日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

神事に徹底した大相撲は国民的人気を得るか

2018年04月28日 15時51分30秒 | 日々雑感
 第6回国際女子相撲選抜堺大会が4月15日、堺市の大浜公園相撲場であった。国内外の力士約70人が参加し、女性たちが土俵上にて、個人戦と団体戦で真剣勝負を繰り広げたそうだ。

 このように女子相撲大会が国際的になってきた一方、相撲協会は伝統的に女人禁制との立場を貫き、伝統を守って国内に閉じこもっていたいようである。現在、大相撲の世界では伝統が問われている。しかし、伝統と振りかざしても、現在の大相撲の形式が整ったのもそう古い話では無い様だ。

 相撲の起源を辿ると日本書紀の時代まで遡るそうだ。そこに相撲との言葉が明記されており、女性の相撲も登場し、相撲は神事と言うより、娯楽の要素が強かったようだ。現代でいえば女子プロレスの様なイメージであろう。男性の相撲がどのように行われたかについては定かではないが、女性の格闘を見せ物として楽しむ欲求の存在が確かにあったようだ。

 また古代に於いては、相撲は豊作の吉凶を占う年占の農耕神事として行われてきたという歴史もあり、そういった経緯から、古くから相撲はお祭りの重要な要素とされてきたのだそうだ。そこにおいては、真剣勝負は二の次であり、吉と出るような手加減相撲や、見る者を喜ばせる八百長相撲も行われていたと容易に想像がつく。

 江戸時代には豊作や無病息災を祈念して神仏の前で行う奉納相撲、 寺社の建築、修繕などの募金を目的とした勧進相撲、見世物的な女相撲など多種多様であったようだ。その中でも、全国的な興業としての女相撲が行われ、女力士が存在していたとのことだ。女相撲は戦前まで全国巡業もあったそうで、東北や九州では今なお祭礼行事として残っている場所もあるとのことだ。

 女相撲は細々ではあるが、昔から脈々と続いていると想像される。いつの時代でも庶民の娯楽は必要であり、見世物的な要素が、特に男性を喜ばせる要素が長続きさせる秘訣と思われる。

 明治時代では新政府が誕生すると、風俗慣習に対しても西欧を真似た新秩序が持ち込まれ、裸に対する規制も厳しいものとなり、見せ物として一時期は処罰の対象ともなったようだ。興業に対して厳しい規制がかけられ、女相撲に対しても厳しい目が向けられるようになったとのことだ。

 近代の大相撲の女人禁制は土俵の聖域化を進め、世俗化を避け、権威を高めるために考え出されたものでは無いかとの主張もあるが、納得できる説である。

 女人禁制の理由つけには諸説あるようで、土俵が穢れるから、女性が土俵に入ると危険だから、土俵の神様が女性のため、他の女性が土俵に上ると嫉妬してしまうから、等があるようだが、何とか理屈をつけて女性を遠ざけることにより格好を付けているだけとの気がする。その時代に発言力のある人間が、永い歴史の中から都合の良い言説を持ってきて利用しているだけかも知れない。

 現在女人禁制の一番説得力がありそうな説は、神事としての位置づけである。大相撲の土台となったのは神事儀礼としての相撲であり、相撲の根底はあくまでも“神事”であるとの主張である。

 確かに、宗教の世界では、神道に限らず、仏教やキリスト教においても、女性を遠ざけている例は多い。宗教において女性を避ける根本理由は、女性がそれだけ性的に魅力的であり集中力を削がれることに尽きると思う。

 大相撲においても、宗教的な色彩を強めて女人禁制を貫きたいのであれば、神事であることに徹底すべきである。神事であるからには、様式美が尊重され、格式が重んじられ、勝敗は二の次になろう。貴乃花親方の主張するガチンコ相撲もあくまでも演技としてなされるべきだ。

 しかし、神事に徹した大相撲は能や歌舞伎のようにそれなりに人気は出るかも知れないが、現在のように連日満員御礼とはならないだろう。相撲協会も国民の人気を得ようと、真剣勝負を前面に出したり、格式や伝統を主張するのであろうが、女人禁制がどれほどの意味があるか考え直す必要があろう。2018.04.28(犬賀 大好-437)

人手不足と海外実習制度

2018年04月25日 09時01分56秒 | 日々雑感
 茨城労働局によると、2017年9月現在、県内で働く外国人労働者は3万777人で、このうち海外技能実習生が36%を占めるそうだ。実習生以外は、留学生のアルバイトや不法就労者と思われるが、外国人労働者は本県農業を下支えする戦力として今や欠かせない存在となっているそうだ。

 茨城県はメロン栽培が盛んであり、収穫時には土日・祭日も含め連日収穫・出荷を行う必要があり、1997年頃より、JAが相次いで外国人実習生の受入れを開始したそうだ。

 しかし、実習生には国の制度上年間を通して給与を支払う必要があるため、季節もののメロン栽培はこの10年間で半減し、年間を通して収穫可能な小松菜の栽培が急増したそうだ。今や外国人労働者が農家の生産形態まで変えている。

 茨木県の日本人若者は都会に就職し、残された農業は外国人が担っている構図である。昔に比べれば楽になったと思われる農業もまだまだ土や汗にまみれるイメージが強く若者に敬遠さるのであろう。この傾向は茨木県ばかりでなく東京近県にまで広がっているようだ。

 また、農業ばかりでなく、コンビニ業界でも人手不足は広がっている。最近、都市部のコンビニに外国人店員がどんどん増えているが、彼らの多くは留学生という資格で日本にやってきて、勉学の合間に働いている建前になっているが、本末転倒の場合が多く、本来の趣旨から逸脱している行為となっている。

 これを正当化するためか、コンビニ各社が加盟する業界団体も、外国人技能実習制度の新たな職種に、コンビニの運営業務を加えるよう国に申請している。大手各社は海外展開を進めており、日本で経験を積んだ実習生に母国での店舗展開を担ってもらう狙いとの旨く考えた理屈である。

 厚労省によれば、昨年10月時点の外国人労働者は128万人、このうち2割の26万人が技能実習生だそうだ。アベノミクスの効果であろうか、現在日本は空前の人手不足状態のようである。2年前に発生した熊本地震の復興が遅れているが、一因に労働者不足があるとのことだ。

 政府は、人手不足を補うため、昨年末には実習期間を最長3年から5年に延長すると共に対象職種に介護職を加えた。更に、今年2月の経済財政諮問会議で安倍首相は移民政策をとる考えは無いと言いながらも、人手不足対策を早急に検討する必要があると指示したそうだ。

 そこで政府は、技能実習制度を更に推し進めようと、外国人労働者向けの新たな残留資格を設ける方針で検討に入ったそうだ。最長5年の技能実習を終えた外国人が、更に最長で5年就労できるようにするそうだ。コンビニ業が新たに追加されたかは未定である。

 技能実習制度は日本の優れた技術を海外に伝えようとする素晴らしい制度の筈であるが、現実的には安価な労働力として悪用される場合が多いとの評判だ。賃金不払いや長時間労働などの人権侵害を監視するため、外国人技能実習機構が昨年1月に設けられた。

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護する目的であり、実習現場に立ち入り検査し、不正行為を取り締まる。違反通知を受けた機関は不正行為の終了時点から最大で5年間、実習生の受け入れが禁止されるとのことだ。

 外国人技能実習機構をネットで検索すると、法務大臣及び厚生労働大臣の監督の下、立派な組織が出来上がっているが、4月現在機能しているか不明である。

 政府は、法務省の入国管理局にも受け入れ先の監督機能を担わせる方向だそうだが、先の外国人技能実習機構との関係はどうなるのであろうか。この機構の動きが鈍いため、競争相手を作りはっぱをかけたと見れなくも無いが、単に役人の天下り先の確保のために組織を増やしたと見れなくもない。2018.04.25(犬賀 大好-436)

自動運転車の実現は身近に迫ったが

2018年04月21日 09時23分48秒 | 日々雑感
 自動運転技術を得意とするベンチャー企業のZMPは、昨年12月、公道を使った遠隔型自動運転システムの実証実験を報道陣に公開した。東京五輪が開催される2020年の完全無人タクシー商用化に向けた第一歩と言う。

 また、日産自動車とDeNAも、一般モニターを後部座先に乗せた自動運転の公道実験を横浜市内で行っているそうだ。

 公道での実験ならば、車や通行人等が少ない田舎か地方都市で行なった方が他人に迷惑を掛けないと思うが、何しろ都会の公道は整備されているのだ。凹凸が少ないようにしっかりと舗装され、車線は明確、信号機やガードレール等も完備され、実験環境が整っているのだ。実験には実験条件をはっきり確定していることが絶対条件だ。その他マスコミに対する宣伝効果もあるだろう。

 公道実証実験については、警察庁が昨年6月に道路交通法第77条の道路使用許可申請を受けて実施できる対象行為としたと発表しているが、実際の実験は恐らく一般車の通行規制が行なわれた中で行なわれたのであろう。一般車が普通に走行する一般公道の実験は、いくら技術の進歩があったとしても、常に安全第1を考える警察庁が許可する筈が無い。

 兎も角両者の公道実験も大過なく終了したと思われ、問題点や改善点が明らかになったであろうが、その中身は公表されていない。実験の結果は企業の重要なノウハウになるので、簡単には公表できなのは当然だ。兎も角、いよいよ無人運転車が走り回る時代が近づいた感がする。

 自動運転車の便利な使い方は色々考えられる。高齢者向けに過疎地を自由に走り回った方がこれからの社会に適していると思われるが、道路整備がしっかりなされている都会の道路の方が自動運転が適応し易いことは言うまでもない。但し、都会でも人や車で混雑している道路となると問題も多い。

 2016年に米国テスラ社の半自動運転車が公道で試験運転中に道路を横切ろうとした大型トレーラーに衝突して運転者が死亡する米国初の事故があった。原因は自動車を側面から認識する機能が欠如していたとの指摘もある。

 自動運転車が多重衝突事故に巻き込まれ、横転や反転している車に遭遇した時も、それを回避するプログラムも完備されているであろうか。人間が絡むとより複雑になる。最近話題となる煽り運転も興味本位で仕掛ける人間も出てくるだろう。

 一方、自動運転車が事故を起こした場合の責任の所在に関しては現段階では何も決まっていないようだ。想定される自動運転車事故は様々であり、内容により責任を負う者が違ってくるはずだ。可能性がある者として、・運転者、・車の所有者、・メーカー、・制御プログラムの開発者、・データ提供者、・国や地方公共団体、等が考えられるが、事故内容によっては責任の所在は複数になるであろうし、簡単に結論が出る話ではない。

 最近、自動運転で事故が起きた場合の損害賠償責任が車の所有者にあるあるとする報告書を3月20日、国土交通省の有識者研究会がまとめたそうで、近く取りまとめる自動運転に関する「制度整備大綱」に盛り込むそうだ。

 これは車の所有者に責任を負わせる現在の自動車損害賠償保障法の仕組みが「迅速な被害者救済のため、有効性は高い」と指摘し、当面はこの方針を維持することが適当としたようだ。

 自動運転車は制御回路に組み込まれはプログラムによって制御される。プログラムは想定される出来事にはうまく対応できるが、想定外の事象に対しては対応できない。この想定外の事故に対しても、所有者が責任を負わなばならないとしたら、誰が利用するであろうか。2018.04.21(犬賀 大好-435)

日本は財政バランスを考える必要がないのか

2018年04月18日 09時26分52秒 | 日々雑感
 2018年度予算は一般会計総額が97.7兆円と過去最大である。主たる歳入は、税収が約60兆円、新規発行国債が約34兆円だ。一方歳出は、社会保障費が約33兆円で断トツであるが、その次はこれまでに発行した国債の元利払い分、約23兆円だ。社会保障費の増大はやむを得ないとしても、利払い分は過去のつけである。このつけのため、何と新規国債の約7割が費やされるが、更につけは増える一方だ。既に日本の経済は自転車操業に陥っている。

 国家の財政の健全化のためには、基礎的財政収支(プライマリーバランス(PB))をゼロにする必要があると言われている。PBとは、一般会計において、歳入総額から国債等の発行による借金を差し引いた金額と、歳出総額から国債の利払い分等を差し引いた金額を比較したものだそうだ。

 そこで、本年度予算で見ると、前者が約64兆円、後者が約82兆円であり、PBは真っ赤な赤字である。国債の発行に頼らなければ64兆円しか収入が無く、税収だけでは歳出総額約98兆円は到底賄えない異常状態なのだ。しかも、この98兆円の内28兆円は過去の借金の利子分だ。借金が無ければ82兆円で済むが、それでも税収だけでは賄えないのだ。

 PBがゼロの状態、すなわち国債に頼らない状態が財政の健全化であるとするのはよく理解できる。しかし、前述のPBにおいて、歳出総額から国債利払い費が除かれているのが腑に落ちない。過去の負の遺産がある限り、無視することは出来ない筈だ。本当の意味のバランスがとれた予算編成とは、過去の負の遺産も考慮しなくてはならないのではないか。PBの定義を変える必要がある。
 
 PBの赤字状態は前回の東京五輪後に始まり、これまでの借金分を合わせ、国と地方の長期の借金残高は18年末で1108兆円の見通しだそうだ。また、仮に2019年度の長期金利が想定を1%上回れば、政府が支払う国債の元利払い費は1兆円増えるそうだ。現在、異次元金融緩和の一環として超低金利政策が続けられているが、利払い費増大も金融緩和を止められない理由の一つであろう。

 さて、2010年に政府が掲げた目標は2020年にPBの黒字化であった。しかし、2017年には黒字化目標を2025年に先送りし、さらに今回2027年に再先送りとした。

 政府は、来年10月の消費税率10%への引き上げにより増収を目指すが、片や人気取りの教育無償化などで歳出が増え、PBバランスは二の次だ。更に安倍政権の人気回復の為、消費増税の再度の延期の声もささやかれる。

 自民党の財政再建に関する特命委員会の岸田文雄政調会長は今年2月、財政健全化に向けた党内議論をスタートさせた。ポスト安倍と目される岸田氏は9月の党総裁選をにらみ、経済政策で独自色を出す必要に迫られている。

 岸田委員長は、2022年には団塊の世代が75歳の節目を迎え始め、財政を圧迫する社会保障費の抑制などを議論する考えを示した。財政健全化は必要で真っ当な政策であるが、概して世間は増税には反対、社会保障費の抑圧は拒否反応となる。世間に迎合的な安倍氏に代わり、岸田氏に国民に負担を強いる政策立案が出来るであろうか。

 政府の財政再建への基本的な考え方は経済成長による税収の増大である。経済成長であれば国民に負担を強いることは無く、誰からも反対されない。2015年時点の政府の財政再建計画では、18年度の名目経済成長率を3.9%と見込み、税収はバブル期を超える約65兆円と見込んでいた。ところが直近の政府見通しでは名目成長率は2.5%程度にとどまるようだ。

 一般会計税収は2016年度は55.9兆円、2017年度は57.7兆円だそうで、2018年度の税収65兆円は捕らぬ狸の皮算用となろう。現在日本経済はアベノミクス景気で絶好調との声も聴かれるが、それでもこの程度なのだ。税収の増加による、PBの黒字化は夢物語だと認識すべきだ。

 そうだとすれば、歳出の削減でしかPBの黒字化は期待できない。国民に痛みを伴う改革を期待するのであれば、まず自らの痛みを実行する必要がある。国会議員の経費削減がかって騒がれたことがあったが、やったとしても大した額にならない等の理屈で有耶無耶になった。額の問題では無く、気持ちの問題と心すべきである。2018.04.18(犬賀 大好-434)

北朝鮮対策にトランプ大統領の焦り

2018年04月14日 09時50分51秒 | 日々雑感
 北朝鮮の外交活動が活発である。金正恩委員長がこれまでの強硬路線から対話路線に変更したのは、軍事圧力と経済制裁の結果だとのことだ。金委員長の異常な太り方もストレス太りと思えなくもない。

 金委員長は李雪主夫人と共に3月25~28日に訪中した。金氏にとっては2011年に最高指導者となって以来、初めての外国訪問となるそうだ。金氏は会談で非核化への強い決意を表明し、”米韓が北朝鮮の努力に友好的な態度で応じ、平和的・安定的な雰囲気を作り出し、前向きで歩調が合った平和実現に向けた措置を取れば、朝鮮半島の非核化問題は解決できるだろう”、と話したという。

 ここで表明された北朝鮮の非核化の条件は極めて当たり前のことを言っているに過ぎず、いつでも反故に出来る条件を備えている。こんな文言で、非核化への強い決意と受け取るとは、北朝鮮に随分舐められたと思う。

 金委員長は4月に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、5月にはドナルド・トランプ米大統領と会談する予定で、今回の訪中はこれに向けた準備とみられているが、本心が何処にあるか誰もが図りかねているだろう。

 トランプ米大統領は6日、ホワイトハウスで記者団に対し、北朝鮮が非核化をめぐり米国と対話する用意があると表明したことについて、北朝鮮は真剣だと思われると述べ、米国主導による国際制裁が効果を上げているとの見方をし、自らの実績と誇示した。

 トランプ氏は、北朝鮮が非核化に向えば、朝鮮半島のみならず世界にとって素晴らしいことになる、そして、事態が誰もが望むような適切な方向に進むことを望む、と語ったそうだが、単にあたりまえの感想を述べたに過ぎず、こんなことがニュースになることの方が驚きだ。

 さて、米朝会談に先立ち、水面下でいろいろな動きがあるようだ。今月9日の報道によると、北朝鮮が米政府に対し、”朝鮮半島の非核化”について協議する意思があると伝えていたと、米政府当局者が明らかにしたとのことである。北朝鮮の非核化と言わずに朝鮮半島の非核化と言っているとのことであるが、こんな文言で米政府が喜んでいるとすれば、トランプ大統領の焦りが伺える。

 今年11月の米国議会選では435の下院全議席と上院33議席(総議席は100)が改選され、トランプ政権の政策の是非が国民に審判される。

 この中間選挙で共和党が負ければ、大統領の後2年の任期中は死に体となるため、何としてでも勝つ必要があり、そのためには選挙公約を実現しなくてはならないが、メキシコ国境に壁を作る等は頓挫しており、成果は果々しくない。

 大統領が望むように、北朝鮮の非核化が実現できれば、世界の称賛を浴び、中間選挙でも勝つこと間違いないであろうが、事はそう簡単ではない。

 そもそも、金委員長が主張する核放棄の前提条件である、”北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて体制の安全が保証されれば”、は極めて非現実的な話である。軍事的脅威の解消とは、世界のすべての国から軍事力が無くなれば実現できるであろうが、そんなことは現実的にあり得ない。このような当たり前の話がまかり通るとは、信じられないほどだ。

 北朝鮮が核放棄の話を持ち出すのはかなり追い込まれた結果であり、とうとう本気になったと評価する人もいるが、現在の経済的な苦境を他国からの支援により何とか乗り越えられたとしても、金体制が安泰に続くとは到底思えない。

 北朝鮮の一般国民の経済的な余裕は、世界の動向を知る切っ掛けとなり、金体制への不満となる筈であるからだ。何しろ金正恩氏のこれまでの仕業は酷すぎる。金王国の崩壊はどのような形で起こるであろうか。経済的な行き詰まり、あるいは軍事的な衝突による崩壊があるかも知れないが、金正恩委員長はそうならないような対策も当然考慮しているに違いない。2018.04.14(犬賀 大好-433)