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吉本に続き読売新聞が大阪府と包括連携協定締結、公然と吉村知事の下僕に! 他メディアも追随で大阪は大本営状態に

2021年12月28日 | 社会・経済

「リテラ」2021.12.27 

 またも大阪で信じられない問題が起こった。今度は大阪府と読売新聞が「包括連携協定」を結んだ、というのだ。

「包括連携協定」というのは、自治体と民間企業等が協力する官民提携の一種で、大阪府HPでは「企業の社会的責任」や「共通価値の想像」との連携やコラボレーションによって〈社会課題の解決を図る新たな公民連携のモデルを確立します〉と謳われている。これまでも府は、維新との癒着が目立つ吉本興業をはじめ、ローソンやセブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートなどのコンビニ、イオンなどの流通、キリンビールなどの飲料事業、ほかにも製薬会社や運送会社、保険会社、銀行などの企業と包括連携協定を結んできた。

 そして、大阪府は「地域の活性化と府民サービスの向上」を目指し、新たに読売新聞と「包括連携協定」を結ぶと22日に発表。本日午後、大阪府庁で吉村洋文・大阪府知事と読売新運大阪本社の柴田岳・代表取締役社長が締結式をおこなったのだ。

 はっきり言って、あり得ない話だろう。言うまでもなく、メディアの役割は府政の監視をし、その政策を客観的・批判的な視点から報じることだ。ところが、よりにもよって国内最大発行部数を誇る読売新聞が監視対象である行政と協定を結び、権力側の政策を後押しする側に回るというのは、メディアの役割を放棄した自殺行為にほかならない。

 実際、今回の問題については、22日に協定を結ぶことが発表された段階からジャーナリストを中心に批判が殺到。たとえば、東京新聞の望月衣塑子記者は〈解せない。特に情報発信分野は利益相反する部分が出てくる。「色」がついた状態で、権力監視の役割が果たせるのだろうか〉と投稿し、富山市議の腐敗を描いたドキュメンタリー番組『はりぼて』(チューリップテレビ)が映画化され話題を呼んだ石川テレビの五百旗頭幸男記者も〈「本日を持ちまして報道機関の看板を下ろさせていただきます」とでも発表するのでしょうか〉〈国内最大手の新聞が地方自治体の太鼓持ちになるなんて、エイプリルフールにも思いつかない悪い冗談です〉と批判した。

 だが、こうした批判や懸念は、ものの見事に的中しそうだ。というのも、本日、府が公表した「株式会社読売新聞大阪本社と府の連携による今後の主な取組み」という文書を確認すると、とんでもないことが書いてあったからだ。

 たとえば、今回の協定書では、府と読売が連携・協力する事項のなかに「情報発信に関すること」と明記されているのだが、その主な取り組みについて文書では〈生活情報紙「読売ファミリー」や「わいず倶楽部」などの読売新聞が展開する媒体や、各種 SNSなどを活用して、大阪府の情報発信に協力します〉と記載している。

 府として発信する情報が読売の購読者にしか届けられないというのは大問題だし、さらに、これはようするに、読売の媒体が吉村知事のPRの場となるということではないのか。とうのも、「包括連携協定」を結んだ企業によって吉村知事の大宣伝が展開された前例があるからだ。

大阪府と包括連携協定を結んだローソンは、吉村知事をPRする宣伝スポットに

 実際、2019年の参院選を控えたタイミングで、府と協定を結んでいるコンビニチェーン大手・ローソンの大阪市内の店舗では、吉村知事の顔写真が中心に大きく載ったポスターがこれ見よがしに貼られていた。このポスターは「G20大阪サミット 開催フェア」というもので、吉村知事を取り囲むかたちでローソンの商品等の写真を掲載。ポスター下部にはG20開催に絡んで「大規模な交通規制が実施されます!」「マイカー利用の自粛や電車の利用にご協力を!」などの告知が記されていたが、あくまでポスターの中心は吉村知事のバストアップ写真。そんなシロモノが参院選を控えて大阪や京都など近畿地方のローソンの2400店舗で一斉に貼り出されていたのだ(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2019/06/post-4805.html)。

「包括連携協定」の名の下に、国政政党の顔でもある首長の写真を掲載したポスターを大量に貼り出すのは、明らかに政治宣伝につながるものだ。そして、これと同じことを、読売は自社媒体を通じて展開しようというのではないのか。

 しかも、府と読売が協定を結んだ「今後の取組み」のなかには、もうひとつ、重要な問題が隠されていた。それは「2025年日本国際博覧会の開催に向けた協力」だ。問題の文書には、こう書かれている。

〈2025年に大阪・関西で開かれる日本国際博覧会に向け、万博に関連した情報の発信及び地域活性化に向けた取組みに協力します〉

 繰り返しになるが、メディアの役割は行政の監視であり、政策を客観的・批判的な視点から伝えることだ。しかも、大阪万博をめぐっては整備のための公費負担が膨らみつづけている。だが、府と協定を締結した読売は、大阪万博にかんする問題が起こっても、批判はおろか問題をスルーし、PR・礼賛報道しかしないということだ。

 実際、読売は今年おこなわれた東京五輪でも、朝日や毎日、日経と同様にオフィシャルパートナーとなったが、とりわけJOCとの関係が深い読売は、誘致にかかわる汚職疑惑から会場建設における過重労働、酷暑対策、ボランティアの無償労働、そしてコロナ下での開催といった数々の問題に蓋をし、露骨な五輪礼賛報道に終始した。つまり、これと同じことを大阪万博でも繰り広げるということだろう。

吉村知事は読売以外のメディアとも協定を結ぶことを示唆! 大阪は完全に大本営状態に

 だが、問題はこれだけではない。今回の読売との協定締結によって、「維新・吉村シンパ」のメディアだけが露骨に優遇されるという事態も起きかねないからだ。

 実際、吉村応援団と化している在阪メディアのなかでも、読売新聞と系列の読売テレビは急先鋒的存在で、これまでも優先的に情報を流してもらったり、吉村知事の協力を得ているとの見方があった。それが今後、「協定企業だから」とさらに露骨になる可能性がある。

 本日おこなわれた会見でも、朝日新聞の記者から、こうした協定を特定メディアと結ぶことによって「大阪府と近いメディア」と「そうではないメディア」に分かれる懸念があるのではと質問が出た。すると、吉村知事はしれっとこう答えたのだ。

「取材、それから報道にかんしては生じないと思っている。こういったかたちで毎日、僕も囲み(会見)をやっているわけですから、質問なくなるまで当然受けますし、取材・報道にかんして何か違いが生じるとかはないし、協定書にも明記している」

「取材・報道に問題は生じない」と言うが、特定のメディアと協力関係にあってそんなことが可能なわけがないだろう。しかも、協力関係を結ぶことでいち早く情報を入手できるようになれば、監視の役割を捨てて「包括連携協定」を結ぼうとする他社が出てくることも十分考えられる。そうなれば、批判的なメディアはますます孤立し、まともな報道はなくなって「大本営発表」に埋め尽くされていく。

 実際、吉村知事は本日の会見で、「(読売にかぎらず)協定を結んでいくというのはあり得る話だと思う」と語っていたが、大阪では府政に対して批判的報道をおこなっているのは毎日新聞ぐらいだというのに、いったい今後はどうなってしまうのか。

 その上、在阪テレビ局がこの協定を結ぶようなことになれば、大変なことになるのは目に見えている。それでなくても吉村知事のコロナ失策に対する批判がほとんど展開されず、在阪テレビ局は揃いも揃って吉村知事を出演させては「さすが吉村さん!」「吉村知事はよくやっている」などというイメージを醸成してきたが、これがますます激化し、在阪テレビ局が軒並み「吉村チャンネル」と化すという地獄絵図が繰り広げられるのではないか。

 しかも、重要なのは、これは大阪だけの問題ではない、ということだ。前新聞労連委員長で朝日新聞記者である南彰氏は〈西日本の中心・大阪府との協定がそのまま認められれば、政府との包括連携協定を公然と結ぶメディア経営者が出てきかねない〉と指摘したが、そんなことになれば、安倍政権下で忖度と萎縮が拡がりきったこの国のメディアから政権やその政策に対する批判が消えてなくなりかねない事態となるだろう。

 ポピュリストという意味でもネトウヨ独裁思考という意味でも安倍晋三・元首相と吉村知事は共通点が多いが、その吉村知事と太鼓持ちの読売が今回、大阪ではじめた民主主義をぶち壊す危険なこの動きに対し、府民にとどまらず批判の声をあげなくてはならない。

(編集部)


読売新聞は「憲法改正試案」を発表しています。また「原発推進」の立場を明確にしています。そして政府の発表を無批判に流したり、政府の意図するところへ世論誘導する役割もしてきました。これはメデイアの自殺行為であり、許されざる行為です。