日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

天津爆発事故を想う

2015年08月29日 09時51分01秒 | 日々雑感
 8月12日、中国・天津市の浜海新区で、爆発事故が発生し、死者が100名を越したとのことである。爆発現場は化学物質の保管施設で、シアン化ナトリウムが約700トンを始めとする危険薬品が大量にあったとの報道があったが、政府の報道規制により、結局は一般庶民には不明のまま有耶無耶となるであろう。
 原因も有耶無耶となるであろうが、化学物質の不法な量の保管も指摘されており、天津市当局と施設側の癒着が原因と報道されているが、経済急膨張の中国にはさもありなんとの感である。
 中国の急激な経済発展は、様々な問題を引き起こす。環境問題、官民癒着問題等いろいろ指摘されているが、人材不足と労働意欲不足があるのではないかと推測される。
すなわち、人間は金のあるところに集まるが、多大な金が動くのは建設時であろう。金に目が無い連中は建設時に群がり賄賂等でも稼ぐ。建設が終了し、工場が稼動を始めると、運営する人材が必要となるが、建設時に比べお金は余り動かず、日々の地味な仕事をこなさなくてはならない。このような分野では ”ぼろ儲け“ が出来ないため、労働意欲の低い人、低学歴の人が多くなると予想される。また、毎日の仕事に慣れてくると、緊張感が無くなり、仕事がいい加減になり、安全対策もおろそかになる恐れも生ずる。いい加減な建設、人材不足と日々の仕事の慣れからくる労働意欲の低下が今回の事故の底辺にあるのではないかと懸念される。
 8月22日にも山東省で化学工場の爆発があったが、中国の原子力発電所にこの懸念が無いかと心配される。中国での原発は、運転中 18基、建設中 31基らしい。日本はさておき、先進国では原発は縮小の方向であるが、中国は一途に邁進である。原子力発電所の建設には精密な調査や建設も必要であるが、運用にも高度の専門的知識が必要である。最近では中国独自の原発を建設したとかするとかの報道もあるが、果たしてどれだけの人材が支えているのであろうか。
 原子炉には、考えうるあらゆる事故を想定し、センサーが張り巡らせ、安全装置が幾重にも設置されているはずである。過去の事件を反省し更なる安全対策も盛り込まれているに違いない。運営する人に対する事故に備えてのマニュアルも完備され、訓練もたびたび行われているはずである。
 しかし、人間の“慣れ”は恐ろしい。しばしは生ずる事故であれば、緊張感を保つことも可能であろうが、めったに起こらない事故に対しては、緊張感は長くは続かない。急膨張する原子力事業とそれを運営する人材の不足および仕事に対する慣れ、次に起こる原発事故は中国ではないかと恐れる。偏西風は中国から日本に向かって吹くのだ。(犬賀 大好-159)

生命誕生の謎に一歩迫る

2015年08月26日 09時13分36秒 | 日々雑感
 地球上の生命の起源に関しては三つの考え方に大別される。第一は神の行為等、超自然現象によると考える説、第二は地球上の化学進化の結果と考える説、第三は地球外に起源を求める考え方である。
 第一の説に従い、神様の登場を願えればすべての疑問は解消されるが、“神様とは何ぞや”の疑問を拭い去ることが出来ない。
 第二の考え方が一番ありそうであるが、壁に突き当たり長年乗り越えられないでいる。すなわちユーレーとミラーがメタンやアンモニア、水などを含む大気が地球誕生初期に存在していたと考えて、その大気に放電を行うことで数種類のアミノ酸や、その他、生命に必要な有機物を合成することに始めて成功して以来、続々と追試に成功している。しかし、アミノ酸より複雑な構成である生命の元になる遺伝子がどうやって合成されるかは依然として謎である。
 このため生命の起源を地球外に求める第三の説も有力視され、我が “はやぶさ2” も小惑星を目指し今年6月旅立ったが、その目的の一つはここにある。彗星や小惑星は太陽系が生まれた約46億年前の物質の情報を保持している可能性が高いため、そこに何らかのヒントが隠されていると考えるからである。
 しかし、ここに来て一歩前進があった。古川善博・東北大助教(地球化学)らの研究チームが、隕石(いんせき)が地球に衝突する現象を再現する実験で、生命の設計図とされるDNA(デオキシリボ核酸)のもとになる塩基や、生命に欠かせないたんぱく質を構成するアミノ酸9種類も生成されたと発表したからである。これは、第二と第三の説の中間に位置すると考えられる。
 チームは、生命が誕生したとされる約40億年前の地球を想定し、隕石に含まれる鉄やニッケルのほか、当時の地球に存在したと考えられる海水、重炭酸などを円柱カプセルに入れ、秒速1キロでステンレス弾を衝突させて隕石落下を再現したのだ。
 第三の説では、生命に必要なアミノ酸などの有機物は宇宙からもたらされたとの説があるが、今回の実験は、有機物が存在しなくても、隕石の衝突によって生命のもとになる物質が生成される可能性を示している。隕石が生命誕生のきっかけを作ったと言うことであれば、生命の起源は地球外にあったとの説も一理ある。
 さて、隕石が衝突した際の何が幸いしたのであろうか。ダイアモンドの合成には、高圧と高温が同時に必要とのことである。同様に隕石衝突の際の高圧と高温が必要であったのであろうか。一歩前進は次の疑問を引き起こす。知的探究心は生命誕生の謎にどんどん迫まるに違いない。(犬賀 大好-158)

安倍首相70年談話の感想

2015年08月22日 09時28分06秒 | 日々雑感
 8月15日、安倍首相は戦後70年談話を閣議決定し、発表した。当初注目された4つのキーワード、「植民地支配」、「侵略」、「心からのお詫び」、「痛切な反省」、がすべて盛り込まれ、何気なく聞く分には無難な談話であった。しかし、よく聞くと、首相の日頃の言動が影を潜め、第3者的な表現に終始し、無駄に長い演説との印象に変わった。報道各社の反応も様々であり、各国の反応も様々であった。
 一番の印象は、もうこれ以上謝罪を繰り返したくないとのことである。しかし、安倍首相は国会でよく謝罪する。自らのヤジ「早く質問しろよ」に対する謝罪、自民党3議員の「メディア規制をすべきだとの暴言発言」に対する謝罪、新国立競技場建設への下村文科相の対応に対する謝罪等、枚挙にいとまとい無い。本当に申し訳無いとの気持ちがあれば謝罪すべきであるが、少々乱発のし過ぎであるため口先だけの感がする。
 しかし、外国に対して頭を下げるのは余程嫌いと見えて、「私たちの子や子孫、その先の世代の子供たちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない。」と明言した。国民に対しては安易に謝罪するが、中国や韓国に対しては頭を下げたくないとは、首相の前戦争に対する歴史観が如実に現れている。しかし、被害を受けた側からもう謝罪はいいよと言われるまでは続けるのが本当の謝罪であろう。
 謝罪を続けるという負の遺産を清算したいとの気持ちがあれば、清算するべき負の遺産は、他にいくらでもある。まず、1000兆円を越す国の借金である。これを減らす策としていろいろ計画されているが、GDPの成長を実質2%の前提にする等、本気でやっているとは思えない。また、原発の使用済み核燃料の処分法も未定のまま原発再開を始めてしまった。各原発の燃料プールに一時的に保管されている核燃料の燃えカスを今後どうしようとするのであろうか。多分、核燃料サイクルの確立を再開する目論見のようであるが、目途の無い成果を当てにしてよいのであろうか。負の遺産とならないようにするためには、原発は再開するべきではない。
 また、積極的平和主義を前面に押し出している。先進国として湾岸戦争に参加しなかったことが余程悔しかったことと見えて、自衛隊を世界各地に派遣することが積極的平和主義と思っているようである。湾岸戦争では膨大な資金を拠出したはずであり、日本の平和憲法とともに胸を張って誇るべきであった。「Show the Flag」と言われて、卑屈にならず日本独自のやり方を主張すべきであった。
 また、オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞したにもかかわらず、核廃絶に向けて何も出来ない。日本は唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つべきであり、誇るべき積極的平和主義である。
 更に難民問題では、知らぬ振りを決め込んでいるが、先進国はどこでも悩んでいる。難民の受け入れは様々な問題が想定されるが、少子高齢化の問題と合わせて考えるべきである。積極的平和主義の下に日本がなすべき課題はいくらでもある。(犬賀 大好-157)

人工知能と感性を考える

2015年08月19日 09時19分51秒 | 日々雑感
 人工知能は、人間の理性に関する領域では既に人間に脅威を与え始めている。すなわち、物事を合理的に考えて判断する能力では、例えば将棋、囲碁のように明確にルールが決められたゲームの世界や、大学の入試試験等記憶が重きを占める世界では、人間の能力を脅かし始めている。
 しかし、人工知能は人間の感性に絡む領域まで進出できるであろうか。すなわち、感性とは、外界からの刺激を受け入れ、内包的な意味を知覚する能力であり、これは非言語的、無意識的、直感的なものであり、人様々であり、一律的に決められない性質を有する。感性の領域の代表例は、音楽や絵画であろう。この分野では正解と言うものが無く、人工知能が脅威となることは考え難い。既に自動作曲用のソフトウエアなるものも市販されているが、あるルールに従った作曲であり、常に新鮮さを求める人間にとっては、すぐに飽きられる存在である。
 最近何かと話題になるデザインの世界ではどうであろうか。東京オリンピックのロゴマークがオリジナルであるか、物真似であるか、人間の直感が決める話であり、永遠に人工知能でも判断できないであろう。しかし、似たようなデザインを集めるツールとなることは間違いない。
 創意・工夫や発明の領域では脅威となるであろうか。このような世界では理性と感性の両方が必要である。例えば、人工知能で “ドローン” が生み出されたであろうか。ドローンとは、先日首相官邸の屋上に不時着したことで有名になったが、ヘリコプターと同様に、上空に留まり、写真撮影等が可能な飛行体である。無線操縦により操作可能であるが、高級機になると自律的に任意の場所を移動可能となる。宅配に用いるとの話もあり、用途は無限である。
さて、鳥のように自由に飛び、高い所から眺めてみたいとの要望は誰もが有する。一方、ハードとしての機械要素である、モータ、電池、小型コンピュータは極めて身近にあり、特殊な部品は必要ない。これらを組み合わせれば、ドローンが容易に出来上がる。
 もし人工知能にドローン的な物を考えろと指令すれば、小型飛行船、小型ヘリコプターやオスプレイ的な飛行体が提案されたであろうが、“コロンブスの卵” 的な発想が出来るであろうか。
 また、ドローンを発想するためには更なる条件を加味する必要がある。社会に受け入れられるためには、安価に製造できる製造環境、インターネットによる簡単な宣伝・販売環境、手ごろに楽しむことの出来る社会環境等、様々な条件を考える必要がありそうである。これらの条件を人工知能がすべて覚えこむことが可能であろうか。
このような発明が人工知能によって生み出されれば、人類の大きな脅威となることは間違いない。それが可能になって、初めて人間を超えたと言えるであろうが、万が一そうなると人間の知能の劣化も急激に進み、コンピュータが人類を滅ぼす存在となるかも知れない。(犬賀 大好-156)

タクシー減車と成長戦略

2015年08月15日 09時55分17秒 | 日々雑感
 2002年にタクシーは規制緩和され、新規参入や増車が原則自由になった。しかし、結果タクシー数が過剰になり、限られたお客を奪い合い、長時間労働等の運転手の待遇に問題が生じた。このため、国土交通省が事業者の同意を得て「特定地域」に指定すれば、国が減車を命令することが出来るようになった(タクシー適正化・活性化法、2014 改正)。東京23区や名古屋市は現時点ではこの対象外であるが、大阪や福岡市は特定地域に指定される見込みとのことである(2015.8.9 現在)。
 規制緩和は、自由な競争により業界が活性化し、利用者にとっても車をつかまえ易くなる等、皆が幸せになるとの目論見であった。実際、格安タクシーの誕生、更に「子供タクシー」や「介護タクシー」等の新サービスが登場し、利用者には便利になった。
 今回の国交省の取り決めは、利用者より業界向けのサービスであり、成長戦略に逆行する処理である。規制緩和による自由競争の下では、需要と供給の原則に則り、タクシー数は適度なところにバランスする筈であった。事業者は薄利多売を狙い、タクシー数を過剰に増やすと共に運転手に歩合制を嫁した。運転手も新たな冒険を避け、従来通りの仕事を続けることをよしとした。そこには、新たな仕組みに対する工夫など無い。このため、運転手は長時間労働を余儀なくされた。
 もし、タクシー減車の目的が長時間労働の防止であるならば、厚労省が規制に乗り出すべきである。恐らく、タクシー業界への天下りポストは国交省が占有するとして、国交省は厚労省に何も相談などしていないのであろう。
 本来、タクシー運転手もきつい仕事を敬遠し、割の良い仕事を選択する筈であった。現在、サービス業は人手不足状態であり、貨物運送業界も同様らしい。現にヤマト運輸は、来年4月に入社する高卒運転手の採用を前年より6割り増しの400人にする予定だそうだ。タクシー運転手の技能は、貨物運送業界にも通用する筈である。運転免許証等の関係で問題あれば、国交省はこのようなところで力を発揮すればよい。
 この人手不足の状況は、ここ2,3年の出来事かもしれないが、タクシー減車の施策は昨年である。安倍首相は成長戦略を推し進めている。国交省は正に後ろから鉄砲を撃っている。
 自由競争の強化は新たな創意工夫を生み、実際新たなサービスも誕生した。成長戦略は新たな職種を生み、雇用を増やすことである。限られたお客を奪い合いするだけでは成長戦略とはならない。ましてタクシー減車からは何も生まれない。
 労働者側にもチャレンジ精神が必要だ。人手不足な業界を見つけて、新たな技能を身につけるべきだ。時代の変革は年々激しくなっている。いつまでも同じ職種にしがみつくようでは、すぐに時代に取り残される。(犬賀 大好-155)