夕暮れの末廣亭
一、柳家さん生・・・・・・・・・・「二人旅」
東京の噺家さんの中では、数少ない馴染みのある、さん生さん。
噺は「二人旅」とか、上方でいう「煮売り屋」のようであり、ちょっと違う。
東京では、さん生さん様な真打の噺家さんが、この様な早い出番に出られて、
軽い噺をされる、歴史ある東京の寄席の良さの一つですな。
二、ホームラン・・・・・・・・・・・「漫才」
「皇潤」ネタ。
懐かしい「東京オリンピック音頭」も歌って踊って、
こんなタイムリーな自由さ、楽しいですな。
大阪では、吉本などの寄席に行ってないので、
この2~3年、大阪より東京の方が漫才を聴く機会は多いのでは・・・。
漫才って、二人の個性のぶつかり合い。
客席ではなく、お互いの顔を見ながらのリアクションが愉しい。
ベテランさんの、二人で楽しんでいる、そんな「漫才」おもしろおますで。
三、古今亭志ん弥・・・・・・・・「巌流島」
噺っぷりが“志ん朝”さんにそっくり。
名前からも、“志ん朝”さんのお弟子さんと思いきや、“円菊”さんのお弟子さん。
東京の方の、小粋な喋りはすべて“志ん朝”さんに聴こえてしまうんですな。
それとも多くの東京の噺家さんの中でも、“志ん弥”さん似ている法なのか。
“志ん朝”さん懐かしさに、是非また聴きたくなった“志ん弥”さんでおました。
四、林家正蔵・・・・・・・・・・・・「猫と金魚」
「猫と金魚」、落語三百年(昭和の巻)小島貞二編の本があったので見てみると、
先代の柳家権太楼さんの自作自演と伝えられているが、
実は、「のらくろ」の作者、田河水泡氏がまだ漫画家になる前のペンネーム
高沢路亭時代のもの。
“正蔵”さんの「猫と金魚」、前回大阪で聴いた「幾代餅」とは打って変わって
飄々として、とぼけた味が魅力。
真打の軽い噺に、東京の寄席の良さを感じますな。
五、柳家小菊・・・・・・・・・・・・「俗曲」
新内に、都々逸、・・・。
入門が、1973年、10才で入門したとしても既に50才。
高座姿は、お美しくて、お若い。
お年はお幾つか解らない、艶やかなお姿。
ここら辺りが、女芸人さんの良さでおますな・・・・・・・・。
六、柳家小燕枝・・・・・・・・・・「(床屋)」
演目解らず、とりあえず勝手に(床屋)と、
新米の若造に、顔剃りを教えるが、その教材にされるお客さんも、堪ったものではない。
でも、昔は理容学校もない時代、皆床屋での修行にて練習しながら覚えたものか、
そんな、昭和の匂いのする、噺でおました。
七、三遊亭円丈・・・・・・・・・・「(神一重)」
自分の家の前が、ある宗教の聖地であると、毎日毎日玄関先に御供え物が。
生で見るのは、初めての“円丈”さん。
最初は聞き取れないぐらいの小さな声。
時たまの大きな声は、無理に出す叫びか。
筋のあるような、無いような噺、題目はとりあえず「(神一重)」と。
八、柳家喬之助・・・・・・・・・・「短命」
上方の方の「短命」は、もう少し色っぽさがある。
こちらでは「須磨へご養生」のくだりがあるのに、それに変わるものもなく。
そのお嬢様の美しさが、上方では際立っているのに、“喬之助”さんのはいまひとつ。
私は、爽やかさと艶っぽさの微妙な境目が好きですな。
九、ロケット団・・・・・・・・・・・「漫才」
初めての出会い。
喋くり漫才の王道、おもしろい。
四文字熟語のネタなんか、最高。
東京で、“ナイツ”に次いで、観たくなる漫才さん見つけましたで。
十、柳家左竜・・・・・・・・・・・・「お菊の皿(皿屋敷)」
やはり、上方で聴きなれているネタは違和感が・・・。
「皿屋敷」も番町皿屋敷、こちらでは播州皿屋敷、
あれ、東京が本家本元、上方の方がバッタもの。
でも、お菊の幽霊の美しさは、“三代目、春團治”さんで極まりですな。
十一、金原亭馬遊・・・・・・・・「蜘蛛駕籠(住吉駕籠)」
これも、上方ネタ。
普段、聴いている笑いのツボがことごとく外れて、居心地悪く。
東京で食べる、お好み焼みたいで、消化不良おこしそうな
“馬遊”さんの「蜘蛛駕籠」でおました・・・・。
十一、翁家和楽社中・・・・・・「太神楽」
親、子、孫、“和楽”“小楽”“小花”の三代に渡っての翁家の太神楽。
“和楽”師匠、1933年生まれ、御年80才ですよ。
最後の、剣を投げ取りなんぞ、怖くて、見ている方はスリル満点。
“和楽”さんの、“小花”さんを見る目は、師匠というより、おじいちゃんの目、
そんな優しさ溢れる高座でおました・・・・。
十二、三遊亭白鳥・・・・・・・「隅田川母娘(愛子さまの冒険)(ホッピ―)」
本来“喬太郎”さん目当てだったんですが、
本日代演が“白鳥”さんならと、池袋を変更して新宿末廣へ。
演目は、最近創ったとか題目が解らないので、敢てつけるとすれば
「愛子の冒険」「ホッピー」とでも、ハナシはまるで「ローマの休日」みたい
皇居を抜けて、浅草の呑み屋のおじさんグループの中に・・・。
途中お世話になった、おばさんに
愛「何かお返しをさせてください」「何か欲しいものはありませんか」
●「何にもないよ」
愛「それでは、おばさんの誕生日はいつ」
●「9月の12日」
愛「だったら、その日国民の休日にしましょう」
●「おもしろい子だね」
、
愛「お母さん、「週刊七つ」、怒って部屋で破いてる」とか、
それはそれは、あまりにも皇室ネタなので、書くのは畏れ多いのですが、
皇室の方も、普通の人の暮しもしてみたいと思う事もあるんでしょうな。
そんな、想いにさせる、ほのぼの噺でおました。
寄席のトリって、その余韻で街へ出ていくんですから、大事ですよね。
“白鳥”さん、大当たり・・・・・・・最高。
2013年9月末廣亭中席
2013年9月12日(木)
新宿・末廣亭
一、柳家さん生・・・・・・・・・・「二人旅」
二、ホームラン・・・・・・・・・・・「漫才」
三、古今亭志ん弥・・・・・・・・「巌流島」
四、林家正蔵・・・・・・・・・・・・「猫と金魚」
五、柳家小菊・・・・・・・・・・・・「俗曲」
六、柳家小燕枝・・・・・・・・・・「(床屋)」
七、三遊亭円丈・・・・・・・・・・「(神一重)」
中入り
八、柳家喬之助・・・・・・・・・・「短命」
九、ロケット団・・・・・・・・・・・「漫才」
十、柳家左竜・・・・・・・・・・・・「皿屋敷」
十一、金原亭馬遊・・・・・・・・「住吉駕籠」
十一、翁家和楽社中・・・・・・「太神楽」
十二、三遊亭白鳥・・・・・・・・「隅田川母娘(愛子さまの冒険)(ホッピ―)」
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11月27日の大阪独演会でやってくれればいいのですが。
白鳥師匠の作品は、一見まともな人なら恐ろしくて思い付かない内容でいながら、
実はほのぼのしてたりヒューマニズムが通っていたり、緻密に伏線を張っていたりすることが多いようですね。
畏れ多いネタと言えば黒師匠(仮名)を何度か聴いて、その悪意に戦慄したものですが、
『隅田川母娘』実は学生時代童話研究会にいた経験が生かされているのかもしれません。
人々との暖かいふれあいを描いたものです。
題名はあとで知ったのですが、敢てインスピレーションを活かしてそのままにさせていただきました。
大阪独演会で聴けたら良いですね・・・。