ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

タルト・タタンと炭酸~竹内亮

2019-04-27 05:05:05 | 短歌
 
☆☆☆

新鋭短歌シリーズ19、竹内亮さんの「タルト・タタンと炭酸水」
この本もブックオフオンラインで購入。
このまえの、國森晴野さんの本と同じく、読むうちに味がじんわり。

あとがきで竹内さん、日頃歌の題材になりそうなものに接したとき、
スマートフォンのメモ帳に単語や句を書き込むことをされていて。
メモをしながら短歌をつくることを繰りかえされて、自分でよいと思える
短歌ができるときに一つの共通点があることに気づいたと・・・。

それは、よい歌ができるときは、基となったメモをしたときに、
少しこころが動いていたような気がしたと。
「こころの動き」を感じた時にメモを取る。
日常の一場面に自分のこころの動きを正直に映しだす。

これは、即、実行、はじめてみようと思っております。

では、気になった、短歌を・・・

向い側のひざの上ではスーパーの袋いっぱいのレモンが透ける
アイスティ―の上澄みに似た空を見て初めて君に気持ち伝える
こし餡のお汁粉の椀前にして君は髪の毛小さく結ぶ
美術館に行きませんかと連れだっていつもより遅い足音静か
キッチンで知らない歌を口ずさみ君は螺旋のパスタを茹でる
ホイップの泡立ちやすい早春にかきまわされる私の呼吸
春の雨は草の匂いを漂わせ先に傘を閉じたのは君
花の下を歩いたときのなぞなぞの答えを君は今も言わない
終電の一駅ごとに目を開けてまた眠りゆく黒髪静か
バゲットの袋をとじる金色のはりがねを追うふさやかな猫
上空のとんびは左右に揺れていてどの花よりもゆっくり墜ちる
参道のベンチで君は凜として包まれている木漏れ日の中
光射す朝降りてゆくカフェテリア青い林檎をトレーへと取る
うねる声寄せては返す寄席の空気はやがて密度を増して
生まれつき善き人のように色白の額に降った雨は弾かれ



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