昨年末、豊洲市場敷地内の9回目の地下水モニタリング調査の結果、環境基準値を超える有害物質が検出された。1~8回の調査ではすべて基準以下であり、最終の安全確認調査である筈の9回目で異常値が出てしまった。
3月19日、地下水モニタリングの再調査結果が公表された。再調査対象の29地点のうち、やはり複数地点で基準を超す有害物質が検出された。濃度は9回目の検査結果と大差ないとのことだ。
兎も角、8回目までの調査結果と大きく異なることが再確認された訳であるが、都は敷地内の地下水位を一定に保つ管理システムが8回目の調査以降に本格稼働しており、地下水の変動が影響したという見方を示している。恐らくその通りであろう。従って、これらの値は時間がかかるであろうが何れ下がっていくと予想される。
ここで言う環境基準とは、飲み水として求められる指標で、”人間が70年間、毎日2リットル飲み続けても健康に影響がない濃度”との定義である。環境基準値を超えた有害物質が検出されたといっても、それがそのまま人体に入る訳でない。例え入ったとしても、即害を及ぼす量ではないだろう。しかも土壌汚染対策等に関する専門会議は建物内はアスファルトなどで遮断されており、直接人体に触れることは無いので、安全であると結論づけている。その通りと思うが、都政はすっかり信用を失っており、何を言っても信用されない。
東京都は、豊洲移転に関しては色々な面でご都合主義や集団無責任体制がまかり通ってきた。例えば、建物の下は盛り土される筈であったが、実際には地下空間になっていた。この件に関しては当時の担当者が何名か処分されたが、真相は不明のままであり、また組織自体が抜本的に改変された訳ではない。今ような状況で、建物内がアスファルトで地下と遮断されているから安全と説明されても、納得できる筈が無い。現体制は、例えひびが入って有害物質が漏れ出てきても公表しないに決まっていると思われている。
小池知事は安全と安心が確立されたわけでは無いと、2017年3月24日の定例会見で、築地移転に関する自らの判断を避け、「市場のあり方戦略本部」(仮称)を新たに立ち上げることを表明した。中央卸売市場など関係各局が参加し、これまでの専門家会議や東京都のプロジェクトチームなどの議論を集約しながら、移転問題や今後の市場のあり方について集中的に協議すると説明している。
小池都知事は、結論をこの戦略本部に丸投げしたと思われるが、築地移転の方向は見えてきた。十中八九築地移転の方向で進むであろう。小池都知事も来る7月の都議会議員の選挙の焦点としない意向を表明した。
豊洲市場への移転をめぐって、東京ガスへの免責を誰が承認したかに関し、都議会の百条委員会も開かれ、用地を保有していた東京ガスとの買収交渉を担った浜渦武生元副知事が証人喚問された。小池知事は ”一つ一つが積み重なり、どこに齟齬(そご)があるか明らかになってくるのではないか” との期待を語っていたが、結局有耶無耶になりそうである。
瑕疵担保責任を免れたのは、東京ガスにとって大金星であった。この見返りを都は誰が受け取ったか、先の百条委員会では問題にされなかった。また、盛り土費用として計上された資金が一体何に使われたのか、東京都に譲渡後の汚染対策工事の不透明さという問題も当初から指摘されているが、こちらも有耶無耶である。
石原前都知事は、百条委員会で自らの責任は棚に上げ、現在移転に関し混乱しているのは現都知事の小池氏の不作為と非難しているが、都民の税金の使われ方の監督責任はしっかりと反省して貰わなくてはならない。当然都議の責任も大きい。
小池都知事は築地移転問題は7月の都議選挙での焦点にならないと表明し、この問題は峠を越えたと考えているようである。豊洲移転に関しては、都民の安心を得無くてはならない。安心を得るための第1歩は、都政の信用回復である。信用回復の第1歩は豊洲移転に使われたお金の納得できる説明である。2017.03.29(犬賀 大好-324)
3月19日、地下水モニタリングの再調査結果が公表された。再調査対象の29地点のうち、やはり複数地点で基準を超す有害物質が検出された。濃度は9回目の検査結果と大差ないとのことだ。
兎も角、8回目までの調査結果と大きく異なることが再確認された訳であるが、都は敷地内の地下水位を一定に保つ管理システムが8回目の調査以降に本格稼働しており、地下水の変動が影響したという見方を示している。恐らくその通りであろう。従って、これらの値は時間がかかるであろうが何れ下がっていくと予想される。
ここで言う環境基準とは、飲み水として求められる指標で、”人間が70年間、毎日2リットル飲み続けても健康に影響がない濃度”との定義である。環境基準値を超えた有害物質が検出されたといっても、それがそのまま人体に入る訳でない。例え入ったとしても、即害を及ぼす量ではないだろう。しかも土壌汚染対策等に関する専門会議は建物内はアスファルトなどで遮断されており、直接人体に触れることは無いので、安全であると結論づけている。その通りと思うが、都政はすっかり信用を失っており、何を言っても信用されない。
東京都は、豊洲移転に関しては色々な面でご都合主義や集団無責任体制がまかり通ってきた。例えば、建物の下は盛り土される筈であったが、実際には地下空間になっていた。この件に関しては当時の担当者が何名か処分されたが、真相は不明のままであり、また組織自体が抜本的に改変された訳ではない。今ような状況で、建物内がアスファルトで地下と遮断されているから安全と説明されても、納得できる筈が無い。現体制は、例えひびが入って有害物質が漏れ出てきても公表しないに決まっていると思われている。
小池知事は安全と安心が確立されたわけでは無いと、2017年3月24日の定例会見で、築地移転に関する自らの判断を避け、「市場のあり方戦略本部」(仮称)を新たに立ち上げることを表明した。中央卸売市場など関係各局が参加し、これまでの専門家会議や東京都のプロジェクトチームなどの議論を集約しながら、移転問題や今後の市場のあり方について集中的に協議すると説明している。
小池都知事は、結論をこの戦略本部に丸投げしたと思われるが、築地移転の方向は見えてきた。十中八九築地移転の方向で進むであろう。小池都知事も来る7月の都議会議員の選挙の焦点としない意向を表明した。
豊洲市場への移転をめぐって、東京ガスへの免責を誰が承認したかに関し、都議会の百条委員会も開かれ、用地を保有していた東京ガスとの買収交渉を担った浜渦武生元副知事が証人喚問された。小池知事は ”一つ一つが積み重なり、どこに齟齬(そご)があるか明らかになってくるのではないか” との期待を語っていたが、結局有耶無耶になりそうである。
瑕疵担保責任を免れたのは、東京ガスにとって大金星であった。この見返りを都は誰が受け取ったか、先の百条委員会では問題にされなかった。また、盛り土費用として計上された資金が一体何に使われたのか、東京都に譲渡後の汚染対策工事の不透明さという問題も当初から指摘されているが、こちらも有耶無耶である。
石原前都知事は、百条委員会で自らの責任は棚に上げ、現在移転に関し混乱しているのは現都知事の小池氏の不作為と非難しているが、都民の税金の使われ方の監督責任はしっかりと反省して貰わなくてはならない。当然都議の責任も大きい。
小池都知事は築地移転問題は7月の都議選挙での焦点にならないと表明し、この問題は峠を越えたと考えているようである。豊洲移転に関しては、都民の安心を得無くてはならない。安心を得るための第1歩は、都政の信用回復である。信用回復の第1歩は豊洲移転に使われたお金の納得できる説明である。2017.03.29(犬賀 大好-324)