日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

個人情報の行き過ぎた取り扱い

2023年07月29日 14時38分04秒 | 日々雑感
 「個人情報」とは個人に関する情報であり、氏名、生年月日、住所が基本であるが、これらに、電話番号、クレジットカード番号、銀行口座番号、パスワード、ID、アカウント、顔写真等が加わると個人のプライバシーを丸裸にできる情報である。

 これらの個人情報は、管理する側からは個人を簡単に特定できるため非常に便利なツールとなるが、営利企業の関係者から見ると是非知りたい情報でもある。例えば化粧品や健康食品をある年齢層に限定して効率よく宣伝出来るようになる。また、振込詐欺等の特殊詐欺、裏アルバイトあるいは闇アルバイトの違法な仕事の募集に悪用することも可能になる。

 インターネットの発展に伴い、個人情報を様々な立場で利用出来るようになり、個人情報のリストが密かに売買されるようにもなったそうだ。そこで個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利や利益を守ることを目的とした「個人情報保護法」が2003年に制定され、その後、デジタル技術の進展やグローバル化などの経済・社会情勢の変化や、世の中の個人情報に対する意識の高まりなどに対応するため、これまでに3度の大きな改正が行われ、より厳格に運用されるようになった。

 さて現在国が普及を進めるマイナンバーカードでも個人情報の流出が問題となっている。 マイナンバーカードのICチップには券面に記載されている情報や公的個人認証の電子証明書等に限られている為、それらの情報のみから個人を特定することは難しい。しかし問題はその限られた情報から更に詳しい税・年金の支払い情報や病歴などプライバシー性の高い情報を引き出せる場合に発生する。

 マイナンバーの目的は上述のような様々なプライベート情報と関連させて管理をし易くするためであるが、例えば健康保険証とマイナンバーカードを1対1に対応させるすなわち紐づけするのは人間であり、そこにリスクが生まれる。誤って紐づけしたした場合、他人に情報が漏洩することになるのだ。マイナンバーカードの有用性は高いが、一方個人情報が漏れた場合の被害も大きい。そこで個人情報の保護は重要だが、一面不便な場合も発生する。

 個人情報保護法では、たとえ家族であっても本人の承諾なしに個人情報を知らせることを禁止している。確かに、家族であっても知られたくない事もあり、例えば性感染症の検査結果などは本人に確認した上でなければ家族には知らせないのが当然かと思う半面、家族が病状説明を求めて来院したときに、本人の同意書がないと説明できないと追い返すのが妥当かどうかそれぞれの状況によって異なるだろう。

 また、教育現場で子どもを指導する場合、親の経済状況を知っておくことは指導上役に立つが、管理する者は個人情報保護法を天下の宝刀と振りかざし一切教えてくれない。もっと柔軟な対応が出来ないものかと考えてしまうが。
2023.07.29(犬賀 大好ー934)

日本における生成AIの社会問題化は当分先の話か

2023年07月26日 08時37分00秒 | 日々雑感
 人工知能(AI)の進歩は著しい。2015年に発表されたオックスフォード大学などの調査結果では、今後10〜20年の間に一般事務職や銀行員等の約半数の仕事が消える可能性があると示唆していた。しかし、AIの進歩は予想以上に進み、創造的な成果物を生み出るようになり、楽曲や画像、動画、プログラムのコード、文章等も作り出せるようになった。このようなAIは生成AIと称され、人間の仕事や作業をサポートするツールとして活用が期待されている。今後これまで人間が行ってきたあらゆる領域に浸透する勢いである。

 7月20日、米国映画の都ハリウッドにおけるストライキは日々、激しさを増しているそうだ。この背景にあるのはAIの存在だ。AIが脚本を書くなど、人工知能の進歩によって脚本家の仕事が減らないようにする仕組みや、脚本家のアイデアがAIの生成した作品の基礎として使われる場合の対策が必要だと、組合はストライキを起こしているのだ。実際、このストライキ中に配信されたサスペンス・スリラー 映画『シークレット・インベージョン』のオープニング映像をAIが生成していたことが発覚し、火に油を注ぐことになったのだそうだ。

 AIは文章作成の場合、これまで人間が生み出した膨大な知識を記憶し、またあらゆる文脈を記憶し、これらの知識を文脈で組み合わせるのであろうが、出来上がった文章の土台はどこかに存在するはずだ。専門家は、生成AIの欠点はAIは『意味』を理解しないと指摘し、人間の持つ、数と量を対応付ける直観が欠如していると指摘しているが、気休めの感である。AIの欠点が分かれば当然これを乗り越えるようなAIも開発されるのではないだろうか。

 しかし、これまでに無い知識から導き出されるような新たな概念は生成AIからでも生み出されないだろう。例えば生命誕生の謎とか宇宙誕生となったビックバン以前の謎等に関する答えは絶対に出てこないだろう。兎も角、ハリウッドのストライキの行きつく先は不明だが、AIに対する規制は国家的な規模で広がっている。

 今年6月14日、生成AIを含む包括的なAIの規制案である「AI規則案」が、欧州議会の本会議において賛成多数で採択された。欧州委員会は2年前にも規制案を発表していたが、生成AIの急激な進化と普及を受け、生成AIに関する考え方や要求事項が追加で盛り込まれた形となっている。施行は2024年以降となる見込みだが、すでにAIは私たちの生活に密接に組み込まれており、イタチゴッコの感である。

 振り返って我が日本では、生成AIどころかマイナンバーカードの普及ですったもんだしており、デジタル社会から大きく後れを取っている。生成AIが社会問題になるのは当分先のような気がする。2023.07.26(犬賀 大好ー933)

日本の技術力の低下は30年前から始まった

2023年07月22日 10時01分51秒 | 日々雑感
 失われた30年と言う言葉をよく耳にする。日本においてバブル崩壊後の1990年代初頭から日本経済が低迷し続けていることを表す言葉である。名目国内総生産(GDP)が、1990-2020年の間で米国3.5倍増、中国37倍増、ドイツ2.3倍増しているのに対し、日本1.5倍しか増えていないのが象徴だ。

 かって日本のお家芸だった半導体や太陽光パネル、等の国際競争力の低下は目に余るものがある。これらの生産能力が低下する一方であり、加えて少子高齢化が顕著になってきている。新しい価値観をなかなか受け入れない国民や企業が蔓延し、失われた30年が過ぎたいま、日本はこれから失われた40年、あるいは失われた50年が始まっているのかもしれない。

 日本の技術力の低下の原因はいろいろ考えられる。バブルに踊らされ、バブルがはじけ、日本全体が自信を失ったと総括できるかも知れないが、後遺症の一つに日本の技術力や研究力の軽視がある。国は技術力の回復を急ぐあまり、国立大学の効率化を目的に2003年国立大学法人法を定めた。この中で独立採算制の名目で、研究費用は自分で調達しろと、大学への予算が年々減らされるため、年期付きの採用が多くなり、また研究者も実績を上げるために安易な研究テーマを取り上げる傾向が強くなった。

 文部科学省の昨年9月の調査によれば、今年3月末で丸10年となる特例対象者は681機関で約1.2万人となり、このうち無期契約を結ぶ見通しが立っていたのはわずか3.9%にとどまっていたそうだ。研究は単に効率の問題では無く、安定した環境の下自由な発想で進むものである。職を失うかもしれないとの不安な環境では良い研究が出来る筈が無い。

 日本のこのような情勢の中、お隣の中国では1000人計画と称し、研究力の向上に力を入れているようだ。中国の優秀な学生は海外で高度研究に取り組むことが多く、その多くが留学後も海外に残り、中国には戻らないのだそうだ。中国側は、この状況を打開するために、中国の大学の規模と威信を高め、世界最高レベルの大学から華僑や外国生まれの優秀な人材を招致することを目的として、2008年に1000人計画を創設した。

 日本の研究機関で研究の場を失った研究者の中にはこの計画に参加する者もいるそうだ。2021年当時、日本では1000人計画への参加などに関する政府の規制はなく、実態も把握できていなかったが、最近どうなっているのか。

 中国の優秀な若者が中国に戻らないのは、単に処遇の問題では無く、安心して自分の研究に打ち込める環境の整備が重要なのは中国も日本も同様である。
2023.07.22(犬賀 大好ー932)




9月の内閣改造で岸田首相の独自色が出せるであろうか

2023年07月19日 10時00分08秒 | 日々雑感
 共同通信社が今月14〜16日に実施した全国世論調査によると、内閣支持率は34.3%で1か月前の調査から6.5ポイント下落し、岸田内閣となってから最低となったそうだ。原因は防衛費や子育て支援の予算化確定が先延ばしになったこともあろうが、一番はマイナンバーカードに関する不手際であろうか。

 マイナンバーカード情報の流出等の不具合の原因は入力ミス等の人為的ミスやシステムの不具合だ。今はマイナンバーカードの普及を急ぐ時期にあり、人手不足などで現場の対応が追いついていない面もあろうが、しっかり原因を究明し、対策を講じて欲しいものだ。

 さて、岸田首相は5月19日から21日までのG7広島サミットの後、解散するとの噂もあった。世界的に大成功の評価を得て、内閣支持率上昇で、自民党内では今国会の会期末解散を求める声が強まり、岸田首相はてっきり解散すると思われた。しかし、岸田首相は6月15日夕、今国会会期中の衆議院解散を見送る考えを表明した。その理由は、先送りできない課題に答えを出していくのが、自分の使命だ、と語り、そのことば通り15日に閉幕した通常国会では、内閣提出の法案を26年ぶりに100%成立させたそうだ。

 しかし、成立させた法案は問題含みである。例えば「出入国管理及び難民認定法」、略称入管法では、新しい在留資格である特定技能が創設され、専門性・技能がある外国人を即戦力として受け入れることを可能とした。これは岸田首相が進める少子化対策で指摘される日本国内における人手不足を補う策の一つであり、今後外国人労働者の急増が予想される。

 しかし問題は難民に関する取り決めである。もともと、日本の難民認定は他国と比較して非常に厳しいとされている半面、難民認定を何回も拒否されても日本に滞在し続けることが出来た。今回難民認定三回目以降の申請者は強制送還が可能になり、人権重視の面からは後退してしまった。世界的に人権が重視される昨今国際的にも問題視されるであろう。

 また、「LGBT理解増進法」は性的指向・性自認の多様性に関する施策の推進に向けて、基本理念等を定めているが罰則は無く、中途半端な取り決めである。この取り組みも世界の流れから取り残されている。

 兎も角これらの法案は圧倒的多数の与党とバラバラな野党のお陰でもあるだろう。岸田首相は、支持率の低迷を気にしてか9月前半に内閣改造・党役員人事を行う方向で検討に入ったようだ。現職閣僚では、河野デジタル相の処遇が焦点となる見通しだが、それより安倍派への配慮をどうするかで頭を悩ましていることだろう。

 岸田首相は外交は得意なようでバイデン大統領の受けも非常に良いが、国内での内閣支持率は下落傾向になっており、これに対処するための9月の内閣改造が焦点だが、指導力を発揮し独自色が出せるであろうか。2023.07.19(犬賀 大好ー931)

プリゴジン氏の乱は核の使用の可能性を高めたか

2023年07月15日 09時47分09秒 | 日々雑感
 7月11日、北大西洋条約機構(NATO)はリトアニアで首脳会議を開き、ウクライナへの長期的な支援で合意した。しかし、ウクライナのNATO加盟については、条件が整えば手続きを始めるとしているだけで、条件とは何か等の説明は無く、ウクライナの将来的な加盟時期については明示されなかった。

 ウクライナのNATOへの加入はプーチン大統領がウクライナ侵攻を始めた理由の一つとしており、現在のウクライナ対ロシア戦争がNATO対ロシア戦争となるのを避ける為かなりハードルが高いとのことである。

 ウクライナはNATO諸国や米国の西側諸国から多大な軍需支援を受けて戦争を続行しており、実質的にNATO対ロシア戦争になっていると思われる。ロシアのプーチン大統領はNATOの参戦は、核兵器の使用を匂わせ西側諸国を牽制しているが、今更ウクライナがNATOに加盟したところで何も変わらない気もする。

 しかし、ウクライナはこれまで大砲、戦車等多大な支援を申し出て、西側諸国はそれに賛同しているが、実際の支援はこれまでのところその半分位だとの報道もある。現在ウクライナの反転攻勢は不調とのことだが、本腰を入れて支援すれば反転攻勢は順調になるかも知れないが、その時には核兵器の使用が現実となるかも知れない。

 さて、ロシアのプーチン大統領は6月にサンクトペテルブルクで開かれた国際会議で、ロシアの戦術核兵器のベラルーシへの配備に関して既に搬入が始まっていると明らかにした。ウクライナへの支援を続ける米欧各国に対し、核の威嚇で牽制したとの解説もあるが、長距離ミサイルに搭載できることを考えるとわざわざベラルーシに配備する意味がよく分からない。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、核の配備はロシアから強制されたものではなく、自国がそれを求めた理由は核の抑止力を期待しているからと説明しており、核の使用を独自で出来るような発言をしているが、プーチン大統領がそこまで信用しているが疑問である。

 ただしロシアの都合でベラルーシ内の核を使えば、NATOの報復の対象がベラルーシ領内になり、世界的な核戦争に直結しかねないロシア本土への核攻撃をためらうことを、プーチン大統領は期待しているかもしれないと解説する人もいるが、その方が納得できる理由である。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるプリゴジン氏による軍事クーデターは、6月23日に始まり、わずか1日で未遂に終わった。蜂起の目的はショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の罷免だったとされるが、真相はよく分からない。プリゴジン氏に対するロシア軍内部からの支持が意外に大きいとの報道もあり、ロシア軍兵士の士気が激減する懸念もある。この難関を突破するためプーチン氏は何をしでかすか分からない。核の使用でなければよいが。2023.07.15(犬賀 大好ー930)