日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

オマーン湾での日本タンカー攻撃の闇

2019年06月29日 09時26分19秒 | 日々雑感
 6月13日、安倍首相がイラン訪問中に、ホルムズ海峡近くのオマーン湾で石油タンカー2隻が攻撃を受けたが、誰が何のために行ったのか闇に包まれている。

 攻撃を受けた1隻は日本の石油タンカーであり、船の横っ腹、水面上の位置に穴を開けられた。事件について、米軍はイランの仕業だと強硬に主張しているが、これに同調しているのは英国やサウジアラビ等の普段からイランと仲の悪い国のみだ。一方、イラン政府は全面否定している。

 事件を巡っては、米国はイランの革命防衛隊による犯行の証拠だとする動画や写真を公開するなどして関与を断定してきたが、攻撃の決定的な証拠は示されていない。実際日本のタンカーの攻撃に使われたのは機雷、ミサイルあるいは砲弾か不明のままであり、タンカーの乗組員の証言では飛来物からの攻撃となっているが、米軍の発表では海中からの攻撃だ。

 地球上最大の軍事力と情報網を有する米国の話を信じたいが、これまでにウソの発表があったことからして今一説得力に欠ける。トランプ大統領のツイッター発表となると猶更だ。

 代表的なウソの例は、イラク戦争の開戦理由である。すなわち、フセインは大量破壊兵器を保有している、である。世界中に情報網を張り巡らす米国が間違う筈が無く、これらはウソを承知の確信犯であったとしか考えられない。

 今回の件でも、一部の観測筋からは、アメリカは米軍の映像をイランとの対立を拡大するための口実として利用するのではないかと疑う声もあがっているそうだが、イラク戦争を思うと有りそうな話だ。

 タンカー事件の後、米軍の無人偵察機がイランのミサイルで墜落される事件が起こった。これを受けて米軍は報復攻撃を準備したが、直前にトランプ大統領は中止命令を出したとのことだ。

 トランプ大統領の真意を図りかねるが、国家安全保障問題担当で最強硬派のボルトン大統領補佐官が側近に控えており、攻撃開始は本気だったであろう。補佐官は不本意な中止命令を受けて、イランへの報復攻撃を直前で中止したトランプ大統領の決断を弱腰などと誤った解釈をしないようにと警告したそうだ。

 さて、先のタンカー攻撃に関し、保守派主導のイギリス政府は、イラン軍が攻撃を行ったことはほぼ確実であるという公式声明を出した。イラク戦争を始める際でも米国に同調していたが、英国の情報活動は大丈夫であろうか。

 一方、イギリスの最大野党、労働党のウィリアムソン議員は、トランプ政権がイラン政権転覆のためのウソを受け入れてはならないと声明を出した。また、ドイツのハイコ・マース外相も米政府の証拠に疑問を呈した。

 更に、アメリカの同盟国フランスも、それほどアメリカを信じておらず、フランス外務省はこの攻撃を非難したが、米情報機関の証拠やその他の情報をどう評価したかについては触れなかったそうだ。トランプ大統領と大の仲良しの安倍首相も米国発表を信じ切っていないようであり、一安心である。

 兎も角、安倍首相のイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受けた事件は、誰が何を目的にしたか現時点では不明であり闇の中だ。2019.06.29(犬賀 大好-559) 

日本は海洋プラスティック対策で世界をリード出来ないだろう!

2019年06月26日 09時31分35秒 | 日々雑感
 19世紀にポリ塩化ビニル等のプラスティックが発明され、本格的にプラスチックの製造が始まったのは第2次世界大戦後である。従ってプラスチック時代が始まってから50年ほどしか経っていないのに、早くも海洋プラスティックごみ問題が地球環境上の大問題となっている。

 プラスティックは手軽で耐久性に富み、安価に生産できることから、ありとあらゆる製品に使われるばかりでなく、ビニールや発泡スチロールなどの包装や梱包、緩衝材、等幅広く使用されている。

 しかもプラスチックの多くは使い捨てされており、利用後きちんと処理されず、ごみとして環境中に流出してしまうことも少なくない。そして環境中に流出したプラスチックのほとんどが最終的に行きつく先が海となる。

 プラスチックごみは、河川などから海へと流れ込むが、単純に海を漂うごみではない。プラスティックは耐久性に富むため、海で腐ることなく、紫外線や波にもまれ細分化しマイクロプラスティック化して海中に漂うことになる。

 このようなごみは、海洋に生きる動物に飲み込まれるが消化せず胃や腸に蓄積し死を早めることになるが、それより重要な点は、有害化学物質のマイクロプラスチックへの吸着と濃縮だそうだ。それを海洋生物が誤飲・誤食すると当然有害化学物質が体内に取り込まれそれが問題となるわけだ。

 昨年、日本でもようやく地球上の問題として認識され始めた。しかし、この6月のG20に向けて議長国として議論をリードすることが、切っ掛けであると思われるので、本当にマイクロプラスチック問題を理解しているのか心配だ。国際的にも地球規模での環境汚染が懸念され、既に各国で具体的に対策が進められているのだ。

 欧州議会本会議は既に使い捨てプラスチック製品の流通を2021年から禁止する法案を可決している。欧州連合(EU)のほか複数の国がすでに昨年、同様の法律を整備しているそうだ。

 カナダのトルドー首相も使い捨てプラスチックの使用を早ければ2021年にも禁止する方針を発表した。トルドー首相はプラスチック公害の問題を世界的な課題と認識し、子供の将来に向けてこの問題はなんとかしなくてはならないと述べているそうだ。

 残念ながら我が国の安倍首相からは、将来に向けてのビジョンを聞かされることがない。財政問題、年金問題、エネルギー問題、領土問題、貿易問題等、長期ビジョンに立ってこれらの問題に立ち向かって欲しいものだが、消費増税等目先の問題としてしか捉えていない。

 さて、海洋プラスティック問題に関する、我が国としての具体的な取組について、先日開催された関係閣僚会議において、”海洋プラスチックごみ対策アクションプラン”として遅ればせながらまとめた。

 この中で、プラスチックを有効利用することを前提としつつ、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、いくつかの提案をしているが、いずれも具体性に欠けている。

 例えば世界的に海洋プラスチック対策を進めていくための基盤となるものとして、海洋プラスチックごみの実態把握や科学的知見の充実にも取り組む、等とあり、2021年には使い捨てプラスティックの使用禁止を予定する国に比べて、1周遅れの感もする。こんなことで、G20の会議をリードできるか心配になる。2019.06.26(犬賀 大好-558)

グローバル社会におけるポピュリズムの台頭

2019年06月22日 08時59分33秒 | 日々雑感
 世界中に張り巡らせたネットワーク等の情報手段の発展、大量の情報を即座に解析するAIの発達、流通を簡単にする電子マネーの発展等は、グローバル経済を助長し留まるところを知らない。世界のグローバル化は様々な恩恵をもたらす一方、欠点もさらけ出した。

 グローバル経済は本質的に経済格差を助長する。より多くの利益を求める投資家と、より安く良いものを求める消費者の期待に応えるため、企業は世界中に生産・販売網を展開して、効率化を追及する。効率化の中には賃金を始めとするコストダウンもあり、富の平等化の考えは毛頭無い。

 しかも、このようなグローバル資本主義を規制することのできるグローバルな取り決めは現時点では存在しない。一方世界には国家の国内総生産 (GDP) を軽く超える多国籍企業が多く存在し、市場を獲得するために国境を越えて資金と物資を自由に動かすことが出来るのだ。

 経済が発展した国にあっても、全ての人が平等に恩恵を受ける分けでなく、スーパマーケットで世界中の食料が安価で手に入る一方、社会の構造変化により職を失い、日々の食料も買えない人も出てくる。

 しかもそのような国には、発展途上の国から多数の移民が殺到し、ゴミ掃除等低賃金で人の嫌がる仕事を引き受け社会を下支えする。しかし、一部の人々には仕事を奪われたとしか思われず、今の生活がなぜ苦しいかの疑問は移民の人々に向う。

 これらの人々にいち早く注目したのは米国のトランプ大統領だろう。今月19日、来年の大統領選に再出馬することを宣言した。大統領のマスコミ評は極めて悪いが、それでも支持率40%程度の熱烈な支持層が存在し、再選されるのもあながち否定できないようだ。

 トランプ大統領の自国第1主義は世界中に広がりつつあり、欧州各国でもこの気配が出始めており、フランスの移民排斥を掲げる極右国民連合を率いるルペン党首が代表格だ。

 さて、EU加盟国では、5月23日~26日に、5年に一度の欧州議会選挙が行われた。選挙前には、ポピュリズム政党の躍進が広く予想されていたが、選挙結果は予想を裏切った。

 これまで欧州議会は、EPPと、S&Dの二つの会派が大連立を組んで過半数を制し運営してきたが、今回両党あわせても過半数を取れず、これまでの方針を一部変更せざるを得ないであろう。

 その代わりに伸びたのが、リベラル系のALDE会派だそうで、各国の自由な経済活動を規制するのは反対であるが、反移民までは主張していないようだ。これらの3つの会派が連立すれば過半数を制し、これまでの運営から大幅な変化は無く、一安心とする見方が有力である。

 ポピュリズム政党が延びなたった理由は、一つには、ポピュリズム政党の躍進に危機感を抱いた有権者が、広く選挙に参加したためだそうだ。

 EUの前身のECは、第2次世界大戦の反省を受けて、欧州が一つの共同体になろうと作られたが、この共同体の崩壊を恐れた結果であろう。しかし、今回の選挙結果を見ると、ポピュリズム政党が確実に伸びており、EUの方向が変わり始めている気配が濃くなっている。グローバル経済の見直しも必須となろう。2019.06.22(犬賀 大好-557)

高齢者の自動車運転は危険であるが!

2019年06月19日 08時47分45秒 | 日々雑感
 高齢者による交通事故が連日のようにマスコミに登場する。抜本的な解決策は高齢者が自動車の運転をしなくて済むような社会の実現である。このためには完全自動運転化か自動車が無くても生活に困らない環境の構築であるが、現状では当面無理である。

 高齢者の交通事故は様々な原因によるが、認知症によるものが一大要因である。認知症患者による事故を予防するために、現在年齢が75歳以上で免許更新を希望する者には認知機能検査と高齢者講習の受講を義務付けている。

 さて、4月19日午後、東京の池袋で高齢者87歳が運転する乗用車が暴走して2人が死亡する悲惨な事故が発生した。この高齢者は、ブレーキをかけたが利かず、アクにセルが戻らなかった、と主張しているが、認知症の疑いがあるとのことだ。

 しかし、一昨年運転免許を更新し、その時は問題無しとされていたようだ。もし認知症が原因であるならば、現行の検査法でも事故が予防できないことを示している。

 認知症と言うと、アルツハイマー病を思い浮かべるが、実際には様々な認知症があり、100種類を越えているそうだ。現在、アルツハイマー病が全体の約5割、脳梗塞などが原因の血管性認知症が約2割、残り3割をピック病やレビー小体型認知症が占めているとのことだ。

 認知症で無く、不整脈や糖尿病などで意識消失を起こす可能性のある病気でも運転免許の返上は任意になっている中、認知症と診断されたからといって、すべての患者から一律に免許を取り上げるのは、不公平と言わざるを得ない。

 100種類以上もある認知症をすべて同一に扱うのは無理がある。アルツハイマー病の場合は、記憶力が衰えてくるので、方向音痴になったり、距離感が分からずハンドル操作を誤ったりする可能性が大であるそうで、現在の認知機能検査でもある程度予防できるかもしれない。

 また認知症の一つであるピック病とは、脳のある部分が特異的に委縮する病気の一種で、性格の変化や理解不能な行動を特徴とする病気だそうで、若年性認知症もそのひとつのようだ。感情や意欲を抑制できず、物事を段取りよく進めることができなくなり、高速道路の逆走やあおり運転をすることが多くなるとのことだ。

 この病の場合、記憶や認知機能は阻害されないので、認知機能検査で好成績を収めることができ、現在の方法は全く役に立たない。このように認知症の症状はそれぞれ異なるので、現行の認知機能検査は万全では無く、気休めとの感もしてくる。

 車は便利だ。車が無いと活動範囲は大幅に制限される。特に交通の便が余り良くない地方や、足腰の弱まった高齢者には必須だ。

 また、認知症の予防には車の運転が非常に有効と主張する人もいる。車の運転には体のみならず頭も使うので、この説には説得力があるが、一旦認知症になると車は凶器と化す。

 アクセルとブレーキを踏み間違えないようにする装置もいくつか市販されているようだが、10万円以上と高い。せめて行政はこの装置設置への補助金を出して欲しいと思っていたら、6月11日小池都知事が9割の補助金を出すと言明した。

 この装置の効果や補助金支給の条件は定かでないが、1万円以下の負担であれば、少しでも早く設置したい。

 また、先日6月下旬に閣議決定する成長戦略には、自動ブレーキなどの安全機能がついた車のみ運転することができる高齢ドライバー専用の限定免許制度を新たにつくることを盛り込んだそうだが、参院選挙のキャッチフレーズ造りのためではないかと、その実現性を懸念する。2019.06.19(犬賀 大好-556)

年金だけでは生きていけない

2019年06月15日 13時43分57秒 | 日々雑感
 金融庁の報告書:”高齢社会における資産形成・管理”が、6月3日に公表された。この資料の試算によると老後に必要な資金は、なんと2000万円だと言うので、マスコミは大騒ぎである。

 最近資産寿命という言葉を良く耳にするが、手持ちの資産が枯渇するまでの年数を意味するのだ。この言葉を自身の余命と比較して使うわけだが、資産寿命の方が長ければ金銭的に不安は少なく、老後を気楽に生きられるわけだ。逆に資産寿命が平均余命より短ければ、資産寿命が尽きた後、霞を食べて生きていかねばならない仙人生活が待っていることを意味する。

 先の報告書には、公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後も この傾向は一層強まることが見込まれる、と記述されている。

 非常に分かり難く書いてあるが、要は年金だけでは生きていけないと言っているのだ。公的年金が破綻状態にあることは周知の事実であり、年金支給年齢の先送りや年金額の引下げ等により何とか維持している危機的状態にある。

 金融庁の試算のモデルケースでは、夫65歳以上、妻60歳以上の無職の世帯の場合、収入は年金の約20万円に対し、平均的な支出は約26万円だそうだ。一方65 歳時点における金融資産の平均保有状況は、夫婦世帯2,252 万円であるそうで、例え月に6万円の赤字になったとしても、31年間は平穏に暮らせることになる。

 厚生労働省の平成29年簡易生命表によると、男女の平均寿命は87歳であり、65歳の平均余命は22歳となるので、万事目出度し目出度しとなり、何ら問題ない。

 しかし、平均金融資産が、約2.2万円となる算出根拠が不明であるが、我が身を振り返るとそんなに高額になるとは信じられない。日本の個人金融資産は約1800兆円もあり、その保有者は高齢者が多いと聞いたことがあるが、それが平均保有額を高めているのだろうが、個人差が大きいことも確かであろう。

 老後に必要な資金2000万円に対し、現在の高齢者の平均金融資産は2252万円であるので、これを認めれば、平均的高齢者の今後は安泰となる。麻生副総理もこれを十分承知しており、若者に対し若いうちから資産形成に努力しろ、と言っていたのだ。

 しかし、騒ぎが大きくなると、この報告書を金融庁としては正式に受け取らないと言い出した。金融庁の作業部会を招致したのは麻生金融相であり、大学教授やエコノミスト等錚々たる人材を集め意見を集約した貴重な報告書の筈だ。

 金融庁の調査の目的は、人生100年時代に向け、長い老後を楽しく暮らせる蓄えにあたる資産寿命をどう延ばすかにあると、政府はもっと胸を張って言えばよい。同時に、老後を楽しく暮らすためには年金だけでは不十分であることも認め、夏の参院選に臨めばよいのだ。

 それにしても麻生副総理の定見の無さにあきれ果てる。当初、報告書の内容を部下から説明されるとすぐに納得して、資産形成に努力せよとの発言をしたのであろうが、騒ぎが大きくなると一転、報告書を受け取らないと言い出したお粗末さだ。

 麻生副総理の問題発言は今に始まった訳では無いが、麻生派閥に頼る安倍首相は麻生氏を首には出来ないのだ。情けない。2019.06.15(犬賀 大好-555)