に巨大地震発生の可能性を評価する新たな情報を出すことを決めた。これにより40年近くにわたって、予知を柱の一つに進められてきた国の防災対策が、大きく転換されることになった。

 地震の予知とは、いつごろ(数日程度)、どこで、どのくらい大きな地震が起きるかを前もって知ることである。数日前に地震が来ることが分かれば、それなりの覚悟が出来、人的な被害を減らす上で絶大な効果を発揮することは明らかだ。

 しかし、数年前静岡県御前崎付近の地盤が最大で2.8メートル一気に盛り上がっていたことで大騒ぎになったが、結果空振りに終わった。現在の技術レベルで地震の発生を正確に知ることは不可能だとの見解を示さざるを得なくなったのだ。そこで、予知との言葉を取りやめ、可能性評価情報に変更した訳だ。

 一方、1995年の阪神・淡路大震災において、住宅の倒壊によって多くの犠牲者が出たことで、突発的に地震が起きることを前提として、耐震化など被害を軽減するための事前の対策がより重要であると認識されるようになった。

 耐震化と一口に言っても、個人の家から上下水道、電気、ガス等のインフラまで幅広い。兎も角金がかかることこの上ない。国や地方自治体の台所事情が苦しい現在、いつ来るか分からない災害対策を最優先に予算を組むことは出来ない。

 バブル期に設けられた道路や橋の劣化が激しく、災害対策以前の問題でもあるが、2018年度の予算案には、子育てや医療・介護事業への重点配分の文字は見えても、インフラ整備強化の文字は見えない。万が一、大地震が発生し、インフラが崩壊し、人々に甚大な被害が生じても、想定外の出来事として片づけられることであろう。

 忘れることは人間が生きていく上で重要な特質であり、災害に対する恐怖心も時間と共に薄れていく。逆にいつまでも恐怖を引きずっていたならば、生きていけない。災害は忘れた頃にやって来るは、本質を突く言葉だ。2018.02.28(犬賀 大好ー420)

訪日観光客の増加とインターネットの普及

2018年02月24日 09時52分02秒 | 日々雑感
 石井国土交通相は1月12日の記者会見で、昨年の訪日外国人旅行者数が前年よりも約2割増の約2869万人となったと発表した。5年連続で過去最高を更新したそうだ。政府がビザの発給要件を緩和したこと、格安航空会社(LCC)を中心に便数が増えたことも理由であろうが、アジア諸国の経済的な発展の影響が一番大きいであろう。

 政府は東京五輪が開催される2020年には訪日客数を4000万人に引き上げる目標を掲げている。石井国交相は会見で、”目標を達成するには幅広い国や地域から旅行客を増加させていくことが必要だ。アジアに加え、欧米豪で訪日需要を掘り起こしたい”と述べたそうだ。

 アジア諸国からの訪日客の多くは、その地の経済発展によるところが大きく、浮かれ気分での訪日と思われるが、欧米からの客は真に日本の良さを味わう目的であろうので、対策も自ずから異なるものとなろう。

 訪日客の増加はSNSの普及によるところも大きい。噂は瞬時に世界中に広がる。これまで、日本人にも見向きもされなかった場所が、外国人の観光スポットになることもある。逆に外国人受けすると身構えていても外れることもあるだろう。SNSの普及は団体客より個人客の増加に繋がると思われる。このまま順調にいけば今年3000万人を突破する可能性が極めて強い。

 訪日外国人客の増加に伴って都市部のホテルの稼働率が上がっているそうだ。2016年の稼働率を都道府県別に見ると、大阪府が最も高く83%で、東京都は79%、愛知県と福岡県が70%、京都府は67%、全国平均が60%なのだそうだ。大都市部の稼働率が高いことは、日本の伝統文化を求める欧米客より、日本のアニメ等のポップカルチャーを求める若者、化粧品等の買い物客、特にアジア圏からの観光客が多いことを示唆している。

 この動向を分析し多くの企業が東京、大阪、京都などを中心にホテルの新増設計画を進め、現在建設ラッシュなのだそうだ。ホテル関係の調査機関の調べでは、2020年には東京や大阪の大都市部では今より客室数が3割近く増えるとみている。京都は36%、大阪は35%、東京は26%増えるとの予想だそうだ。

 みずほ総研は、昨年初には、2020年に全国で3万3000室が不足する、と予想していたが、同年9月には最近のホテル建設ラッシュを加味して推計し直し、不足するのは最大でも4000室と修正したそうだ。

 ホテル建設ラッシュに加え、マンションや空き部屋に有料で旅行客を泊める民泊の運営ルールを定めた「住宅宿泊事業法」(民泊法)が今年6月に施行される。それも含めれば、2020年の宿泊者需要は十分に満たし、余るくらいだという見方もあるそうだ。オリンピック・パラリンピック後には過剰に苦しむという見方さえもあるが、少なくとも、東京五輪までは大都市周辺のホテル業は安泰であろう。

 一方、地方にあって経営に苦しむ日本旅館も多いとのことである。訪日客が増え始めた2014年以降、主なホテルの客室稼働率は70%以上であるのに対し、旅館は30%後半なのだそうだ。この統計に民宿やペンションが含まれているか不明であるが、これらの宿泊施設はもともと日本人を対象としたスキーやリゾート向けであり、訪日観光客には適していない。

 畳敷きに布団の昔ながらの生活も一部の客には好評かも知れないが、万人受けでないのも確かだろう。何かしらの個性、特長を出した旅館自身の変革が必要と言ってしまえばそれまでだが、町興し、村興し等と共通したところがあり、創意工夫と試行錯誤を繰り返すしかないだろう。

 インタネット普及の波に乗り遅れた旅館の情報発信の少なさが原因の一つとの指摘もあるようだが、自ら発する情報よりお客さんが勝手に発するツゥイターやインスタグラムの方が効果がある場合も多いようで、難しい世の中である。

 高齢者の存在価値はそれまでの人生で積み重ねられた経験を生かすことであると言われるが、インタネットに関してはついていくだけで必死であり、それをどう利用するかは全く分からない。2018.02.24(犬賀 大好-419)

平昌五輪は政治的には大成功か

2018年02月21日 09時42分12秒 | 日々雑感
 金正恩党委員長の妹である金与正 朝鮮労働党中央委員会第1副部長が参加する代表団は2月9日から11日にかけて韓国を訪問した。9日夜に平昌五輪開会式に出席したのに続いて、10日には青瓦台で文在寅大統領と会談し、早期に訪朝を求める内容の金正恩氏の親書を手渡し、11日夜には帰国した。

 9日午後に金委員長の専用機で訪韓した与正氏は、仁川空港では硬い表情を崩さなかったが、北朝鮮No2の金永南団長とともに文大統領と面会した際は笑顔を振りまき、ほほ笑み外交を開始し、満面の笑みで平壌への帰途についたそうだ。

 与正氏は開会式でも文大統領の近くの席で南北選手団の同時入場に大きく手を振り、10日には南北合同チームが出場した女子アイスホッケーの試合を文大統領やバッハIOC会長と並んで観戦、北朝鮮美女応援団のパフォーマンスに拍手を送った。この間、終始笑顔を振りまき、与正氏の後ろには残忍な兄、金正恩委員長が控えていることをすっかり忘れさせる南北融和を文大統領と共に演出した。

 金与正氏は9日夜の開会式の際、安倍首相やアメリカのペンス副大統領らと同じ貴賓席から開会式を見守った。文大統領と笑みを浮かべて握手を交わす場面も見られたが、安倍首相やペンス副大統領とはお互いに顔を合わそうとせず、あごを引き上向き加減で自尊心の高そうな面も見せた。

 しかし、与正氏がほほえみ外交を徹底するならば、例えペンス副大統領が無視する態度に出ても、自分から席を立ち、副大統領に握手を求めるべきであったと思う。

 副大統領が仕方なく握手に応ずれば米国と北朝鮮の和解が始まったと大成功だし、無視された場合でもそこで悲し気な様子を見せれば、女性としての与正氏の株は少なくとも韓国男性の間では一気に高まり、北朝鮮軟化のムードが一気に広がったことであろう。しかし、無視された場合は韓国、米国への屈服だと自尊心が許さなかったのであろう。

 目下、米国の関心事は北朝鮮の核放棄であり、そのための最大限の経済制裁であり、甘い顔を見せられない。北朝鮮の金正恩の課題は米国との直接交渉であり、そのためにせっせと核、ミサイル開発を行っている。文在寅大統領は間に立って、米軍と北朝鮮の軍事衝突を止めさせることが最大の関心事であろう。

 この為に南北融和を図り、平和裏の下、南北統一のムードを高めたい考えであろう。金与正氏は11日の夕食会で、韓国と北朝鮮には、”同じないし近いものが多くある。速やかに統一が実現し、この良い人たちと平壌で会う日が来るのを望んでいる”、と語ったと言う。

 北朝鮮と韓国は共に統一で一致しているが、統一後の政治体制は、お互いに自分の方の体制にしたいと考えているのだろう。正に、呉越同舟、同床異夢の状態である。

 結局、今回の五輪関連行事では、北朝鮮と米国の直接の接触はなかった。米国のペンス大統領はレセプション行事に遅刻し、メインテーブルに用意された自分の席には座ることもなく5分で退出したそうで、徹底して北朝鮮を無視し続けた。

 だが、米国に帰国する際の専用機内でインタビューに応じ、米政府が北朝鮮に対する最大限の圧力は維持する一方、前提条件なしで米朝対話が行われる可能性があるとしたそうだ。これまで核放棄の前提が無ければ話し合いには応じないとしてきた態度とは大きな方向転換だ。

 レセプションと帰国までの短い時間にこの変わり様の原因には何があったのであろうか。恐らくトランプ大統領と何が話し合われたと想像するが、金与正氏のほほえみ外交の効果があったのかも知れない。この米国の方針変更が本当であれば、文大統領にとって平昌五輪は大成功であった。2018.02.21(犬賀 大好-418)

”武士に二言はない” は遠い昔の話

2018年02月17日 10時20分29秒 | 日々雑感
 政府は次期日銀総裁人事について、4月8日に5年間の任期満了を迎える黒田東彦総裁を続投させる方針を決めたようだ。2月16日には、岩田、中曽の両副総裁に代わり、若田部早大教授と雨宮日銀理事が就任するとの発表があった。

 黒田総裁の続投はこれまでアベノミクスに貢献した功績を高く評価したとの評判でであるが、総裁自身は心底喜んでいるのだろうか。異次元金融緩和に拘わらず、未だ物価上昇率が2%の目途が立たず、出口も見えない状況で、副作用だけが懸念され、これを尻ぬぐいを出来る人物は黒田氏以外に見当たらなかったのではなかろうかと下衆の勘ぐりである。

 岩田副総裁は2013年3月の就任時、2年で2%を達成できない時は、辞任する、決して言い訳しない、と大見得を切った。もうすぐ5年が経つが、先述のように目標達成の目途すら立っていない。岩田氏はその原因を2014年の消費増税による景気減速や石油価格の下落のせいと言い訳だらけであり、こんな言い訳で職務が果たせるならば、誰にだって出来る。”武士に二言は無い”は遠い昔の話になってしまった。

 この”武士に二言は無い”、を実行したのは前川喜平前文部科学事務次官位だ。加計学園問題で、”あったものを無かったとは言えない”的な発言をして、職を追われた。加計学園に先立つ森友学園問題は今国会で議論されているが、聞いていると腹が立つ。関係者の言い訳はひどいものだ。

 森友学園への国有地売却をめぐり、財務省は当初、森友学園との交渉記録を廃棄したと説明していたが、最近新たに内部文書20件を国会に提出した。この文書について麻生財務大臣は、本件の文書は森友学園との交渉に関して法的な論点について、近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書であり、いわゆる森友学園との交渉記録ではありません、と説明した。

 厳密に言えば、確かに交渉記録そのものでは無いかも知れないが、売却に際し近畿財務局での動きを知るための重要な資料である。約10億円の国有地が約8億円値引きされた根拠に正当性があるならば、始めから提出しておけばよかった。調査したら見つかったとは、片腹痛い。大阪地検特捜部の調査でいずれ公にされるとみての公開であることは誰が見ても明らかだ。

 学校法人森友学園へ相場よりかなり割り引いて売却された問題は、既にその全容は見えている。すなわち、安倍首相の昭恵夫人と森友学園の籠池前園長は日本会議を通じて懇意であり、籠池氏の学校用地取得希望に際し、昭恵夫人が行政当局の誰かに頼み込んだのが切っ掛けであろう。

 財務省にとって、10億円ははした金である。恐らく前理財局長の佐川氏も直接絡んではいないのだろうが、政府関係者に過度な忖度をし、部下にその旨伝えていたに違いない。

 本質をはぐらかした言い訳答弁を繰り返す麻生財務相、「金額」と「価格」との言葉を巧みに使い分ける佐川国税長官に、いさぎよさは微塵にも感じられない。

 森友学園問題で安倍首相は、自分自身、あるいは安倍昭恵夫人が関係していると分かれば、代議士を辞職するとまで大見得を切った。既に昭恵夫人の関与が明らかとなっているが、直接値下げ交渉に関係していないと、言い訳して幕引きとなるであろう。

 安倍首相の発言は常に明瞭であるが、この明瞭な言葉に対する責任が伴わず、しかも言葉の軽さに気が付く様子も無い。国民に丁寧に説明する、は首相の常套句であるが、内実が伴わない説明はいくら多弁であっても丁寧とはならない。

 国のトップがこうであるならば、下の者は見習うのが常識となる。内閣不支持率34%の理由として”人柄が信頼できないから”が一番である。道徳教育が必要だとする政権幹部の道徳教育からまず始めるべきだ。2018.02.17(犬賀 大好ー417)

民泊法は縦割り行政の弊害をまともに受ける

2018年02月14日 09時22分18秒 | 日々雑感
 最近、個人が旅行客を泊める”民泊”なるものが盛んになりつつあるようだ。これまでも”民宿”なるものはあったが、その違いはよく分からない。民宿とは一般の民家が副業として安い料金で客を泊めることを指すが、民泊は友達の家に泊まりに行く感覚のサービスと言われているそうだが、両者のサービス内容に本質的な差は無いだろう。

 民泊流行の切っ掛けを作ったのは、Airbnb(エアビーアンドビー)等の、宿泊施設を貸し出す人向けのウェブサイトであり、既に世界192カ国の33,000の都市で80万以上の宿を提供しているそうだ。日本でも、外国人旅行客の増加、空き家や空き室の増加、またインターネットの普及により、広がっているとのことだ。インターネットを積極的に活用する点で、民宿との大きな違いがあるかも知れないが、それは単に運営上の話であろう。

 これまで、一般客を宿泊させる場合、旅館業法に適合しなくてはならなかった。この法律では、営業の種別は、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の4つに分類され、その営業種別毎に許可条件が決められており、個人宅に宿泊させる場合、上記4つの営業のどれかに当てはめる必要があった。先述の民宿はこの簡易宿泊に分類されているそうだ。

 政府は、外国人観光客の増加と宿泊施設の不足に対処するため、世界的に流行しだした民泊の活用を渡りに船とした。しかし、民泊運営の許可は、民宿と同様に”簡易宿所”としての営業許可が一番近いが、客室の延床面積が33㎡以上必要である等からしてすべての個人宅が同許可を取得出来ない。そこで、外人観光客の誘致に熱心な政府は、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を設け、大阪府や東京都大田区等を指定したのだ。

 更に、民泊を全国に広げるため、”住宅宿泊事業法”(民泊法)を昨年6月に制定し、今年6月より施行することになった。社会の要請に応えてと言えば聞こえはよいが、業界の要求に抗しきれなかった面もある。

 この民泊新法では、民泊事業は、①住宅宿泊事業者、②住宅宿泊管理業および③住宅宿泊仲介業に分類され、それぞれ規制が新設される。更に、騒音などの苦情や開設手続きなどの相談を一括して受け付ける専用窓口を観光庁に設ける方針だそうだ。

 自宅を民泊に活用しようとする①住宅宿泊所業者、すなわち家主は都道府県知事への届出が義務付けられる。家主は、客と家主が同じ屋根の下で過ごす家主居住型と、別荘等を貸し出す家主不在型に分類され、ともに年間提供日数の上限は180日に制限されているとのことだ。余り多いとこれまでの旅館業を圧迫することになるからであろう。

 ②住宅宿泊管理業は、家主に代わり宿泊を管理する業だ。家主不在型の民泊については、住宅宿泊管理業者への管理委託を要し、国土交通大臣への登録義務が必要とのことだ。この業種には、都市部の空きマンション等を多く抱える不動産業社が多く参入することであろう。

 宿泊者に家主を照会する③住宅宿泊仲介業は、Airbnbが代表例であるが、観光庁長官の登録を義務付けられるそうだ。

 旅館業法の管轄は厚生労働省一本であったが、民泊はこれまでの旅館業法の隙間を狙った新たなサービスであるため、管轄権は都道府県知事、国交省、官公庁と多岐に亘る。従って、縦割り行政の弊害、すなわち利権の争奪や面倒な仕事の押し付け合い等が、もろに現れるだろう。

 例えば、民泊法では180日を超えない範囲で営業出来るとされるが、その日数の確認方法はどうするのであろうか。宿泊は個人的な好みが大きく、リピーターとなる場合が多いと予想される。お馴染みさんになると、インターネットを介するより直接電話連絡した方が、利用者も家主にとっても、客の選択、仲介料の省略等、何かと便利である。上限180日は無意味となりそうである。

 また、民泊施設でのゴミ出しや騒音の苦情対策は、既に社会問題化しているが、責任を持つのはどの監督官庁であろうか。仕事の押し付け合いが目に浮かぶ。自治体の中には、早くも住宅地での民泊を完全に禁止するなど厳しい方針の自治体もあるそうだ。

 観光庁は、自治体の独自の規制について、実施そのものを制限するような規制は不適切とするガイドラインをまとめたそうだが、強制力はない様だ。そもそも民泊は外国人観光客の誘致が目的であった筈だ。すべての責任は観光庁が負うくらいの覚悟で、管轄権はここに一本化すべきと主張するべきであろう。2018.02.14(犬賀 大好-416)