日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

岸田首相の成長戦略に新規性無し

2021年11月27日 09時52分09秒 | 日々雑感
 今年11月8日、岸田総理は総理大臣官邸で第2回新しい資本主義実現会議を開催した。その中で自らの成長戦略を4項目に分けて説明した。

 第1は、科学技術立国の推進で、10兆円の大学ファンドを本年度内に実現するそうだ。第2は、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援だそうだ。簡単に言えば新しい事業を始め易くすることが目的のようだ。
第3は、デジタル田園都市国家構想の起動だそうだ。第4は、経済安全保障の推進だそうだ。経済安保推進のため先端的な重要技術を育てるのが目的のようだ。

 これらの説明を聞く限り明るい将来が迎えられそうな気になる。しかし、2014年6月に安倍元首相が主張した成長戦略と似たり寄ったりで、単なる官僚の作文との感である。すなわち、安倍氏は次の4つの視点をベースにして成長戦略を語っている。①投資の促進、②人材(女性、高齢者)の活用、③新たな市場の創出、④世界経済との更なる統合である。これらを足して、4で割ったのが岸田首相の戦略だ。

 安倍氏がこれらを語ってから、早7年、明るい未来が拓けたであろうか。異次元金融緩和で市場にお金をばらまき投資を促したが、結果は大企業が内部留保で資金を貯め込み、株価の高騰を招いただけだ。一時は大成功と思われたが観光立国もコロナ禍で底の浅さが露呈した。

 岸田首相の演説において、蓄電池、自動車の電動化、クリーンエネルギー、ドローン等の自動配送、人工高知能等の具体的な技術項目が上がっいる。いずれも重要な技術であり、将来日本を支える基幹技術になるかも知れないが、問題はどうやって進めるかである。

 例えば、蓄電池は自動車の電動化や自然エネルギーの不安定さをカバーする要素であるが、現時点ではリチウムイオン電池を一桁上回る高性能電池の芽は見えていない。大学等の基礎研究への援助も一助となるかもしれないが、期限を限った援助では成果を期待できなし、逆効果かも知れない。基礎研究とは目的を定めず自由な発想に基づくものであるからだ。

 政府が出来ることは、蓄電池を大量生産することによるコストダウンすること位しか思い当たらない。このためには例えば太陽電池と組み合わせた家庭用蓄電池の普及であろう。太陽電池はコストの面で今では中国に追い越されているが、かっては世界を技術的にリードしていた。日本の欠点は個々の技術では世界一であっても、その要素を利用した新しいシステムの発想までに及ばないことである。

 現在世界を闊歩するGAFAは、新しい発想の塊であり現在の日本人からは生まれないであろう。新しい発想を得るためには、外国人の発想を利用するため移民政策を採用する等の大胆な方向転換が必要と思うが、岸田政権にこれほど大胆な発想は期待できそうにない。2021.11.27(犬賀 大好ー767)

異常気象の頻発を前提に災害対策をすべし

2021年11月24日 09時22分33秒 | 日々雑感
 今月13日に英グラスゴーで閉幕した第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、世界第3位の二酸化炭素排出国であるインドは1位の中国と組んで、化石燃料に関する合意の文言を和らげた妥協案を成立させた。その結果、締約内容には国は火力発電での石炭使用を「段階的に廃止する」のではなく、「段階的に削減する」という文言が盛り込まれた。

 当初からの懸念通り今回のCOP26では、最大の争点であった石炭火力発電の扱いに関し各国の利害が大きく対立した。最近よくインドの首都ニューデリーが有害なスモッグに覆われているニュースを耳にし、また中国の多くの都市も相変わらずそのようだと思うが、石炭廃止に伴う経済の落ち込みを懸念しての判断だろう。

 石炭火力発電についての表現が廃止から削減に弱められたことを巡って、山口環境大臣の発言が注目されたが、何も発言をしなかったようだ。内心ほっとしているに違いない。

 日本の昨年の年間発電電力量の割合は、化石燃料による火力発電が74.9%と依然高いレベルであり、内訳は石炭(27.6%)およびLNG(35.4%)とのことだ。日本は2050年の「カーボンニュートラル」を実現するため、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度から46%削減することを目指しており、更に50%に向けて挑戦するとした目標を示しているが、その実現性は危ぶまれる。

 スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは”COP26は失敗だ”と批判している。グレタさんの主張はもっともであるが、現状の経済状況を考慮しておらず、政治家は将来の理想を語る前に現実の生活の安定を考えなくてはならないことにジレンマを抱えている。

 ホスト国のジョンソン首相はCOP26は ”私たちは石炭火力発電を段階的に削減する初の国際合意と産業革命前と比べた気温上昇幅を1.5度に抑える行程表を手に入れた”と成果を強調したが、その実行性は弱く、単なる強がりに過ぎない。

 国連環境計画(UNEP)は、各国が掲げる温室効果ガスの削減目標を達成したとしても、今世紀末には世界の平均気温が産業革命前から2.7℃上がるとする報告書を公表しており、ジョンソン首相の発言は空しい。

 さて、このような状況下で世界各地の気温がまんべんなく上昇するのではなく、世界各地に異常気象が頻発することになるだろう。気象庁が発表する世界の週ごとの異常気象情報でも、年間平均より高温な所と低温な所が入り交ざっている。最近50年に一度の大雨との報道をよく聞くが、今後頻繁に各地に発生するに違いない。これに伴い、今年熱海で発生した人災と思われる土砂崩れのような災害も誘発されるだろう。

 世界の努力に拘わらず地球温暖化は着実に進むであろうが、地球温暖化対策を緩めるわけにはいかない。同時に予想される異常気象に対しても最大限の対策を進めるべきである。2021.11.24(犬賀 大好ー766)

我が国の財政破綻はじわじわと押し寄せて来る

2021年11月20日 18時28分55秒 | 日々雑感
 先の衆議院の総選挙ではばらまき合戦と現財務次官から批判されていたが、自民党の圧倒的勝利となり、岸田新首相は公約通り55兆円規模のばらまき政策を実施しようとしている。コロナ禍で生活苦に苦しむ人や経済回復のためと称しているが、国の借金はGDPの2倍を超える異常状態であるに拘わらず。

 現代貨幣理論は、日本のように独自通貨を持つ国は債務返済のための自国通貨発行額に制約を受けないため、借金をいくらしても財政破綻は起きないと説く経済理論であり、従来の経済学には無い異端の学説である。

 この理論では、巨額債務があっても、インフレを抑制すれば、社会保障やインフラなど公共サービスの拡充は可能だと訴えている。現在の日本は異次元金融緩和の真っ最中であり、インフレ抑制の懸念どころか、デフレ脱却を目的にインフレを起こそうとしている位で、インフレ抑制の心配は皆無だ。

 この理論を背景に、安倍元首相は国の借金はお札をどんどん刷ればいくらでも解消出来ると金融緩和を始めた。異次元金融緩和の目標は物価上昇率2%の達成であるが、開始から10年以上経つのに達成されておらず、国の借金はついに1100兆円を越えた。現代貨幣理論が本当に正しければ全く心配ないが、どう考えても将来に禍根を残す。

 国の保有財産はそれほど変わらない筈なのに、お札をどんどん増やせば即インフレとなる筈であるが、今もってデフレ傾向だと言う。開始当初2年で目標を達成できなければ辞職すると宣言していた日銀の幹部もいたが、経済とはそれほど予測できないものだろうか。

 経済学者の中には財政健全化を訴える人もいるが、今年11月9日の経済財政諮問会議でも話題にもならなかったようだ。内閣府は今年1月21日、政府の経済財政諮問会議に中長期の経済財政試算を提出している。財政健全化の目安となる国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化の実現時期について、名目3%超の高い経済成長が続けば2029年度に達成できると試算した。

 歴代の政権は判で押したように成長戦略を立てるが、3%超の高い経済成長を実現できない。岸田首相は”分配と成長”を掲げるが具体策が見えない。世界をリードした半導体産業は、台湾企業が逆に日本に進出することで話題となるほどであり、太陽電池は中国に取って代わられてしまった。現在、自動車産業は日本の稼ぎ頭であるが、世界は電気自動車への方向転換で競争が激化しており、安穏としておられない。

 PBは政策経費を借金に依存せず、税収でどれだけ賄えているかを示す指標であり、感染症対策のため3次にわたる大型補正予算編成もあり、PB赤字は2020年度に69.4兆円、2021年度に40.1兆円の巨額に上るとのことだ。

 安倍元首相はお札を印刷すれば財政破綻は起きないと今でも主張しているようだが、財政破綻は突然やってくるのではなく、じわじわと押し寄せて来るらしい。我が国の社会保障制度は破綻直前であり、現在のコロナウイルス騒動の原因の一つは、地域の保健所を大幅に縮小したためとも言われている。2021.11.20(犬賀 大好ー765)

岸田首相はばらまき政策と国の財政健全化を考えているか

2021年11月17日 09時41分58秒 | 日々雑感
 岸田首相は、施政方針演説でコロナ禍で厳しい経済状況の人々に資金援助することを明らかにしているが、国の借金が1千兆円を越していることを気に留めているだろうか。

 資金援助は、18歳以下の子供に10万円相当を給付することを決めたのが手始めだ。現金5万円を早期に給付した上で、来春に向けて5万円相当のクーポン券を支給するそうだ。菅前首相は2020年春にコロナで落ち込んだ生活困窮者のために国民全員に10万円を支給したが、この内7割程度が貯金に回ったとのことで、生活困窮者と言っても明日からの生活に困る程の人は3割程度と思われる。

 この支給に加えて、経済状況が厳しい学生等にも就学支援として10万円の「就学継続資金」を、この他、生活困窮者向けの給付として住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり10万円を給付する予定だそうだ。更に、売り上げが減少した事業者に最大250万円を給付、個人事業主に対しても最大50万円を給付する方針だそうだ。

 衆議院選挙前、各党は争って国民への現金支給や減税を公約に掲げ、財務省の矢野事務次官から国の財政を顧みない”ばらまき合戦”と批判を受けたが、岸田首相も選挙で余裕をもって過半数を制したことに自信をつけたのか、気前よくばらまいている。更に、政府はマイナンバーカードを保有する全国民を対象に1人3万円相当のポイントを付与する方向でも調整中であり、国民は現金を配ればほいほいとお上に従うと思っているようだ。

 政府が新型コロナウイルス禍に対応して19日に決定する経済対策の財政支出が40兆円超に膨らむ見通しとなったことが12日、分かった。日本の借金が1千兆円を越える中、数十兆円増えたところで大したことでは無いと思っているようだ。

 財務省の矢野事務次官が”バラマキ合戦”と批判したことをめぐり、政府・与党内からは反発の声も出ており、安倍政権下であれば立ちどころに罷免させられていただろう。しかし、岸田首相は矢野氏の処分について問われ、全く考えていないと明言した。今後の矢野氏の処遇が注目されるが、岸田政権は安倍政権ほど強権を発揮しないと期待される。

 歴代の政府は基礎的収支(PB)の黒字化の目標を掲げるが本気度は薄く、達成年度は常に先延ばし状態である。そうした一方で、岸田首相は財政健全化の重視も一応は訴えているが、中長期的な財政政策の具体案を示しておらず、本気度は分からない。

 PBの黒字化には歳入の増大と歳出の削減であり、前者の手っ取り早い手段は増税だ。後者の歳出削減は社会保障費の見直し等、国民にとって耳の痛い話が目白押しだが、新規のばらまきの中止や国会議員の身を切る改革は額的にはわずかでも推し進めるべきだ。

 さて、10月31日に投開票された衆院選で、当選した新人や元職の約120人に対し、文通費としてわずか1日の勤めであっても10月分として、100万円が満額で支給されていたそうだ。マスコミが取り上げたためか、各党は慌てて返納等の対策を打ち始めた。このようは話は、一般国民が知らないだけでいくらでもあるのではないだろうか。国会議員は身を切る改革を率先すべきだ2021.11.17(犬賀 大好ー764)

日本のコロナウイルスは弱毒しているのか

2021年11月13日 11時19分22秒 | 日々雑感
 東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は、11月12日、22人が確認された。今後この状態が維持されるのか、再び増加に向かうのか現時点では全く不明である。しかし、ロンドンやニューヨークの大都会は相変わらず猛威を振るっているようであり、このまま終息すると見るのは早計のようだ。

 岸田新内閣は、新型コロナ対策については、「第6波」への備えとして、新たな病床を確保し、3万5,000人以上が入院できる体制を、11月末までに作るとした他、軽症者向けの宿泊療養施設を2021年の夏に比べて2割増、1万室以上増やす方針を表明した。リスク管理は最悪の場合を想定しておく必要があるが、幸運にももし感染が終焉したとなれば無駄な投資となるが、やむを得ないであろう。

 設備は金をかければ出来るだろうが、問題は人材の確保であり、第6波の山を迎える2,3ヶ月後までに確保しなくてはならない。首相は看護師の報酬を増加すると言っているが、人が集まるであろうか。

 岸田内閣に期待するもっと大きな問題は、医療システムの再検討だ。コロナ騒動前、社会保障費の節約の名目で保健所の統廃合を進めた。コロナ騒動が持ち上がると、保健所の対応の不手際が問題となり、同時に行政と医師会の連携の悪さも指摘された。

 これらは疫病の発生がなければ顕在化しなかったであろうが、疫病は忘れたころにやってくる質の悪い災害だ。自然災害の多い日本ではその対策もいろいろ行われているが、疫病を自然災害の一つと捉え、普段の対策を練っておく必要がある。

 さて、東京都内のコロナ感染者は7月後半感染者数が急増し、8月後半には急減した。2回目のワクチン接種率が10月末で80%に達したこともあり、最近は都内でも1日数十人程度で、日本全体でも200人程度だ。

 しかし、ドイツの新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数が11日、5万196人となり、2020年春の流行の第1波以降で初めて5万人を超えたそうで、新規感染者数は桁違いに多い。ワクチン接種完了者は人口の67.3%と日本より劣るが、ワクチン接種の効果だけでは説明しきれないそうだ。

 最近日本におけるウイルス株の感染力が弱くなっている、すなわち弱毒化しているとの説が出始めた。コロナウイルスは変異が頻繁に起こるようだ。変異したウイルスが仲間を増やすためには、感染力が強くなくてはならないが、偶然でも人間に対する害が少なければ、人間との共存が可能になるだろう。すなわち普通の風邪の一種となるのだ。

 1918年から流行したスペイン風邪では数千万人が死亡したとされており、世界中で原因の病原体を追究する研究が行われたものの、何も判明しないうちに、約4年で自然と収束したそうだ。

 現在世界で猛威を振るっているコロナ株もスペイン風邪と同様な経緯を経ることを期待したいが、日本のコロナウイルスの正体はどうであろうか。2021.11.13(犬賀 大好ー763)