日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国の共産党一党独裁体制の改革は外部の力でなるか

2019年11月30日 10時03分33秒 | 日々雑感
 11月19日、米上院は”香港人権・民主主義法案”を全会一致で可決し、そして翌日の20日、米下院は賛成471票・反対1票の圧倒的賛成多数で可決した。この勢いに押され、トランプ大統領が27日この法案に署名し成立した。

 トランプ氏は現在中国との間で貿易問題を抱えておりこれ以上中国を刺激出来ないと、署名に消極的とされていたが、先の法案では共和党も大賛成しており、仕方なく署名したのであろう。ウクライナ問題では民主党の批判を受け弾劾手続きが始まろうとしているが、共和党の賛成が得られず弾劾は成立しないだろうと見られており、ここで共和党のご機嫌を損ねる分けにはいかないのだ。

 トランプ氏は、”中国の習国家主席、中国、香港の人々に敬意を表して法案に署名した。中国と香港の指導者と代表者たちが友好的に意見の相違を解決できるように”、との主旨の声明を発表したそうで中国に対する配慮が伺われるが、中国は内政干渉と猛反発しているようだ。

 さて、11月24日投票が行われた香港の区議会議員選挙は、過去最高となる投票率となるなど高い関心を集め、香港メディアは、民主派が全452議席のうち90%に近い390議席を獲得し、圧勝したと伝えた。

 民主派が大勢を占めた区議会は、予算の承認や条例の制定といった議会に必要な権限を持っておらず、従来は諮問機関として位置づけられ、実質的な権限がないため、行政に対する影響力は小さいそうで、民主派の不満の出口がどこに向かうであろうか。

 香港政府トップの林行政長官は、今回の選挙結果は市民の不満を反映したもので、真剣に反省したい、とする声明を出したが、今後の対応については言及しておらず、中国本土との板挟みに苦しんでいることだろう。

 世界中に華僑、華人と称せられる中国系の人々が居住し、全世界の華僑・華人人口は、約6,000万人程度だとされているが、彼らはそれぞれの国の政治体制に馴染み、それぞれの地で活躍していると思われ、故郷の現中国の共産党一党支配の成り行きに注目しているであろう。

 台湾総統府は、選挙結果に”大いなる称賛と支持”を表明したが、習近平体制との軋轢は一層大きくなるだろう。

 鄧小平氏の改革開放政策を切っ掛けに、グローバリゼーションの恩恵を受けて中国は飛躍的な成長を遂げたが、米国との貿易摩擦でその土台が揺らぎ始めている。中国がこれからも経済発展を続けていくためには、世界の流れに従わなくてはならないだろうが、政治体制も影響を受け無いわけにはいかない。

 今回の香港騒動が中国の政治体制崩壊の切っ掛けになると主張する人もいるが、これまでもたびたびそのような話があったが、何事も無かったかのように無事乗り切っている。

 しかし、これまでは天安門事件のように中国内部からの変革の動きであったが、今回は周辺からの変革要請である。世界の経済大国2位にまで上り詰めた現在、中国独自の動きは許されない。今までと同じように国内の締め付けだけで済むことにはなら無いだろう。2019.11.30(犬賀 大好-553)

一億総中流社会は遠い昔の話になった

2019年11月27日 09時28分26秒 | 日々雑感
 11月10日、天皇陛下即位の披露パレードが行なわれ、約12万人が祝賀に参加したとのことである。このために遠くから何日も前に東京に来て、長時間沿道で待っていた人もおり、豊かで平和な日本を感ずる。一方ではアンダークラスと呼ばれる日々の生活にも困る人が増えているようで、この二つの現実を知るにつけ日本の格差社会が進行していると感ずる。

 現代日本の格差社会の進行を示すデータは各所に見られる。総務省の最近の家計調査報告によれば二人以上の世帯貯蓄額は、60代の場合平均貯蓄額は1800万円、中央値は1000万円だそうだ。平均値が中央値より随分大きいが、これは貯蓄額の極端に少ない多くの人と貯蓄高が極端に多い少数の人が存在していること、つまり経済格差が大きいことを表しているのだ。ちなみにこの世代の場合貯蓄ゼロの人はこの世代の就業人口の22%もいるとの統計結果である。

 ただし、ここで言う貯蓄とは預貯金だけでは無く、株式なども含む金融資産の総計だそうだ。なお、日銀の資金循環統計によると、2018年末時点の個人が保有する金融資産の総額は1830兆円だったそうで、人口1億人として均等に分ければ1830万円/人となる。子供まで含めた数の平均値であるので、驚くべき高い金額であり、富の偏在を伺わせる。

 また、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本は米国、中国に次ぐ世界第3位の経済大国でありながら、日本は先進国の中で貧困率の高い国のひとつとして知られているそうだ。ただし貧困と言っても衣食住にも困る絶対的貧困では無く、社会全体の中で相対的に貧困である相対的貧困を意味するそうで、国民の収入の格差を示す指標と見るのが正しいとのことだ。

 早稲田大学の橋本教授によれば、相対的貧困率が高い人はアンダークラスと呼ばれ、ほとんどは非正規労働者なのだそうだ。非正規労働者は正規社員と比べてきわめて低賃金に抑えられ、貧困状態に余儀なく置かれている人々である。従って、非正規労働者を“階級以下”の存在、すなわちアンダークラスとして位置づけざるを得なくなったというのが橋本教授の主張である。

 アンダークラスは1992年393万人、2002年710万人、2015年時点で929万人と右肩上がりで増え続け、現状就業人口の15%すなわち7人に1人となるまでになってしまった。2015年の個人の平均年収は186万円で、正規労働者の370万円の約半分しかないようだ。

 安倍首相は異次元金融緩和の成果として有効求人倍率の高さを自慢したが、非正規労働者の募集が圧倒的に多く、アンダークラスの増大には大いに成果があったと言えようか。総務省の労働力調査によれば、2013年から2018年までの6年間で雇用は380万人増加したが、この内55%は非正規職員だったそうだ。安倍首相はこれを反省してか、就職氷河期世代と呼ばれる40代前後の働き盛りの年齢層に、国を挙げて支援に取り組む姿勢をようやく見せ始めたが、遅きに失した感である。

 少し前、老後2000万円問題がマスコミを賑わした。麻生財務相は評判の悪さに慌てて無かったことにしようとこの報告書を引っ込めたが、アンダークラスの存在と考え合わせるとき日本の将来が真っ暗になる。日本の人口が1億人を突破した高度成長期末期の1970年代に国民の大多数が共有した自分が中流階級に属すという一億総中流社会は遠い昔の話となってしまった。2019.11.27(犬賀 大好-552)

”桜を見る会”で政府の放漫経営極まれり

2019年11月23日 09時21分45秒 | 日々雑感
 国の借金である国債の発行残高は約900兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1100兆円に達するそうだ。一方国民全員の一年間の稼ぎであるGDPは約500兆円で、日本の債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率は220%で、経済協力開発機構(OECD)36の加盟国中最悪とのことだ。

 政府は一応この事実を懸念しているのか、財政健全化目標として2025 年度の基礎的財政収支(PB)黒字化を目指すとしているが、この達成年度はたびたび引き延ばされた結果であり、本気でやる気があるとは思えない。PBの黒字化は、年々増加する社会保障などの政策経費を新たな借金なしで賄えることを示しているだけで、これまでの借金分を減らすまでには至らない。

 OECDは日本の経済政策についての提言もしている。日本が十分に財政健全化を進めるためには、主に消費税で歳入を増やすことが必要と指摘し、20~26%への税率引き上げが妥当だとしている。今年10月消費税10%化がようやく実行されたが、安倍首相は更なる増税は当分必要ないと例により力強く宣言した。その裏には夢のような高い経済成長実現の期待があり、首相の言葉の無責任さにいつもながらあきれ果てる。

 日本の台所事情は火の車である筈だが問題無しとの意見もある。その言い分は、政府の金融資産すなわち貯蓄はいま約1800兆円もあり、国と地方の長期債務残高は1100兆円余りだから、日本経済は安泰である、である。必要となれば政府の資産を誰かに売ることができるからとの理屈であろうが、これが本当か理解できない。

 経済専門と称する人でも意見が異なり、経済素人には到底理解できないことは当然と思われる。しかし、いずれ債務残高が貯蓄を超えると大変なことになるとも言っており、予想される災難としては、超インフレや重税日本の到来らしい。

 最近、自国の通貨で借金をできる国は破綻することがない、というMMT(現代貨幣理論)が広がっているようだ。MMTによると、急激な金利の上昇が起きないかぎり、自国の通貨で借金ができる国は、お金を刷りさえすれば、それを借金の返済にあてることができるため、破綻はしないと断言しているのだ。

 日本の国債はほとんどが日本国内で買われているため、自国の通貨で借金できる国に相当し、MMT理論の実験場になっているとのことだ。MMT理論は日本の現状を見て出来た理論と思われ、練りに練って出来た理論では無く、砂を土台とした理論と思われる。

 お金を大量に刷って貨幣価値を下げて行けば、他人に金を貸すとき高い金利を当然要求するだろう。金利の急激な上昇が無ければの前提条件は、大雨が降らなければ洪水は発生しないと言っているような当たり前の話で、これだけでも信用ならない。

 幸いなことに、異次元金融緩和に拘わらず現状では金利の上昇は起こっていない。これを良いことにMMTに悪乗りし、財政健全化どこ吹く風と、財政再建は先送りされて政府の債務は増加する一方である。

 首相が主催する”桜を見る会”の予算は過去5年間はいずれも約1765万円だったそうだが、実際に使用された金はその数倍になったそうだ。国家予算に比べれば微々たるものであるが、この放漫経営の姿勢が国家全体に及んでいるのではないかと危惧する。2019.11.23(犬賀 大好-551)

日韓問題への打開は若い世代の台頭を待たなくてはならないのか

2019年11月20日 09時17分47秒 | 日々雑感
 日韓間の懸案である日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は韓国政府の翻意が無ければ、二日後深夜をもって終了することになるそうだ。

 米国は日米韓3ケ国安全保障体制維持の必要性から国務次官をソウルに派遣する等、撤回するよう説得を試みているが、韓国政府は日本が一連の経済制裁措置を撤回しない限り、破棄の方針を変えるつもりはない、と強硬姿勢を崩していないようだ。文大統領は安全保障より経済問題を最優先させているのだろう。

 韓国の世論調査会社;リアルメーターは11月7日、GSOMIA破棄の賛否を問う世論調査の結果を発表した。結果はこのまま破棄すべきが撤回すべきを10ポイント程上回り、韓国世論も後押しているようだ。

 GSOMIAは北朝鮮に対する備えが主と思われる。最近北朝鮮は短距離ロケットを頻繁に打ち上げる一方、文大統領の北朝鮮戦略も金正恩委員長から袖にされているが、それでも韓国国民の多くは文政権を支持しているのだ。これも韓国には北朝鮮を故郷とする人、北朝鮮に親戚を有する人等が多く存在し、北朝鮮をそれほど脅威と感じてはいないと言うことだろうか。

 米国は韓国に防衛費分担金の大幅引き上げも要求している。分担金はこれまでの数倍になる50億ドル(約5000億円)を要求しており、破棄を思い止まらせる脅かしと言われている。米軍関係者は破棄の撤回に重きを置くが、トランプ大統領はそれより分担金の増額に関心があるとのことであり、来年の大統領選挙にはその方が得だと判断しているのだろう。

 さて、世論調査会社;コリア・リサーチ・センターの11月始めの世論調査によれば、文大統領の国政運営について評価すると評価しないは伯仲しているようだ。文政権が米国の圧力に屈する形で破棄を撤回すれば、政権支持率低下に繋がる恐れもあり、文大統領は寝られぬ毎日を送っていることだろう。

 来年4月の韓国総選挙を前に支持層を結束しなければならない時に、撤回するにしても米国の圧力に屈したという形ではなく、国民を納得させることのできる大義名分が必要となるが、何かあるだろうか。マスコミ報道では撤回を一時延期する位が関の山だ。

 韓国の文喜相国会議長は、文大統領の窮地を見兼ねたのか、日韓の企業と国民の寄付に基づいて新たな基金をつくり、元徴用工らに支給する法律案を提案した。日韓問題の一つの打開策ではあるが、日本政府は韓国政府からのきちんとした提案でない限り、外交上の検討材料にはならない、とにべもない。

 さて、一方では民間同士での友好関係を築こうとの動きが盛んになりつつあるようだ。慰安婦も徴用工も直接関係ない若者にとって隣国同士の文化的交流は当然の流れであり、政府の規制も及ばないであろう。もう少し時間が経てば大きな流れとなるであろうが、来年4月の韓国総選挙に影響するまでにはなりそうにない。

 今週末のGSOMIAの成り行きが当面の関心事である。文国会議長の動きは不評だが、文大統領の体面を維持しつつ何かしらの妥協案が早急に期待されるが、見通しは極めて暗い。歴史にとらわれない若い世代の台頭を待つしかないのであろうか。2019.11.20(犬賀 大好ー550)

雅子皇后による皇室改革を期待

2019年11月16日 09時24分42秒 | 日々雑感
 今年5月に天皇即位があった。また先月即位を国内外に宣言する即位礼正殿の儀が皇居で行われ、先日即位を祝うパレードの祝賀御列儀が都内で行われた。これで、日本政府による国事行事がすべて終了し、これから皇室行事に移るそうだ。

 さて、各種の儀式の様子を拝見すると、天皇陛下の周りの世話役の馬鹿丁寧さに呆れる。戦前は天皇は神様扱いだったので、このように丁寧にかしずいていたのだろうと思うが、今回の様子を見ると周りは人間天皇を神様に持ち上げようとしていると勘繰りたくなる。

 今回の平成天皇から令和天皇への引継ぎはスムーズに行われたようであるが、将来心配となる問題にぶつかる。皇室典範は「皇位は皇統に属する男系の男子が、これを継承する」としている。つまり父方に天皇の血筋を引く男性のみが天皇になると定めているのだ。

 皇室典範に従えば次の天皇は悠仁さまとなろうが、万が一を考えておく必要もある。皇族の減少と皇位の安定的な継承をめぐっては、小泉内閣のもとで、女性天皇や女系天皇を認めるべきかの検討が有識者会議で行われたようだ。有識者会議ではそれを認める方向にあったようだが、秋篠宮家に悠仁さまが誕生されると、こうした議論は立ち消えとなってしまった。議論することが嫌いな日本国民の特質からか、実際に問題に直面するまで先送りにしたのだ。

 ”我々日本民族の先人は万世一系の男系を守ってきた。守るべきことは断固、命をかけて守らなければならない”、と主張する人は少なからずいる。このような人は、人間天皇を神様天皇としたい人であろうが、自らも何かしらの特権にしがみ付きたい人であろう。

 万世一系の男系システムは側室制度と表裏一体であったことはいがめない。明治天皇は皇后との間に子供が出来ず、皇后以外に認められた側室の女性5人との間に5男10女をもうけたとのことだ。続く大正天皇の時は4人の子供すべてが男の子だったそうで、側室はいなかったとのことだが、女性に対し天皇としての節度を越える振る舞いに及ぶことも一度や二度ではなかったようだ。

 昭和天皇の時は、現天皇と秋篠宮の男子2名が誕生したが、その誕生の裏に数々の都市伝説が生まれた背景も、側室制度の名残であろう。

 秋篠宮家に悠仁親王が誕生して以降、女性宮家の創設や女性天皇など、安定的な皇位継承のための議論はすっかり影を潜めてしまった。今の皇室が男系天皇制を守ろうとしていたら、側室制度も守らなくてはならないだろうが、今の時代に側室制度の復活を声高に誰が主張できようか。

 世界の流れはジェンダーフリーだ。現皇后の雅子さまが、結婚後男子誕生の圧力を受け、精神的に追い込まれた事情は容易に察しが付く。祝賀御列儀のパレードで一見元気な姿を拝見したが、これを契機に元気に活躍されることを願う。

 皇室は政治に関わるべきでないが、政治は皇室を利用しようとしている。即位を契機に皇室と政治の分離、政教分離、男女の格差解消等、外務官僚のキャリアーウーマンとしての経験を皇室の中に生かしていただきたものだ。人間天皇として国民の多くは皇室に親しみを感じており、天皇も必ず支援する筈だ。2019.11.16(犬賀 大好-549)