日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

インフレ基調の世界経済とデフレを脱しきれない日本経済の違い

2022年01月29日 09時30分53秒 | 日々雑感
 昨年2021年は世界の多くの国・地域においてインフレが加速し、歴史的な高水準となっているようだが、日本は相変わらずデフレ状態のようであり、この違いの原因は何であろうか。

 米国の12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比+7.0%に達し、39年ぶりの高水準となったとのことで、先進国におけるインフレ加速は一般的な現象で、各国の中央銀行が金融引き締め方向に舵を切っている。

 一方、日本銀行は今年1月18日の金融政策決定会合で、従来通りの大規模な金融緩和策の維持を決めた。その理由はCPIが目標の2%に達していないとのことだが、このところ資源高や供給制約を背景に食品など生活必需品の値上げが相次ぐ中、違和感を感ずる。黒田総裁は記者会見で、”賃金上昇を伴わない資源高主因の物価上昇は一時的にとどまる”と述べ、最近の値上げラッシュは一時的だとして金融緩和政策を続行する決意を示したのだ。

 黒田総裁の判断が正しければ結構であるが、2013年の総裁就任挨拶で、物価上昇率2%は2年で達成すると大見えを切ったが未だ実現しておらず、しかも責任も取らず反省の弁も無く、今なお総裁の椅子に居座っており、どうも信用出来ない。

 日本の最近の消費者物価はその6割に近い品目が上昇しているとのことだ。物価上昇率は携帯値下げの影響が一巡するこの春に2%に迫る見通しと識者は語る。現状では米欧に比べ需要の回復や賃上げの動きは鈍いため、コスト増が先行する成長なきインフレが家計の重荷になるとの警鐘をならしている。

 総務省が1月21日発表した2021年12月のCPIは変動の大きい生鮮食品を除き前年同月比で0.5%上昇し、4カ月連続でプラスとなった。電気代などエネルギー関連の品目で値上げが続き、全体を押し上げた。12月分は携帯電話料金の値下げが指数を1.48ポイント押し下げていて、これを除けば物価上昇率は2%前後になるとの話だ。

 菅前首相の功績の一つである携帯電話料金の値下げが無ければ、CPIは2%を達成していただろうが、この場合でも、黒田総裁は金融緩和を止めていたであろうか。労働者の報酬が上がらず、物価が上がる現象を悪いインフレと称し、報酬と物価が上がる現象を良いインフレと称するようだ。黒田総裁は、最近悪いインフレが進行中と強調しているようだが、異次元金融緩和を続行しても解決しないような気がする。

 日本の労働者の賃金はここ10年上がっておらず、2021年9月の国税庁の資料によれば、現在の日本人の平均年収は約430万円と低く、この原因は労働生産性が悪いとの説明がよくなされる。しかし、企業は利益を労働者にではなく企業の内部留保に回しているためではないだろうか。リーマンショック以来企業は存続のための予備資金をため込み、労働者側も自社の存続のために給与の増加を我慢しているのだ。

 この状態が改善されなければ、いくら異次元金融緩和を続けてもデフレ脱却とはならないだろう。2022.01.29(犬賀 大好ー785)

コロナウイルスのオミクロン株はいつピークアウトするのか

2022年01月26日 09時04分27秒 | 日々雑感
 日本は現在コロナウイルスのオミクロン株の感染が急拡大中だ。東京では新規感染者が1月22日ついに1万人を越えた。一足早く流行した海外では既にピークを超えた国が出ており、日本の流行の収まりも意外に早いのではないかと密かに期待する。

 南アフリカ政府は昨年12月30日、新型コロナウイルス感染拡大のピークは過ぎたかもしれないとして、夜間外出禁止など行動制限を緩和した。昨年11月下旬の感染急増から1カ月余りでピークアウトしたとの予測だ。

 英国は昨年12月上旬に感染者が急増し、今年1月4日に感染者が21.8万人超と過去最多となった後、16日には7万人強と3分の1まで減った。

 アメリカ・ニューヨーク州では、昨年12月2日にオミクロン株感染者が初確認され、1月7日には一日の感染者数が9万人を超え、過去最多になったが、ニューヨーク州の知事は、14日の会見でピークアウトしたとの認識を示した。

 オミクロン株は感染力が強く、感染が急拡大を始めてから1ケ月ちょっとでピークを迎えるようだ。感染力が強いと感染し易い者が簡単に感染するので感染対象者が急減し、ピークを迎えるのも早く、そしてピーク時から2週間ばかりではっきり峠を越えたことが分かるようだ。

 厚労省の専門家会議に提出された資料によると、世代時間がデルタ株は4.6日と推計されるのに対し、オミクロン株は2.1日と約半分に短くなっているそうだ。世代時間と言うのは、自分が感染してから他の人に感染させるまでの時間だそうだ。世代時間5日間では流行開始から50日でピークを打ち、世代時間が2日だと22日ぐらいでピークになると予想されるようだ。

 海外での観察結果を合わせ考えれば、日本で1月に入って大規模流行が始まったことを考慮すると、1月末から2月の上旬にピークになると推測され、3月に入ると感染者が激減すると楽観視される。

 もしオミクロン株と称する新種の変異株が登場しなければ、今回の第6波の流行もなく今頃は新型コロナ感染症も終息と言わないまでもかなり下火になっていたと思われる。

 そもそも従来から4種類のコロナウイルスは風邪の病原体として人類に広く蔓延しており、今回の騒動を起こしているデルタ株等の新型コロナウイルスはコロナウイルスの変異株であり、オミクロン株は更なる変異株であろう。オミクロン株は、従来株に比べて50カ所以上に変異が入っているそうだが、変異の余地はまだいくらでもありそうで、油断はできない。2022.01.26(犬賀 大好ー784)

島国日本に相応しい電気自動車の姿は何か

2022年01月22日 09時16分40秒 | 日々雑感
 今年1月の始めに米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCES 2022は、元々はデジタル家電の展示会として開催されてきたイベントだが、近年は自動車の電動化という流れを受けて自動車関連の出展が多かったようだ。 

 そこにおいてソニーグループの吉田社長が、新会社ソニーモビリティを立ち上げ、自社で電気自動車(EV)に参入すると表明した。EVは基本的に蓄電池とモータがあれば動くが、その先にある自動運転にはコンピューターとセンサーが必須である。ソニーはセンサーの中でも視覚に相当する画像処理装置が得意であり、それを活用してEVに本格的に乗り出そうとしているのだ。

 車の自動運転にはコンピューターも必須でありそこに人工知能も動員される。米国の半導体大手のエヌビディアは半導体の処理装置の設計を得意とする企業であり、特に自動車の自動運転の分野では圧倒的な地位を占めており、企業の資産価値の世界トップ10の一角を占めているそうだ。

 また、スマートフォンで有名な米アップル社は電気自動車(EV)の開発を加速しており、人間の介在を一切必要としない完全自律運転モデルを開発プロジェクトの中心に据えており、早ければ2025年にもアップルカーがデビューする予定だそうだ。

 2025年は3年先であり電気自動車をあまり見かけない日本では、唐突な感じがする。しかし中国の広州では、配車アプリで呼ぶ車は、エコノミーを選択する限り、ほぼ100%がEVと言っていいようで、車後進国と思われていた中国ではガソリン車を飛び越してEV社会へ移行しているようだ。日本の車社会がガラパゴス化しつつあるのだろう。

 世界の大手の自動車メーカも競ってEVを開発しているが、概して高級車指向だ。日産のEV車、リーフも最低価格でも300万円以上だ。EV車は連続走行可能距離の長さが一つのうたい文句になっているが、電気自動車はガソリン車に比べて構造が極めて簡単なため、低価格が特徴となる筈であった。

 走行距離より充電のし易さ、無人運転より安全性重視した小型の車の方が、島国日本に相応しいと思うが、大手自動車メーカは世界の市場を目指しているのか低価格自動車に見向きもしない。現在の日本の貿易の稼ぎ頭は自動車だ。日本の市場だけでは狭すぎる。世界を相手にしなくてはならない事情は理解できるが。

 さて、中国では50万円以下で購入できるEV車が今年販売を始め、インドではEVの多目的スポーツ車が実質100万円台前半で購入できるそうだ。近く日本にも上陸するだろう。

 近い将来、日本国内を走る車は外国車に、日本の大手自動車メーカは輸出専門となって行くのだろうか。2022.01.22(犬賀 大好ー783)


新型コロナウイルス感染症は普通の流行性の風邪にいつなるのか

2022年01月19日 10時35分24秒 | 日々雑感
 日本の新型コロナウイルス流行に対する1回目の緊急事態宣言は、一昨年2020年4月7日であった。この時は、初めて経験する緊急事態宣言で国民一人一人が緊張しており、外出自粛等をしっかりと守ったためか翌月25日には感染が終息したとして解除された。

 しかし、その後流行は第2波、第3、第4、第5と続き、現在第6波の最中である。昨年11月、新型コロナウイルスの今後の感染状況について、名古屋工業大学の平田教授が、人の流れや気象条件やワクチンの接種状況などの、さまざまな条件を組み合わせて人工知能(AI)で分析・予測したところ、12月になるとワクチンの効果が薄れ、年末の飲食の機会が増えることから、新型コロナウイルスの感染者が再拡大し、2022年1月中旬ごろに感染の第6波が来ると予測していたが、的中した。このように流行が周期的に来るのは不思議な現象だが、こうも度重なるとAIも良く学習し的中率も上がるのであろう。

 さて、現在第6波の流行が進行中である。東京都は今月1日に79人が新型コロナウイルスに感染し、9日には1223人が、18日にはついに5185人を確認したと発表した。

 現在、急拡大している主流は新たな変異株であるオミクロン株と言われている。政府は昨年11月30日、オミクロン株の感染者が日本で初めて確認されたと発表した。感染者は28日に成田空港に到着したアフリカのナミビアからの30代の男性外交官だそうだ。当時日本ではオミクロン株は確認されておらず、外国から入って来ると信じられ、入国者の厳重な検査が行われていたのだ。

 大阪府は12月22日、オミクロン株に感染した府内在住の親子3人について、市中感染にあたると発表した。厚生労働省によると、国内でオミクロン株の市中感染が明らかになるのは初めてであり、先のナンビアからのオミクロン株が拡がったのか、他のルートがあるのか不明である。兎も角感染力がこれまでになく強いことが確認された。

 今年1月13日、オミクロン株への対応をめぐり、日本維新の会は、重症化率が低いというデータが出ているなどとして、新型コロナの法律上の扱いを季節性のインフルエンザと同程度に引き下げることなどを政府に要望した。確かにオミクロン株は感染力が強いが重症化する可能性が低いことは確からしいが、確定ではない。

 東京都をはじめとして多くの府県に、近く蔓延防止特別措置法を実施する予定であるが、長引くコロナ対応で経済はひっ迫している。小池知事は、”感染を止めるが、社会は止めない”と強調したが、その具体策はよく分からない。

 現在のオミクロン株の重症化率や死亡率が通常の流行性の風邪と比べて大きな違いが無いと実証されれば、維新の会の主張通り、新型コロナウイルスも普通の風邪のウイルスと同等の扱いになろう。ただし、更なる変異ウイルスが登場しない限りだが。2022.01.19(犬賀 大好ー782)

日本の国力の低下は著しい

2022年01月15日 15時07分24秒 | 日々雑感
 「科学技術立国」を掲げる日本の国際的な存在感が低下している。1月7日、企業の価値を決める株価の時価総額の世界ランキングが示された。世界のトップ10で目を引くのは米巨大IT企業で、アップル、マイクロソフト、グーグルの親会社のアルファベット、アマゾン、旧フェイスブックのメタの他、半導体大手のエヌビディアの6社が占めている。最後のエヌビディアは半導体の処理装置の設計を得意とするハード系の企業であり、特に自動車の自動運転の分野では圧倒的な地位を占めるようになっているそうだ。今後更に上位に来るのではないだろうか。日本企業の最高はトヨタの29位だそうだ。

 半導体の製造では技術的に世界をリードする時代もあったが、最近では逆に台湾企業が日本に進出する時代となったしまった。先の世界ランキングで10位で、半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に総投資額7000〜8000億円の製造工場を2022年に着工、2024年に稼働と計画しているとのことだ。

 台湾企業が日本に進出する理由は、日本の優秀な技術や人材の確保と思いきや、日本政府が最大で総投資額の50%、金額にして最大4000億円を補助する計画であることが最大の理由ではなかろうか。

 日本企業では29位のトヨタの次はソニーグループで92位だそうだ。バブル経済だった1989年は、世界のトップ10に日本の金融機関やNTTが入っていたが、30年後の現在、日本企業各社は世界の潮流からすっかり外れてしまったのだ。日本企業はこれまでの成功に胡坐をかき、現状に満足し、新たな冒険や挑戦の精神を忘れてしまったのではないだろうか。

 この傾向は学問の世界でも同じだ。文部科学省が昨年8月上旬にまとめた報告書では、科学論文の影響力や評価を示す指標でインドに抜かれて世界10位に落ちたとのことだ。菅前首相も科学技術立国・日本にとって、20年近くも続く研究力の低迷は、国の将来を左右する深刻な事態であると認識し、今後5年間の目標として、政府の研究開発予算を30兆円、官民の研究開発費の総額を120兆円とし、博士課程学生の支援を拡大し、未来を担う若手研究者を育成するとしていた。

 岸田現首相も政府がイノベーション向上の目玉に据えた10兆円規模の大学ファンドを創設し、世界トップレベルの研究力を目指す大学に国が運用益を配分する計画を立てた。菅前首相の計画と何が異なるか分からないが、肝心なのは金の大きさより運営の仕方だ。

 ノーベル賞受賞者の大隅良典さんや本庶佑さんなど名だたる研究者が、基礎研究が大事だ、と訴えているが、短期的な成果を期待した研究では将来のノーベル賞は期待できない。

 中国が2008年から始めた”千人計画”は外国で活躍する研究者を国籍を問わず集める国家プロジェクトだそうだ。約10年で中国系を中心に約8千人が対象となったそうで、日本からの参加者もいるそうだが、日本でも同様に世界から人材を集めることが出来るであろうか。2022.01.15(犬賀 大好)