日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の人口減と移民・難民・避難民問題

2022年04月30日 11時28分35秒 | 日々雑感
 4月末、ウクライから全人口の1割を超える人々が国外へ避難したと伝えられる。避難民の受け入れは隣国ポーランドが圧倒的に多いが、全世界におよび日本にも同様である。政府は戦禍を逃れてきたウクライナの人々を「難民」ではなく「避難民」として受け入れに動いている。

 通常、海外から日本へ避難して来る人々は「難民」として待遇される。難民とは、迫害、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序が著しく混乱することによって、出身国を逃れた人々と定義される。

 ウクライナから国外へ避難している人々は文言上難民に当てはまるが、日本では政治上の都合で国内に留まれば迫害を受ける人々にしか適用されないようで、日本は難民認定のハードルが非常に高く、これでは反ロシアの仲間として認められないと判断し、今回「避難民」という特例的な扱いで受け入れているのだ。

 日本で「難民」を希望する者は、法務省出入国在留管理庁に申請し、認められれば、原則として国民健康保険への加入資格や、条件を満たす場合は国民年金、児童扶養手当などの受給資格が得られ、日本国民と同程度の待遇を受けることができ、定住者として5年間の在留資格が認められ永住への道も開かれるそうだ。

 しかし、2019年の難民申請者は10,375人に対して認定は44人、2020年の難民申請者は3,936人に対して認定されたのは47人であり、極めて認定されるのは難しい。

 先述の特例的な扱いとは、90日間の「短期滞在」資格で入国させ、その後1年ごとの「特定活動」資格に切り替え可能とした。4月3日までに避難を目的としてウクライナから我が国に入国した方は404人だそうで、全国に安住の地を求めて散らばっている。

 その様子を複雑な思いで眺めているのがミャンマーからの人々だ。同国では昨年2月、国軍によるクーデターが発生した。国連難民高等弁務官事務所によれば、50万人以上が実権を握った国軍に追われ国内避難民となり、日本に難民申請するミャンマー人は昨年3月までに約3000人であるが認められたのはたった16人だそうだ。

 ミャンマー人とウクライナ人に対する対応の仕方がこのように異なり、これは白人と黄色人に対する偏見の差が顕著に表れていると非難される。

 政府はこれまで、大規模な移民受け入れ、特に単純労働者の受け入れには否定的な姿勢を取ってきた。一方、少子高齢化、労働力不足が深刻化する中、すでに様々な制度の下で多くの外国人が来日し、働いている。その数は、厳密な統計は存在しないものの、150万から250万人ほどと推計され、今後さらに増えていくと予測されている。

 現在の日本経済の低迷は、日本の人口の減少にあると主張する識者もおり、日本の移民政策も、難民の認定問題も含め見直さなくてはならない時期に来ている。2022.04.30(犬賀 大好ー810)


世界の指導者の国民支持率の重要性

2022年04月27日 09時50分24秒 | 日々雑感
 ロシアがウクライナに侵略を始めたから2か月が経ち、益々混迷を深めているが、ロシア政府系の世論調査機関の調査では、プーチン大統領の国内支持率は侵攻後に軒並み上昇しているのだそうだ。政府側の調査ではさもありなんと思うが、独立系の調査でも、3月の支持率は83%を記録し、2月の71%から12ポイントも上昇したそうだ。

 プーチン大統領は世界の国々から非難を浴びており、この人気は異常で理解に苦しむが、支持する人の多くは高齢者や地方に住む人達などで、彼らの唯一の情報源となっているのが政権のプロパガンダを伝える国営放送で、多くの人が国営メディアで伝えられることが事実だと政権の意図をすり込まれているためだと指摘する人も結構多い。

 一方、米国ではトランプ前大統領の支持率が相変わらず高そうである。トランプ氏はバイデン現大統領に大統領選で敗れた後も選挙に不正があったと主張するなど往生際の悪さを表していたが、それでも支持率は約40%と驚くほど高かった。この支持率の高さは岩盤支持層と呼ばれる熱狂的な支持層の存在のようであり、ロシアと異なり情報源が限定されている訳ではないだろうが、自分たちの不満を代弁する情報のみに耳を傾け、他の情報には耳を塞ぐのであろう。外部からの規制ではなく、自らの規制と言える。

 さて、トランプ前大統領はウクライナ侵攻の直後の2月26日、南部フロリダ州の大規模集会で、一応侵攻を非難したものの、ロシア批判よりもバイデン政権への攻撃を優先し、2024年の次期大統領選挙への再出馬を匂わせたものと思われているそうだ。

 また、最新の米世論調査ではバイデン大統領の支持率が40%と就任後最低を更新し、国内で物価高が進み、ロシアによるウクライナ侵攻に対する弱腰外交で、次期大統領選挙を危ぶむ声も聞かれる。しかし、単なる支持率の投票と大統領選の投票は別物と考えた方がよさそうである。

 つい先日行なわれたフランス大統領選挙において、現大統領のマクロン氏が得票率58.6%、極右政党のルペン氏(53)が41.5%となり、マクロン氏が再選されたが、ルペン氏は大幅に投票率を伸ばし敗れたものの勝利したかのような喜びだったそうだ。EU協調派のマクロン氏が勝利し、対ロシア作戦はこれまでと変わらないであろうが、対ロシア柔軟派の伸びはプーチン氏を内心喜ばせているだろう。

 支持率の数値だけからすれば、プーチン氏が圧倒的に国民に支持され、バイデン大統領やマクロン大統領は国民の半数にしか支持されない。しかし、普通のアンケートでも質問の仕方により結果が異なることは良く知られている。

 プーチン氏はウクライナのロシア占領地域で住民投票を計画しているとの情報もある。住民の多数の意見を聞くための住民投票は一見民主的な手法であるが、為政者にとって住民をある方向に誘導する手法にもなる。民主国家においては様々な意見が存在する。圧倒的な支持率はむしろその背景を疑ってみるべきであろう。2022.04.27(犬賀 大好ー810)

マイナンバーの普及はデジタル庁がやっていると思っていたが

2022年04月23日 14時27分56秒 | 日々雑感
 マイナンバーは、住民票を持つ日本国内の全住民に付番される12桁の番号だ。このカードは日本国民に個別の番号を付し、税金や健康保険等の行政サービスをこのカード一枚で受けられるように、昨年2021年5月19日に公布され2016年から運用が開始された。

 マイナンバーによって個人の特定が確実になるため、行政機関の間で情報連携することにより事務処理もスムーズとなり、行政サービスが向上する筈である。例えば引っ越しをする場合、役所へ転出・転入届け、国民健康保険や国民年金の住所変更、児童手当や保育園・幼稚園の転園手続き等、何枚もの書類を書かなくてはならなかったが、これらの手続きが1枚の書類で済むとなれば利便性が格段に高まることが予想できるが、人生において引っ越しは頻繁に起こる訳ではなく、この利便性もなかなか一般に広がらない。

 当初、国民皆背番号制と揶揄されたように、複数の銀行に口座を有する人もすべて同一人と分かり、税金逃れが出来無くなり、完全に公に晒される少額の預金者にとって公平感が増すとの期待があったが、金持ちの反対意見も根強く遅々として進んでいないようだ。

 またコロナ禍でいろいろな補助金が支給されているが、その支払い対象が適切かどうかを調べる事務作業が煩雑で、急ぐあまり不適当な支払いも結構あるとの話である。マイナンバーが徹底されておれば、事務作業がスムーズの行われていただろうにとの恨み節も聞かれる。

 政府は2023年3月末までにほぼ全国民のマイナンバーカード取得を目指している。ちょうど1年前、2021.04.14に”創設されるデジタル庁は縦割り行政の弊害を打破できるか”のブログを記したが、総務省や内閣府などに所管がまたがっている業務をまだ一本化は出来ておらず、道のりは遠そうだ。

 総務省は現在マイナポイント事業として普及の音頭を取っている。先述のように、マイナンバーを所有する個人的なメリットが余り感じられず、折角取得したマイナンバーカードも机の中にしまい放しの人も多いだろう。そこでマイナーカードをナイナーポイントと結び付け、キャッシュレス決済サービスの利用等のメリットを宣伝しているが、当初想定した国の行政手続きの簡易化とは関係のない話だ。

 マイナンバーカードを健康保険証としての利用すると複数の病院での事務手続きが簡単になる等の利便性が増すが、利用申込みを行うと7,500円相当のポイントが付与され等の「馬の鼻先に人参をぶら下げる」作戦も展開している。

 マイナンバーの普及は一般国民にとって行政サービスの向上に役立つであろうが、それよりお役所の組織の簡素化にも役立つこと間違いない。しかし、現時点でそこで働くお役人にとって、自分の首を絞めかねず、普及には消極的になるだろう。

 デジタル庁は菅前首相の肝いりで創設された。岸田現首相に組織の一本化等の再構築をする熱意はあるだろうか。2022.04.23(犬賀 大好ー809)

円安が進む中、異次元金融緩和の後始末をどうする

2022年04月20日 09時34分50秒 | 日々雑感
 4月13日の東京外国為替市場で一時1ドル=126円台となり、19年11カ月ぶりの水準に下落したと大騒ぎになったが、19日には129円台となり、126円も驚くほどではなかったようだ。ウクライナ情勢の悪化による資源価格の高騰にこの円安が拍車をかけ、輸入品の諸物価が値上がりし、家計の負担が益々重くなると思われる。

 円安の原因はドルの金利の上昇と日本のゼロ金利政策の違いで、金利の高いドルを買って円を売る動きが強まっているのだ。ドルの金利の高さはインフレ抑制の為であり、日本の金利の低さはデフレ脱却の為であり、世界の経済と日本の経済は真逆のようであるが、ウクライナを巡る経済の悪化は世界が連動している。

 黒田日銀総裁の9年間に及ぶ低金利政策は日本のデフレ脱却を目指し物価上昇率2%を目標とする政策であるが、諸物価の値上がりでようやく日本もインフレ傾向となってきたのは喜ぶべき現象か。黒田総裁も「消費者物価は4月以降、2%程度の伸びとなる可能性がある」とこれを認めたが、低金利政策を続けるとも言明した。

 一般に低金利政策は、景気後退期に中央銀行が市中銀行に対する貸出金利を引き下げ、市中金利を低下させて企業の投資活動を喚起し景気回復を図るものであり、高景気は普通諸物価の値上がりを伴う。欧米は低金利政策による金融緩和で景気が回復し、インフレ傾向が強まった為め、低金利政策を終了する方向に動き始めているが。

 しかし、日本では諸物価が値上りしても一向に景気が回復せず、黒田総裁は金融緩和を維持しようとしているのだ。黒田総裁はこれまで消費者物価指数だけで景気回復を判断してきたが、最近は賃金上昇を伴わない物価上昇では駄目だと言い出し、金融緩和を止めようとしない。勘繰るに金融緩和を止められない理由が別にあるのだ。

 慢性的な低成長から脱却するには、金のばらまきではなく社会保障制度や教育制度の見直しが必要であり、また生産性を向上させる仕組みの構築等が必要と主張する識者もいる。これらは黒田総裁の担当外であろうが、安倍元首相と親密であったように政権幹部と意思の疎通は密である筈だ。

 さて、諸物価が値上がりし、インフレが激しくなった場合、黒田総裁は利上げに踏み切るであろうか。日本の国の借金は1千兆円を越えている。この借金にも当然利子を払わなくてはならない。国家予算の歳出の約1/4は、国債を返したり利子を支払ったりするためだ。この内利子の支払い分はいくらか分からないが、利上げは当然ながら支払い分を増やす。この支払い分の増加を恐れているのではなかろうか。

 9年間の異次元金融緩和の時期が長すぎ、日本経済はすっかり慣れきってしまった。ここでの利上げは、膨大な国の借金の維持に困難を来たす等影響が大きい。黒田総裁の任期は残すところ約1年、”飛ぶ鳥跡を濁さず”、ちゃんと道筋を示して辞めて欲しい。2022.04.20(犬賀 大好ー808)

新型コロナウイルスは第7波で終焉すればよいが

2022年04月16日 09時59分43秒 | 日々雑感
 日本の新型コロナウイルスの第6波の新規感染者は、2月5日の10.5万人を最高に、4月3日には4.7万人と半減したが、その減り方はこれまでになく遅く、最近では逆に再拡大する兆候も見られる。

 沖縄県の玉城デニー知事は今月7日、県内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、新規陽性者数が連日1千人を超えていることに関して、もはや第7波に突入したものと認識せざるを得ない、と強い危機感を示した。

 感染者数の増加は、これまでのワクチン接種の効果が薄れた来たことやまん延防止措置が全面解除され他人との接触機会の増加、更には重傷化リスクが低く危機感が少なくなっていることが考えられる。

 この傾向は日本ばかりでなく、世界の各国でも見られる。イギリスでは、2022年1月上旬に18万人を超えたあと、2月下旬に2万7000人余りまで減ったが、3月18日時点では8万1000人余りと増えているそうだ。

 フランスでは、1月下旬に36万人を超えたあと、3月上旬には5万2000人余りまで減ったが、再び増加傾向となり、3月19日時点では8万6000人余りとなっているようだ。

 ロシアやウクライナの感染状況は不明であるが、戦争の遂行には影響を与えていないようだ。

 イギリスやフランスの先進国では、患者数が増加しているのも拘わらず、規制を撤廃し経済活動を優先させている。重傷化リスクが低い背景があるのだろう。

 次の第7波で主流になるとみられているのが、オミクロン株の1つでより感染力が高いとされる「BA.2」である。更にイギリスなどでは別の変異ウイルス「XE」も徐々に広がりをみせ、日本でも4月11日国内の検疫で初めて確認された。

 第6波でオミクロン株の「BA.1」が広がり始めた時、それまでのデルタ株と比べて重症化しにくいことが分かり警戒感が薄れ、感染拡大が大きくなると予想されていたが的中した。WHOはイギリスでの分析結果として「BA.1」に感染した人と「BA.2」に感染した人の間で入院に至るリスクに差は無かったと報告している。重症化リスクが低いとのことで、外出規制等の防止策はあまり効果が無く、これまでと同様な波がやってくるだろう。

 日本の政府は、第3回目の接種の促進とともに、第4回目の接種の検討を始めている。接種効果が効いているうちに感染が終焉すればよいが、新たな変異株が登場し、まだまだ続く感もする。

 新型コロナウイルスの変異が活発で、流行が第1波から第7波と定期的に起こるのは、実に不思議な現象だ。人間を含めた自然の絶妙な平衡上の出来事であろうが、何かしらの哲学的な原則があるのかもしれない。
2022.04.16(犬賀 大好ー807)