日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

国会議員の劣化の原因の一つは安倍長期政権

2023年11月29日 09時39分21秒 | 日々雑感
 国会議員が関係する政治団体の2021年分の政治資金収支報告書から、430人の国会議員が代表を務める433の政党支部が、少なくとも1万2千の企業・団体から計約34億円の献金を受けており、総額の9割が自民の支部だったことが分かったそうだ。政党支部とは総選挙の立候補予定者の多くはそこの支部長という肩書を持っており、個人と支部長の区別がよく分からなくなっている。

 企業・団体から政治家個人側への献金は癒着を防ぐため禁止されているが、支部長と個人の明確な区別は出来ず、政党支部への献金は規制外で抜け穴だとの指摘がある。そもそもこの制度は、国会議員が抜け穴の存在を十分承知した上で制定したのだろうから、どの国会議員も抜け穴と承知の上で安心して利用しているに違いない。

 政治資金収支報告書を義務付ける政治資金規正法は 、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することを目的とした法律で、国庫から交付される資金政党交付金制度と合わせ、政治資金の流れの透明性を確保する筈であったが、いつの間にかこの抜け穴を利用した裏金作りが横行するようになっていたようだ。裏金の使い道は、ほとんどが個人の遊興費として飲食代、ゴルフ代、マージャン代等に使われるとのことで、選挙民とのコミュニケーションの為との言い訳は見え透いている。

 国会議員の節操の無さはこの政治資金問題ばかりでなく各所に見られる。2019年7月の参院選広島選挙区において当選した河井案里被告は公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けているが、その夫で元法相の衆院議員・克行被告は案里被告の票をとりまとめるために、地元議員ら計100人に計約2900万円で買収した公職選挙法違反の罪で懲役3年の実刑判決を受けている。法律の元締めの法務大臣が順法精神を欠いていたとは、その他の国会議員の順法精神の欠如は推して知るべしである。

 東京都江東区長選の公選法違反事件で自民党の法務副大臣だった柿沢衆院議員が、今年4月の区長選で木村前区長陣営のスタッフらに現金を配ったとし東京地検特捜部は捜査した。河井夫婦の買収事件が記憶に残っているのにそれを繰り返すとは、国会議員の間ではこのような行為が日常的に行われているとしか思えない。

 このような国会議員の国民を愚弄する行為の原因は様々だと思うが、一つには世襲議員の増加にあると思う。その典型が岸田首相の長男で秘書官であった翔太郎氏である。氏は現在議員ではないがその内父親の後を継ぐと見られている。彼は、昨年末親族らを首相公邸に招いて忘年会を開催し公私混同を指摘された。彼に限らず親の七光りで現在の地位にあることを忘れ、軽率な行動や発言をして批判されることが多い。

 また安倍長期政権も大きな原因と思われる。長期政権だと人事が安定する為仲間意識が強くなり、君がやるなら俺もやる的な傾向となり、罪の意識が薄くなるからだ。先述の政治資金に関する不祥事はまさに長期政権の弊害であろう。
2023.11.29(犬賀 大好ー964) 

台風発生の根本原因は自然のゆらぎと説明されても

2023年11月26日 10時52分23秒 | 日々雑感
 西日本を中心に、雨不足による渇水が深刻化しているようだ。西日本各地のダムは、ダムの水が少なくなり、すでに取水制限が行われている所もあるそうだ。愛媛県大洲市にある鹿野川ダムでは、この秋は雨が少なかったため、ダムの底がむき出しとなっている。現在の貯水率は0%でこの状態が11月1日から続いていると言う。今年は台風が極端に少なく、秋雨前線による雨も西日本ではほとんど降っていない。そもそも今年は夏から一足飛びに冬になった感もあり、秋らしい秋は極短期だった。

 日本周辺での台風発生数は、1951年から2021年までの71年間で、年平均26.1個で、9月は、5.0個、10月は3.4個とのことだ。しかし、今年は9月は2個、10月も2個と少ない。しかも今年は日本に上陸したのは8月の1回のみだ。

 台風の発生は、海面水温が高い熱帯の海上では上昇気流が発生し易く、この気流によって次々と発生した積乱雲が多数まとまって渦を形成するようになり、渦の中心付近の気圧が下がり、熱帯低気圧となり、風速が17m/sを超えて台風となる。地球温暖化で今年の海面水温は例年より高くなっていると思われるので台風が発生し易い自然環境であった思われる。しかし、海面以上に上空の大気の温度が高くなっていると上昇気流は起き難く台風の発生が少なくなっていたのかも知れない。ネットで探したがこのあたりの現象を解説する記事は見当たらない。

 また台風が発生しても日本の近くにやってこなければ、降水は見込めない。太平洋高気圧が強まると台風を中国大陸方向へ押し流し、強まりが弱まる秋口になると日本列島の太平洋側沿って北上する教科書で習った。確かに今年は太平洋高気圧が強く、発生した台風がほとんど中国大陸の方へ行っていた記憶が残る。

 これまで、異常気象の原因は、偏西風の蛇行やエルニーニョといった大気や海洋との相互作用とされ、最近はこれらに加え地球の平均気温が上昇することで発生頻度が高まったとされ、分かったような気になっている。しかし、偏西風の蛇行やエルニーニョがなぜ起こり、地球温暖化でなぜ極端化するかについては納得される説明は見当たらない。

 偏西風は地球の北極・南極で寒く赤道付近に近づくほど暖かいために起こる温度差と地球の自転という2つの原因で発生するが、その蛇行の原因は自然のゆらぎによるとされる。自然のゆらぎとは地球温暖化には関係なく、昔から起こっている自然現象で、時間的に変動し、4~8週周期を描くことは1940年代に発見されたそうだ。現象的な発見があってもなぜそうなるかの根本原因は分かっていないのではないだろうか。

 自然のゆらぎで説明される現象は各所に見られ、自然界に存在するものに静止しているものは無く時間の経過とともに微妙に変化していると説明されると、もはや哲学的な問題にもなってくる。更に自然のゆらぎと地球温暖化の関係となると、現象的には温暖化はゆらぎを大きくすると分かっても、その根本原因は当面分からないだろう。2023.11.26(犬賀 大好ー963)

日銀は本来の役目を果たせ

2023年11月22日 10時28分49秒 | 日々雑感
  日本では日本銀行が金融機関の中核となる中央銀行に該当し、お札の発行や物価の安定、金融システムの安定化を図るための重要な役目を担う。この目的を達成するため、日本銀行法第3条第1項では、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」として、日銀は政府の意向に左右されずに、独立した存在であるべきだと定められている。

 日銀はお札を発行できる権限を有する為、戦前の日本でも、2.26事件後の軍拡路線で軍事費をまかなうため、政府が国債を乱発し、それを日銀がお札を印刷して買い取るという方法が盛んに行われた。当時の日銀は政府の言いなりであったので、政府はいくらでも金を使うことが出来た。

 この結果、金の価値が下がり、インフレ傾向が強まったが、戦時中は統制経済だったため、余り顕在化することはなく、そのツケは終戦後にやってきた。物質不足を背景に、物価が数十倍に暴騰する悪性インフレが終戦直後の数年間、日本経済を苦しめた。この反省から、戦後、財政法で日銀による国債引き受けは禁止された。日銀の金融政策は、政府から独立して運営されることが再確認されたわけだが、安倍政権下で始まった異次元金融緩和では、金融法、財政法での規制は全く無視され続けている。

 黒田前日銀総裁は戦後の経済混乱の反省をすっかり忘れたのか、安倍政権にすっかり迎合し、異次元金融緩和の出口の目標を明確に定めることなく推し進めた。当初出口の目標は消費者物価指数が2%を達した時と説明していたが、いつの間にかそれに加え、物価上昇に見合う賃金上昇が見込まれる時と条件を変えていた。

 異次元金融緩和はデフレ脱却を狙った政策であり、日銀が何の勝算もなくお札を印刷して政府に渡すようなことが続けば、流通量が増え過ぎ、お札1枚で買えるモノの量が減る、すなわちインフレが起きることになるのは、経済学の基本であろう。

 現在の日本は諸物価の値上がりがマスコミを賑わしている。諸物価値上がりの原因は、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰、少子高齢化による人手不足や、異常円安、等と説明されておりそれらが複雑に絡み合っているのだろう、異次元金融緩和による金余りが背景にあるのは間違いないだろう。現時点では戦後におけるほどのハイパーインフレは生じていないが、既にインフレであることに間違いない。

 鈴木財務大臣は、日本経済に関し、輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続は、国民生活を圧迫し、回復に伴う生活実感の改善を妨げているとし、11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」は、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を更に加速するためのものだと説明していた。
今尚、インフレ傾向が強まる昨今、デフレ脱却が必要だと主張するのは庶民の生活実感とかけ離れているが、これこそ岸田政権の内閣支持率が20%台を低迷する根本原因ではないかと確信する。政府のこのような考えに惑わされずに日銀は本来の役目を果たして貰いたいものだ。
2023.11.22(犬賀 大好ー963)

大阪万博は撤退が最善の策だろう

2023年11月18日 10時46分06秒 | 日々雑感
  大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。このテーマからは、将来を約束される子供達の元気な姿が思い浮かぶ。しかし、現在、世界はウクライナとロシア間の紛争やイスラエルとパレスチナ間の紛争の真っただ中にあり、毎日多くの子供達の命が失われているが、どのような形で解決するか全く出口が見えない。1年半後の万博開場時に運よく紛争が終結したとしても、明るい未来社会のデザインが出来ているとは到底思えない。

 大阪万博の目玉の一つに巨大「リング」がある。「多様でありながら、ひとつ」という理念を表す大阪・関西万博のシンボルとする建築物だそうだ。高さ12メートル、内径約615メートル、1周2キロの巨大建築物で世界にはない日本の木造建築技術を披露するのだそうだ。世界各地の紛争を解決し、子供達に明るい未来を約束することが出来れば、350億円かかるという木製の「リング」も安いものだ。ウクライナやイスラエルにおける紛争は歴史的に根が深く、心の問題でもあり、空飛ぶ自動車で技術の進歩を誇ったところで、「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマも空々しく響くばかりだ。

 大阪万博の開催費用は当初の予定の2倍近くに膨れ上がることが分かった。11月14日、大阪市議会の万博推進特別委員会が行われ、大阪万博の会場建設費について、大阪市民一人当たり約1万9000円の負担となることが分かったそうだ。大阪の万博推進局の担当者は、市の負担は2350億円の6分の1、約392億円で市の推計人口約277万人で割ると、1人当たり約1万4千円となる、と説明した。その上で、大阪市民には府民や国民としての負担も発生することから、府民負担分の約4千円、国民負担分の約600円が加わり、計約1万9千円となると述べたそうだ。

 この金額を納得していないという多くの市民の声があるのに対し、協会副会長でもある横山市長は、2兆円の経済波及効果が見込まれるため決して損をしないとし、万博の効果や意義を広く発信していく、と理解を求めた。

 海外パビリオン建設を巡っては、資材価格の高騰等で建設業者との契約が難航しているとの話は以前からあったが、メキシコとエストニアの2カ国が財政事情を理由に撤退を決めたそうだ。自見万博担当相は14日の記者会見で、2カ国以外に参加取り下げの意向を示している国・地域はない、と強調したが、パビリオンを自前で建設する予定から、低コストな方式への移行を決めた国もあり、自前で建設予定の国でも内部の装飾には金を掛けず、万博の魅力低下が懸念される。

 今時点で、開催の中止を決定しても莫大な費用が発生するとのことだが、それでも強硬開催する場合の負担よりは少ないだろう。少なくとも、「いのち輝く未来社会のデザイン」が出来ない大阪万博は中止するのが最善の策だ。2023.11.18(犬賀 大好ー962)



岸田首相の「成長と分配]のスローガンはどこに行ったか

2023年11月15日 11時00分52秒 | 日々雑感
 岸田首相は就任当初“新しい資本主義”を提唱した。当時市場に任せれば全てが上手くいくという新自由主義的な考え方が盛んな一方で経済格差の拡大等様々な弊害も目に付いた。岸田首相の新しい資本主義は「成長と分配の好循環」をコンセプトとして新しい資本主義を実現していくものと大いに期待された。しかし、中身は本人でもよく分かっていないとみえて、その具体化を進めるため新しい資本主義実現本部を設置しそこで検討させるつもりのようであるが、時間が経つにつれて期待外れの度が大きくなってきた。

 岸田首相は、防衛費増額や原発回帰等、これまでの政権が躊躇していた政策を転換しており、新しい資本主義でも思い切った政策が立案されると期待された。しかし、これまでに分かった具体策は、昨年 11 月に策定した「資産所得倍増プラン」に基づく、NISA 制度の変更程度が目に付く程度である。NISA制度の変更とは株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対する税金を非課税にする等の変更であり、株等に投資できる金持ちに対する優遇措置であり、「成長と分配」とはほど遠い。

 一方、1人4万円の定額減税や、住民税非課税世帯への7万円給付など、17兆円台前半の規模になった経済対策を纏めた。しかしこれは「成長と分配」のコンセプトを実現する為と言うより、選挙目当てのばらまきとの感が強い。税収がこれまでになく増えたための分配かと思っていたが、財源は赤字国債の発行で賄うとのことで、開いた口が塞がらない。

 現在の日本は、賃金が上がってもそれ以上に物価が上がり、実質賃金は下がり続けている。日銀は、10月末の金融政策決定会合で長期金利が1%を一定程度超えても容認することを決めたが、基本的には異次元金融緩和策の現状維持である。欧米の主要な中央銀行は、次々と金融引き締めに動いている。日銀だけが世界の潮流に乗らないでいる。そのため、外国為替市場で円安が一段と進み、さらに物価高となる懸念がある。

 安倍政権は異次元金融緩和を強行し、市中に金をばらまいて企業の成長を目論んだが、企業は笛を吹けど踊らずで、余った金を内部留保としてため込んだだけであった。お陰で企業は多少の不景気にも耐える体力は付いたのかも知れないが、新しい産業は育たず失われた30年、あるいは40年を迎えようとしている。

 岸田首相は先月末、経済対策の目的として、物価高に苦しむ国民に成長の成果を還元する等を述べ、5本柱を挙げたが、どうも焦点がはっきりしない。国民の内閣支持率は下がる一方でこのままでは次の総選挙で自民党は惨敗しそうだ。そうなると岸田氏は退場となるが、歴史に名を残すためには「成長と分配」で、思い切った政策、例えば企業の内部留保を強制拠出させ子育て支援の財源とする等を打ち立て、華々しく散って欲しいものだ。2023.11.15(犬賀 大好ー961)