日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

寄生虫は人類の敵と即断できない

2019年01月30日 09時04分25秒 | 日々雑感
 人間における免疫活動は、体外から侵入した有害なウイルスなどを排除する重要な働きであり、生きていく上で欠かせない役割を果たす。しかし一方で、過剰な反応は鼻炎、アトピー等のアレルギーや関節リウマチ等の自己免疫疾患と言われる病気を引き起こす。

 これらの病気の多くは完治するための治療法が発見されておらず、患者は症状を抑えるために薬による治療を受け続けるしかないのが現状だ。

 こうした難病の治療法の一つとして、東京慈恵会医科大学で患者の腸に寄生虫の卵を入れることで免疫活動を安定させる研究が進められている。昨年から、人への影響がないと考えられている豚鞭虫という寄生虫を使い、安全性の確認を目指した最初の臨床研究が開始されたそうだ。

 寄生虫によりアレルギーを抑えようとする発想は、東京医科歯科大学名誉教授、藤田紘一郎氏の発想であるらしい。1994年に発刊した著書に記されるように、アジアやアフリカなど寄生虫症が広がっている発展途上国では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の患者が少ないことが発想の原点だったようだ。

 氏は、人間は余りにも清潔になり過ぎたため、逆に免疫力が低下し、様々な病気に罹るようになったと主張する。しかし、氏の主張は余りにも突飛であったため当時の医学界からは全く相手にされなかったとのことであるが、20年以上経過しようやく臨床実験されるまでになったのだ。

 アレルギー疾患や、より激しい免疫の過剰反応の治療に、寄生虫を使う研究は21世紀に入ってから各国で行われ、一部の国では臨床試験も実施されている。この結果、寄生された人の安全性や実験動物での免疫安定化は確認されたという研究が多く報告されている。ただ、治療効果については様々な結果が出ており、効果が確定されたとは言い難いのが現状のようだ。

 遅ればせながら日本でも臨床実験が始まった分けであるが、人間の免疫力に関しては未知の部分が多く今後の進展が楽しみである。

 また、最近ではアレルギーと関係ないと思われるアルツハイマー病(AD)にも清潔さとの関係があることが分かり、人間の免疫機能の複雑さが見直されている。昨年ノーベル生理医学賞を受けた本庶佑特別教授のガン治療薬オプジーボも免疫を利用した薬だ。

 さて英国の公衆衛生学専門誌に掲載された研究によると、清潔で所得が高い国の都市部ではADの発症率が高い、ということが分かったそうだ。AD発症にも清潔な環境が関連するとして、世界192カ国で細菌やバクテリアなど微生物との関連を調べた結果だそうだ。

 これには微生物がいないため免疫力が衰えてしまい、免疫反応の司令塔の役目を果たすT細胞ができなくなる原因が考えられるようだ。

 例えば、全国民が清潔な水を利用できる英国やフランスは、ケニアやカンボジアに比べ、AD有病率が9%高く、また、感染症が少ない国スイスやアイスランドでは、感染症が多い中国やガーナより12%もAD有病率が高かったそうだ。

 寄生虫はその名前が示すように、人間の体内で栄養分を横取りする悪者の筈であるが、逆に免疫力を高める正義の味方だあるのかも知れない。人類は地球上で最強の生き物として生物の頂点に君臨しているようだが、すべての生物は持ちつ持たれるの関係にあるのだ。

 人類が発生したのは400万年前ごろからだと言われているが、地球が誕生したのは46億年前であり、人類は生物の中でも新参者だ。地球のこの長い歴史の中にあって、人間だけに都合のよい環境にしようと思うこと自体が思い上がりだ。すべての生物は持ちつ持たれつの関係にあるのだ。2019.01.30(犬賀 大好)-516

馬鹿と依存症と性癖につける薬は無い

2019年01月26日 09時33分34秒 | 日々雑感
 性癖とは、人間の心理・行動上に現われる癖、嗜好、傾向のことと定義されるようだが、単なる癖より、その人を特長付けるような強い癖の時に使われるようだ。その範囲は極めて広く、収集癖や、完全癖などは、程度によっては世のため人のために役立つ性癖もあるが、窃盗癖や万引き癖、放火癖など、病的なものや反社会的なものまで含まれる。

 しかし、性癖とは語感からして、痴漢癖など反社会的な方面に多用される場合が多いので、ここでも悪い方の意味に用いる。これらの性癖の原因は、生まれながらの特質と思われる節もあり、自分では悪ことだと知りながら止められないところに特徴がある。

 一方、依存症とは、カジノを始めとするギャンブルや、酒、たばこ、麻薬等、これらの習慣的な行為が社会生活に支障をきたしているのに、自分の意志の力ではやめられない状態のことだそうだ。

 自分では改められない点においては、依存症と性癖は同じであるが、性癖は生まれながらの性格であり、依存症は何かの切っ掛けで発症する病気とも感ずるが、依存症発症の裏には性癖があり、本質的な差は無いだろう。

 人は無くて七癖あって四十八癖とは、人は誰しも多かれ少なかれ癖があるということであり、正義面、お調子者、皮肉屋、ケチなどの性癖は余り社会には悪影響を及ぼさないため問題視されない。しかし痴漢 万引き、虚言癖や、露出癖、となると社会的影響も大きいため、依存症と別の呼び方が生まれたのかも知れない。

 2012年カジノにのめり込み、ファミリー企業から総額106億円を借りて有罪判決を受けた大王製紙前会長の井川意高氏は、日本でカジノが解禁されても日本のカジノへは行かないと言っているようだが、理由はカジノに懲りたからでは無く、単に日本では有名になり過ぎており影響が大きいからとの理由である。機会があれば海外のカジノへ行きたいようであり、ガジノへの未練は十分残っているようだ。

 井川氏の場合、カジノ解禁の悪影響として依存症の発症の例に挙げられるが、元々持っていた性格、育った環境、等が影響していることは間違いなく、単に性癖の一種と思えなくもない。

 ギャンブルを一度経験してそこから抜け出せなくなった人もいるかと思うと、簡単に止められた人もいる。この差はその人が有する個性であろう。止められない人は、潜在的にそのような性癖を有しているのではなかろうか。

 高齢化に伴い認知症が話題になるが高齢者に発症する脳の病気とされる。認知症になると万引き癖が出る例もあるようだが、元々有していた万引き癖が認知症により抑えが効かなくなったと理解できるのではなかろうか。

 カジノ解禁に伴うギャンブル依存症対策に政府は万全を期すとしているが、依存症を完治する薬は無い。依存症につける薬が無いのも、このように生来の性格が関係している理解すれば納得できる。

 ”馬鹿に付ける薬はない”の諺は、愚かな人は救いようがない、との意味であるが、この場合の馬鹿とは性癖を直せない人のことであろう。そうだ、馬鹿と性癖と依存症につける薬はないのだ。

 カジノはギャンブルの一つであり、既に日本はパチンコを始めとするギャンブル天国である。政府はカジノ依存症の発生に万全を期すと言っているが、馬鹿と同様それを直す薬が無いと心すべきである。2019.01.26(犬賀 大好-515)

入管法の改正で外国人労働者が日本に押し寄せるか?

2019年01月23日 08時42分59秒 | 日々雑感
 安倍首相は入管法の成立を受けて、外国人労働者が日本に来て働きたいと思えるような環境を整えたいとの趣旨の発言をした。これまで、日本はアジアの中でも先進国として、誰もが働きたがる国と思っていたが、いつの間にか、日本に来て欲しいと思っても、他の国に行ってしまう状況になっているのだ。

 韓国や台湾等でも日本と同様に少子高齢化が進み外国人労働者を必要とする等、アジア各国は様々な理由で外国人労働者を招き入れしている。

 政府は外国人労働者を増やそうと入出国管理法の改正を急いだが、現状特に必要とされるのが介護職だ。介護職を外国人労働者により2019年度に5千人、同年度から5年間に5万~6万人の増員予定であるが、優秀な人材が集まるであろうか。

 高齢化が進む香港では、介護を担う外国人材の確保に積極的だそうだ。香港には公的な介護保険制度がなく、家族や外国人家事労働者が家事や育児の延長線上で介護を担っており、香港政府は介護のスキルを持つ外国人家事労働者を増やすことで、高齢化を乗り切りたい考えのようだ。香港で就労する外国人家事労働者は2016年時点で35万人であり、出身国はフィリピンやインドネシアが多いそうだ。

 また、台湾には2017年の時点で約68万人の外国人労働者がいるそうで、全国民の34人に1人に相当するそうだ。全外国人労働者の内3分の1は社会福祉関連、特に高齢者介護の仕事で働いているそうだ。

 その中でもインドネシア人が最も多く25万人であり、そのうち18万人が介護要員として働いているそうだ。ほとんどの場合、家庭に入って住み込みで高齢者の世話をしているそうだが、国や民間の老人介護施設が不足しているのか、老人は家庭で面倒を看る習慣がしみ込んでいるのだろう。

 お隣の韓国では2004年から外国人労働者を受け入れているが、受け入れ職種は農水産業、建設業、製造業であり、サービス業はごく一部の業種でしか就業が認められていないとの話であり、介護サービスは除外されているようだ。

 韓国は儒教精神が残るお国柄か老人を敬い家庭で面倒を見なければならないとする風習が強いのであろうか。しかし、女性の社会進出と共にこの風習も廃れ、外国人労働者が面倒を看る方向に変化していくだろう。

 また、シンガポールでは人口約560万の約4割を外国人が占めるそうで、その内1割は単純労働者だそうだ。国自体が若いこともあり、また高齢者の面倒は国や病院ではなく、子供が看ることを前提にしているお国柄か、ネット上には介護従事者の言葉は見当たらない。

 さて、外国で働く場合、良い労働環境や高い報酬は魅力的であるが、永住権が得られるのも最大の魅力であろう。この点日本と同様に、先述の東南アジアの国々は永住権を得られない仕組みになっているが、シンガポールの場合給与、労働条件に厳しいルールを設け、有給・病休、保険加入を義務付け労働者の保護に努める等、各国は様々な工夫をして招き入れている。

 アジアの先進国は介護職ばかりで無く、製造業等でも人材を欲しがっている。日本では特定技能1号や2号の制度を設け、魅力ある受け入れ制度にしようと努力しているようだが、この4月に制度が実施されようと言うのに、その具体案は未定だ。2019.01.23(犬賀 大好-514)

世界の原発建設で日本の経験は生かされない!

2019年01月19日 09時46分15秒 | 日々雑感
 経団連の中西宏明会長が今年元旦に行った年頭会見で、電力会社が利益を上げられていない商売で設備納入業者が利益を上げるのはすごく難しく、今後原発をどうするか真剣に一般公開の討論をすべきだと思うとの主旨の発言をした。

 また、今月15日の会見では、東京電力福島第1原発事故後に停止している原発について再稼働をどんどんやるべきだと述べ、原発の新設や増設も認めるべきだとの認識を示し、エネルギー政策の在り方を巡り国民的な議論を呼び掛けたそうだ。

 これらの発言を聞くと、原発は電力会社や設備納入会社の利益のために、どんどんやるべきだと聞こえる。中西会長は日立製作所の会長でもあり、日立は日本の代表的な設備納入業者だ。日立の会長としては当然の発言かも知れないが、経団連の会長の発言としては将来展望抜きの近視眼的言い分だ。

 原発の存続に関してはこれまでかなりの議論はあったが、お互いに水と油の主張を繰り返すばかりで、まとまる気配は無い。中西会長が呼び掛けたところで進展は無いだろう。

 安倍政権は、福島第1原発原事故の後、日本国内での原発事業の低迷打開と日本の原発技術の維持を目的に原発の海外展開を目指し、成長戦略と位置づけた。

 さて安倍首相は今月10日英国を訪れメイ首相と会談した。そこで3月末に迫る英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり、合意なき離脱の回避を目指すメイ氏に対する支持を表明したが、日立が英国で手掛ける原発の新設計画は今回の首脳会談では取り上げられなかったようだ。

 この計画は原発2基の新設であるが、原発の安全基準見直しで総事業費が最大3兆円程度に膨らむ見通しになったが、英国政府の追加支援を期待できないと、日立は計画の中断を検討しているのだ。

 追加支援に関しては、担当者レベルで交渉が進められていた筈であるが、会談で話題にならなかったと言うことは、交渉が旨く行っていないとの意味であり、英国での原発中止は決定的であろう。

 原発の輸出計画は、当初、トルコ、べトナム、台湾等、新設の計画が持ち上がり大成功と思われたが現在いづれも中止に追い込まれている。建設費の高騰が主原因であり、トルコの場合4基2兆円計画であったが、福島第1原発事故の経験を踏まえた安全確保のため2倍の建設費となり断念となった。

 一方、ロシアは、2017年にパラグアイ、ザンビア、カンボジア、バングラデシュ、ウズベキスタンの5カ国と協力の枠組み協定を締結したそうだ。また昨年7月時点で全世界の原発建設分野のシェア67%となる35基の原子炉建設契約締結しているとのことだ。

 中国においては、国内原発は花盛りであり、2030年までに100基を超える原発の稼働を計画し、同時に原発の輸出も積極的に進めている。中国はパキスタンに原発を建設しているほか、昨年はケニアとエジプトとの間で原発の輸出に関する覚書に署名したそうだ。また、ルーマニアやアルゼンチンからも注文を取り付けており、中東やアフリカ地域の市場を集中的に開拓しているとのことだ。

 韓国では、2009年に受注したアラブ首長国連邦の原発1号機が昨年3月に竣工した。サウジアラビアは2040年までに17.6GW規模の原発16基を建設するという長期プロジェクトを始めたそうで、韓国のプロジェクト参加への期待は大きいようだ。

 日本の全ての原発輸出計画が頓挫する一方、世界はロシア、中国、韓国の安価な原発が占めようとしている。世界一大きな原発事故を経験した日本の反省は何処にも生かされない。福島第1原発事故は想定外の特異例として忘れ去られる運命だ。このままでは近い将来福島を上回る事故が何処かで発生するであろう。2019.01.19(犬賀 大好-513)

人間は清潔であれば良いってものではない

2019年01月16日 09時06分33秒 | 日々雑感
 私たちは様々な雑菌に取り囲まれて生活するが、これらの菌は口や鼻から入り込むばかりでなく皮膚からも入り込むのだそうだ。それでも病気にならないのは、人類が誕生して以来培ってきた生体防御機能が巧みに働くからだそうだ。

 この生体防御機能は人間が生まれながらに持っているものばかりでなく、生後体に備わるものがあり、それらの機能は外から体内に入る様々な菌が育てているのだそうだ。

 生体防御機能は人間のあらゆるところに備わったおり、その代表が免疫機能だ。腸の免疫機能を正常に機能させるのは腸内細菌だそうだ。腸は単に食物から養分を吸収するのが役目だけではなく、うつ病、がん、アレルギー、肥満など、一見腸とは関係ない病気を予防する役割もあるそうで驚きだ。

 「腸の役割は多々ありますが、大切なのは2点。1つは、酵素、ビタミン、ホルモンを作ること。特に、腰痛を予防するビタミンB1や美肌に効果的なビタミンB2、血液凝固作用があるビタミンKは、腸内でしか作れません。また、酵素とホルモンも、大部分が腸で作られます。特に、精神を安定させて幸せな気分にするホルモンのセロトニンは9割が腸で作られています」と、東京医科歯科大学名誉教授で感染免疫学者の藤田紘一郎さんは語っているそうだ。

 人の腸内には消化を助けるものとして有名な乳酸菌をはじめ種々雑多な腸内細菌がいるが、一時的に入ってきて腸を通過する菌と腸内に定着している常在菌がいるそうだ。

 生後間もない赤ちゃんはいろいろな所を舐めることで、多種多様な菌を腸内に入れているが、これが一生変わらない常在菌のもとになるのだそうで、この常在菌の種類は、おおよそ3才までに決まるとのことだ。

 腸内の常在菌は一般に100種以上とされ、多いほどよいとされる。しかし最近は除菌や抗菌グッズが流行し、赤ちゃんを汚い場所から遠ざける傾向があるため、多種多様な菌が摂り入れられず、そのため、アレルギーの子供が増えたのだという。

 また、人間の皮膚には重要な生体防御機能があるのだそうだ。人間の皮膚は表面の薄い粘膜に覆われており、そこに病原菌などの外敵の侵入を防ぐ役割を担う有用菌を棲息させており、これが皮膚常在菌と呼ばれている。

 最近、人が集まる所には消毒液が準備されているが、インフルエンザや食中毒Oー157対策との名目である。しかし、このような消毒が常在菌も殺すことになるから逆に有害にもなり得るのだ。殺すまで行かなくても、この皮膚常在菌は自然状態である弱酸性に保っていかないと活発に働いてくれない。消毒液で見せかけの清潔さを得るために、こんな優秀なガードマンを働けなくするとは、過ぎたれば及ばずるが如しとはこのことだ。

 このように腸内や皮膚に存在する常在菌は生後に体に備わる防御機能なのだ。海外には、日本にはいないような怖い病原菌が無数に存在するのに、現地の人たちは、皮膚を多く露出させて歩きまわったり、碌に消毒をしていない水を飲んだり、不衛生と思われるところで食事をしても特に病気にかかっている様子も無い。しかし、日本からの旅行客はすぐに下痢など起こす。この現象こそが常在菌による防衛機能が備わっているか、いないかの差だ。

 赤ちゃんが手にするもの、目に付くもの、何でも舐めまわすのは単に好奇心からだと思っていたが、そこには常在菌を増やすための本能が隠されていたとは驚きだ。清潔好きなお母さんは、赤ちゃんが病気にならないようにと舐めそうな物を消毒したり、取り上げたりするが、それが赤ちゃんの一生を決めるほどの影響があるとはびっくりする。
2019.01.16(犬賀 大好-512)