里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

食のPFAS汚染、肉で25万倍の汚染検出

2024年04月22日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2024/04/22

 

 食のPFAS汚染は今後、世界が直面する大きな問題にならざるをえない。汚染企業の責任追及と共に早急に取り組まなければならないのは下水汚泥肥料の規制だ¹。

 米国では下水汚泥を肥料の原料にすることが盛んに行われたがその結果、800万ヘクタールの農地がすでに永遠の化学物質と言われるPFASに汚染されてしまったという。下水の中にPFASが紛れ込み、それが肥料の中に入って、農地を汚染してしまう。その結果、特に問題なのは家畜の飼料にPFASが入り込み、家畜の体の中で生物濃縮されてしまう。だから畜産物のPFAS濃度が危険なレベルに上がってしまう。

 ガーディアン紙はテキサス州のある農場で、水は連邦政府の勧告の1万3000倍のPFAS汚染されており、その農場の肉はなんと25万倍の汚染になったという²。被害を受けた農家は下水汚泥肥料を売っていた企業に対して訴訟を起こした。メイン州はすでに下水汚泥肥料の利用を禁止し、PFAS汚染に苦しむ農家の救援計画を進めている。そして、今、米国では下水汚泥肥料を認めた環境保護庁(EPA)に対する訴訟も起きており、下水汚泥肥料の禁止を求めている³。

 また米国の市民団体は農務省(USDA)と環境保護庁に有害な下水汚泥肥料利用禁止を求めるオンラインキャンペーンを行っている²。

 この同じ時代に、日本ではその逆のことが進行している。農水省と国交省が予算を出して、下水汚泥肥料の増産を図り、利用を促進するためのセミナーを開いて、宣伝に力を入れているのだ(添付図参照)。実際に琉球新報は佐賀県の下水汚泥肥料から高濃度のPFASが検出されたことを調べ、報道している⁴。農水省は米国で起きていることを知らないはずがない。農水省の官僚に質問したが、メイン州の動き含めて知識としては知っていた。それにも関わらず規制するどころか、実態把握もしようとせずに販促に努めているのだから、これは確実な確信犯と言わざるをえないだろう。国交省のマニュアルには一言もPFASのことは触れられていない⁵。

 下水汚泥をバイオ炭にすることができればPFASを無害化できるという話もあるようだ⁶。ただし、下水汚泥で問題なのはPFASだけではない。カドミウムなどの重金属や放射性物質の存在もある(以前はセシウム100ベクレル/kg以上は放射性汚染物質として隔離する必要があったが、原発事故後、400ベクレル/kgまで下水汚泥肥料の原料として許容されたままだ)。

 問題が起きたら、名前を言い換える。下水汚泥は印象が悪いからバイオソリッドと呼ぶようになるのだろう。名前を変えても問題は悪くなるだけ。米国のように下水汚泥の利用禁止を求める必要があるかもしれない。少なくともPFASなど有害物質の測定をすることは最低限必要だろう。それなしに農地汚染したら、その責任は農水省と国交省にあると言わざるをえない。


まったく、ニッポンの政権は責任を追わない。

新潟水俣病判決 国の責任を問わぬとは

「東京新聞」社説2024年4月22日

 国の責任を認めなかった点に、強い違和感が残る判決だ。

 新潟水俣病に苦しむ原告が水俣病特別措置法(特措法)の対象から外れ、救済を受けられなかったのは違法だとして、国と原因企業・旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた訴訟で、新潟地裁は原告47人のうち26人の罹患(りかん)を認め、同社に約1億円の賠償を命じたが、国への賠償請求は退けた。

 新潟県・阿賀野川下流の沿岸で水俣病が公式確認されたのは、1965年。原告は、各地で同種工場の排水の水銀測定結果が出た61年までには、国が規制権限を行使すべきだったと訴えた。しかし判決は、同年の時点では、国に工場からの水銀排出や住民の健康被害を具体的に予見できたとはいえないとして、その主張を退けた。

 だが、56年には熊本県で水俣病が公式確認され、65年より前には原因も明らかになっていた。新潟でも既に健康被害が出ていたのだから、原告の主張はもっともではないか。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされたが、原告勝訴だった昨年9月の大阪地裁判決はもとより、賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が過ぎていたとして、原告敗訴だった今年3月の熊本地裁判決ですら、国の責任を認めている。その点から見ても、今回の判断には疑問が残る。

 ただ、今判決が、原告らの提訴が遅れたのは「差別や偏見で旧昭和電工への請求を躊躇(ちゅうちょ)していた事情もある」と酌み、「正義・公平の理念に反する」と除斥期間を適用しなかった点は評価できる。結果、水俣病に罹患していると判断した一部原告への賠償を認めた。

 水俣病に関し、国は当初、重症者だけを患者認定していたが、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、最高裁が2004年、国の責任を認めた上で、認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示した。これを受けて09年、対象を広げる特措法が成立したが、その適用からも外れた住民が一連の訴訟を起こした。

 これまでの3判決は、国の責任や、除斥期間のとらえ方、診断に使われてきた「共通診断書」への評価でも分かれ、司法判断が錯綜(さくそう)している。ただ、判決内容にかかわらず、国が「あたう(できる)限り救済する」とうたう特措法の精神に則(のっと)った被害者救済に手を尽くすべきなのは言うまでもない。

「ノーモア水俣」がすでに危ない。
PFAS汚染を第二の水俣にしてはならない。

今日も曇り空、氣温はわずか10℃を超えた。
それでもカタクリの花が開いた。

ホトケノザも・・・

ルパーブ